魔導騎士物語~覇王と称された狼~   作:伊達 翼

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3.聖剣争奪のバベル
第十三話『聖遺物と聖剣と共闘』


五月も中旬から下旬になる頃、またまた事件が起こりました。

 

教会から聖剣エクスカリバーが盗まれたようです。

 

エクスカリバーとは有名な聖剣の一つとされているが、過去の大戦で折れてしまい、7本の剣として復元されたものを指す。

その内、6本はカトリック、プロテスタント、正教会の3か所が2本ずつ保管していて残りの1本は行方不明となっている。

 

そして、今回…そのエクスカリバーの内、各教会から1本ずつが『神の子を見張る者(グリゴリ)』の幹部の1人『コカビエル』によって奪われたという。

しかもそれを駒王町に持ち込んで潜伏しているというから厄介である。

 

そのため、駒王町に2人の教会関係者がやってきました。

カトリック教会から来た『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』の使い手『ゼノヴィア』。

プロテスタント教会から来た『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』の使い手であり、イッセーの幼馴染みでもある『紫藤 イリナ』。

 

彼女らは悪魔側に対して一切介入しないことを提示した。

理由は堕天使と組む可能性を示唆したからである。

しかし、リアスは兄である魔王の顔に泥を付けないため、堕天使と組むことはありえないと断言してみせた。

 

その際、ちょっとしたいざこざがあり、木場とイッセー対ゼノヴィアとイリナの勝負が行われることになってしまった。

木場は過去の出来事から本来の戦い方を出来ずに敗北。

イッセーは最初こそ良い勝負を見せたが、持ち前の煩悩が先行し過ぎたことと相手の実力を見誤ったための敗北。

この対決後、木場が眷属を離れると言い出していた。

 

………

……

 

~???~

 

「よもや貴様が現れようとは…」

 

「ふふっ…古き堕ちた天使か」

 

とある山奥にある大きな屋敷で2人の男女が話していた。

 

「終末の名を持つ女…貴様の力を借りたい」

 

「珍しいわね。まぁいいけれど…」

 

そう言って女は紅茶を飲む。

 

「じゃあ、そっちを手伝う代わりにこっちにも手を貸してもらいましょうか?」

 

「よかろう。俺達は聖剣を…」

 

「私は聖遺物を…」

 

何かが起ころうとしていた。

 

………

……

 

特異災害対策機動部二課は本部でもある私立リディアン音楽院高等科の地下基地のさらに下(1800m)にある最下層『アビス』にて保管していた完全聖遺物『デュランダル』の移送計画を実行しようとしていたが、その途中の海鳴市の市街結界が張られ、響が乗って櫻井女史の運転する車が護衛車と共に結界内に入るとノイズの襲撃を受けていた。

 

「了子さん、これ…お、重い…」

 

事故って車がひっくり返る事態に陥り、重厚且つ頑丈なケースを車から引っ張り出しながら響がその重さに一苦労する。

 

「いや~、めんごめんご。だったら、それを置いて私達だけ逃げちゃう?」

 

車を運転していた櫻井女史が謝りながらそんなことを言い出す。

 

「そ、それはダメですよ?!」

 

「だよねぇ」

 

櫻井女史は響の言葉に苦笑していた。

 

『-----』

 

そこにノイズが槍状となって突撃してくる。

 

「うわぁ!?」

 

慌ててそれを避ける2人だが、車がノイズによって爆発してしい、その余波で響はケースを落としてしまう。

 

そこへ…

 

「はいはい、ご苦労ちゃ~ん」

 

以前はレイナーレに従っていた神父、フリードが現れていた。

 

「だ、誰ですか!? 危ないですよ!?」

 

突然現れたフリードに響は驚く。

 

「あらら、君ってばお人好しだねぇ~。俺様がこいつを強奪するとか考えないの?」

 

そう言いながらフリードはケースを持ち上げる。

 

「って、重っ! まぁ、厳重なのをゲッチュするからいいけどね。では、俺ってばこれでバイなら」

 

そう言うや否や持っている剣を輝かせて逃げようとするフリードだったが…

 

「フリード・セルゼン!」

 

そこへさらにグレモリー眷属を離れていた木場が現れ、魔剣を振るう。

 

ガキンッ!

 

「おっと、これはこれはこの間の騎士さんじゃ、あ~りませんか! こんな所でどうしたよ?」

 

魔剣をケースで受け止めながら尋ねるが…

 

「君には関係ない!!」

 

ダンッ!

 

右足を地面に向かって踏みつけるとフリードの足元から魔剣の数々が現れる。

 

「おっと!」

 

それを察してかフリードはケースを手放して距離を取った。

 

「逃がさない!!」

 

木場も速度を上げてフリードを追う。

 

「な、なにがどうなって…?」

 

その光景に響が目を丸くしていると…

 

『-----』

 

響の背からノイズが迫っていた。

 

「ちょっとちょっと響ちゃん、危ないじゃない」

 

しかし、櫻井女史が薄い紫いろの膜を展開すると、それによってノイズが炭化していく。

 

「り、了子さん?」

 

櫻井女史の常人ならざる力を目にしてまた驚く。

 

「とにかく…今はノイズを何とかしないとね。響ちゃん、行ける?」

 

その問いに…

 

「はい!」

 

響は力づ強く頷いた。

 

「~♪」

 

響が歌うと、その身にガングニールを纏う。

 

「うっほ、歌って変身とか何処の漫画だよ!」

 

その様子を見てフリードが笑う。

 

「僕を前に余所見する余裕があるのかい!?」

 

木場がフリードの眼前まで近づく。

 

「それがあるんだよねぇ!」

 

そう言ってその場から跳ぶと…

 

『-----』

 

フリードが避けるのを待っていたかのようにノイズが木場へと突撃してきていた。

 

「なにっ?!」

 

それに驚いた木場は反射的に横跳びをしてノイズの突撃を避ける。

 

「くっ……っ!?」

 

避けた先にノイズが待ち構えていたのだが…

 

「てやぁ!」

 

そこへ響が跳び蹴りを放ってノイズを粉砕する。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「君は…確か、立花さん?」

 

木場は響を見て風鳴 弦十郎の元でイッセーと共に修行していた女の子だと思い出した。

 

「あ、一誠さんのお友達の…」

 

響もまた木場のことを思い出していた。

 

と、そこへ…

 

ヒュッ!!

 

「「っ!?」」

 

クリスタルが連なったような鞭が振るわれ、2人は同時にそれを避ける。

 

「今日こそはモノにしてやる!」

 

白銀の鎧…ネフシュタンの鎧を纏った少女がそう叫びつつ響に蹴りを放っていた。

 

ゲシッ!

 

「くっ…」

 

それを響は顔に受けてしまう。

 

「ほんじゃま今のうちに…!」

 

フリードが再びケースに向かうと…

 

「待て!」

 

木場がフリードを追う。

 

「邪魔だ!」

 

そこへ少女が弓みたいな杖『ソロモンの杖』から緑色の光を放射し、木場の進行方向にノイズを出現させる。

 

「なっ!?」

 

木場もその現象に驚き足を止めてしまう。

 

「ひゃっほぅ! 今度こそゲッチュ!!」

 

ケースへと手を伸ばすフリードだが…

 

「ブリザード・ファング!!」

 

またしても邪魔が入る。

声と共にフリードや木場の目の前に現れたノイズに向かうのは、白銀の光の細長いレーザー状の無数に広がる光線だった。

 

「しゃらくせぇ!!」

 

フリードが光線を剣で弾こうとした瞬間…

 

キンッ!

 

着弾した途端に刀身が凍り付いてしまう。

 

「なんですとぉぉぉ!!?」

 

ジュワァァァッ!!

 

フリードの剣に着弾したのとほぼ同時にノイズにも着弾し、音を立てて凍り付いていた。

 

「これは…氷?!」

 

木場もまた目の前で起こった出来事に驚き、硬直していると…

 

「木場君、早く砕くんだ!」

 

「!?」

 

誰の声かはわからなかったが、雷の魔剣で凍り付いたノイズに向かって横薙ぎを繰り出すと…

 

パリィンッ!!

 

呆気なくノイズが砕け散ってしまった。

 

「これは、一体…?」

 

木場が呆然としていると…

 

シュタッ…

 

「はぁ!」

 

木場の背中から襲い掛かってこようとしたノイズからシールド魔法(古代ベルカ式)を展開して防いでいた。

 

「木場君、油断してないで彼を追わないの?」

 

木場の後ろに立つ人物がそう言って促す。

 

「あ、あなたは…?」

 

木場は見覚えのない人物に尋ねる。

 

「う~ん…とりあえず、後で答えるよ。だから早く行きなって」

 

その人物はそう言って右手に魔力を集中させると…

 

「ハウリング・バスター!」

 

白銀の砲撃をノイズに向けて撃っていた。

 

「恩に着ます!」

 

木場はそれを受けてフリードを追った。

 

すると…

 

ヴィィン!

ボコッ!ガゴッ!!

 

ケースの内側にあるものが暴れるような事態が起き…

 

バゴンッ!!

 

ケースに入っていた完全聖遺物『デュランダル』が宙へと浮かぶ。

 

「あれは!?」

 

「こいつがデュランダルか」

 

それを見て響とネフシュタンの少女が反応を示す。

 

「聖剣!?」

 

木場もまた反応を示すが…

 

「いんや、アレはモノホンをコピって作られた別物だよ。うちのボスが言ってたぜ?」

 

フリードが木場の疑問に答えていた。

 

「貰った!」

 

ネフシュタンの少女がデュランダルを手にしようと跳び上がるが…

 

ガンッ!!

 

「渡すものかぁぁ!!」

 

ネフシュタンの少女に体当たりをした後、響がデュランダルを手にした。

 

キィィィン…!!

 

その瞬間、響が手にしたデュランダルを中心にして耳鳴りがしそうな甲高い音が広まった。

 

タンッ…

 

そして、地面に着地した響がデュランダルを掲げると、切っ先が欠けてくすんでいた色から黄金色に輝き、切っ先にもちゃんとした刃が追加された形態へと変化する。

 

「ぅっ…ぐぅぅぅ…!!!?」

 

しかし、それに反して響の様子がおかしかった。

 

「これは……覚醒、それに起動!」

 

その様子をちゃっかり物陰に隠れて見ていた櫻井女史の眼が輝く。

 

「ちっ! そんな力を見せびらかすな!!」

 

一瞬視線を櫻井女史に向けたネフシュタンの少女だが、すぐさま響に向き直るとソロモンの杖からさらにノイズを出現させた。

 

「うぅぅああああああああ!!!!」

 

だが、響が獣染みた咆哮を上げながら振り返ると、その眼を見て…

 

「な、なんだ…?」

 

「おいおい…なんかヤバくね?」

 

ネフシュタンの少女は後退り、その隣にフリードがやってきてそんなことを言う。

 

「うっせぇ! テメェに言われるまでもないんだよ!」

 

「んじゃま、お先に!」

 

言うが早いか、フリードは少女の言葉を聞いた途端に逃げてしまった。

 

「待て、フリード!」

 

木場もフリードを追いかけようとしたが…

 

「おっと」

 

助けてくれた人物に腕を掴まれてしまった。

 

「放してくれ! 僕は彼を…!!」

 

「落ち着いてくれよ。君をイッセー君達の所に連れてかないといけないんだよ」

 

「え…?」

 

『何故、あなたがイッセー君の名を…?』という表情でその人物を見ると…

 

「衝撃がきそうだよ!」

 

その人物はそれだけ言うと、逃げようとするネフシュタンの少女を見て…

 

「(なんだろう…この不思議な匂いは…?)」

 

少し違和感を覚えていた。

 

ズバアアアアアッ!!!

 

しかし、次の瞬間には響がノイズに向けてデュランダルを振るっていた。

その威力は凄まじく結界を張っていなかったら大惨事は免れていなかっただろう。

 

その後、結界が解かれた時には意識を失う響とそれに寄り添う櫻井女史を残し、ネフシュタンの少女は姿を消していた。

ちなみに木場と謎の人物もまたその場を後にしていた。

 

………

……

 

~海鳴臨海公園~

 

「さて…待ち合わせはここだ」

 

その人物はそう言って時間を確認すると…

 

「木場!」

 

「……祐斗先輩」

 

イッセーと小猫が、ゼノヴィアとイリナ、それと駒王学園の制服を着た男子生徒を連れてやって来た。

 

「嫌だぁぁ!! 今すぐ放してくれぇぇぇ!!」

 

ただ、男子生徒の方は小猫に捕まっていて逃げられないようになっていた。

 

「確かアレは…生徒会の新しい人だったっけ…?」

 

そう謎の人物は呟いていると…

 

「ところで木場。そいつは誰だ?」

 

「え? イッセー君の知ってる人じゃないの?」

 

イッセーの言葉に木場も驚いていた。

 

そして、その人物はイッセー、木場、小猫に包囲されてしまった。

 

「あ…そういえば、この姿で会うのは初めてだっけ?」

 

今更ながらその人物は忘れてたように呟いていた。

 

「この姿だぁ?」

 

「うん」

 

そう言うとその人物はどんどん背が縮んでいき…

 

「僕だよ。忍」

 

そこにはイッセー達の知る忍の姿があった。

 

「し、忍ぅぅ!?」

 

「紅神君?!」

 

「……紅神先輩?」

 

「紅神って…あの?」

 

忍を知る駒王学園組は驚きと困惑の声が上がっていた。

 

「結局、その子は誰なんだい?」

 

「子供が大人になってたの?」

 

ゼノヴィアとイリナも首を傾げていた。

 

その後、改めて自己紹介を交えて聖剣破壊計画という名の共闘をすることとなった。

聖剣破壊の件を了承したゼノヴィアとイリナはそのまま足取りを追うこととなって別れた。

 

また、喚いていた男子こと『匙 元士郎』だが、木場の過去を知り、イッセーと意気投合したため、非常に協力的になっていた。

匙もまた、転生悪魔であり、兵士4個を消費して生徒会長『士取 蒼那(本名、ソーナ・シトリー)』の眷属に最近なったばかりである。

 

ちなみに忍はイッセーから木場を見なかったかという連絡を受け、気になった忍は木場の匂いを追っていったら先程の戦闘に遭遇してしまったのである。

そして、成り行きとは言え、木場の話を聞き、少人数では危ないとして協力することとなった。

もちろん、智鶴経由でリアスや会長に知られてはならないので出来るだけ隠し通すつもりだが…一体いつまで通用するか…そこが不安要素ではある。

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