魔導騎士物語~覇王と称された狼~   作:伊達 翼

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第十六話『決戦×決戦・月と白き龍』

そして、始まる二つの戦い。

 

~カ・ディンギル前~

 

天に向かってそびえ立つ巨大な塔型の荷電粒子砲『カ・ディンギル』。

それはリディアンから特異対策機動部二課本部へと繋がるエレベーターシャフトに偽装して開発されていた。

デュランダルを炉心として使用することで無限にも等しいエネルギーを放射するという恐ろしいものであった。

 

櫻井女史…いや、フィーネはこれを用いてバラルの呪詛の源である月を破壊しようと目論んでいた。

しかし、駆け付けたシンフォギア装者と忍、フェイトがそれを止めるべく戦いを挑んだ。

 

≪BILLION MAIDEN≫

 

「フィーネ!!」

 

クロスボウが変形した4門の3連装ガトリング砲からフィーネに向かい、クリスが先制攻撃を仕掛ける。

 

「「はぁ!!」」

 

そこに響と忍が同時に近接戦闘を仕掛ける。

しかし、フィーネもまた戦闘の心得があったのか、2人の攻撃を受け流していた。

 

「この匂い…やっぱり、あなたが黒幕だったんですか?」

 

僅かに香る香水の匂いと、以前クリスから感じ取った匂いを照らし合わせていた。

 

「匂いを嗅ぐ趣味があるとは意外だよ。いや、イヌ科ならわからないでもない特徴か!」

 

そう言ってフィーネは鞭を振るって忍と響を攻撃する。

 

「狼を舐めるな! ブリザード・ファング!」

 

「でやぁぁ!!」

 

忍は下がりながら中距離射撃魔法を放つと、それに合わせるように響がフィーネに格闘を仕掛ける。

 

「これが魔法か!」

 

フィーネは響の攻撃を避けながら鞭でブリザード・ファングを迎撃する。

 

「はぁぁ!!」

 

響が跳び上がると、その後ろから翼が刀によって斬りかかる。

 

「ふんっ」

 

フィーネは鞭を真っ直ぐに固めてそれを受け止めると、すぐに刀を鞭で絡め取って投げ飛ばす。

そして、そのまま翼に向けて鞭を振るう。

 

「くっ!」

 

翼はそれを避けると…

 

≪逆羅刹≫

 

逆立ちした状態から脚部のブレードを展開し、回転し始める。

 

「無駄だ!」

 

それをフィーネは鞭を回転させることで相殺する。

 

『ハーケンフォーム』

 

「はぁ!」

 

そこへ横からフェイトが鎌状のエネルギー刃を展開したバルディッシュで斬りかかる。

 

「管理局の犬か!」

 

「あなた、管理局の事を…!?」

 

「知らないでか! 我々、超先史文明もまた次元の道を開くものが含まれていた。他の次元に聖遺物があるかは知らないが…それでも知り得るに足る因子は多くあるのだよ!」

 

そう言いながらフィーネは翼とフェイトから距離を取る。

 

「こっちだ!」

 

そこにクリスがフォニックゲインを高めて作り出した巨大ミサイルをフィーネに撃ち出す。

 

「ちっ!」

 

それを回避しようとするが、追尾能力があるのかフィーネを追いかける。

 

「スナイプ!」

 

残ったミサイルをカ・ディンギルへと向ける。

 

「狙いはカ・ディンギルか?!」

 

それを見てフィーネが叫ぶ。

 

「デストロイ!!」

 

そして、もう一発のミサイルがカ・ディンギルへと発射される。

 

「させるかぁ!!」

 

鞭でカ・ディンギルへ向かうミサイルを叩き落とそうとする。

 

「それはこっちの台詞だ!!」

 

忍がミサイルの前に飛び出し、鞭を素手で掴む。

 

「邪魔をするなぁ!!!」

 

「なっ!?」

 

鞭をそのまま延長して忍ごとミサイルに鞭を当てる。

 

チュドォォンッ!!

 

「ぐぁあああ!!?」

 

ミサイルの爆発に巻き込まれて忍が地面に落下する。

 

「忍君!?」

 

忍の元へフェイトが駆けつける。

 

「もう一発は!?」

 

上空を見ると、カ・ディンギルの射程上へと向かうミサイルの上にクリスが乗っていた。

 

「クリスちゃん!?」

 

「何をするつもりだ…?」

 

「悪あがきを…だが、もう遅い! カ・ディンギルは月を撃つ!!」

 

フィーネの言う通り、カ・ディンギルから膨大なエネルギーが放たれようとしていた時…

 

「~♪」

 

天高く昇ったところでクリスが絶唱を発動した。

 

カ・ディンギルの砲撃とクリスの絶唱がぶつかり、砲撃は月の直撃を逸れて一部分を破壊するに留まった。

 

しかし、クリスは…絶唱による反動によって地上に落下したまま消息を絶った。

 

………

……

 

~駒王学園~

 

こちらではコカビエルとの激戦が続いていた。

 

「魔剣創造!!」

 

木場がコカビエルの周りに聖魔剣を配置するとそのままコカビエルへと向けて聖魔剣を放っていた。

それをコカビエルは黒き十翼を閉じることで防御していた。

そして、翼を広げると聖魔剣を弾き飛ばす。

 

「ふはははは! こんなものか!!」

 

「まだだ!」

 

そこにゼノヴィアと木場が同時に仕掛け、コカビエルは光を剣状にして両手に持つと、それを軽々と受け止める。

 

「聖剣デュランダル。流石はオリジナルと言ったところか。それに聖魔剣…面白いぞ!!」

 

そんなコカビエルの上空より小猫と暗七が同時に飛び掛かる。

 

「シャドーシェル!」

 

暗七が両腕を分厚い盾のようにしてクロスさせた状態で盾役となって小猫を防御しつつ…

 

「……そこ!」

 

小猫が暗七の後ろから飛び出てコカビエルに仕掛けようとするが…

 

「甘いわ!!」

 

黒き十翼によって暗七もろとも小猫を吹き飛ばし、木場とゼノヴィアも吹き飛ぶ。

 

「まだ終わっていない!」

 

吹き飛んだ木場だが、すぐさま地面をけってコカビエルの間合いへと入り、聖魔剣で突きを放つ。

 

「ふんっ」

 

それをコカビエルは指だけで受け止める。

 

「このっ!」

 

さらにもう一本聖魔剣を出現させて斬撃を放つもそれも受け止められてしまう。

 

「バカが、両手をふさがれては…」

 

「まだある!」

 

三本目の聖魔剣を口で咥えて振るい…

 

ザシュッ!!

 

「ぐっ…?!」

 

コカビエルの頬に傷をつける。

その攻撃にコカビエルも聖剣を放して一旦後退する。

 

「ふんっ!!」

 

コカビエルは傷をつけた木場へ巨大な光の球を放つ。

 

「このぉぉ!!」

 

そこへゼノヴィアが割り込み、デュランダルで光の球を払った。

 

「しかし、仕えるべき主もいないというのによく戦う」

 

「どういうこと?」

 

コカビエルの言葉にリアスが問う。

 

「知らないのか? いや、知らない方が都合が良いものだったな」

 

そして、コカビエルは語る。

過去にあった三つ巴の大戦時、先代の四大魔王だけではなく、神もまた死んでいたことを…。

神亡き後、ミカエルが神の代行をしていることを…。

 

それを聞いたアーシアは気絶してしまい、ゼノヴィアも狼狽していた。

 

「神も魔王もいなくなったせいで戦争継続は無意味だと? ふざけるな!! 俺だけでもあの時の続きを…戦争を始めてやる! まずは貴様ら全員の首を持って天界と冥界に宣戦布告してくれるわ!! フッハハハハハハ!!!」

 

狂気の混じった笑い声に全員が戦慄していた。

 

「狂ってるわね」

 

「だから戦争狂なのよ」

 

リアスの言葉にカーネリアが答える。

 

「ふざけてんのはどっちだっ!! そんな理由で俺達の街を…仲間たちを消されてたまるか!!!」

 

『Boost!』

 

その叫びに赤龍帝の篭手が輝き放つ。

 

「それに…俺はまだハーレムを作れてない! それなのに戦争なんて始められてたまるか!!」

 

その言葉に…。

 

「イッセー君なりに…カッコつけてるんだろうけど…」

 

「……いろいろ残念です」

 

木場と小猫が揃って声を上げる。

 

「ハーレムだと? そのくらい俺が用意してもいいんだぞ?」

 

コカビエルの言葉に…

 

「……………」

 

一瞬の静寂がその場を支配し…

 

「そ、そんな甘い言葉に俺が…騙されっかよ…」

 

遅れ気味にイッセーがそう答えていた。

 

「イッセー!!」

 

リアスの怒りを含んだ言葉に…

 

「は、はい!!」

 

イッセーは直立不動となっていた。

 

「そんなに女の子に興味があるなら私が何でもしてあげるわよ!」

 

「あら、リアスちゃんてば大胆」

 

リアスの言葉に近くにいた智鶴が頬に手を当てていた。

 

「な、なんでも……じゃあ、おっぱいを吸ったりとか?」

 

「えぇ、この場を切り抜けられるなら、そのくらいしてあげてもいいわよ」

 

この言葉に…

 

ゴゴゴゴゴゴゴ!!!

 

かつてないほどの力の波動がイッセーの篭手から溢れ出してくる。

 

「ふふふ…吸う、吸える……そうと決まれば、俺に倒されてもらうぜ! コカビエル!!!」

 

『Explosion!!!』

 

倍加した力が解放され、イッセーはその場からコカビエルに向かって飛び出した。

 

「むっ!」

 

それを光の槍で迎撃するコカビエルだが…

 

バリンッ!!

 

たったの一撃でそれを粉々に砕くと、イッセーはコカビエルの間合いに入り…

 

「でりゃああ!!」

 

渾身の一撃をコカビエルの顔面に叩き込み、吹き飛ばす。

 

「グオオォォォ!!?」

 

予想外の重い一撃でコカビエルも苦悶の表情を浮かべる。

 

「女の乳でここまで力を発揮するとは…貴様、一体何なんだ!?」

 

コカビエルの問いに…

 

「覚えとけ! 俺は兵藤 一誠。エロと熱血で生きる赤龍帝の篭手の宿主で、リアス・グレモリー様の兵士だ!!」

 

そうイッセーは吠えていた。

 

「ふふっ…面白い眷属ね」

 

「あらあら…」

 

「でも、イッセー君らしいですわ」

 

「……でも、やっぱり残念過ぎます」

 

カーネリア、智鶴、朱乃、小猫の順に女性陣の残念感が半端じゃない。

 

しかし、事態は一変。

シトリー眷属の張っていた結界を破り、赤龍帝と対を成す白龍皇『白い龍(バニシング・ドラゴン)』がやってきて、コカビエルを易々と倒してしまったのだ。

 

そして、コカビエルとフリードを連れてその場を去ってしまった。

 

 

しかし、結界が解かれて彼らが見たのは…

 

「月が!?」

 

「欠けている?!」

 

「なんだなんだ!? 何が起きてるんだ!?」

 

混乱するグレモリー眷属の前に結界を張っていたソーナ会長以下シトリー眷属が合流する。

 

「隣町…正確にはリディアンの方から凄まじいエネルギーが月に向かったのですが、それに対抗するように別のエネルギーがぶつかり、相殺出来ずに月に当たったようなのです。詳しいことはわかりませんが…」

 

ソーナ会長は自分の目で見ていたことをそのまま伝えていた。

 

戦いはまだ終わりそうもなかった。

 

………

……

 

~カ・ディンギル前~

 

あれからクリスの行動を笑ったフィーネに対し、体内に侵食していたガングニールが暴走状態を引き起こし、響を狂戦士へと変貌させたが、翼がその身を呈して響の動きを封じる。

そして、単身カ・ディンギルを破壊するためにフィーネと対峙し、結果それに成功していた。

しかし、代償として翼もまたクリスと同じように消息を絶つ。

 

カ・ディンギルを破壊されて激怒したフィーネが響を滅多打ちにする中…歌が聞こえてきた。

その歌を聞き、3人の装者が復活した。

 

「綺麗…」

 

その姿を見てフェイトは静かに呟く。

 

「ったく…流石にミサイルの爆発なんて初めて体験したから回復に時間がかかったが…」

 

地面に突っ伏していた忍も立ち上がる。

 

「凄い力を感じる…」

 

「私達も行こう」

 

「あぁ!」

 

フェイトはそのまま飛行魔法で飛び、忍は魔法陣を空に展開していき、それを足場に空へと舞い上がる

 

フィーネはノイズの出自…人が人を殺すためだけに作り出した兵器であることを語ると大量のノイズを召喚していた。

だが、限定解除されたシンフォギアを纏った装者と忍達によって瞬く間に殲滅されていった。

 

それを見たフィーネはネフシュタンと融合した体にソロモンの杖とも融合を始め、ノイズを取り込み、カ・ディンギルの炉心としていたデュランダルをも取り込み、黙示録の赤き龍を模した異形の姿へと変貌していた。

 

「これは『真なる赤龍神帝《アポカリプス・ドラゴン》』と称されたドラゴン…『グレートレッド』を模した姿だ。かの龍は多次元世界を繋ぐ狭間に住んでいる。管理局でも過去に観測したことがあるはずだ!」

 

「第一級未確認危険生物!?」

 

管理局でも伝説級の存在の正式名を聞き、フェイトも驚いていた。

 

「龍の逆さ鱗に触れた者には相応の罰を与えん!!」

 

三種の完全聖遺物を持ったフィーネの力は圧倒的であった。

 

しかし、僅かな隙を突き、彼女らはある作戦を立てた。

そして、それを実行し、見事成功させてみせた。

 

デュランダルを弾くことに成功した翼。

そのデュランダルを撃って弾くという芸当で響の元へと飛ばすクリス…。

その間にフィーネをかく乱する忍とフェイト。

 

その想いを繋げ、デュランダルを手にした響だが、破壊衝動に飲まれてしまう。

 

しかし、仲間の…友達の声を聞き、破壊衝動を抑え込むことに成功した響は神々しい光を放っていた。

 

「その力…一体何を束ねたというのだ!?」

 

それを見てフィーネは叫んでいた。

 

「響き合うみんなの想いと歌声を束ねた…シンフォギアです!!」

 

≪Synchrogazer≫

 

翼とクリスに支えながら響が振るったデュランダルの一撃により、赤き龍の異形は消滅してした。

それに伴い完全聖遺物同士の対消滅…デュランダルとネフシュタンが共に滅び去った瞬間でもあった。

 

その後、響はフィーネを助け出すものの最後の悪足掻きとばかりに月の破片を地表へと落そうと画策する。

しかし、それを見越した上で響による言葉を聞き、最期には"櫻井 了子"として微笑みながら砂と化して消えてしまった。

そして、それを阻止するべく響達3人のシンフォギア装者達は絶唱によって月の欠片を破壊するべく行動を移していた。

 

………

……

 

~???~

 

「月が?」

 

『あぁ、ちぃっと厄介でな。お前さんとこの次元航行艦でも動かしてくれねぇかね?』

 

「俺もそうそう簡単に動けるわけではないのだがな…」

 

『頼むわ。小娘3人だけじゃどうにも心配でな』

 

「はぁ…仕方ない。ネクサスの件もあるし、これでチャラにしてもらおう」

 

『わぁったよ。じゃ、頼むぜ、ゼーラ』

 

通信が終わると共に男…ゼーラが立ち上がり…

 

「ヴェル・セイバレス、緊急発進用意。これより地球へと向かう」

 

そう言って時空管理局の次元航行部隊の本部へと早足に向かっていた。

 

次元航行艦『ヴェル・セイバレス』

特務隊が保有する次元航行艦であり、普段は次元航行部隊の発着場の一画を借りて駐屯している。

 

その次元航行艦が地球へと向かい、発進して月の欠片の破壊を支援することになったのだ。

しかし、これはゼーラの独断行動であり、後でそれ相応の処罰が言い渡されることになるのだが…。

結果的には月の欠片を短期間の内に排除出来、シンフォギア装者3名の保護もまた成功していたのであった。

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