魔導騎士物語~覇王と称された狼~   作:伊達 翼

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第十八話『トップ会談と時間停止と混沌』

7月に入ったばかりの休日の深夜。

三大勢力のトップが集まる会談が行われようとしていた。

場所は駒王学園の新校舎にある職員会議室であった。

 

そこには三大勢力のトップ陣…悪魔側に魔王『サーゼクス・ルシファー』と『セラフォルー・レヴィアタン』、天使側に大天使『ミカエル』、堕天使側に総督『アザゼル』が席を囲んでいた。

さらにトップ陣の中には堕天使側に近い席に管理局少将『ゼーラ・シュトライクス』、天使側に近い席に特異災害対策機動部二課の司令官『風鳴 弦十郎』の姿もあった。

 

そして、その周りにはグレモリー眷属(ギャスパーを除く)、ソーナ会長(単独)、グレイフィア(給仕係)、イリナ(ミカエル護衛)、ヴァーリ(アザゼル護衛)、明幸組(忍、智鶴、カーネリア、暗七)、朝陽(ゼーラ護衛)、シンフォギア装者3名(弦十郎の護衛)といったメンバーが集まっていた。

 

集まったメンバーの共通の認識は神の不在を知っているということである。

 

しかし…

 

「それにしてもアザゼル。あなたは何故関係ない者までお呼び立てしたんでしょう?」

 

「それには私も同意見だ。神の不在は機密事項。それを人間に話すというのは…」

 

ミカエルの言葉にサーゼクスも不安を感じていた。

 

「わかってるって…でもよ。ここにいるのは神の有無なんて関係なさそうな奴等だぜ? ま、何人かは違うんだろうが…」

 

そう言ってアザゼルはアーシア、ゼノヴィア、イリナに視線を向けた。

 

「俺は神など信じん。神がいようがいまいが関係ないからな」

 

アザゼルの言葉に続き、ゼーラは一蹴していた。

 

「俺はお国柄あまりそういうことは言わないつもりなんだが…そもそも、どうして俺達が呼ばれたのか…それも紅神君達まで呼んだことに疑問を抱かずにはいられないんだが…」

 

弦十郎は呼ばれたこと自体に疑問を抱いていた。

それもそんな重要なことまで話され、忍達まで呼ばれている…。

 

「ただの好奇心だよ。コカビエルのアホが勝手に戦争だなんだって言ってる間に起きた事件ってのを聞きたくてな。それにお前らは会ったんだろう? 終末の名を持つ女…フィーネによ」

 

それを聞き、弦十郎だけではなく後ろの響達も驚く。

 

「何を驚く必要がある? こちとら長生きで、人間とも接触してたんだ。文明の転換期に現れたフィーネに会ったことくらいあらぁね」

 

そう言ってのけるアザゼルに弦十郎たちも渋々納得したような感じだった。

 

「じゃ、会談としゃれ込もうぜ?」

 

こうして会談は始まった。

 

………

……

 

どれくらいの時間が経ったろうか。

 

コカビエルの起こした事件のこと、ルナ・アタックのこと、フィーネが言い残したノイズの存在のこと、多次元世界のこと…。

様々な情報交換を経て会談は順調に進んでいき、三大勢力は和平を結ぼうとしていた。

 

だが、それを快く思わない存在が介入した。

その名は『禍の団(カオス・ブリゲード)』。

 

禍の団はギャスパーの持つ神器『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』を利用して学園一帯の時間を停止してしまった。

 

そんな中で動けたのはトップ陣はサーゼクス、セラフォルー、ミカエル、アザゼルの4名。

その他はグレイフィア、龍の力を宿すイッセーとヴァーリ、聖剣を持つゼノヴィアとイリナ、イレギュラーな禁手である聖魔剣を持つ木場、聖遺物を持つ響達、イッセーに触れていたために難を逃れていたリアス、自分でも動ける理由がよくわかっていない忍の計15人であった。

それ以外の者は見事に時間が止まっていた。

 

その後、イッセーとリアスはギャスパーを助けるべく、旧校舎に残っている戦車の駒を用いたキャスリングで移動した。

 

その出発前にイッセーはアザゼルから二つのリングが渡された。

それは一度だけ対価無しに禁手状態にするものと、ギャスパーの神器制御用の代物だった。

そして、忍にもアザゼルから腕輪らしきものを渡されていた。

本来ならゼーラから渡されるべきものだったが、時間が止まったせいで渡せなかったモノを代わりに渡した形になる。

 

こうしてイッセーとリアスが旧校舎へと出発した後、1人の悪魔がトップ陣を強襲していた。

名を『カテレア・レヴィアタン』…旧魔王レヴィアタンの血を引く者である。

それに対してアザゼルがカテレアと相対し、彼の研究成果である人工神器『堕天龍の閃光槍(ダウン・フォール・ドラゴン・スピア)』の擬似禁手状態『|堕天龍の鎧《ダウン・フォール・ドラゴン・アナザー・アーマー》』を用い、さらに左腕一本を犠牲にしてカテレアを撃破していた。

 

一方でギャスパーを助け出すことに成功したイッセーとリアスはギャスパーを連れて校庭を走っていた。

 

そして、残ったメンツはと言えば…

 

「聖魔剣よ!」

 

木場が周囲に聖魔剣を出現させ、それを何度も持ち替えたり投げ飛ばしたりして魔術師を倒していき…

 

「行くぞ、イリナ!」

 

「わかったわ、ゼノヴィア!」

 

気まずかった雰囲気から一変、息の合ったコンビネーションを見せるゼノヴィアとイリナ。

 

「ファルゼン!」

 

新たなデバイス『ファルゼン』を片手に魔術師の魔法攻撃を木場みたく高速移動で避けながら…

 

「ブリザード・ファング!」

 

時折、他のメンバーへの援護も忘れていない忍。

 

「やはり、ノイズとは勝手が違うな…!」

 

愚痴を零しながら翼がアームドギアの刀で魔術師の攻撃を捌いていく。

 

「ぼやいてる暇あるんなら手を動かせよ!」

 

クロスボウから赤い矢を連続して放ちながらクリスが翼に苦言を呈す。

 

「ごめんなさい!」

 

謝りながら魔術師を殴ったり蹴ったりする響はどうも遠慮してるように見えた。

 

「うぅ…やっぱり、人を殴るのには抵抗が…」

 

「魔術師だっての!」

 

そんな響にクリスがそう言うものの…

 

「それでも人は人だよ! 人は手を繋ぎ合わせる事が出来るのに…」

 

そんな響の言葉に…

 

「そうですね。そして、それは我々天使や悪魔、堕天使にも言えることかもしれませんね」

 

大天使ミカエルが反応を示していた。

 

「我々にも手があります。それは誰かと繋ぐため…素敵な言葉ですね」

 

時間の止まった人達のためにサーゼクスやセラフォルーと共に防御結界を展開していながらもミカエルはそう言っていた。

 

だが…

 

「ふざけるな! ならば、俺達はその手を拳に変えて悪魔共を殴り飛ばすのみ!!」

 

魔術師達とは違った装い(貴族が着るような服装)を身に纏った…中性的で女性のような容貌をした者が前に出てくる。

 

「君は…?!」

 

「そんな…あなたもなの!?」

 

その者の登場に反応したのはサーゼクスとセラフォルーだった。

 

「カテレアが死んだのは喜ばしいことだが、俺の手で葬れなかったのが残念だよ。ならば、代わりにサーゼクス・ルシファー、セラフォルー・レヴィアタン…貴様らを葬り、俺達一族の復讐の足掛かりにしてやる!」

 

その者は一直線にサーゼクス達の方へと歩いていく。

 

「待ちなさい! あなたは一体…」

 

その行く手を翼が遮ろうとするが…

 

「邪魔だ!!」

 

彼(彼女?)が翼に手を向けると…

 

「グラビティ!!」

 

ズンッ!!

 

「ぐっ!?」

 

翼の周囲に黒い結界が張られ、その中にいた翼が刀を地面に突き立て膝をついて苦しそうにしていた。

 

「翼さん!?」

 

そこへ響が援護しようとするが…

 

「わっ?!」

 

魔術師達の攻撃がそれを阻む。

 

「数が多過ぎんだよ!!」

 

≪BILLION MAIDEN≫

 

≪MEGA DETH PARTY≫

 

クロスボウからガトリングガンに変形させ、腰部から小型ミサイルを死なない程度に狙って魔術師達を撃ち落としていく。

 

「サーゼクス様!」

 

「ミカエル様!」

 

クリスが魔術師を迎撃してる隙に木場とゼノヴィア、イリナが同時に彼へと斬りかかっていた。

 

「悪魔と人間風情が俺に刃を向けるな!!」

 

ゴアアアアアッ!!!

 

その瞬間、彼の体から紅の焔が立ち昇る。

 

「うわっ!?」

 

「くっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

彼の発した熱波によって斬りかかった3人が吹き飛ばされる。

 

「俺の目的はただ一つ! 俺達の一族を追いやった悪魔共を殲滅し、同じ苦しみを与えることだ!!」

 

彼はそう吠えると共に紅の焔を右手に生み出し、障壁を張るサーゼクスとセラフォルーへと手を向ける。

 

「死ね! 魔王共!!」

 

そう叫び紅の焔が障壁へと向かう。

 

しかし…

 

「凍てつけ!!」

 

銀狼と化して焔の前まで移動した忍が焔を左手で受け止めると、徐々に凍てつかせていく。

 

ジュワアアア…!!

 

高熱を帯びた紅の焔と、低温の氷結がぶつかり合い、その場を水蒸気が支配していく。

 

「(あ、熱い…!)」

 

忍があまりの熱量に表情を歪めていると…

 

「貴様…! "同じ冥族"が邪魔立てする気か!」

 

「なに…?」

 

彼の言葉に忍が眉を顰める。

 

「紅神君が…冥族!?」

 

「そうだったの!?」

 

彼の言葉にサーゼクスとセラフォルーも驚く。

 

「貴様…名は?」

 

彼は焔を一旦消すと、忍に向けて名を聞く。

 

「紅神…忍」

 

忍がそう答えると…

 

「貴様も"紅"を名に持つか」

 

それだけ呟くと…

 

「俺の名は神宮寺(じんぐうじ) 紅牙(こうが)。誇り高き冥族の1人だ!」

 

彼…紅牙はそう名乗りを上げた。

 

「冥、族…?」

 

忍は静かに呟くしかなかった。

 

紅牙の言う、冥族とは…果たして…?

そして、忍との関係とは…?

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