リアスとディオドラのゲーム当日。
ゲームのため、グレモリー眷属は冥界へと赴いていた。
ゲームが行われるバトルフィールドへと転送された一行だったが、そこに禍の団・旧魔王派が介入した。
ディオドラが旧魔王派と内通し、ゲームの乗っ取りを企てていた。
その混乱に乗じてディオドラ本人がアーシアを連れ去ってしまう。
さらに悪いことに旧魔王派の悪魔の団体がグレモリー眷属を包囲する。
しかし、そこに現れたの北欧の主神『オーディン』であった。
オーディンはアザゼルからの頼みで、グレモリー眷属に通信機を届けると同時に旧魔王派の悪魔達の相手を買って出た。
そして、グレモリー眷属はアーシアを救い出すためにディオドラの元へと向かうのであった。
一方、地球でもフィーネが行動を起こしていた。
米国に追われるフィーネは米国の戦艦に対して、ウェル博士はノイズを放って応戦。
しかし、ウェル博士のやり方に疑問を抱いた調はフィーネから離反、単身でノイズ殲滅へと乗り出す。
それを止めようと切歌もまた調を追い掛ける。
だが、切歌はウェル博士から渡されていた薬品『Anti_LiNKER』を調に投与し、ギアの適合係数を下げてしまった。
その現場に二課の仮設本部も到着し、クリスと翼が介入してクリスは調を、翼が切歌をそれぞれ牽制して膠着状態に陥る。
そこへウェル博士が投入した戦力は…なんとシンフォギア『
異なる次元で再び事件が重なった瞬間であった。
………
……
…
~地球・日本近海洋上~
「カッカッカ、面白いじゃねぇかよ! ドクター!!」
大型ヘリの後部ハッチから胡坐を掻いて座った邪狼が海上を見下げて高笑いをしていた。
「しっかし…この様子じゃ、こいつらの出番は無しか?」
そう言いながら邪狼は懐から三種類のエンブレムバッチを取り出して空に翳していた。
「いっそ暇潰しにあいつらでも殺すか?」
そう呟いて視線を未だ無事な米国の艦艇で戦いの様子を見ている軍人達へと向けていた。
「………よし、そうするか」
しばし考えた後、邪狼もまた艦艇へと向けて降下した。
すると…
「フレイムバイバー!」
「ハーケンセイバー!」
「黒影斬!」
ヘリから降下する邪狼に向けて火炎の魔力を帯びた連結刃、高速回転しながら飛翔する三日月状の魔力刃、黒い魔力斬撃が放たれていた。
「あぁ?」
邪狼はそれを避けることもなく、連結刃を素手で掴むと残りの魔力刃と魔力斬撃を蹴りによって軽々と破壊する。
「ったく、これから殺戮タイムだってのに、誰だ?」
連結刃を放り投げながら、連結刃が戻る先へと視線を向ける。
「こりゃとんだ大物ね。執務官殿も捨てたもんじゃないわね?」
「それってどういう意味でしょうか?」
「あいつの前で喧嘩してる場合じゃねぇだろ…」
そこにはフェイトの要請で特務隊から派遣された騎士こと朝陽、朝陽を呼び出して軽く愚痴を言われてしまったフェイト、そんな2人を宥めるものの邪狼に殺気を放つ忍の姿があった。
「はっ! こいつは驚いたぜ! テメェの方からのこのこやってくるたぁなぁ!!」
邪狼は邪狼で忍が出てきたことに嬉々としていた。
「最初から全開で行く!」
以前、敗北した時に得た教訓からネクサスを起動し、その上からアクエリアスを纏い、さらに右手にはファルゼンを持ち、銀狼と化していた。
つまり、最初から本気に近い力を出さないと瞬殺されてしまうということだ。
「忍君。私達も…」
「相手はあの特A級の重犯罪者。もっと人数が欲しいとこだけど…贅沢は言ってられないか…」
フェイトと朝陽もまたそれぞれのデバイスを構えて邪狼を見据える。
「カッカッカ、お嬢ちゃん達もやる気満々ってか。いいぜ、面白くなってきやがった!」
そう言うとさっき懐から出した三種のエンブレムバッチを見せ…
「ちょうどいい。こいつらとも遊んでくれや!」
空に放り投げると…
「出てこいや! ブラッド・イーグル、タイガー、ドラゴン!!」
そう叫ぶと同時に三つの球状の結晶体をエンブレムバッチへと投げ付けると…
カアアァァ!!
結晶体を吸収してエンブレムバッチが動物の姿へと形を変えていく。
『システムの起動を確認』
『マナドライブシステム、正常稼働』
『ドライバーオペレーションシステム、オールグリーン』
そして、現れたのは紺色の鷲、朱色のサーベルタイガー、赤色の西洋竜の3体であった。
「なんだ?!」
「デバイス?」
「見たことない機種…!?」
『アレは、もしや…!?』
現れた三機に対して忍達は驚き、アクエリアスが反応する。
「アクエリアス? 知ってるのか?」
『いえ、確証はありませんが…おそらくは我らエクセンシェダーデバイスのデータを基に作られたものかと…』
「そんな技術があるのか!?」
『いえ、我々エクセンシェダーは12機しか存在しません。我々を作り出した世界はすでに崩壊していますし、量産機の話も崩壊と共に白紙になり、我々も散り散りとなってしまいました。故に我々に似た機種の開発など…』
そんなアクエリアスの言葉に…
「ところがぎっちょん! それが実際にはこうしてあるんだよなぁ!!」
邪狼はそう言って三機のデバイスらしき機影を指差す。
「まさか、冥王派の新しい戦力とでもいうのか!?」
忍がそう聞くと…
「それが違うんだよなぁ。こいつらは冥王派とは別口でな」
ちっちっちっ、と指を左右に振る動作を行う。
「まぁ、んなことはどうでもいい。それよりもこの間よりはちっとは強くなったのか? 狼牙の
そう言うや否や再び忍に肉薄する邪狼。
「ッ!!」
ジャキンッ!!
瞬時にファルゼンを盾にして邪狼の一撃を受け止める。
「はっ! そうこなくちゃなっ!!」
嬉しそうに叫ぶ邪狼の背後から剣と鎌が襲い掛かる。
「しゃらくせぇ!!」
ガキンッ!!
邪狼が防ぐまでもなく、西洋竜『ブラッド・ドラゴン』が背部に魔力障壁を張ってフェイトと朝陽の攻撃を防いでいた。
『イーグルデバスター』
『デュアルバスター』
攻撃を放った直後のフェイトと朝陽へとそれぞれ砲撃を仕掛ける鷲『ブラッド・イーグル』とサーベルタイガー『ブラッド・タイガー』。
「こいつは良いぜ。防御が楽なもんだな! "ドライバーデバイス"ってのもよ!」
そう言いながら爪を尖らせて忍へと切り裂きに掛かる。
「ドライバーデバイス…!?」
「デバイス自体を自律可動させるなんて…!」
「管理局も知らない技術…!」
忍は邪狼の攻撃を捌き、フェイトはイーグルの砲撃を避け、朝陽はタイガーと切り結びながらそれぞれ驚きの反応を示していた。
「まだまだ、お楽しみはこれからだぜ!!」
そんな反応を無視して邪狼は戦いという名の殺し合いを楽しもうとしていた。
………
……
…
~冥界・バトルフィールド内~
一方で、イッセー達が本来ゲームをするはずだったバトルフィールド内では…
「困りましたね」
「どこもかしこも戦闘ね。壊し甲斐があるわ」
「萌莉は留守番させて正解だったかも」
「そうですね」
「つか、悪魔が多過ぎ。どうなってんのよ、一体…」
スコルピアを纏った智鶴を筆頭にカーネリア、暗七、シア、吹雪もテロリスト鎮圧に駆り出されていた。
本当なら忍と共にリアスVSディオドラのゲームを観戦するはずだったのだが、地球側での一件で忍はフェイトとクリスと共にいち早く帰還してしまい、残った5人もまたテロの標的となってしまった。
この展開は前々から予想されていたことらしく、それを聞いた智鶴はアザゼル先生を問い詰めたものの事態収束のために智鶴達もまたアザゼルと共にバトルフィールド内に移動して鎮圧を手伝っていた。
「それにしても…このバトルフィールドは異様に広いですね」
「そうね。ゲームの一戦をするには広過ぎる気もするわね」
シアの疑問にカーネリアが頷く。
「そうなの?」
「まぁ、ゲーム内容にもよるでしょうけれど…ここはなんだか広過ぎだわ」
「私も資料を見ただけなので何とも…ですが、禍の団には一つの共通目的があります。もしかしたら、それを…」
智鶴の問いにカーネリアとシアがそう答えていると…
「ふんっ…随分と慣れ合っているようだな、シア」
シアにとって聞き慣れた声が聞こえてくる。
「兄さん!?」
森の方から既に冥王と化している紅牙が姿を現していた。
「………奴はいないのか?」
周囲を見回しながら忍の不在に気づく。
「兄さん! もうやめてください! 復讐を果たしても私達には何も残りません!」
「黙れ、裏切り者が! 貴様の戯言など聞く耳持たん!!」
「兄さん!」
「奴がいないなら貴様らに用はない! せいぜい足掻くがいい!!」
シアの言葉を聞かず、紅牙はそのまま何処かへ飛び去ってしまう。
「………」
「シアちゃん…」
下唇を噛み締めるシアを智鶴は優しく抱き寄せる。
「冥王派も動いてるのね。坊やに連絡したくてもこの状況じゃ無理か」
紅牙がいることから冥王派も今回の件に絡んでると読んだカーネリアは忍との通信手段がないことを呟いていた。
「ともかく、今この場は智鶴が仕切ってよね。この中ではあなたが眷属としての格が一番高いんだから」
「うん、わかってる」
暗七の言葉に智鶴も頷き…
「まずはリアスちゃん達の所へ向かいましょう。通信を聞いてる限り、神殿にいるみたいだから」
リアス達グレモリー眷属との合流を優先するらしい。
「つまり、神殿を空から探せってことね。まぁいいわ」
そう言うと、カーネリアがバサリと黒い翼を広げて空へと舞い上がる。
「あたしも行くわ」
カーネリアを追って吹雪もまた翼を広げて空へと飛び上がる。
「(しぃ君の方は、大丈夫かしら…?)」
地球に戻っている、最愛の人を心配に思っていた。
ほどなくしてカーネリアと吹雪が戻り、一際目立つ神殿へと向かうこととなった。
………
……
…
~地球・日本近海洋上~
「そらそらそらぁ!!」
「ちぃ!!」
海上スレスレを浮遊移動しながら忍と邪狼の戦いは続いていた。
しかし、理力の型の簡易予知によって邪狼の攻撃を回避しているものの、あまりの激しさに忍は防戦一方を強いられていた。
「ちょいさぁ!!」
「ぐっ!?」
気で強化した重い蹴りがファルゼンで防いでいたにも関わらず忍を吹き飛ばす。
ガンッ!!
「(理力の型で読んでもこれが限界とか…どんだけなんだよ!!)」
米国の艦艇の装甲へと背中からぶつかりながらそんなことを考え、目の前から迫る邪狼を見据える。
「まだまだ甘いんだよ!」
そう言って忍へと肉薄する邪狼。
「ちっ、だったらこれならどうだ! アクエリアス!」
『アクアフィールドシステム起動』
肉薄する邪狼を阻むように海水が盛り上がる。
「あぁ?!」
思わぬ邪魔に邪狼も苛立ちの声を上げる。
『マスター。制御をお願いします』
「わかってる!」
忍は海水の制御のため、一時的に棒立ちになると邪狼へと向かって海水をジェット噴射の如く撃ち出す。
これはアクエリアスのシステムの一つであり、本来ならコアドライブによって収集した魔力を水へと変換して水場を形成、それを操ることを目的としているが、水が豊富な海では魔力粒子を散布して馴染ませるだけで十分な効力を発揮する。
但し、これにはそれ相応の技量が必要にもなるのだが、忍は部分的に使用することで最小限の集中力で事足りるようにしていた。
「ちっ…!!」
それを鼻で感じ取った邪狼は即座に後退した。
「アレを避けんのかよ!?」
そう愚痴りながら忍は制御の手を緩めると、ファルゼンで邪狼に斬りかかっていた。
「狼影斬!」
「しゃらくせぇ!」
一太刀目を軽々と避ける邪狼だったが…
「まだだ! 激流波!」
一太刀目からほんの数秒後、海面から水柱が邪狼へと襲い掛かる。
「なにぃ!?」
流石の邪狼も突如発生した水柱をまともに受けてしまう。
これは叢雲流魔剣術、魔刀の型による二段攻撃である。
一太刀目を犠牲にすることで邪狼の回避先を予測、そこへアクアフィールドシステムによる水柱を発生させての攻撃を確実に命中させた。
「(よし! ダメージは微量だが、攻撃は通る!)」
忍は今の攻撃で確かな手応えを感じていた。
「くそったれが! こうなりゃこっちも奥の手だ!」
そう言って邪狼はフェイトと朝陽と戦っている三機のドライバーへと手を向けた時だった。
ピカアアアア!!!
まばゆい光が海上から発生していた。
「ちっ、これからだってのに間が悪ぃな」
その光の意味することが分かってるかのように呟くと…
「狼牙の倅! フロンティアだ!」
「なに…?」
「あの箱舟で待ってるぜ? 今度こそ楽しい殺し合いを演じようや!!」
そう言うや否や邪狼はドライバー三機と共に光の輝く方向へと向かってしまった。
「待て!」
忍も追おうとするが…
ゴゴゴゴゴゴゴ…!!!
光が収まると共に大気が揺れ、海底から一つの島並みの面積を持った箱舟が浮上し始めていた。
「忍君!」
「紅神、これって…?」
ドライバー三機の相手をしていたフェイトと朝陽も忍と合流しながらフロンティアの上昇を目の当たりにしていた。
「フロンティア…こんなもの、一体どうする気なんだ…!?」
忍達は一時的に二課の仮設本部へと向かうことにした。
そこでわかったことだが、クリスが翼を撃ってフィーネことF.I.S.へと寝返ったらしい。
しかし、それを聞いて違和感を持つ忍と、実際に撃たれながらも急所から逸れていたことに疑問を抱く翼。
また、未来もまた響の奇策によって救い出されており、精密検査やLiNKERの洗浄を行われて無事なことが確認されている。
調もまた二課の保護下に置かれており、二課へと助け求めていた。
そして、地球と冥界で起きた一連の事件は最終局面を迎えようとしていた。