魔導騎士物語~覇王と称された狼~   作:伊達 翼

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第四十五話『修学旅行二日目・トルネバ連合国での競争』

修学旅行二日目の早朝。

ホテルの屋上ではイッセー達グレモリー眷属が朝の訓練をしていた。

 

「精が出るな…」

 

かく言う忍もまた先日ゼノヴィアやイリナと共に購入した木刀で軽く素振りをしていた。

 

「朝からよくやるわね……ふわぁ~ぁ…」

 

忍の近くでその様子を見ていた緋鞠がそんなことを言いながら欠伸をしていた。

 

「し、忍さん…これ、どうぞ…」

 

萌莉が忍にタオルを手渡す。

 

「あぁ、ありがとう。萌莉」

 

そのタオルを受け取ると、軽く汗を拭き取る。

 

「(二つの冥王…相反する属性を持った俺の中に宿る力…)」

 

忍は汗を拭きながら昨日、新幹線の中で深層世界に潜った時のことを考えていた。

 

「氷と焔、か…」

 

「?」

 

忍の呟きに萌莉は首を傾げる。

 

「………しかし、智鶴達だけで本当に大丈夫かな?」

 

考えるのを一旦止めると、忍は昨日の朝の出来事を思い出していた。

 

………

……

 

・昨日の出発前

 

「うぅ…修学旅行もそうだが、トルネバ連合との同盟も進めないと…」

 

冥界から朦朧としてる意識のまま帰って来た忍はそう呟いていた。

 

「ふわぁ~あ…そんな状態じゃ無理よね」

 

忍の状態を見てまだ眠そうな吹雪がそう言う。

 

「ほら、しぃ君。しっかりして」

 

忍の荷物を持ってきた智鶴が忍の身だしなみを整える。

 

「流石、正妻」

 

カーネリアが茶化すように言う。

 

「でもホントにどうする気? 本来ならこの数日中にトルネバ連合国の領土に乗り込んで忍の鼻を頼りに国の中心となっている部族を探す予定だったのに…」

 

冷静に暗七が忍が昏睡状態だった間に予定していたトルネバ連合国での行動が完全に狂ったことを告げる。

 

「うっ…それは…」

 

忍が暗七の言葉に詰まっていると…

 

「それなら、私がしぃ君の代わりにそのトルネバ連合国との同盟交渉に行くわ」

 

智鶴が決意したような表情でそう切り出す。

 

「なっ…?!」

 

その申し出に忍を始め、他の眷属達も驚いていた。

 

「だ、だが…トルネバ連合国は複数の部族が集合した国だ。その中心部族ともなれば何処にあるかさえわからないというのに…」

 

忍が慌てたようにそう言うと…

 

「くすくす…しぃ君。何も一人で行くとは言ってないでしょ?」

 

忍の慌てようがおかしかったのか、智鶴は微笑んでいた。

 

「シアちゃん、吹雪ちゃん、暗七ちゃん、フェイトちゃん、朝陽ちゃん………それとカーネリアさん」

 

そう言って眷属の名を羅列する。

ただ、最後の眷属、カーネリアの名前だけは低いトーンで呟いていた。

 

「皆もいることだし、しぃ君だけに何でも背負わせないって決めたんだもん」

 

そう言う智鶴の言葉には確かな覚悟があった。

 

「ふふ…坊やの女王としての自覚がやっと出てきたのかしら?」

 

そんなカーネリアの言葉を流し…

 

「とにかく、しぃ君達は修学旅行を楽しんできてね。こっちは私が何とかしますから」

 

智鶴はそう忍に微笑みながら伝えていた。

 

………

……

 

「だ、大丈夫、ですよ。智鶴、さんを…信じ、ましょう…?」

 

忍の心配をわかってか萌莉はそう伝えていた。

 

「……そう、だな。俺が皆を信じなきゃな」

 

確かに心配ではあるものの、今は信じるだけだと忍も萌莉の言葉に頷いていた。

 

「紅神君、ちょっと手合せをお願いできるかい?」

 

そこに木場がやってきて忍との手合せを頼んできた。

 

「木場君とか。いいよ。たまにはスピード対決も悪くない」

 

「ならよかった。僕も紅神君とは速度を競ってみたかったからね」

 

「はは、それは俺も望むところだ(木場君は今のイッセー君を相手に互角の勝負を繰り広げるほどの使い手…油断は出来ないな)」

 

忍と木場…どちらも持ち味は速度という同じタイプの対戦カード。

しかし、木場はイッセーとの修練で格段にレベルアップしている実力者であり、その才能も折り紙付きと言える。

その相手をするだけでも忍にはそれなりのプレッシャーを感じていた。

 

「(それに…木場君の聖魔剣は相反する力を融合させたもの。もしかしたら、二つの冥王を制御する何かのヒントを得られるかもしれない…)」

 

自らの中にある氷と焔の力を宿した冥王を完全に発現出来るようにするため、忍は木場との手合せに挑んでいた。

 

その後、トレーニングを終えた一行はそれぞれのクラスと班に合流して京都観光をするのであった。

 

その途中、妖怪との邂逅もあったが、先日の誤解が解けて謝罪を受け、改めて九尾の御大将を禍の団から助け出す協力体制を整えるのであった。

 

………

……

 

~トルネバ連合国領内・平原地帯~

 

「広いわね…」

 

「そうですね…」

 

目の前に広がる平原地帯に暗七が呟き、それをエルメスが肯定する。

 

「こりゃ足がないとこの先は厳しいわね…」

 

頭を掻きながら吹雪が同行者達にそう言う。

同行者とは智鶴を始め、エルメス、暗七、吹雪、シア、カーネリアであった。

また、朝陽とフェイトは時空管理局からの呼び出しで今回は参加出来ずにいた。

 

ちなみに今更ながら萌莉の召喚獣は明幸邸で預かってもらっているが、ファーストのみは修学旅行にぬいぐるみとして同行させている。

理由は他の召喚獣とは違って幼い龍を世話出来る一般人なんていないからである。

 

まぁ、それはそれとして…

 

「それなら飛べばいいじゃない。少なくとも私達は飛べるのだし…」

 

そう言って自らの黒翼を広げるカーネリア。

 

「私は飛べません」

 

「私も…飛べるとは…」

 

「翼だけなら作れるけど…私の場合、少なくともグライダー程度にしかならないわ」

 

智鶴、エルメス、暗七の3人がカーネリアの提案を否定する。

 

「あなたにはあの蠍があるでしょ?」

 

「スコルピアちゃんに3人も乗れません」

 

いくらエクセンシェダーデバイスとは言え、3人もの人間を乗せて飛ぶことは無理に近かった。

 

「なら徒歩かしらね?」

 

「だから、こんなだだっ広い場所を徒歩でとか無理あんだろ!」

 

カーネリアの言葉に吹雪が反発する。

堂々巡りもいいとこである。

 

「とにかく、相手は移動民族。手掛かりもなしに動くのは危険よね」

 

「かと言って、行く当てがあるかと言われれば…」

 

「困ったわね…」

 

一行が途方に暮れていると…

 

ドドドドドド…!!

 

何やら駆けてくるような地鳴りが近づいてくる音がする。

 

「? 何かしら?」

 

智鶴達が音のする方に目を向ける。

そこには騎馬隊らしき軍団が智鶴達の方へと向かって駆けてきていた。

 

「まるで三国志か、戦国時代ね」

 

その光景に暗七がそう呟く。

 

「でも、これで少しは進展したのかしらね?」

 

そう言ってカーネリアも翼をしまう。

 

「だといいんだけど…」

 

吹雪は何があってもいいように少しだけ警戒しながら近づいてくる騎馬隊を見る。

 

そして、騎馬隊が智鶴達を包囲するように円形状の陣を敷くと、一騎の騎馬兵が前に出た。

 

「お前達、見ない顔だな。一体何処からやってきた?」

 

トルネバ連合国は移動民族の集まりであり、それらが交流を重ねているので知り合いには事欠かない国柄だったりする。

 

「えっと…私達はイーサ王国から来た者でして…」

 

代表してエルメスが話を切り出すと…

 

「イーサ王国だと?」

 

騎馬兵がイーサ王国という単語に反応する。

その反応を見てエルメスは一歩前に出ると…

 

「私は…イーサ王国第一王女、エルメス・ファル・イーサ。トルネバ連合国との同盟を結びにやってきました」

 

そう名乗っていた。

 

ザワザワ…

 

エルメスの言葉に騎馬隊の隊員達の間で波紋が広がる。

 

「隊長、如何致(いかがいた)しますか?」

 

前に出ていた騎馬兵にもう一騎の騎馬兵が近づくと、そう尋ねていた。

 

「至急、『トゥアルダス』、『ルカンツァ』、『ネルティア』、『バスコッシュ』に伝令を走らせろ。イーサ王国からの使者が来た、と…それと至急馬車の用意を…」

 

そう隊長らしき騎馬兵が言うと、一部の騎馬兵達が回れ右するように元来た道を戻っていった。

 

「しかし、エルメス王女様。この地にお供が女性だけというのは些か不用心では?」

 

イーサ王国の姫ともなるとそれなりの知名度になるのか、騎馬隊長はエルメスを本物だと思ってそう尋ねていた。

 

「あら、それはどういう意味かしら?」

 

ゾワッ…

 

今の発言が気に食わなかったのか、珍しく智鶴が冷たい微笑みを浮かべる。

心なしか、その背に蠍の幻影が浮かんでるようにも見えた。

 

「っ!?」

 

それを見て騎馬隊長と、その愛馬が言い知れぬ恐怖感を抱いた。

 

「ま、見た目で判断するなってことよね」

 

「同感」

 

暗七に言葉に吹雪も同意する。

 

「ま、まぁまぁ…」

 

慌ててシアが3人を宥める。

 

その後、騎馬隊長の手配した馬車に乗って一行は騎馬隊が駐屯する集落へと案内されるのであった。

 

………

……

 

集落へと案内された後のこと…。

 

「エルメスちゃんも大胆ね。いきなり身分を明かすんだもの」

 

急遽、用意されたテントの中で、出されたお茶を飲みながら智鶴がそう呟く。

 

「それは言えてる。それでもし誤解されるなりして拘束されたらどうする気だったのよ?」

 

テントの出入り口に立つ吹雪が智鶴の言葉を補足するように頷く。

 

「ち、ちゃんとお母様からの書状や身分の証となる王家の紋章もありましたし、大丈夫かと思いまして…」

 

そう言って懐から書状やら紋章やらを取り出してあわあわと説明するエルメス。

 

「見た目によらず肝が据わってるんだか、単に天然の無計画なのか…判断に困るわね…」

 

そんな様子を見て暗七は軽い溜息を吐いていた。

 

「ともかく、経緯はともあれ…この国のお偉方との会談の場が持てるという意味では良かったんじゃないかしら?」

 

クスクスと笑うカーネリアがそうフォローっぽいことを言う(が、おそらくは単に今のエルメスの様子を見て楽しんでるだけかと思われる)。

 

「うぅ…なんだか恥ずかしいです…///」

 

顔を真っ赤にしながら顔を俯かせてしまう。

 

「けど、こうなると忍さんもどうしたかわかりませんね。いくら嗅覚で探すといってもこう広大だと…」

 

シアが話題を変えようとそんなことを言い出す。

 

「前回は…向こうの大統領からこちらに接触してきた面も大きかったと思うの。それに加えて帝国の攻撃もあったし…」

 

ラント諸島での出来事を思い出しながら智鶴が呟く。

 

「それを利用した上で、そのラント諸島に対帝国意識を持たせた坊やの勝ちってところかしら? 坊やってたまに悪人よね」

 

「結果論ですけどね…!」

 

忍のことを悪く言われたと感じたのか、智鶴がカーネリアに殺気を向ける。

 

「あわわ…」

 

シアはシアで話題変更に失敗したかと思ったのか、ちょっと慌てた様子だった。

 

「と、とにかく…トルネバ連合国も帝国とは交戦状態です。いつまた襲ってくるかわからない以上、気を引き締めないとですよね!」

 

エルメスがそう言って場の空気を変えようとする。

 

「はぁ…何事もなく、無事に同盟が組めればいいんだけど…」

 

そんなテント内の空気を察してか、暗七が独り言ちるように呟いていた。

 

………

……

 

~ラント諸島領内・飛竜駆りし部族『トゥアルダス』~

 

伝令が走らされてから一刻後くらい経った頃…

 

「イーサ王国からの姫さん、か」

 

伝令に来た騎馬兵を下がらせると、独り言ちるようにその男は呟いた。

 

「いずれは来るだろうとは思っていたが…あの女王、まさか自分の娘を差し向けるたぁな」

 

その男の名は『ガルド・トラジェディス』と言い、容姿は灰色の短髪、黒い瞳、無精ひげを生やした渋い感じの顔立ちに高身長でガッチリとした筋肉な体格をしており、部族長のテント内の奥で座していた。

 

『で、ガルド。お前はどうする気なんだ?』

 

すると、そこに背後から飛竜が首だけをテントの中へと入れてそう尋ねていた。

 

「カリス。そりゃお前、決まってるだろ?」

 

漆黒の甲殻を纏い、琥珀色の瞳を持つ飛竜『カリス』にそう伝えていた。

 

『力試しだな。ついでに信用に足るかの確認か』

 

「そういうこった」

 

ガルドとカリスは一言二言の会話だけで互いの考えてることがわかっているかのような態度を示す。

 

「んじゃま、いっちょ行ってみるか」

 

『応よ!』

 

カリスが首を引っ込めると…

 

「親父!」

 

それと入れ替わるようにしてテントの中に入ってくる人影があった。

 

「ミュリア! お父さんはこれから大事な会談に向かうんだ。悪いが、今日はお前の相手を…」

 

ブンッ!!

 

人影に対して抱き着こうと手を広げていたガルドが最後まで言い終わる前に、ミュリアと呼ばれた人影から拳が飛んでくる。

 

バキッ!!

 

「ぐっはっ!?」

 

ガラガッシャァンッ!!

 

その拳がガルドの顔面を捉えると共にガルドは後方へと吹き飛び、家具を巻き込みながらその家具に埋もれてしまう。

 

「誰がテメェの相手なんぞするか! そんなことよりもイーサ王国から使者が来たんだって!?」

 

そう尋ねた『ミュリア』という人物は腰まで伸ばしたアッシュブロンドの髪を黒いリボンでポニーテールに結い、翠色の瞳、可愛らしくも整った綺麗な顔立ちに細過ぎず太過ぎない標準的な体型の少女だった。

口調からしてかなりの男勝りな性格だろうとは予測出来るが…。

 

「ククク…相変わらずあいつに似て良い拳だ…」

 

鼻血を垂らしながら家具の山から出てきたガルドは特に目立った外傷もないが、逆に不気味な笑みを浮かべて喜んでさえいるように見える。

 

「てか、それをどこで聞きつけたんだ? 我が愛娘よ」

 

家具の山から出てくると共に娘の発言が気になって尋ねていた。

 

「見慣れない騎馬がいたからそいつに聞いた。それよりも…」

 

ミュリアが話の続きを促そうとしたら…

 

「なにぃ?! 俺の可愛いミュリアに話しかけられただぁ!? 今すぐにたたっ斬って…」

 

ガルドが槍を持って外に出ようとしたので…

 

「や・め・ろ・ッ!!!」

 

ズガンッ!!

 

再びミュリアの鉄拳がガルドの顔面にクリーンヒットする。

 

「ぐっふぁっ!?!」

 

ドンガラガッシャァンッ!!

 

そう叫びながらガルドが再び家具の山に埋もれる。

 

「ったく、いちいち面倒な親父だな。オレが誰と喋ろうとオレの勝手だろ」

 

すると…

 

『おい、ガルド! いつまで待たせやがる!』

 

カリスが首だけをテントの中に突っ込んで怒鳴る。

 

「ぐぅっ…い、今行く」

 

家具の山から這い出ると、出入り口の方に向かって匍匐前進(ほふくぜんしん)のように地を這って移動する。

 

「オレも連れてけ」

 

ガルドがミュリアに到達すると同時にミュリアがガルドを見下ろしながらそう言う。

 

「だ、ダメだ…」

 

ガルドは拒否するが…

 

「いいから連れてけ。向こうがどんな奴を使者にしてきたか興味がある。それに"あの噂"の真意も気になるしな」

 

ミュリアは断固として引かなかった。

 

『噂? あの例のイーサ王国が最近になって雇ったとかいう狼ってやつか?』

 

未だ首を引っ込めてなかったカリスがミュリアに尋ねる。

 

「そうだよ。それで帝国の奴らを押し止めてるんなら、最近変なカラクリで勢力を増してきた帝国とも互角以上に渡り合えるかもしれねぇじゃねぇか。それにイーサ王国はその狼を使ってラント諸島と手を組んだっていうじゃねぇか」

 

イーサ王国とラント諸島の同盟情報はシルファーによって既に各方面に拡散させていたりする。

 

「もし、こっちにも来てるんならその実力を直接この目で確かめたいじゃねぇか」

 

『確かになぁ』

 

ミュリアの言葉に同意するようにカリスも頷く。

 

「だ、だからと言ってミュリアを危険な場所に連れていくのは…」

 

「いつまでもオレを子供扱いすんじゃねぇよ!」

 

そんなガルドの言葉を一蹴してミュリアはテントの外に出る。

 

『お前の負けだぞ、ガルド。あいつの血気盛んさはお前に似てんだから諦めな』

 

そう言ってカリスも首を引っ込める。

 

「ぐぬぬ…」

 

釈然としない想いを抱きながら、ガルドも槍を持って外に出る。

 

そして、カリスの背にガルドとミュリアが乗るとエルメス達が待つ集落へと飛び立つのだった。

 

………

……

 

エルメス達が集落に案内されてから一刻半程の時間が過ぎた頃だった。

 

「ここに向こうの姫さんがいる訳だが…あんま粗相はするんじゃないぞ、ミュリア」

 

「わぁってるって…そのくらいの立場くらい心得てらぁ」

 

ガルドとミュリアが集落に到着し、カリスの背から降りていた。

 

『お前も姫さんの前で恥曝すなよ』

 

ガルドに向かってカリスも"親バカ"という醜態を曝すなと釘を刺していた。

 

「んなもん、わかってんだよ」

 

そうは言いつつも周囲に殺気をまき散らしてるように見えるのは気のせいだろうか…?

 

『やれやれ…』

 

カリスが呆れてる合間に2人はエルメス達が待機しているテントへと案内されるのであった。

 

「じゃあ、行くぞ」

 

「おう」

 

テントの前まで来ると、ガルドとミュリアは頷き合ってから…

 

「トゥアルダス族長、ガルド・トラジェディス」

 

「同じくその娘、ミュリア・トラジェディス」

 

「イーサ王国のエルメス王女への謁見に馳せ参じた。謁見の許可を…」

 

自らの名と部族を名乗ると、仰々しい言葉でテント内にいるであろうエルメス達に尋ねていた。

 

「は、はい。どうぞ」

 

当のエルメスからの返事は緊張からか少し震えてるようにも聞こえた。

 

「(ホントに大丈夫なのかよ?)」

 

その声を聞いてミュリアは内心で不安になる。

 

「失礼する」

 

ガルドがそう言ってテントの中に入ると…

 

「おっと…」

 

ミュリアも慌ててガルドに続いて中に入る。

 

テントの中に入ると…

 

「初めまして、トラジェディス様。私がエルメス・ファル・イーサです」

 

そう挨拶するエルメスは奥の椅子に座っており、その隣には智鶴が立っていた。

さらに右側に暗七と吹雪、左側にシアとカーネリアが控えるように立ち並んでいた。

 

「(女ばっかりだな…)」

 

その光景を見てガルドは内心で複雑な心境になっていた。

 

「それでイーサ王国の王女ともあろうお方が我がトルネバ連合国にどういったご用件で?」

 

わかってはいるものの、形式的にそう尋ねていた。

 

「私達、イーサ王国は対帝国に向けてトルネバ連合国との同盟を結びたいと考えております」

 

エルメスはハッキリとそう答える。

 

「(濁してくるかと思えば、ド直球だな)」

 

ガルドはエルメスの対応を意外に思いつつ…

 

「同盟の話は分かった。が、それだけじゃなぁ」

 

そう答えていた。

 

「………何か、ご所望なのですか?」

 

何かを要求されることを想定してか、エルメスはそう言葉を紡ぐ。

 

「いや、物はいらねぇ。ただ、イーサ王国の実力ってのを俺は知りたくてね。誰だって背中預ける身になりゃ、そいつの実力を知りたいと思うのは当然だろ?」

 

そう言ってガルドは自らの得物である槍を差し出してみせた。

 

「少なくとも俺は…いや、俺達は実力のない国と同盟を組むなんざ御免だ。それだったら俺達だけで帝国に仕掛けるだけだ」

 

「……っ」

 

ガルドの言葉にエルメスが息を呑むのがわかる。

 

「とは言え、こんな戦時で呑気に軍団戦をする余裕もないか。なら、手元にある戦力でどれだけやれるか測るのが最適だが、見たところ女だけだし、また日を改めて出直し…」

 

そこまで言った瞬間だった。

 

「っ!!」

 

ギィンッ!!

 

「あら、反応速度はそれなりね」

 

カーネリアが光の槍を用いて攻撃を仕掛けていた。

それをガルドは槍を盾に防いでいた。

 

「ちっ…」

 

「先を越されたわね」

 

見れば、吹雪は冥王化して氷の爪で右手を覆い、暗七もまた右腕を異形の腕へと変質させていた。

しかも前者は舌打ち、後者も物騒なことを言ってる。

 

「なっ!?」

 

その光景にミュリアは言葉を失う。

 

「女だからと侮ってもらっては困りますね」

 

ニコニコしているものの智鶴もまたスコルピアを起動させようとしていた。

 

「ちょっ、皆さん!?」

 

「は、早まらないでください!?」

 

一拍開けてエルメスとシアが慌てたように叫ぶ。

 

「………いいぜ。さっきの言葉は少し訂正してやる」

 

鋭い眼光をカーネリアに向けながらガルドが一歩だけ下がる。

 

「だが、ここじゃ場所が狭い。場所を変えて改めて勝負しようや」

 

「えぇ、いいわよ?」

 

ガルドの挑発に乗るようにカーネリアが応じる。

 

「ど、どうしてそうなるんですかぁ~!!?」

 

勝手に進む話にエルメスは嘆きの叫びをあげていた。

 

………

……

 

そして、一行はテントの外に出ると、戦いのルールを決めていた。

 

「悪いが、ここは俺達の庭みたいなもんだからな。こっちのルールに従ってもらうぜ?」

 

「えぇ、構わないわ」

 

ガルドの言葉にカーネリアが答える。

 

「ならルールは単純だ。カリス!」

 

『応よ!』

 

待機していたカリスがやってくると、ガルドがその背に跳び移る。

 

「この国は騎乗戦術が主流だからな。テメェらも何かに騎乗した上でこの辺一帯をぐるっと5周くらい走る。要は競争だな。但し、走りながらも戦闘行為は有効だ。それでどっちかが先にゴールするなり、落ちたら勝負はそこで終いだ」

 

単純だが、それだけにわかりやすく何よりも速さと技量が問われる勝負法と言える。

 

「そんな! 騎竜相手に勝てるわけが…!」

 

エルメスがそう叫ぶものの…

 

「はっ、やめるんなら今の内だぜ?」

 

ガルドからの挑発は終わらない。

 

「それなら私が参ります」

 

その挑発に乗ったのは…智鶴であった。

 

「確かにこの中で"騎乗"が出来るのはあなただけよね。ま、借りれば私達も出来なくはないわけだけど…」

 

「心配ご無用です」

 

カーネリアの言葉をあっさりと無視して智鶴が前に出ると…

 

「スコルピアちゃん、お願い」

 

『……御意』

 

スコルピアを起動させる。

 

「なんだ?」

 

『俺が知るかよ』

 

「蠍?」

 

目の前で白銀の蠍が現れたことにガルド、カリス、ミュリアは少なからず驚いていた。

 

「いくらエクセンシェダーデバイスとは言え、生身の智鶴で大丈夫なの?」

 

暗七が当然の疑問を智鶴に投げかける。

 

「大丈夫。しぃ君がいない分は私が頑張るから…」

 

「いや、そういう気持ちの問題じゃなくて…」

 

若干論点がズレてることを指摘するが…

 

「心配してくれてありがとう、暗七ちゃん。でも、本当に大丈夫だから」

 

智鶴はそう言って会話を断ち切ると…

 

「紅神眷属が女王、明幸 智鶴。しぃ君の代わりに参らせてもらいます」

 

そうガルドに向かって名乗りを上げていた。

 

『……ジェットフォーム』

 

ガキンッ!

 

スコルピアが蠍から戦闘機形態に変形すると、智鶴はその上に立つ。

また、変形時に次元刀が射出されて智鶴の手に握られていた。

 

「なんだか知らねぇが、女相手でも容赦しねぇぞ!」

 

バサァッ!!

 

その言葉を合図にカリスが飛翔する。

 

「スコルピアちゃん、追って」

 

『……はい』

 

智鶴の体に負担がない程度の速度でカリスを追いかける。

 

「智鶴さん…」

 

シアが心配そうな表情で見上げると…

 

ピピピ…!

 

「え…?」

 

アザゼルより持たされていた次元間通信機から着信音が響く。

 

 

 

一方、空に上がった2人は…

 

「それじゃあ、行くぜ?」

 

「はい!」

 

それぞれ滞空しながらスタートの合図を待つ。

 

「レディ…」

 

「…………」

 

『ゴオォォォ!!!』

 

カリスの咆哮を合図にして両者はほぼ同時に発進する。

 

「(まずはコースを把握しないと…)」

 

智鶴は速度を少しだけ落とすと、ガルドの背を追いかけるようにしてスコルピアを飛ばす。

 

「(まずは様子見ってとこか。ま、余所者が取るよくある手だ)」

 

ガルドは予想通りといった感じでカリスを飛ばしながら智鶴の出方を見る。

 

「(寒い…でも、このくらいならまだ我慢できる…!)」

 

バリアジャケットも無く、特殊な訓練も受けてない身としては空での高速移動はかなりの負担になるはずだが、それを智鶴は意識を強く持つことで耐えていた。

 

一方のガルドは昔からカリスの背に乗って空を飛んできたため、今更そのようなことは起きない。

むしろ、相棒と共に空を飛ぶことが当たり前のようになっているのだ。

 

そうこうしている内に、1周目が終わって2周目に突入する。

 

「スコルピアちゃん…」

 

2周目に入り、智鶴がスコルピアに声を掛ける。

 

『……コースは(おおむ)ね把握しました』

 

「それじゃあ、仕掛けましょう」

 

『……しかし、その場合…ご主人様への負担が…』

 

「私なら大丈夫。絶対に耐えてみせるから」

 

スコルピアの表面を撫でながらそう言う。

 

『……わかりました。ですが、危険と判断した場合は…』

 

「うん、わかってる」

 

その言葉を聞き…

 

ゴオォォッ!!

 

スコルピアがブースターを噴かして加速する。

 

「っ!」

 

身を屈め、スコルピアの装甲に左手を掛けることでその加速に耐えてみせる。

 

「(来たか。ならそろそろ…)」

 

ガルドがそう考えていると…

 

『オラァ! これは挨拶だ!』

 

クルリとカリスが反転しながらホバリング行動を取ると…

 

ゴアッ!!

 

口から火球を背後に迫ってきていた智鶴とスコルピアに放っていた。

 

「っ!?」

 

『……迎撃します!』

 

ブラッドシューターで火球を迎撃するが、威力の違いから完全には打ち消せないでいた。

 

『……ご主人様、しっかりつかまってください!』

 

そう言うと…

 

ギュイィンッ!!

 

スコルピアは火球を回避するべく機体を右側へと大きく回転させていた。

 

「くぅぅっ!?」

 

そのGに耐えるべく智鶴も歯を食いしばっていた。

 

「流石は相棒。よくわかったな」

 

『はっ! 伊達にテメェとの付き合いは長くないからな!』

 

そう言い合いながら智鶴とスコルピアが失速したのを見ると、カリスは再び反転して翼を羽ばたかせて大きく引き離しに掛かっていた。

 

「っ! スコルピアちゃん!」

 

『……ですが…!』

 

智鶴が何を言おうとしているのかわかり、スコルピアは反発しようとする。

 

「いいの! しぃ君は…もっともっと辛いことを1人で背負い込んでるから…だから、このくらいで私は負けたくないの! しぃ君の…しぃ君の隣にいたいから…!」

 

『……わかり、ました…』

 

智鶴の覚悟を聞き、スコルピアは智鶴こそが我が主なのだと再認識しながらカリスに追いつくべく加速した。

 

「くっ…(く、苦しくて…寒い…でも…!)」

 

その加速に耐えながら智鶴は目の前にいるガルドを追うことを考える。

そう考えてる内に3周目へと突入する。

 

「ほぉ、一度失速したのにまだ加速するか」

 

『無茶な加速ほど無謀な奴はいないが…』

 

「そいつらは例外なく何らかの覚悟を持った厄介な奴、か…」

 

『どうするよ?』

 

「決まってんだろ?」

 

『だな』

 

智鶴の加速を背後に感じながらガルドとカリスは話し合い…

 

『「全力を以って相手してやるよ!!」』

 

その相手を強者として認め、全力で相手することを宣言した。

 

『行くぜ!』

 

再び反転すると、カリスは智鶴とスコルピアに向けて…

 

ゴアッ!!×5

 

5発の火球を放ち…

 

「風よ、薙ぎ払え! ガスト・スラッシャー!!」

 

同じくガルドも頭上で槍を回転させながら風を巻き起こすと、その替えを無数の刃と化して放っていた。

 

『……現状での回避運動は…不能!?』

 

スコルピアは智鶴を乗せた状態での回避行動を計算したが、現実は非情なものであった。

いや、智鶴のことさえ考えなければすべてを回避するスペックをスコルピアは秘めている。

 

「スコルピアちゃん!」

 

『……ご主人様…すみません…!』

 

智鶴の強い口調にスコルピアは"智鶴のことを考えない回避行動"を行い、火球と風の刃を高速状態のまま回避することにした。

 

「マジかよ!?」

 

『アレを避けんのか!?』

 

ガルドとカリスもその回避能力に驚いていた。

 

が…

 

バッ!

 

「ぁ…」

 

遂に智鶴の肉体が限界に達し、スコルピアの装甲から手を離してしまった。

 

『……ご主人様!?』

 

それに気づいたスコルピアであったが、変形して助け出すまでの時間はない。

何故なら…

 

ゴアァァ…

 

まだ回避してなかった最後の火球がスコルピアから離れた智鶴へと直撃するコースを取っていたからだ。

 

「やっべ…!?」

 

ガルドも事の重大さから引き返そうとカリスを蹴るが…

 

『間に合うかよ!』

 

カリスも動こうとしながらそう叫んでいた。

 

「(ごめんなさい…しぃ君…私、何も…)」

 

目の前に広がる火球が激突することを予感しながら智鶴は一筋の涙を流していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その誰しもが間に合わないと覚悟した時だった…。

 

ブロロロロ…!!

 

この場に似つかわしくないエンジン音が響いたのだった。

 

「なんだ!? この音は?!」

 

『だぁ! なんかうるせぇな!!』

 

『……この反応は…!』

 

ガルドとカリスは聞き慣れない音に過敏に反応し、スコルピアはその反応を感知して驚いていた。

 

「ソニック・ロード!」

 

ブォンッ!!

 

空中に魔力で形成された道が現れると共に一台のバイクが走り抜け…

 

「ブリザード・フィスト!」

 

智鶴の目の前まで迫った火球を凍らせて砕き…

 

抱きっ…

 

「ぇ…?」

 

智鶴をお姫様抱っこしていた。

その感触に智鶴は自然と目を自分を抱き留めた人物に向けると…

 

「ぁ…」

 

その人物の存在に安心したのか、今度はボロボロと涙を流していた。

 

「智鶴、あまり無茶をしないでくれよ」

 

その人物とはもちろん…"アステリアに乗った忍"であった。

 

「しぃ、君…!」

 

智鶴は愛する者の名を呼ぶ。

 

「話は移動中にシア達から聞いた。さてと…」

 

魔力道の中盤でブレーキを掛けると共に空にいるガルドとカリスを見上げると…

 

「選手交代だ、トルネバの大将さん。こっからは俺が相手になるぜ?」

 

不敵にもそんな宣言していた。

 

「はっ、若造が妙なもんに乗りやがって…それで俺達に勝てる気か?」」

 

ホバリングを続けるカリスの背でガルドが忍に尋ねる。

 

「勝つ。ここまで頑張った智鶴のためにもな!」

 

そして、ガルドを目の前にして勝利宣言をする。

 

「はっ、女のために勝つたぁ…いい度胸だ。いいぜ、そいつとの交代を認めてやってもよ!」

 

「感謝する」

 

そう言って智鶴をバイクの後部に座らせると…

 

「んじゃあ、行くぜ!」

 

「来いや、小僧!」

 

ブゥウンッ!!

 

3周目の途中からだが、智鶴に代わり忍が競争を再開された。

 

「きゃっ!」

 

いきなりのスタートに驚いて智鶴は忍の背中に抱き付いていた。

 

「アステリア、補助は任せるぜ!」

 

『了解』

 

「行くぞ、カリス」

 

『言われなくてもわかってらぁ!』

 

そう叫びながら互いに速度を上げる。

 

「空中に道を作って走る奴なんざ初めて見たぜ! テメェ、何者だ!?」

 

カリスを下降させ、忍と並ぶように飛翔しながらガルドが尋ねる。

 

「こっちじゃ"イーサ王国の狼"で名が通ってると思うが?」

 

4周目に突入すると共に忍はそう答えていた。

 

『こいつが狼だと!?』

 

その答えにカリスが驚いていた。

 

「そういうこった。だから、遠慮なく行かせてもらうぜ!」

 

そう言うと忍はライト・フューラーを起動させてガルドに向けていた。

 

「っ!」

 

「こういう攻防もありなんだろ? レッド・バレット!」

 

ドンッ!!

 

言うが速いか、忍はガルドに向けて火属性の弾丸を発砲していた。

 

「ちっ!」

 

ガルドはそれを槍で軽く弾くと…

 

「ウイング・スライサー!」

 

返す槍で弧状の風の刃を忍に放っていた。

 

「ソニック・ロード!」

 

魔力道を分岐させると、その下を天井走りのように走り、分岐させた元のソニック・ロードをウイング・スライサーに対する盾として使用した。

 

「テメェ、非常識か?!」

 

ガルドが驚いてる間にソニック・ロードが途中からクルリと反転してそれに合わせるようにアステリアに乗る忍も元の状態になる。

 

「こっちの世界に足を踏み入れてからは常に非常識の連続だったんでね」

 

これまでの出来事を思い出しながらそう答える。

 

「(こいつ…!)」

 

ガルドは本能的にまだ若い忍がそれなりの修羅場を潜ってきたのを感じていた。

 

「しぃ君…!」

 

それでも忍はアステリアに智鶴を乗せている。

さっき以上の無茶はしないとガルドは踏んでいた。

 

「智鶴、しっかり掴まっててくれよ!」

 

しかし、忍はそのままアステリアをさらに加速させていた。

 

「なにぃっ!?」

 

更なる加速にガルドも驚く。

そして、遂に5周目に突入する。

 

「これがラストスパート! なら出し惜しみは無しだ!」

 

スロットルを全開まで回し、魔力伝達率を底上げさせる。

 

「くそったれが! カリス!」

 

『わぁってるけどよ!』

 

カリスもまたラストスパートを掛けるべく加速していた。

 

「(こりゃ負けか?)」

 

ガルドの"直感"がそう告げていた。

 

「うおおおおッ!」

 

『オラアアアア!!』

 

その直感を本能的に察したカリスだったが、そんなものはお構いなしに忍との競争を最後までやり遂げていた。

 

結果はガルドの直感が当たり、アステリアの方がカリスよりも若干速くゴールしていた。

 

………

……

 

競争後…。

 

「もう…連絡があったから驚きましたよ」

 

アステリアの周りにエルメスとこちらにいる紅神眷属が集まってきていた。

 

「しぃ君、修学旅行は?」

 

「ちょっと調子悪いからって抜け出してきた。ま、見物どころでもなかったんだが…」

 

未だ背中に抱き付いている智鶴がジト目で忍を軽く睨むと、忍はそう答えていた。

 

「禍の団かしら?」

 

「あぁ、ちょっと京都で一悶着ありそうだ」

 

カーネリアの質問に頷いてみせる。

 

「でも、だからってこっちに来るなんて…」

 

「流石に居ても立っても居られなくてな…夜には戻るから大丈夫だって」

 

そう話を切り上げると…

 

「とにかく、今は…」

 

忍はガルドに視線を向けた。

 

「勝負は勝負だ。途中で交代ってのも認めた上で負けちゃ言い訳もねぇよ」

 

休むカリスの横に立つガルドはそう言うと…

 

「なるほど。これが狼か…いいぜ、同盟を組んでやるよ」

 

忍を一瞥してからエルメスに向かって同盟を組むことを承諾していた。

 

「(それにホントは組んだ方が良いって思ってたしな)」

 

競争前のカーネリアの一撃を受けた時、直感的に組むことを既に考えていたが、あっさりと組んでも面白くないとの考えから今回の競争を画策したのだった。

 

その後の同盟はエルメスに任せ、忍はアステリアに乗って地球へと帰還していた。

地球に到着した頃には既に京都は夜になっていた。

 

部屋に戻ろうとすると、何故か教会三人娘と擦れ違ったのだが、様子が変なのに気付いたものの特に気にはしなかったのだった。

 

そして、修学旅行の三日目。

英雄達が動き出す。

 

 

 

 

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