久々の二次でどう書いていいかちょっと悩んでおりますが、頑張ります!
まだまだ序盤なので、そんなに動きはありませんが…
あ、ちなみに三人称スタイルで進めていきます。
読みづらかったらすみません…。
第一話『邂逅』
~昼休み~
ここは駒王学園の中庭。
「おい、なんだって"小学生"が学園にいるんだよ?」
「あ、ホントだ。いっちょ前に制服なんて着てやがるし」
「よくサイズがあったな」
入学式も終わり、一年生が少しずつ学園に慣れてきた頃の昼休みの事だ。
中庭にいた少年を見て彼ら新入生はそんなことを言う。
「わ、わぅ…」
それを聞き、彼は涙目になってしまった。
彼の名前は『
身長は中学生…いや、下手をすると小学生くらいに見えるかもしれない程に低い。
それに加え、ひ弱そうで華奢な体型もそれを助長させている一因かもしれない。
しかし、彼はれっきとした"高校2年生"。
先程会話していた新入生の先輩である。
と、そこへ…
「しぃく~ん」
一人の女生徒が忍の元へとやってくる。
彼女は『
3年生の先輩だ。
17歳とは思えぬ体型と美貌にほんわかとした雰囲気を持つため、彼女に憧れる生徒はかなり多い。
さらに言えば、成績優秀、スポーツ万能と理想を描いたような人物でもある。
そのため、駒王学園の三大お姉さまの一人として数えられている。
「おお~!」
「あれが噂の先輩かぁ」
「めっちゃ綺麗だよな~」
こうして新入生達が湧くのも当然と言えば当然とも言える。
ただ、二点を除いては…。
「わぅ?! ち、ちぃ姉…苦しいよぉ…」
智鶴は忍の元へやってくるなり、即行で抱き締める。
一点目、彼女は忍の幼馴染みでとにかく彼に対しては激甘である。
"忍がいないと生きてけないんじゃないか?"というくらい彼を溺愛してる。
「なんだかしぃ君が泣いてるように見えたから…ついつい抱きしめたくなっちゃって」
そんな理由で抱き締めたのか!?
「な、泣いてないから放してよぉ」
ジタバタと智鶴の腕から逃れようとする忍の姿はもう小学生にしか見えない気もする…。
「もう、しぃ君は照れ屋さんだね♪」
そんな忍の姿に触発されたのか、智鶴は抱き締める力を強めて頬擦りまでする始末。
「わ、わぅ~…///」
一目もはばからない智鶴の行為に忍は恥ずかしさのあまり赤面してしまう。
その頃、中庭の見える忍の教室の窓では…
「あ~あ、忍のやつが羨ましいよ。あんな綺麗でおっぱいの大きな姉さんが欲しいよ」
そんなことを言って窓から忍と智鶴の様子を見る男子生徒…『
「「お前がそれを言うか! 裏切り者め!!」」
丸刈り頭の男子生徒『松田』と眼鏡の男子生徒『元浜』が同時にイッセーに苦言を呈した。
このイッセー、松田、元浜の3人はいつもスケベな会話を平然としていることから『変態三人組』として主に女生徒から嫌悪の眼で見られており、特にイッセーの変態ぶりは周辺地域にも姿が知れ渡っているほど。
しかし、本人たちはあまり気にしてる様子を見せない。
話は戻るが、先日このイッセーに彼女が出来たのだ。
それも向こうから付き合いを申し出たらしい。
「今日は夕麻ちゃんとデートだからな~」
「くっそ~」
「イッセ~」
イッセーの言葉に松田と元浜が悔し涙を流す。
ここまでは日常の一コマ。
いつも繰り広げられる日常の一つである。
しかし、この日の放課後…その日常が壊れることになる。
………
……
…
~放課後~
「わぅ…遅くなっちゃった…ちぃ姉、きっと心配してるよね」
忍は学園から少し急ぎ足で居候先へと帰宅途中だった。
不幸(?)にも智鶴は先に帰る用事があり、忍も日直で少し遅くなってしまったので珍しく2人は別々で帰っていた。
いつもは2人一緒で帰るのだが…。
「わぅ…今日は満月か…嫌だなぁ」
忍は日が沈み、だんだんと夜になっていきそうな空に薄らと浮かぶ満月を見て溜め息を吐く。
何故か、忍は満月の夜を嫌っている。
理由は満月になると決まって嫌な夢を見るからだ。
その内容はまたいずれ話すとして…。
そんな時だった。
「あれ? あれってイッセー君?」
そこには見知らぬ少女と公園で歩いてるイッセーの姿があった。
忍はイッセーとは面識があるが、忍まで悪評にさらされちゃ悪いと普段の学園生活では会話はそれほど多くないようにイッセーが気を利かせているものの、実際は仲が良く松田や元浜とも面識を持っている。
但し、忍が悪評に曝されたらイッセー達の命が危ないからそうしてるだけとは…とてもじゃないが忍には言えない事実でもある。
何故なら、それが智鶴の二点目の問題。
彼女は極道の娘であるのだから…。
とにかく発想が危ないことこの上ない。
一年の時に忍を虐めてた男子生徒達がいたのだが、強面の組員数人に暴力はされなかったものの恐い目に遭ってから虐めをやめたという噂もある程だ。
だから忍には手を出せない、出しちゃいけないという暗黙のルールが陰であるほどだったりする。
話を戻そう。
「あ、そういえば彼女さんが出来たって前に言ってたっけ」
そのことを思い出しつつも先を急ごうとした矢先だった。
公園の噴水前まで歩いていた2人だが、不意に彼女の背中から黒い翼が生えると同時にどこから取り出したのか発光する大きな槍を構えると…
ドシュッ!!
無慈悲にもイッセーの胸を一突きしたのだ。
しかも背中から槍が突き破ったように突き出ている。
「っ!!? イッセー君!?」
忍は足を公園に向けながら叫んでしまった。
「し、しの、ぶ…??」
イッセーは訳が分からないように倒れながら忍を見て…
「あらあら…見られちゃったわね」
彼女の方は困ったように嫌な笑みを浮かべていた。
「イッセー君、しっかりして!」
彼女を無視して忍はイッセーに駆け寄るが、出血が酷かった。
「ぅ、ぁ…なん、か…意識が、もう…」
おそらくイッセーはもう…。
「は、早く救急車を…!」
そう言って携帯を取り出そうとする忍だったが…
「ん~、仕方ないからあなたも死んでちょうだい。大丈夫よ。痛みは一瞬よ」
黒い翼を生やした少女がイッセーの血が付着した槍を忍に向ける。
「ひっ!?」
あまりの恐怖に忍も尻もちを着いて後ずさってしまう。
「あらあら…勇敢な坊やかと思えば、ただの弱虫なガキだったのね」
嘲笑を浮かべて少女は忍に歩み寄っていく。
「(ぼ、ぼくは…し、死ぬの?)」
※()内はキャラの内心と考えてください。
恐怖と共に忍は無意識に空を見た。
そこには満月が浮かんでいた。
「(綺麗だな…あんなに嫌だったのに最期だからかな?)」
満月を見てるだけなのになぜか忍には少しだけ余裕があった。
そして、時間がゆっくりと動くような錯覚に陥り、少女の動きもかなり遅く感じる。
「(あの夢は…結局なんだったんだろう…?)」
忍の脳裏には走馬灯のように夢の内容が過ぎる。
その内容とは、忍が白銀の毛並みに真紅の瞳を持った狼に延々と追い掛けられる…。
逃げても逃げても追い掛けてくる。
しかし、絶対に忍を襲い掛かろうとはしない…。
そんな不思議な夢だった。
そんな中、走馬灯の中に1人の女性が過ぎる。
智鶴だ。
「(ちぃ姉…僕が死んだら…ちぃ姉は…)」
彼女の事だ。
忍を殺した人物を捜しだし、その人物を殺した後に忍を追って自殺するだろう。
そのことは忍自身が容易に想像できたし、そんなことさせたくないとも思った。
「(ダメだよ…ちぃ姉が死ぬのなんて…!!)」
その瞬間、忍の目の前に夢に出てきたのと同じ狼の幻影が現れる。
「(君は…夢の!?)」
忍は目を逸らそうとしたが…
『(逃げるな)』
狼がそれを許さなかった。
「(え?!)」
夢の中で狼が喋ったことはなかったが、その声は確かに狼の方から聞こえてきた。
『(俺はお前だ。お前は自分の力を…俺を恐れているだけだ!)』
「(僕の…力?)」
狼の言葉に戸惑いを隠せない忍。
『(そうだ。お前は誇り高き狼の末裔。満月の夜にしか俺が現れないのは狼と月という関係上、仕方のないこと。しかし、これからは違う。お前が望めば俺はお前の力となる。何故なら、俺とお前は一心同体なんだからな)』
しかし、狼は言葉を続ける。
「(僕は…)」
『(決断するなら早くしろ。所詮、これは刹那の時間稼ぎ。このままではお前が死ぬぞ!)』
そして、その狼の言葉に忍は…
「(僕は…生きたい! ちぃ姉にいつまでも守られてるばかりじゃ、僕も嫌だから!)」
遂に決断した。
『(ならば、唱えよ。銀狼解禁、と)』
それを最後に時間は元通りになり、少女が目の前で大きく槍を振り被っていた。
「じゃあね。おチビさん、あの世でイッセー君に会ったら伝えて…とても退屈な時間だった、ってね!」
そう言って少女が槍を振り下ろそうとした。
「銀狼、解禁…!」
そして、それとほぼ同時に忍は狼に教わった言葉を呟いた瞬間…
ゴオオオオオ!!
忍を中心に白銀の光が柱となって立ち昇る。
「なっ?!」
少女は光の柱に驚き、一時的に後退すると光の柱を観察し始める。
「これは…まさか、魔力?! こいつ、悪魔だったの!?」
そう呟く少女だが、すぐに違和感に気づく。
「(いや、悪魔ならすぐにわかる。なら、こいつの魔力は…大気魔力!)」
大気魔力とは人間…特に魔導師と呼ばれる者が持つとされる魔法機関『リンカーコア』から発生する力を指す。
カッ!!
光が消えると、そこには…
「グルルゥゥ…」
髪が黒から白銀、瞳も紫から真紅に変化し、頭から狼の獣耳、臀部付近からも狼の者らしき尻尾が生えた姿の忍が四足歩行に近い低い体勢で唸り声をあげて少女を睨んでいた。
「人間じゃない! お前はいったい…!!」
少女が忍に問いかけた時…
「ふふっ…随分と面白そうなことになってるじゃない。レイナーレ」
空から別の声が聞こえてくる。
「カーネリア!? アンタ、いつから!!」
レイナーレと呼ばれた少女は黒い翼で空を飛ぶもう一人の女性…カーネリアと呼ばれた者の登場に驚いていた。
「別にそんなことはいいじゃない。それよりも面白そうな子ね。ねぇ、レイナーレ…この子、私がもらってもいい?」
いきなり現れたと思ったらそんなことを言い出す。
「勝手になさい! 私の用事はもう終えたからね。先に戻らせてもらうわ!」
カーネリアの言葉にレイナーレは祖叔母から立ち去ろうとする。
「はいはい。お好きにどうぞ」
対するカーネリアもそんなレイナーレを止める気はさらさら無さそうだった。
「ガァ!」
だが、そんなことをさせまいと忍がレイナーレに飛び掛かる。
しかし…
ギィンッ!
「ふふ…良いわね。あなた」
それを黒い光の槍でカーネリアが弾き飛ばしていた。
「ちゃんと始末しなさいよ」
それを最後にレイナーレは飛び去ってしまった。
「……ふん…そんな勿体ないことする訳ないじゃない」
レイナーレの気配が完全に消えたのを確認してからカーネリアは悪態を吐く。
「さぁ、殺し合いを続けましょう。坊や」
そして、弾き飛ばした忍へと向き直る。
「グルルゥゥ…!!」
犬歯を剥き出しにして忍は右手を横に突き出すと…
ブォンッ!
カーネリアの持つ光の槍と同じような槍(色は白銀色)を作り出す。
「あら、器用なことね。でもここだと人目が付きそうね。ついてらっしゃい。人気のない場所で思う存分楽しみましょう」
狂気にも似た微笑みを浮かべ、カーネリアは山の方へと飛翔する。
「ガァ!!」
それを追って忍も電柱や電線の上を走って追いかける。
一方で…
「(忍…お前、どうしたんだよ…?)」
辛うじてまだ息のあったイッセーが忍の変化に驚いていたが、その意識も衰え始めていた…。
「(あ~…くっそ、このまま、死にたくねぇ…)」
そう思い、自分の手を見ると、そこには真っ赤な血がべっとりと付着していた。
「(赤…紅、か…)」
その手を見てイッセーは不意に学園で何度も見た紅色の髪の女性の事を思い出した。
「(リアス…グレモリー、先輩…あんな美人と仲良くなれたらなぁ…)」
今際の際に考えることとしてはどうにも不純のようにも見えるが、それがイッセーである。
しかし、そこで奇跡は起こる。
カァァァ…
イッセーのそばで紅い光が集まり、魔法陣を形成していき…
「私を呼んだのは…あなたね?」
その魔法陣から紅色の髪の美人が現れた。
その人こそ、イッセーが考えていたリアス・グレモリーその人である。
「(あれ…? なんで、先輩が……ダメだ…幻覚まで見るようじゃ、もう…)」
イッセーの意識が遠退くと共に…
「あなた……そう、ならあなたの命…私が貰うわね」
最期の意識の中、イッセーの視界は紅い光に包まれていた。
こうしてとある男子高校生2人の日常は壊れ、新たな日常という名の戦いが始まるのだった…。