魔導騎士物語~覇王と称された狼~   作:伊達 翼

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第六十七話『新たな仲間達』

冥界での騒動の後のこと。

ラト達4人娘は無事にミッドへと送られることとなった。

が、結果から言えば、家の人に多大な心配と迷惑を掛けたのでお説教は免れなかった。

それは局員であるが、未成年でもあるティラミスにも言えたことである。

学園と仕事場の無断欠席で、あらぬ噂も立つこともあるが…。

 

この時ばかりは特務隊…ゼーラの顔が役に立った。

大人が対応することで4人娘の親御さん達に適当な転移事故(ということにした)に巻き込まれ、偶然その場にいた特務隊の人間により保護され、数日間行動を共にしていた。

主な筋書きはそういう感じである。

 

ちなみに、その隊員というのは…

 

「なんで、俺が特務隊の制服を…」

 

地上本部の廊下を歩きながら忍がぼやく。

 

「無駄な仕事を増やした張本人が言う台詞ではないな」

 

その前方にはゼーラが歩いていた。

 

「ぐぬ…」

 

そう、それは特務隊の制服を着させられた忍である。

 

「それに誰だったかな? 特務隊(うち)の試作機を偶然とは言え、勝手に運用しているのは…?」

 

「ぐぐぐ…」

 

「他にもあるぞ。専用装備を回したり、多次元世界へ輸送したり、学園を紹介したり、任務終わりの隊を動かしたり…」

 

次から次へと出てくる特務隊への借り(というかゼーラへの借りか?)を並べられて忍は次第に小さくなっていく。

 

「この際だ。お前には特務隊の席を特別に用意してやろうか? なに、嘱託騎士とでもしておけば問題なかろう」

 

いや、色々と問題がある気がする。

 

「俺が特務隊に? そんなことしてアンタに何のメリットがあるんだよ…?」

 

忍は当然とばかりに聞き返す。

 

「俺としては別にどうでもいいが…そうだな。強いて言うなら、人員の確保。なにせ人が少ないからな。何ならあの子娘共も準隊員として迎えてもいいんだぞ?」

 

それからゼーラはふむ、と考えてから…

 

「さらに言えば、ネクサスの正式な譲渡、その実戦データの回収、特務隊権限によるセイバレスへの搭乗許可などなど…お前としても十分なメリットがあると思うが?」

 

半分以上は忍へ対する措置である。

 

「(この上、まだ利用する気か!?)」

 

それを聞き、忍は顔を引きつらせる。

 

「次元辺境伯を名乗るなら多次元世界を渡るルート確保も重要だろう?」

 

忍の足元を見た発言である。

 

「(確かに眷属総出の場合、スコルピアの能力ばかりを頼る訳にもいかないが…)」

 

そうすると必然的に智鶴への負担も大きくなるため、色々と考えさせられる忍だった。

 

「ともかく、お前には特務隊のメンバーを紹介しておこう。歳は近いはずだからすぐに馴染めるだろう」

 

そうこうしている内に特務隊の執務室に到着してしまう。

 

「入るぞ」

 

「なんかまた転校をやってる気分だ…」

 

そんなことを言いつつゼーラが先導して執務室に入る。

 

ウィーン…

 

自動ドアが開き、執務室の中が明らかとなる。

 

「全員、揃っているな?」

 

ゼーラが来たことで何人かはゼーラに敬礼していた。

 

「? 隊長、そいつは?」

 

忍の存在に気付き、ジェスが尋ねる。

 

「なんでウチの制服着てんのよ…?」

 

さらに朝陽も忍が制服を着てることに対して驚きと苛立ちが混じったような声音で聞く。

 

「こっちにも色々とあるんだよ」

 

朝陽にそう返すと…

 

「流星以外は初めてだな。こいつの名は紅神 忍。今後、特務隊の嘱託騎士となる者だ」

 

「はぁ!?」

 

ゼーラの言葉に朝陽が意味わかんないと言いたげに驚く。

 

「紅神…確か、ネクサスを所持している者だったはずでは?」

 

報告書のことを思い出し、そう漏らすのはエリザであった。

 

「え? ネクサスって…前に朝陽さんが始末書を書いてた?」

 

そんな不用意なことを言ったジェスに対し…

 

ゲシッ!!

 

「い゛っ!!?」

 

「うっさいわよ、この体力バカ」

 

朝陽は思いっきりその足を踏みつけていた。

 

「~~~っ!!?」

 

ジェスは足を押さえて必死に痛みを堪える。

 

「ですが、何故に今になって? それに人員補充なんて聞いてませんけど…」

 

シルヴィアが鋭い指摘をする。

 

「あぁ、それもそうだろう。たった今決めたからな」

 

そんなゼーラの一言に…

 

「「「「え…?」」」」

 

「………」

 

「はぁ…」

 

「いつものことか」

 

ジェス、ラルフ、シルヴィア、シェーラは鳩が豆鉄砲を食らったような声を漏らし、ハクアは興味なし、朝陽は溜息を吐き、エリザは特に驚いた様子はなかったとそれぞれの反応を示していた。

 

「紅神。流星は知っているから今更の紹介はいらんな。特に驚いた様子のないのがエリザベータ・アルス。これも特に興味が無いのがハクア・ミューテシア。そして、残りは流星に足を踏まれたのがジェス・ガレクトン、もう1人の男がラルフ・エスカリオン、鋭い指摘したのがシルヴィア・フューリス、医務官のシェーラ・レヴェランス。以上が特務隊のメンバーだ」

 

ゼーラが各隊員を指で指し示しながら簡潔な紹介をする。

 

「は、はぁ…(随分と簡潔過ぎな気もするが…)」

 

「覇気のない声だな」

 

エリザが忍の気のない返事に対してそう言う。

 

「てか、特務隊に入るんだから…当然、強いんだよな?」

 

ラルフが確認するように忍を見る。

 

「前衛でも後衛でも活躍出来るが、本領は近接寄りのオールラウンダーだ。指揮能力も備えている」

 

ゼーラがそう答えていた。

 

「万能型、ですか」

 

シルヴィアがそう漏らす。

 

「じゃあ、隊長のテストも受けたんすか?」

 

未だに足を押さえてるジェスが尋ねる。

 

「テストする必要はない。何ならお前達自身で確かめたらどうだ?」

 

えらく挑発的なゼーラの物言いに…

 

「ならいっちょ試してみますか!」

 

「ふむ…前は少ししか手前を見られなかったからな。この際、見極めさせてもらおう」

 

「俺も賛成。朝陽さんはどうします?」

 

ラルフとエリザが承諾し、ジェスも賛成しながら朝陽に尋ねる。

 

「あたしはパス」

 

が、朝陽は忍の実力を知っているので、参戦する気はないらしい。

一応、王に刃を向けるのは騎士として如何なものか、という思いも少なからず朝陽の中にはあった。

 

「私も見学する分には問題ありませんが…1人相手に複数というのは…」

 

「私もシルヴィアさんと同じ意見です…」

 

シルヴィアとシェーラは忍1人で複数相手は問題があると思っていた。

 

「……はぁ、どうでもいい…」

 

ハクアは本当に興味が無さそうに端末を弄っている。

 

「まぁ、見ればわかる」

 

面白いものが見れるとあり、ゼーラは薄ら笑いを浮かべていた。

 

「(バカ2人はともかく…教官が相手となると忍でも厳しいかしらね)」

 

朝陽は朝陽で別の心配をしていた。

 

 

 

場所は変わり、市街戦を想定した訓練場に移っていた。

 

「って、マジでやるのかよ!」

 

ネクサスを起動させながらも忍はゼーラに苦情を言っていた。

 

『これも奴等を納得させるための儀式だと思え。それに流星みたく経験を積む良い機会だからな』

 

投影ディスプレイからゼーラがそのようなことを言う。

 

「(つまり、アクエリアスやドライバーデバイス、解放形態も使っていいと…匂いからしてここには特務隊メンバーしかいないようだが…)」

 

ゼーラの手が回っているのだろう、訓練場には特務隊しかいなかった。

その内の3人は忍とは離れた場所でそれぞれデバイスを起動させており、残りのメンバーも戦闘が見れる場所で望遠魔法を使って観戦するつもりらしい。

 

『準備は良いな? では、模擬戦開始だ』

 

忍が考え込んでる内に模擬戦が開始してしまう。

 

「問答無用か!?」

 

忍がそう叫んでいると…

 

「一番槍、頂くぜ!」

 

ビルの壁を蹴ってショートカットしてきたジェスが忍に殴り掛かる。

 

「(また、えらく直情的だな…)」

 

それを見て忍はすぐさま回避運動に移る。

 

「逃がすか!」

 

一枚の魔力ディスクを弾き出すと、それを右グローブに装填し…

 

「魔拳弾!」

 

拳大の魔力攻撃を忍に仕掛けていた。

 

「(なんだ、この戦い方は!?)」

 

初めて見る戦法に忍も驚きつつも魔拳弾をバク転の要領で上に蹴り弾く。

 

「まだまだぁ!!」

 

そのまま忍を追いかけて拳のラッシュを仕掛ける。

 

「(近接戦闘…拳に特化したスタイルか? なら、魔法体系はベルカ式…?)」

 

ジェスのラッシュを理力の型を用いて紙一重で回避しつつジェスの戦い方と魔法体系を分析と予想してみるが…

 

「これならどうだぁぁ!!」

 

"ミッド式"の魔法陣を眼前に展開し、そこへ赤いディスクをセットした右拳を叩き込む。

 

「バースト・インパクト!」

 

忍側に向いた魔法陣から爆発が巻き起こる。

 

「ッ!? ミッド式!?」

 

その爆発を回避することも忘れ、忍はジェスの使った魔法陣に驚いていた。

 

「よっしゃ! まずは一撃!」

 

忍に一撃を入れたことにジェスは喜んでいたが…

 

「あっぶねぇなぁ…」

 

ゴゥッ!!

 

その言葉と共に一陣の風が吹き荒び、爆発で発生した煙を吹き飛ばす。

 

「なんだ、そりゃ!?」

 

ジェスは忍の姿に驚く。

忍の身にはネクサスのバリアジャケットの上からアクエリアスを纏っていたのだから…。

 

『ストリームオーラ、正常稼働』

 

さらに言えば、自動防衛システムもあるので忍へのダメージはゼロに等しかった。

 

「ま、これもデバイスの一種ということ、で!」

 

そう言いながら忍はジェスを殴ろうとしたが、それを止めて後退する。

 

その直後…

 

「ちっ! 勘付きやがったか」

 

横合いから迫ってきていたラルフが舌打ちしながらヴェルブレードで斬り掛かっていた。

 

「(ま、匂いとか空気には敏感でね)」

 

そう思いつつ忍は両手にベルカ式の魔法陣を展開し…

 

「ブリザード・ファング・デュアルシフト!」

 

両腕を広げるようにして中距離拡散型凍結魔法を撃ち出す。

 

「げっ!?」

 

「マジか!?」

 

まさかベルカ式から砲撃が来るとは思わず、反射的にそれぞれ防御魔法で防いでいた。

 

「も一つおまけに…!」

 

拡散砲撃の内、いくつかを別地点で収束させていたところに神速で移動し、環状の魔法陣を右腕に展開しながら…

 

「ブリザード・ファング・エクシード!」

 

そのチャージしていた球体を殴って収束砲撃並みの砲撃を2人に撃ち込んでいた。

 

「ッ!? カートリッジ、ダブルロード!」

 

それに反応したラルフがヴェルブレードを構え…

 

「業気炎斬剣!!」

 

ブリザード・ファング・エクシードを真っ向から受け止める。

 

ブォォッ!!

 

熱気と冷気がその場を中心に渦巻く。

 

「(カートリッジの同時炸裂か? 燃費は悪そうだが、威力は今の通りか)」

 

それを見て忍はラルフのデバイスの特性を把握する。

 

「寒っ!?」

 

「熱っ?!」

 

熱気と冷気に当てられてジェスもラルフも身震いしていた。

 

「(二つの冥王のおかげで、どっちにも耐性が出来てきたかな?)」

 

対する忍は特に熱がったり寒がったりする様子はなかった。

 

「2人掛かりで情けない…これはまた訓練メニューを追加すべきだな」

 

そこへエリザが合流して忍と対峙する。

 

「(得物は槍か…)ファルゼン」

 

エリザのデバイスを見て即座にファルゼンを起動させる。

 

「ふむ…」

 

それを眼で見てエリザは静かに構える。

 

「(さっきの2人と比べると隙が全然ねぇ…)」

 

その構えを見て忍は隙の無さを感じていた。

 

「ったく、教官殿も手厳しいぜ」

 

「でも、強くなれるなら俺はいいかな?」

 

「お前、相変わらず前向きだな…」

 

そう言い合いながら忍を三方向から包囲するように移動していた。

 

「(囲まれたか…)」

 

ジェスとラルフの動向を鼻で追いながら目の前のエリザに集中する。

 

「(ほぉ、良い眼をしている)」

 

そう思いつつエリザはヴェルランサーを矛先を忍に向け…

 

「いざ、参る!」

 

「ッ!!」

 

キンキンッ!!

 

エリザの連続突きを忍は理力の型でかろうじて防いでいたが、エリザの突きは見た目以上に鋭く重かった。

 

「くっ…!(凌ぐだけで精一杯か!)」

 

「どうした。貴殿の力とはその程度のものか?」

 

そんなエリザの言葉に忍は…

 

「真狼、解禁…!」

 

これ以上、通常形態での勝負は危険と判断して真狼を解放して速度に対応する。

 

「むっ?」

 

急に速度が上がったことにエリザは違和感を覚える。

 

「なんだ? 尻尾?」

 

「頭から犬みたいな耳が生えたぞ?」

 

それを外側から見ていたジェスとラルフが忍の変化を口にする。

 

「犬じゃなくて狼だ!」

 

いつものツッコミを入れつつ忍は…

 

霊鎧装(れいがいそう)!」

 

霊力を薄い膜状にして体全体を覆う結界のような防御霊術を展開する。

 

「瞬狼斬ッ!」

 

次の突きを当たるスレスレのところで回避すると共に忍は神速の速度で動き…

 

「ッ!?」

 

「消えた!?」

 

「何処、行った!?」

 

周囲を見回すが、忍の姿は見えなかった。

それはエリザ達に消えたと錯覚させる程の動きであった。

 

タンッ…

 

「…………」

 

次に忍が姿を現すと同時に…

 

『それまでだ。全員引き揚げるぞ』

 

ゼーラが模擬戦の終了を告知していた。

 

「え!? 終わり?」

 

「旦那、どういうこった!?」

 

ジェスとラルフが不満の声を上げるが…

 

「無念だ」

 

「俺も結構危ないとこでしたけどね…」

 

そう言ってエリザも忍も固まっていた。

よくよく見れば、エリザの持つ槍の反対側の穂は忍の喉元に突き立てそうな位置にあった。

 

「げっ!?」

 

「危なっ!?」

 

それを見てジェスもラルフも肝を冷やしていた。

 

「(打たれた一撃でやっと気配を察知出来た、か…私もまだまだ修練不足かもしれないな…)」

 

エリザはエリザで自分の力を不足だと感じ…

 

「(霊鎧装を展開してたとは言え…これは、相当な手練れだな…)」

 

忍も忍でエリザの実力に舌を巻いていた。

 

こうして模擬戦を通じてその強さを示してしまった忍は特務隊に新たな席が設けられてしまったのだった。

 

………

……

 

その翌日。

場所はフィクシス魔法学園の屋上。

昼休みのこと。

 

「こうしてまだここに通えてるのもひとえにあの人(シュトライクス少将)のおかげか…」

 

フィクシス魔法学園の屋上は開放されており、多くの生徒がそこでお昼を楽しんでいたりする。

その隅の方に忍はいた。

 

「いやぁ、あの人には頭が上がらないね」

 

「………それ、私達もだから…」

 

「そうですね…」

 

ラト達と共に…。

 

「それはそうと、お前達な…」

 

忍が何かを言おうとするが…

 

「あ、そうそう。シノブがいない間にティラちゃんとも話したんだけどね」

 

「……眷属の駒のことも聞きました」

 

「チヅルさんという方達のお話しも聞かせてもらいました」

 

ラト達は前置きとしてそのようなことを言い出す。

 

「人の話を聞け!? そして、なんだその決意に満ちた眼は!?」

 

忍は忍で嫌な予感がしてならなかった。

一応、遮音結界を張っておき…

 

「先の件で分かっただろ? 俺といると危険な可能性が多々纏わりつくんだ。もし、その決意が固かったとしてももう後戻りは出来なくなるんだぞ?!」

 

そんな忍の慌て様を見て…

 

「危険上等!」

 

「……先輩も先輩ですが、お姉ちゃんだけだと危なっかしいから…」

 

「普通では出来ない経験を積めるんです。それを活かさずして何が名門でしょう」

 

ラトは何やら危ない発言をし、シルフィーとラピスはそれぞれの決意表明をしていた。

 

「ちなみにティラちゃんは『私にも背負うことのお手伝いくらい出来ますよ?』だそうだよ」

 

ここにはいないティラミスの言葉をラトが代弁する。

 

「~~~」

 

もはや言葉も出なかった。

それから数瞬の間の後、忍は溜息を吐くと…

 

「一応、最後の確認だが…本当に後悔しないんだな?」

 

それは眷属を持つ王としての、最後の忠告であった。

 

「もちろん!」

 

「……うん」

 

「はい」

 

しかし、その忠告も目の前の3人娘には意味がなかったようだ。

 

「(後でティラミスにも聞かないとな…)」

 

そう心の中でぼやきつつ、忍は懐から残る眷属の駒…兵士の駒を3つ取り出していた。

 

「これが俺も持つ残りの駒…兵士の駒の内の三つだ。後でティラミスにも確認してから渡すが…今の内にお前達には渡しておく」

 

そう言って忍はラト、シルフィー、ラピスの順に駒を渡していく。

 

「わぁ、なんか綺麗だね」

 

「……虹色に輝く白銀色?」

 

「異世界の技術…ホントに私達と同化するんですか?」

 

そんな声が飛び交う中…

 

トクン…

 

手の平から駒が3人娘の中へと溶け込むように融合を果たした。

 

「わっ!? ホントに中に入った!?」

 

「……不思議」

 

「ですが、これで…」

 

三者三様の反応だった。

 

「あぁ、お前達も紅神眷属入りだ」

 

困ったような表情で忍はそう告げた。

 

「あとはティラミスか…(しかし、これで眷属の駒の枠は残り一つか)」

 

そう言いながら忍は空を見上げた。

 

眷属の駒の枠はティラミスの分を除けば残り一つ。

今後、どのような人物が兵士の駒を手にするのか…?

 

その答えは…意外に早くわかるかもしれないが…。

 

………

……

 

その日の放課後。

ティラミスにも3人娘と同じような質問をしてからその決意が固いことを知った忍は兵士の駒を渡していた。

また、そのことを経てかは知らないが、ティラミスが人事異動することになった。

異動先はなんと特務隊である。

忍と共にいる以上、少しばかり融通の利く部署が良いだろうとのゼーラのお節介である。

 

それから忍は始龍との影響で新たに会得していた次元転移魔法を使い、ティラミス達を連れてミッドから地球へと飛んでいた。

 

「という訳で、皆も知ってるだろうが…彼女達が新たに眷属入りし、兵士の駒を渡したティラミス、ラト、シルフィー、ラピスの4人だ。ミッドでの学友と後輩になるが…」

 

もう諦めたような感じで4人娘をみんなに紹介していた。

 

「これで残る枠は一つね。フルメンバーまでもう少しじゃない」

 

クスクスと笑いながらカーネリアが言う。

 

「ティラミスは朝陽の同僚にもなるが…」

 

「そうらしいわね。隊長も何考えてんだか…」

 

「私みたいなのが特務隊に入ってもいいものか…不安です…」

 

ティラミスは元々デスク仕事が多い部署だったが、今後は特務隊で何かしらの訓練を受けることになるだろう。

 

「まぁまぁ、ティラちゃん。細かい事は後で考えようよ」

 

楽観的なラトがティラミスを励ます。

 

「あと、冥界からの通達だ。次の休日にグレモリー眷属との正式なゲームが予定されることになった」

 

その言葉に新規の4人を除くみんなの表情が変わる。

 

「ゲーム?」

 

「……例のレーティングゲームのこと?」

 

ラトが頭の上に?を浮かべる横で、シルフィーが呟く。

 

「そうなる。冥界のメディアが色々と取り上げてるらしくてな…」

 

若手悪魔ナンバーワン対異例の辺境伯冥族の眷属。

注目度はグレモリー対バアルにも引けを取らない程の話題性を呼んでいるという。

 

「あと、こっちは俺以外が女性なのでイッセー君の技は一部使用禁止にしてもらったから安心してほしい」

 

それを聞いて新規4人以外の女性陣はホッとした様子だった。

 

「次の休日までにまだ少し時間がある。その間にラト達も含んだ新たな連携態勢を作っておきたい」

 

その忍の言葉で短い間だが、訓練が催されることとなった。

 

 

新たに4人のメンバーを迎えた紅神眷属。

次の休日がグレモリー眷属との戦いになる。

果たして、その対戦内容とは…?

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