魔導騎士物語~覇王と称された狼~   作:伊達 翼

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第八十九話『アウロス学園防衛戦』

地球で言うところの日曜日。

アウロス学園の体験入学も二日目に突入していた。

 

それぞれがそれぞれの役割を果たして色々な講義に参加していた。

 

…のだが、その現象は不意に起こった。

 

アグレアスからアウロスに渡る地域を楕円形の結界が覆ったのだ。

結界内の空は真っ白となり、外部との連絡や転移は不可能。

さらに魔法使い達が会談しているアウロスの町の集会場でも異変が起きていた。

魔法使い達が魔法の大半を封印されてしまったのだ。

 

この異変にグレモリー眷属、シトリー眷属、紅神眷属、神宮寺眷属はアウロス学園の職員室に集まり、通信が繋がったアグレアスのサイラオーグと町の集会場のロスヴァイセの祖母『ゲンドゥル』と状況の確認を行っていた。

 

結論から言えば、この結界と魔法使い達への封印は伝説の邪龍の一角『魔源の禁龍(ディアボリズム・サウザンド・ドラゴン) アジ・ダハーカ』と、レプリカの赤龍帝の籠手を持つユーグリットの仕業であると仮定し、クリフォトが動き出したのではないかと予測を立てる。

しかし、目的に関してはいくつか候補があるだけで、決定打になる理由はなかった。

 

一つは集会場にいる魔法使い達。

彼らは666に関する研究もしていたと聞く。

666復活を目論み、次元大戦を引き起こそうとするクリフォトにとっては格好の餌とも言える。

 

一つはアグレアス。

かの空中都市は旧魔王時代の技術で造られており、アジュカの研究機関も未だその深部で解析中とのこと。

それ自体が巨大な遺産、もしくは異世界への移動手段、はたまた兵器の類があるかもしれないためである。

 

そんな憶測を職員室で立てていると、1人のスタッフが職員室にやってきた。

空に映像が現れたそうだ。

 

上空には綺麗なお花畑の中心に『しばらくお待ちください』という悪魔文字があった。

見ようによっては放送事故のようにも見えなくもない。

 

『え? もう始まってんの? ちょ、待てよ。おじさん、まだお弁当食べ終わってな……いいから出ろって? OKOK、わかったよ』

 

この軽い口調に外に出たD×Dのメンバーは不快感からか顔を顰める。

 

『やっほろ~☆ 皆元気してたぁ? 皆のリゼヴィムおじさんだよ~、キラッ☆』

 

キラッとか、おっさんがやるにしてはハッキリ言って不快感しかない。

 

「なんだ、このウゼェ野郎は?」

 

眷属達と共に外に出てきた狼牙が上空を見ながら息子に尋ねる。

 

「リゼヴィム・リヴァン・ルシファー…前ルシファーの息子だとよ」

 

心底めんどくさそうに忍は答える。

 

「アレがか?」

 

「アレがだ。そして、次元大戦を引き起こそうって首魁の1人だよ」

 

「ったく、面倒なとこに面倒な時に来ちまったもんだ」

 

ちなみに雪音と雪絵は父兄や子供達と一緒に体育館に避難してもらっていた。

 

『なんとな~くわかってると思うけどさ。俺達、その辺一帯を丸ごと結界で覆っちまったんだよ☆ やったのはこの方! 邪龍軍の防御担当、ラードゥンさん! 彼の持ってる守護防壁、結界の類はひっじょ~に強力で我らがキーアイテム『聖☆杯』で復活させた後も健在なんだよ? そこにユーグリット君のレプリカ赤龍帝の籠手の力を加味させたらま、あら不思議! ここの領土一帯を覆える結界を張れることが出来た訳だ! 神滅具ってやっぱすっげ~!!』

 

そう言うリゼヴィムの背後には樹木のようなドラゴンが鎮座していた。

 

『さ・ら・に! そこの町に集まってる名立たる魔法使いさん達の魔法も封じちゃったんだよ~ん! これをやってのけたのは邪龍中の邪龍、アジ・ダハーカ先生だ!! あ、心配しなくてもこっちもレプリカで強化済みなのよ~ん!! あと、ついでに言っちゃうと、そこの空間は外界と完全に時間ごと隔絶されてっから外の連中には気づかれてないよ~! 邪龍と神滅具の組み合わせってすんげ~!!』

 

さらに言葉を続けるリゼヴィムの背後に三つ首の巨大なドラゴンが現れる。

 

『何故、こんなことをするかって? そんなん決まってる。魔法使いの皆さんが邪魔になりそうだし、ここらで潰しとこうかな~って。ついでにアグレアスの技術も盗みたい! だって相続権的に考えて僕ちんにその優先権がありそうじゃな~い?』

 

相も変わらずふざけた口調で語るリゼヴィム。

 

『それと、さ! そこにいるんだろ~? 俺らに対抗するために結成された『D×D』って組織がさ! だったら、勝負といこうぜ~? 量産型邪龍の大群と伝説の邪龍様がその町と、あの空中都市に向かうぜ? それを止めてみてくれよ! 踏ん張って止めてみせてくれよ!!』

 

その矛先はD×Dへと向けられる。

 

『あっと忘れるとこだった! それと、ノヴァきゅんのとこからスペシャルなゲストの皆さんも来るって話だから、それの相手もしっかり頼むよ~?』

 

そう言ってからリゼヴィムがパチンの指を鳴らすと…

 

ボアアアッ!!!

 

町を囲うかのように無数の紫色の火柱が天高く立ち昇っていく。

 

『さぁ、ゲーム開始は三時間後だ! 皆の活躍、期待してるよ~~んっ!!!』

 

ブツッ!

 

それを最後に映像は途切れてしまった。

 

「こりゃ…マジでイカれてやがるな…」

 

そう漏らすのは初めてリゼヴィムを目にした狼牙だった。

 

 

 

こうして始まった防衛作戦。

 

体験入学に参加してくれた家族や町の住民は学園地下に造られたシェルターに避難してもらっていた。

戦いに参加するのはD×Dのメンバー、それに少しでも力になりたいという父兄の方達だ。

 

学園の防衛は基本的にD×Dのメンバーが担当し、父兄の方々は逃げ遅れた住民がいないかどうかを見て回ることになっていた。

これは父兄の方々を戦死させないための配慮でもあった。

 

そして、作戦はシンプル。

学園防衛はメンバーが八方に散らばり、それぞれのテリトリー全力で死守することにあった。

 

八方で死守するためにフォーマンセルで組むことになり、組み合わせは以下の通りになる。

 

『王』リアス+『騎士』ベンニーア+『僧侶』フェイト+『戦車』秀一郎

『騎士』木場+『女王』真羅副会長+『兵士』夜琉+『兵士』早紀

『騎士』ゼノヴィア+『戦車』由良+『兵士』吹雪+『兵士』沙羅

『女王』朱乃+『騎士』巡+『兵士』クリス+『兵士』紗奈

『A』イリナ+『僧侶』花戒+『女王』智鶴+『兵士』調

『戦車』ルガール+『僧侶』草下+『兵士』暗七+『兵士』切歌

『兵士』匙+『戦車』小猫+『騎士』朝陽+『僧侶』シア

『兵士』イッセー+『兵士』仁村+『戦車』エルメス+『冥王』緋鞠

 

学園の校庭にはソーナ会長とギャスパーが陣取り、ギャスパーが生み出した闇の獣をソーナ会長の指示で各方面に散らばせることになっており、その護衛には実戦経験のまだ浅く量産型とは言え邪龍に対して決定打に欠ける萌莉、ティラミス、ラト、シルフィー、ラピスの5人が割り振られていた。

アーシアはイッセーの使い魔である『スキーズブラズニル』こと『龍帝丸』で移動しながら回復行動を行い、その護衛はロスヴァイセが担当することになっている。

そして、単独での戦闘力が高く遊撃隊に向いているとして忍と紅牙、カーネリア、雲雀の4名が劣勢方面へと加勢しに行くことになっている。

また、この戦闘には狼牙も加わっており、主に父兄達の護衛役を買って出ている。

 

こうして着々と防衛線の構築は進められていく。

 

………

……

 

~三時間後~

 

そして、リゼヴィムが指定した時間となり、各自がそれぞれの担当する配置に着いたのを皮切りに戦闘が始まる。

 

『オオオオオオオオオッ!!!!』

 

量産型邪龍達の咆哮が周辺地域一帯に轟き、その群れが一斉にアウロス学園へと向かって飛来していく。

それを八方から死守するD×Dのメンバー達。

 

 

 

・『王』リアス+『騎士』ベンニーア+『僧侶』フェイト+『戦車』秀一郎

 

「邪魔よ!」

 

《行きますぜ!》

 

「オラオラ、邪魔だぁぁ!!」

 

「フォトンランサー・ファランクスシフト!!」

 

前に出る秀一郎が量産型邪龍達を時に炎の拳打で殴り飛ばし、時に雷撃による広域殲滅魔法で屠っていく中、その横をすり抜けようとする量産型邪龍達をベンニーアが死神の鎌でその命を削っていく。

それを援護するようにフェイトの雷撃魔法とリアスの消滅魔力が2人の合間を縫うようにして飛来し、量産型邪龍達にトドメを刺していく。

 

「合わせな、死神の嬢ちゃん達!」

 

秀一郎がシュティーゲルのカートリッジを消費させ、手足に稲妻を迸らせる。

 

《はいでさ!》

 

「え…わ、私もですか!?」

 

ノリのいいベンニーアに対して死神呼ばわりされて驚くフェイトだった。

 

「当たり前だ! 他に誰がいやがる?」

 

「え、えぇ~…」

 

そんな秀一郎の言葉にフェイトはかなり困惑するが…

 

「とにかく構えろ!」

 

「は、はい!」

 

怒鳴られて慌ててバルディッシュをハーケンフォームにしてベンニーアと一緒に構える。

 

「行くぜ! エレキトリック・ハマー!!」

 

ピガガガガガッ!!

 

秀一郎の発した雷撃が、ベンニーアとフェイトの鎌へと飛来し…

 

《ビリビリしやすぜ!》

 

「でも、これなら…!」

 

その雷撃のエネルギーを纏った鎌を同時に振るい…

 

《ダブル…!!》

 

「プラズマハーケン…ッ!!」

 

ズガアァァァァ…ッ!!

 

鎌の刃に収束した雷撃エネルギーが×字のようになって特大の斬撃を生み出し、前方の量産型邪龍達を一気に屠っていく。

 

「なんて無茶苦茶な方法を…」

 

その攻撃方法にはリアスも呆れていた。

 

「まだまだ、こんなのは準備運動だぜ?」

 

まだまだ余力を残している様子の秀一郎はそう他のメンバーに言っていた。

 

「い、いやいや…流石にそれはないんじゃないかと…」

 

「そうね。流石にそれは言い過ぎでしょ」

 

フェイトとリアスのツッコミが秀一郎に突き刺さる中…

 

《び、ビリビリがぁ~》

 

雷撃に慣れてなかったらしく、ベンニーアはまだ体が痺れている様子だ。

 

「ほら見なさい。あなたの無茶な行動でベンニーアが動けなくなったじゃない!」

 

「そんなもん根性で何とかしな! ま、その分は働いてやるよ!!」

 

リアスの小言を受け流し、秀一郎は量産型邪龍の群れに特攻する。

 

「あ、待ちなさい!」

 

その秀一郎の突撃に頭を悩ませるリアス。

 

「まったく…神宮寺眷属の戦車は突撃好きね…!」

 

「あ、あはは…」

 

嘆息するリアスの横でベンニーアを介抱するフェイトも苦笑いを浮かべていた。

 

 

 

・『騎士』木場+『女王』真羅副会長+『兵士』夜琉+『兵士』早紀

 

「行きます!」

 

「サポートは任せてください!」

 

「行くよ!」

 

「燃え尽きな!」

 

木場が龍殺しの力を付与した聖魔剣で量産型邪龍の群れを翻弄し、その隙を突いて夜琉の烈神拳と早紀の冥王スキルによる連続攻撃で量産型邪龍を次々と撃破していく。

木場、夜琉、早紀に攻撃してくる邪龍の攻撃は真羅副会長の神器である『追憶の鏡』が全て防いでおり、その衝撃は倍加して量産型邪龍達に跳ね返っているので、他の地域と違ってかなりの速度でその数を減らしているが、如何せんただでさえ数の多い量産型邪龍に対してはスタミナ切れが心配される。

 

「流石に数が多い…!」

 

「木場君、少しペースを落として。それじゃあ、体力が持たないですよ!」

 

「ッ…はい、真羅副会長」

 

真羅副会長の言葉に頷く木場だが、伊達にイッセーや忍と特訓していただけあってまだ息が上がっておらず、速度も健在である。

 

「速いな…なら、あたしも騎士に昇格しようかな?」

 

「そうだね。ここはスピードを合わせておこっか」

 

木場に追いつくため、夜琉と早紀は騎士へと昇格することにしていた。

 

「ついでに黒豹解禁っと」

 

さらに夜琉はネコ科系の耳と尻尾を生やしていた。

 

「これで速度は申し分ないかな?」

 

軽いステップを踏みながら夜琉は身軽さを確かめていた。

 

「それじゃあ、第二ラウンドと行きますか!」

 

ブンッ!!

 

夜琉が本来持つ俊足と騎士のスピードとが合わさることで忍の神速にも通じる程の速度で移動し…

 

「猛牙墜衝撃ッ!!」

 

そこに四つの力を備えた一撃で量産型邪龍を屠っていく。

 

「流石は忍君の義理の妹さん。烈神拳の技の冴えも抜群だ」

 

それに感化されてか、木場も神速の貴公子の名に恥じぬ速度で移動し…

 

「はぁッ!!」

 

量産型邪龍の四肢を斬り刻んでいた。

 

「速っ!?」

 

2人の常軌を逸した速度に同じく騎士に昇格した早紀は舌を巻いていた。

 

「アレほどの速度…私達では追いつけないかもしれませんね」

 

真羅副会長もまた早紀の隣でそう漏らしていた。

 

 

 

・『騎士』ゼノヴィア+『戦車』由良+『兵士』吹雪+『兵士』沙羅

 

「行くぞ!」

 

「守ってみせる!」

 

「凍て付け!」

 

「行きます…!」

 

この地域ではゼノヴィアがエクス・デュランダルで量産型邪龍に斬り掛かり、由良が人工神器で守りを固め、吹雪がゼノヴィアの討ち漏らした邪龍を狩り、沙羅は後方から援護魔法を繰り出すといった具合に役割分担がハッキリしたチームと言える。

 

「天閃+擬態+破壊!」

 

ゼノヴィアは騎士のスピードと天閃の聖剣の力で速度を増した後、擬態の聖剣の力で刀身を包む鞘を枝分かれさせて複数の量産型邪龍を破壊の聖剣とデュランダルが持つ本来のパワーで一網打尽にするという芸当を見せていた。

 

「隙が大きいわね!」

 

その隙を埋めるべく吹雪がゼノヴィアの死角に入って青白い光の槍を複数生成して襲い掛かってくる邪龍を串刺しにする。

 

「そっちは大丈夫かい?」

 

「はい。私はなんとか…ですが、数が多くて…」

 

「まぁ、確かに…」

 

主に沙羅を守っている由良が沙羅に話しかけていた。

 

「君の冥王スキルで何とかならないかい?」

 

チームを組むことに際して事前に聞いていた沙羅の冥王スキルで何とかできないかと由良は尋ねる。

 

「すみません…私の冥王スキルはこういう乱戦には不向きなんです…」

 

「ごめん。少しでも隙を作れればいいと思っただけなんだけど…」

 

申し訳なさそうにする沙羅に軽く謝りながら…

 

「隙、ですか?」

 

「うん。そうすればゼノヴィアも大きな一撃が撃てるかと思って…」

 

そう説明していた。

 

「……少しだけ、我慢してもらえるなら…何とか…してみます…」

 

「大丈夫。私が何とか守ってみせるよ」

 

少し顔を伏せがちにする沙羅に対して由良はそう答える。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて……ゼノヴィアさん、吹雪さん、一旦下がってください…!」

 

意を決したように沙羅が2人を呼び戻す。

 

「? どうした?」

 

「何か問題?」

 

それぞれ邪龍を屠りながら沙羅と由良の近くまで後退する。

 

「少し揺らしますので…我慢してくださいね?」

 

「なに…?」

 

「その間にゼノヴィアはチャージを…その間は私が守るよ」

 

「小難しいことはわからんが、わかった。デカいのを撃つぞ!」

 

そう答えてゼノヴィアはエクス・デュランダルの力を高めていく。

 

「はぁ…ふぅ…行きます!」

 

そう言って沙羅が冥王スキルを発動させると共に…

 

「精霊と栄光の盾よ、皆を守ってくれ!」

 

由良が精霊の力を借りて4人を包む結界を張る。

 

「カラミティ・ショック…!!」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ…!!!

 

『ッ!!?』

 

空間の震動に量産型邪龍の群れが動揺していると…

 

「っ…今だ!」

 

揺れを耐えた由良が結界を解除すると…

 

「いっけぇぇぇっ!!」

 

ゼノヴィア必殺のデュランダル砲が量産型邪龍の群れに向けて放たれる。

 

 

 

・『女王』朱乃+『騎士』巡+『兵士』クリス+『兵士』紗奈

 

「雷光龍ッ!」

 

「はぁっ!」

 

「ちょせぇ!!」

 

「いっくよ~!」

 

地上ではクリスがガトリング砲と小型ミサイルで弾幕を張り、空では朱乃が雷光龍を複数生み出して量産型邪龍を近づけないでいた。

それでもそれらを掻い潜って近づいてくる量産型邪龍は巡と紗奈が迎撃していた。

 

「~♪」

 

戦闘中に歌うことでフォニックゲインを高め、シンフォギアの機能を強化・解放していく装者の戦い方。

それを間近で目の当たりにするのは初めてな巡と紗奈は…

 

「綺麗な歌声……歌詞は物騒な部分もあるけど…」

 

量産型邪龍を斬り伏せながら巡が呟く。

 

「うんうん。しかも歌って戦うとか、普通なら考えられないよね~」

 

紗奈もクリスの歌声には聞き惚れているようだが、その戦い方に関しては疑問を抱いていた。

 

「的になったりしないのかな?」

 

「あと、"イチイバル"って確か…魔弓のはずよね? なんで銃器や重火器なの?」

 

クリスが歌ってるからと言いたい放題の2人だった。

 

「お前ら、戦闘中になに話し込んでんだよ!」

 

流石のクリスも頭に来たのか、歌うのを中断して巡と紗奈に怒鳴る。

 

「まぁまぁ、今はこのアウロス学園を守ることに集中しましょう。シンフォギアというのは機密の塊らしいですから…」

 

「ちっ、わぁってるよ! すぅ……~♪」

 

朱乃に言われてクリスは歌を再開して量産型邪龍を次々と撃ち落としていく。

 

「ほらほら、私達も負けてられませんわよ?」

 

「はい!」

 

「は~い!」

 

クリスの歌に合わせて朱乃、巡、紗奈も次々と量産型邪龍をそれぞれの方法で打倒していく。

 

 

 

・『A』イリナ+『僧侶』花戒+『女王』智鶴+『兵士』調

 

「ここから先は…!」

 

「通しません!」

 

「スコルピアちゃん、お願い!」

 

「……シュルシャガナ!」

 

智鶴から借り受けたスティンガーブレードと量産型聖魔剣を手にイリナが先陣を切り、その背を次元刀を手にしながらフライヤーで量産型邪龍を牽制する智鶴が守り、後方からは小型丸鋸を射出して空の量産型邪龍を牽制する調に近付いてきた量産型邪龍を結界で守る花戒という布陣だった。

 

「……やっぱり、小さいのじゃ牽制くらいにしか役に立たない…」

 

そう言ってから調は一旦小型丸鋸の射出を止めると…

 

《γ式 卍火車》

 

ツインテール部から伸びたアーム先から大型鋸を投擲して量産型邪龍2体を足止めさせる。

 

「それ、どういう仕組みになってるの!?」

 

それを守っていた花戒から驚きの声が上がる。

 

「……シンフォギアは機密の塊だから…でも、敢えて言うならシンフォギアだから…?」

 

「なに、その理由!?」

 

花戒のツッコミをスルーして調は自分の攻撃を受け止める邪龍を見る。

 

「……やっぱり、ノイズと全然手応えが違う…」

 

ノイズ相手なら容易に倒せるシンフォギアの攻撃でも量産型とは言え邪龍相手には足止めが精一杯といったところか。

 

「はぁ!!」

 

「やぁ!!」

 

調が足止めした2体の量産型邪龍を智鶴とイリナが斬り裂く。

 

「………」

 

調も前に出ようとした時だった。

 

「エクスプロージョン・ランダムシフト」

 

チュドドドドンッ!!

 

「……っ!?」

 

量産型邪龍数体がいくつかの爆発に巻き込まれて墜落する。

 

「今のは…?!」

 

「雲雀さん…!」

 

今の爆発に巻き込まれそうになったイリナと智鶴はそれを引き起こしただろう後方にいる人物を見る。

 

「…………」

 

紅崎 雲雀。

紅蓮冥王を継ぐ者。

 

「あなた達は後方で援護に徹してなさい」

 

静かに歩きながら調と花戒にそう言いつける。

 

「……で、でも…!」

 

調が何か反論しようとしたが…

 

「無理に戦果を挙げようなどという思考は必要はありません。自分の出来る範囲で戦いなさい」

 

そう調に言い放って雲雀も参戦していた。

 

「……自分に出来る範囲…」

 

調は悔しそうにし…

 

「相変わらず厳しい人…」

 

教師としての雲雀を見てる花戒はそう漏らす。

 

 

 

・『戦車』ルガール+『僧侶』草下+『兵士』暗七+『兵士』切歌

 

「……出る…!」

 

「来ます…!」

 

「吹っ飛ばす!」

 

「行くデス!」

 

人狼と化したルガールと両腕両足を異形のモノへと変化させた暗七、イガリマを構えた切歌が前に出てそれを草下が仮面を用いて守るという少し攻撃的な布陣である。

特に防御されているのは切歌だが…。

 

ギィンッ!!

 

「想像以上に硬いデスね…!」

 

量産型邪龍相手に苦戦気味の切歌をフォローするのは…

 

「弱音吐いてないで、一発でも多くぶちかましなさい!」

 

暗七だった。

 

「は、はいデス!」

 

とは言え、アームドギアが鎌な切歌に手数を期待するのは酷というものである気がする。

 

「…………」

 

一方のルガールは魔法と体術を組み合わせた攻撃で着実に量産型邪龍を屠っていた。

 

「ちっ…それにしても空ががら空きなのが心配よね…!」

 

今はルガールと暗七の魔法で空の量産型邪龍を迎撃してるが、如何せん数が多くて突破されるのは時間の問題であった。

 

と、そこへ…

 

「なら、私が担当してあげましょうか?」

 

3対6枚の黒翼を広げたカーネリアがやってきた。

 

「カーネリア!?」

 

「うふふ…単独で動いていいなんて、坊やもやっと私のやり方をわかってきたのかしらね?」

 

ズシャァ!!

 

暗七が驚いてる間にカーネリアは空から攻めてくる量産型邪龍を屠る。

 

「ちっ…仕方ないわね。でも、暴走するんじゃないわよ!」

 

「それは聞けない相談ね。こんな壊し甲斐のある獲物…!!」

 

そう言うと妖しい光を眼に宿らせながらカーネリアは量産型邪龍の群れに突撃していく。

 

「……いいのか?」

 

今の会話を聞いていたルガールが暗七に尋ねる。

 

「最悪の場合、忍に連絡するわ」

 

「い、いいんですか? そんな紅神君に丸投げにして…」

 

「いいのよ。あいつを抑える自信なんて私にはないもの」

 

その発言に草下と切歌はギョッとする。

 

「ともかく、空はあいつに任せて、こっちはこっちで片付けるわよ!」

 

そう言い残して暗七も地上に降りてくる、もしくは"墜ちてくる"量産型邪龍を倒しに動く。

 

 

 

・『兵士』匙+『戦車』小猫+『騎士』朝陽+『僧侶』シア

 

「ここから先に通すかよ!」

 

「……行きます!」

 

「行くわよ!」

 

「援護はお任せください!」

 

朝陽と小猫が前衛を担当し、匙がラインや黒炎などヴリトラの能力を用いて前衛のサポートを行い、天狐モードになったシアが結界術で守りを固めていた。

 

「セイバー! カートリッジロード!」

 

カシュッ!

 

『いっけぇ! 朝陽ちゃん!』

 

魔光連斬(まこうれんざん)ッ!!」

 

一時的に底上げされた魔力をセイバーの刀身に纏わせ、空中を飛ぶ量産型邪龍の群れの合間を縫うようにして移動しながら擦れ違い様に斬り裂いていく。

それから一拍を置いて…

 

「邪龍だかなんだか知らないけど、所詮量産型は量産型」

 

ズガガガガガッ!!

 

そう言う朝陽の背後で斬り裂かれた部分から爆発していく量産型邪龍の群れだった。

 

「す、すっげ…」

 

「……負けてられません…!」

 

朝陽の攻撃に匙は戦慄し、小猫は対抗心を燃やす。

 

「もう、朝陽さんは…」

 

その様子を見て朝陽と組むことが比較的多いシアは困っていたが、朝陽に向かう邪龍の火炎弾をしっかり結界で守っている。

 

『シアちゃん、ありがと~』

 

そんなシアの防御結界にセイバーが朝陽の代わりにお礼を言う。

 

「余計なことを…」

 

とは言うものの、その表情は少し笑みがこぼれていた。

 

「そこの兵士! あたしにラインってやつを繋げなさい! 対象はシアと猫娘よ!」

 

「はぁ? なんだって味方に…?」

 

朝陽の言葉に困惑する匙をよそに…

 

「いいからさっさとする! 猫娘は気、シアは魔力をあたしに送り込んでちょうだい!」

 

朝陽はさらなる命令を小猫とシアに言う。

 

「……気を?」

 

「おそらく、2人分の魔力と気を一時的に取り込んで一気に決めたいんだと思います」

 

困惑する匙と小猫にシアが推測を話す。

 

「そういうことなら…!」

 

「……わかりました」

 

シアの説明で納得した匙と小猫はそれぞれ行動に移す。

匙はラインを朝陽に繋ぎ、そのラインの先をシアと小猫に繋げる。

 

「……はぁ…!」

 

「行きますよ、朝陽さん!」

 

小猫から気、シアから魔力を供給された朝陽は…

 

「はぁ…!!」

 

オーラ状に練り上げた魔力と気をその身に纏い…

 

瞬閃刃(しゅんせんじん)ッ!!」

 

その名が示す通り、"瞬"く間に"閃"光の如き"刃"で敵を討つ。

 

 

 

・『兵士』イッセー+『兵士』仁村+『戦車』エルメス+『冥王』緋鞠

 

「行くぜ!」

 

「てやぁ!」

 

「退きなさい!」

 

「燃えなさい!」

 

先制攻撃としてイッセーが『龍牙の僧侶』となって町を破壊しない程度の砲撃を量産型邪龍の群れに放った後、イッセー、仁村の両名が近付いてくる量産型邪龍を吹き飛ばしていく。

そんな2人に負けじと緋鞠もまた量産型邪龍の火炎弾を冥王スキルで吸収し、そのエネルギーを用いた強力な炎熱系魔法で量産型邪龍を焼いていく。

そんな3人を後方から援護するエルメスは風系統の回復魔法を用いてダメージを回復させていた。

 

「同じ龍種だというのに…こんな禍々しい存在がいるなんて…」

 

量産型邪龍を見てエルメスは悲しそうな表情になる。

 

「こんな時に悲しんでる場合じゃないでしょうが!」

 

既に冥王化している緋鞠がエルメスにそんなことを言ってる。

 

「ですが…」

 

「今は戦闘中なのよ! 個人の感情よりも優先することがあるでしょうが!」

 

「っ…はい」

 

緋鞠の言葉にエルメスは気を引き締めたような表情になる。

アウロス学園を守る。

それが今のD×Dに与えられた任務であり、子供達の希望を守るための戦いなのだから…。

 

「赤龍帝! ちょっとアンタの炎を貸しなさい!」

 

「何する気だ!?」

 

「いいから! 一発デカいのを撃ち込むだけよ!」

 

朝陽みたく説明不足なため、意図は伝わりづらいが…

 

「わかったよ、とにかく炎だけでいいんだな?」

 

「えぇ。炎だけならまだしも、アンタの譲渡を貰ったらそれこそ暴発しかねないし!」

 

そう言った緋鞠は左手をイッセーの方に向け、右手を量産型邪龍達の方に向ける。

 

「なら、行くぜ。火の息!」

 

イッセーは龍王直伝の炎の息吹を緋鞠に向けて放つ。

 

「ブレイズ・ギャザー!」

 

緋鞠はその炎を吸収し…

 

「(くっ…流石に龍気は質量が違うか…!?)」

 

龍気で練られた炎を吸収するのは初めてで少し顔を顰めるものの…

 

「バーニング・ブレイザーッ!!」

 

その炎を自らの紅蓮の焔へと再変換して特大の砲撃として放つ。

町への影響も考えて空に向かって使っているが…発射地点である緋鞠の周りは少し(?)プチ焼け野原と化していた。

 

「すご…!?」

 

「俺の火の息をあんな風に使うなんて…!?」

 

「!?」

 

その光景に3人は少々度肝を抜かれたようだ。

 

「さぁ、どんどん行くわよ!」

 

そう言って緋鞠がさらに前に出る。

 

 

 

こうして量産型邪龍を撃退していくD×Dのメンバー達。

しかし、未だ予断の許された状況ではない。

 

何故なら北から紫炎のヴァルブルガ、南から邪龍グレンデルとラードゥンの襲来。

そして、これから絶望の尖兵が現れるのだから…。

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