「いじち...いいなあ...」
いじちっていうのは私のおともだち、いじちにじかちゃんの名字のこと。にじかちゃんはとっても優しくてはじめて会ったときもすみっこで本ばっかり読んでる私に話しかけてあそんでくれた。今日はお休みだからつまんない。それにとっても元気でいつもクラスの人気者。なんでそんな子がいつも私にたくさんかまってくれるのか分からないけど前にきいたら『リョウちゃんとあそぶのが1番たのしくて落ち着くから!』って言ってた。変なにじかちゃん。
そんな私の持ってないものをたくさん持ってるにじかちゃんだけど私が一番うらやましいのはやっぱりその名字。だって性格は変わるかもしれないけど名字は変わらないもん!山田ってなんかたくさんいすぎてやだ。ああ、私もいじちがよかったな。漢字でどう書くのかは知らないけど山田よりはかっこいい。いじちいじちいじちいじち、こころの中でくり返してみる。私もいじちになれたらよかったのにな...
...そっか!私もいじちになっちゃえばいいんだ!
”いじちりょう”
「ふへっ...」
やっぱりかっこいい。
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「もしもし。にじかさんいますか」
学校が終わったあと、先生にたのまれてお休みのにじかちゃんにおたより届けにきた。今日はにじかちゃんのお姉さんいるかな...お姉さん目がギロッしててこわいからやだな...
「あ!リョウちゃん!来てくれたの?ありがとう!」
よかった...!にじかちゃんだ。
「うん。これおたより。」
「ありがと!そうだ!リョウちゃん家って今日もお母さんたちおそいの?うちで遊んでかない?」
「えっと...にじかちゃんはもうお風邪だいじょうぶなの?」
「うん!もう元気いっぱい!なのにお姉ちゃんは静かにしてろーって言うからひまだったよー!」
「じゃあ遊びたい...!」
「決まり! お姉ちゃんに聞いてくるね!」
「お姉ちゃん!リョウちゃん来てくれたからおうちで遊んでもいい?」
「うちは良いけどお前病み上がりなんだから。風邪うつしたら悪いしちょっとだけな」
「はーい!リョウちゃん!遊んでいいって!」
「おじゃまします」
う...またあの目だ...こわい...
「今日は何して遊ぶ?」
「うーん...私はマルカしたい」
「わかった!でもやっぱり遊ぶ前に今日のノート見せてもらっても良い...?」
「ん。いいよ」
にじかちゃんは真面目だな。休んだ日のノートわざわざ写すなんて。
あれ?そういえばなんか授業以外のことかいてたような?
パラッ
「ありがとね!本当助かるよ!」
「...あれ?なにこれ。″いじちりょう″?」
あ。
背中がつめたくなってすぐにかおがあつくなる。今お水をかけたらジュッて音がしそうなくらい。
「あ...ちがう...!それはちがくて!」
「えー!なんで?なんで虹夏の名字?」
「あ...えと...」
本当にかおから火がでてるんじゃないかってくらい熱い...なんでこんなに恥ずかしいんだろ。悪いことしたわけじゃないのに...
「ねー!なんで!なんで!」
「えっと...だって...にじかちゃんの名字いいなあって思ったから...!」
「えへへっ...!そっかあ!ねえねえじゃあさ!」
にじかちゃんがにへって笑った。
「リョウちゃんが虹夏の妹になればいいよ!」
「虹夏ね!リョウちゃんみたいな妹がほしかったの!たくさんかわいがっちゃうぞお!」
その日はおなかとかほっぺとかいっぱいなでなでされた。
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「ふふっ」
「お?どしたの?リョウ?」
「んーん。何でもないよ。」
にじかおねーちゃん。
「ええ...何その呼び方...?変なの...」