オレは大筒木ワラシキ。遠路はるばる地球までやってきた宇宙人だ。今回は別に侵略に来たわけじゃない。十尾もさっき使い終わったばっかりだから、持ち合わせがないし。ただ上司的な人から人探しをするように言われて来ただけ。なんでも2人の同族が地球に行ったきり、帰ってこないらしい。今は地球の成層圏の外側からあたりをつけているところだ。
「なぁにこれぇ......」
あまりの光景に思わずそんな声が漏れた。
地上では戦争が起きていた。これ自体は珍しい話じゃない。知的生命体がいる星が10個あったら、そのうち3、4個くらいは戦争の最中だったりする。その時に使っている武器は先進的なものから石器まで星によってまちまちだが、今回のようなケースは初めてだ。
「普通にチャクラ使うじゃん......」
チャクラとは一種のエネルギーで、超常的な力を行使することが可能にするものだ。そしてそれは大筒木のみが持ち得る。今まで見た大筒木以外のどんな生命体もチャクラを持っていなかった。それがなんで地球人にあるのか。
そして極めつけは、十尾。通常の個体よりも圧倒的に強い力を感じる。なんならチャクラ量はオレより多い。ただ暴れ回っているだけでクソエイムだから、直接戦ったら勝てると思うけど、当たったら即死だ。なんでこんなのがここにいるかわからない。ここに来た同族が持ってた十尾を放し飼いにしているというだけでは説明がつかない。
「というか、どこにいるんだ?」
オレが探しに来た同族はカグヤとイッシキだ。基本的に大筒木は二人一組で行動するから、2つの大きなチャクラを見つければいいのだが、地球のどこを探してもそれらしきものは見当たらなかった。
ちなみに、オレは一人でこんなところに来ているが、つい数日前まで相方がいた。相方とは言っても オレよりも 立場が上の人だったが。『いた』『だった』から分かるように、彼はもうこの世いない。数日前に十尾の餌になった。しかも様々な不運が重なったせいで、器を用意することもできなかったから転生することもできない。ざまぁwwwwと思ったことは内緒だ。なお、チャクラの実はオレが美味しくいただきました。
「仕方ない。じっくり探すか」
もしかすると何かが起きてチャクラが枯渇しているのかもしれない。そうだったら片方をあの十尾に食わせて実をいただこう。もう片方も弱ってたら殺して、上司には2人はいなかったって伝えればいい。
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とりあえず、戦場の近くの海上に降り立った。十尾の尾獣玉の射程範囲内ではあるが、これほど離れていればどんなに速く流れ弾が飛んできても避けられる。
「やはりこの星の全ての人間がチャクラを持っているのか......」
繰り返すが、これは明らかに異常だ。チャクラを持つ人間には3つのパターンがある。1つ目は大元である神樹の実を食べていること。これは当然だ。2つ目はチャクラを持つ人間の子孫であること。遺伝で生まれた時からチャクラを持っている。そして3つ目はチャクラを分け与えられていることだ。
そう、この3つ目が重要だ。元々チャクラを持っていなかった人間の体に1度でもチャクラが宿ると、その後自前でチャクラを生成できる体に変化する。今回はおそらくカグヤとイッシキのどっちか、もしくは両方が地球人にチャクラを分け与えたのだろう。
「!」
ここでオレは気付いた。気付いてしまった。たぶん2人は超良質な実を収獲する方法を模索しているんだ。チャクラのない人間でさえ大量に集めて養分にすれば大筒木をパワーアップさせられる実になる。ではチャクラを持ってる人間を養分にしたらどうだろう?きっと、かつてないほどの実になるだろう。
これは大筒木にとっては喉から手が出るほど欲しい代物だ。当然オレも例外ではない。
「そうと決まれば、早く2人を探して......え?」
とりあえず人の多い場所に行こうと思ったその時、オレの横に尾獣玉があった。何を言っているのかわからないと思うが、一番わからないのはオレだ。なぜこんなに接近するまで気づかなかった?オレが気を抜いていたとか、尾獣玉が超スピードで飛んできたとかそんなチャチな話じゃない。
いや、そんなことより
「え、ちょ」
おいおいおい、死んだわオレ。