体の本来の持ち主の名前は日向ネジというらしい。瞳が大筒木に似ているとは思っていたが、それもそのはずネジは白眼を使えたのだ。これでまた一つ事情が明らかになった。カグヤは単にこの星の人間にチャクラを分け与えたのではなく、子どもまで作っていたということだ。
「さて、これからどうするか」
俺は再び成層圏の上まで来ていた。当然チャクラ反応を消した状態だ。あの扉間とかいう奴に見つかると面倒だからな。
さて、今戦いに行けばさっきよりはまともな勝負になることだろう。こうして自由に動く手足を獲得した以上、少なくとも一方的にやられるということはない。
ただ、せめて20%は解凍されていないと比捨門天ももう一つの神術もロクに機能しない。戦うにしても その2つを取り戻してからだ。この場合優先するべきは本来の任務、カグヤとイッシキの捜索だ。
「といっても生きてるかどうかも分からない連中を探すのは難しいぞ......」
2人の遺産と思わしき十尾は神樹へと変化していた。そういえば、先ほどは一旦置いておいたが、どうして変化が起きているのだろうか?大筒木を食わせていないのに。
「いや、もしやもう食っているのか?」
十尾はカグヤ、もしくはイッシキを食うことで既に神樹になったことがあり、何らかの理由で退行していた。つまりすでに条件を満たしていた可能性だ。わざわざ十尾に戻して戦力を得ようなどとは、これまた事例のない話である。それと同時に現状の説明がつく仮説でもある。
(.........ん?)
地上を白眼で観察していると、神樹のチャクラが異空間と繋がっているように見えた。目を凝らしてよく見てみると、異空間にはチャクラの動きがあった。距離からしておそらく氷の空間。生物が住めるような環境じゃない。そこからチャクラを感じるということは、誰かが時空間忍術を使って入ったということだ。しかも生存条件から考えて大筒木である可能性が高い。イッシキがそこにいるかもしれない。
(よし、行ってみるか)
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氷の空間に移動したら、
大量の分身に囲まれているせいで、遠くからでは白眼を使わないとカグヤを視認できない。分身は日向ネジの記憶にいたうずまきナルトのものだ。背中に求道玉がついていたり目の模様が違ったりして若干姿が違うが、まぁ同一人物だろう。それにしてもなかなかのチャクラ量だ。十尾の分裂体のうちの1匹を身に宿しているとはいえ、それだけでこうも大筒木と戦える奴は稀だ。
「らあっ!」
ナルトの攻撃手段は体術ばかり。大量の分身を駆使して全方位から攻撃を仕掛けている。忍術を使うと輪廻眼で吸収されてチャクラが無駄になるせいだろうか。一方で、カグヤは共殺しの骸骨を使って殺しにかかっている。あれは厄介だ。刺さったが最後、全身が徐々にボロボロに崩れて塵になるという即死技。しかも相手の肉体の強さに関係なく効力を発揮する。
しかし、カグヤはそれでもなお力をセーブしているように見える。俺が知っている彼女の力は大体こんなものだったが、白眼で見えるチャクラの量が明らかに増えていた。これが全力のはずがない。
大筒木は修行なんてしない。だから強くなったとしたらチャクラの実を食べたということになる。カグヤとイッシキが地球に向かう前からそこには神樹があり、実がなっていた。シバイは複数の星で同時に神樹を育てていたが、その全ての実を食らう前に神へと至った。要は彼にとっては食べる必要がなくなった実がいくつか残っているのだ。地球のもその1つ。それをカグヤが食ったのだろう。イッシキの姿がないところを見ると出し抜かれたと見て間違いない。
そして、星の命が全滅したとしても長い年月が過ぎれば生命というのは再び自然発生する。2人が地球にやってきた時、この星で再び生命体が活動を始めていた。だから、地球ではチャクラの実が2つ取れる。
ところで、さっきからめちゃくちゃ見られている気がする。"チャクラ反応を消しているんだったら、誰にも見つかるはずがない。だからそれはお前の自意識過剰だ。"そう思った奴、お前らあとで神樹の餌な。
大筒木はチャクラ関係なしに、一定の距離の中にいる同族を見つけることができる。このよくわからない繋がりは便宜上気配と呼ばれている。だから、さっきから早くこっちへ来いとジェスチャーしているカグヤもきっと俺のことを見つけている。
(いや、勘弁してくれよ。今俺がそこに飛び込んでも何もできないぞ)