デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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ACE100:英雄(ヒーロー)お嬢様(ヒロイン)のデート──服屋の店長と不思議な会話?

 

 

 

 黒江が秋乃さんを連れて、会計を済ませている間、()は時間潰しに、お店に並んでいる服を見ていた。

 

 

「──ねぇ、君。少し時間良いかしら?」

 

「……えっと、僕、ですか?」

 

 

 突然、がたいのいい男の人が僕に近づいてきた。

 

 僕は一瞬、自分なのか、わからず、少し間を置いて、男に質問する。

 

 

「そうよ、貴方よ。他に誰がいるのかしら?」

「……えっと、すみません。それでお話というのは何でしょうか?」

「何、そんなに大した時間は取らないわ。彼女とのデートを邪魔するワケにもいかないし……」

「はぁ、そうですか……」

 

 

 何の話をされるのか、僕はわからず、とりあえず、男の話を聞くことにした。

 

 

(それにしても、この人、喋り方に癖があるな……)

 

 

 ふっと、僕は男の喋り方に、そう思った。

 所謂(いわゆる)、おねえ口調だ、と、この時はそう思っていた。

 

 

 ──次の瞬間。男の質問に、僕は面食らった。

 

 

「──貴方、黒江の元カレ?」

 

「……え?」

 

 

 突然、男の質問に、僕は目を点にして、困惑した。

 

 それを見た男は「あら?違ったかしら?」と言って、僕は「違います」と、はっきりと答えた。

 

 

「そうなの?てっきり私、貴方と黒江が仲良いから、そういう関係なのかと──」

「違いますよ。花宮さんとは最近、仲良くなった友人です」

「──あら、そうなの?」

「はい。たまたま同じ趣味で仲良くなって……たまにお話する程度です……」

「その割には、随分と仲が良いようね?」

 

 

 そう言って、男は顔を近づけ、僕に問い詰める。

 いや、問い詰められても、違うものは違うので、これ以上、聞かれても、正直、困る。というか、なんで、この人は、僕が黒江の元カレなんて、思ったんだろう?

 

 

「──何やってんですか?店長?」

 

 

 ふっと、後ろから声が響き、僕と男はそっちに視点を向けた。

 

 そこには会計を終わらせた店員服を着た黒江と、お店の紙袋を持って、買った服に着替えていた秋乃さんの姿があった。

 

 

「あら、黒江?随分と仕事が早かったわね?」

「日頃から、店長の教えが良いので、早く終わりました」

「あら、褒めても何も出ないわよ?」

 

 

 などと、黒江と、この店の店長らしき男は軽口を言い合う。その姿はまるで弟子と師匠のような間柄(あいだがら)に、僕にはそう見えた。

 

 

「……それよりも店長、一つ、良いか?」

「あら、何かしら?黒江?」

「ウチをからかうのは別に良いけど、友達(ダチ)をからかうのはやめてもらいますか?」

「……」

 

 

 黒江の意外な言葉に、男は驚いた顔……にはなってない。が、何やら、意外そうな顔で、僕と黒江の顔を、交互に見る。

 

 

「あらあら、貴方達、本当に、“ただの"お友達なの?」

「だから、そう言ってますよ……」

「そうなの?黒江?」

「……そうっすよ。なので、店長が思うような関係じゃないっすよ?」

「そうなの?それなら……少し断念だわー」

 

 

 断念って、どういう神経をしているのか?と、僕はこの男に対して、嫌悪感を(いだ)いた。

 

 そう思っていると、男は突然、僕に視点を向けた。

 

 

「ゴメンナサイ。私ったら、つい勘違いしちゃったわ。お詫びに、何か一つ、サービスしちゃうわ」

「……え?」

 

 

 男は突然、謝罪し、同時に、何か、サービスをすると言い出した。

 それを聞いた僕は慌てて、「い、いえ、誰だって勘違いはしますよ!」と、言って、その場を(おさ)めようとした。

 

 

(何だ、ちゃんとすれば、この人、良い大人(ひと)じゃないか……)

 

 

 脳裏で、そう思っていると、男はまた、意外そうな顔をした。

 

 ただ、さっきと違うのが、少し赤面(せきめん)している。何で?

 

 

「あら、許してくれちゃうの?だとしたら、ステキ♪私、貴方のこと、惚れちゃうわ♪」

 

「「「……え?」」」

 

 

 うん、前言(ぜんげん)撤回(てっかい)。やっぱり、この人、苦手だわ。

 

 

「な、何フザケタことを言ってんだ!?アンタは!?」

「そ、そうですわ!勝様はわたくしの彼氏ですの!誰にも渡しませんわ!」

「ちょっと、秋乃さん!?」

 

 

 突然、慌てふためく、黒江と秋乃さん。

 秋乃さんに関しては僕の腕を掴む始末。いや、腕に当たっているんですが、気づいてます?秋乃さん?……何とは言いませんが、何とは。

 

 

「あー、もう!店長!そんなんだから、人に好かれないんでしょうが!」

「何よ!不良の貴方だけには言われたくないわよ!」

「不良で悪かったな!後、だけは余計だ!地味に傷つく……!」

 

 

 などと、喧嘩腰に話す黒江と男。

 

 それを見た僕は秋乃さんに、「今のうちに、こっそり、お店を出よう」と、小声て提案し、秋乃さんは「わかりましたわ」と言って、僕達はこっそり、お店を出た。

 

 

 

 

 

 いつも間にか、黒江(ウチ)と店長が口喧嘩をしている間に勝と彼女の姿はなく、ウチは持ち場に戻って、仕事を再開した。

 

 ん?店長はどうしたかって?ウチと口喧嘩した後、奥で服の採寸をしてる。あの人、見た目の割に、結構手際が良いんだよな。そこだけは見習わないとな……。

 

 あー、ウチがなんでバイトをしてるかと言うと、デュエマ甲子園の参加費や交通費、後、デッキを強化するために、カードを買う資産が必要だからだ。

 それで、夏休みに入る前に、この店でバイトを始めたんだ。

 

 瑠璃も前まではバイトをしていたらしいが、ジャシン帝と契約してからか、今はバイトをしていないんだよな。何でだ?

 

 結衣のヤツは今、何をしているかわからねぇ。が、何やら、マジックに新しい可能性を感じて、それの研究をしてる。

 

 

 ……そんな訳で、ウチらはそれぞれ、やれること、できることをやっている。

 

 

 まぁ、そんなことよりも。

 

 

「勝のヤツ、ちゃんと最後までデートできるか?いや、それよりも──」

 

 

 ──あの女、何を考えてやがる?

 

 何かを企んでるみたいだが、勝のヤツ、気づいてるか?

 

 

「……まー、ウチが気にしても仕方がないし、そのうち、勝も気づくだろ」

 

 

 そう、口にしたウチは仕事に集中した。

 

 

 

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