デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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ACE103:ラストデュエル(後編)

 

 

 

 残された3枚のシールドがブレイクされ、その中にシールド・トリガーがないか、僕は確認する。

 

 

「……シールド・トリガー!呪文、《スーパー・スパーク》っ!呪文の効果で、秋乃さんのクリーチャーを全てタップさせる!」

「っ!?ここで《スーパー・スパーク》!?」

 

 

 意外なカードに秋乃さんは驚く。《アルカディアス・モモキング》がいる中、僕は光以外の呪文しか唱えられない。

 しかし、この《スーパー・スパーク》は光の呪文。よって、《アルカディアス・モモキング》がいる中で、僕が唯一(ゆいいつ)唱えられる呪文だ。

 

 

「ターンエンド……ですが、わたくしの場には《EVE-鬼MAX》がいます。そして、《アルカディアス・モモキング》の効果で、勝様は最初に召喚するクリーチャーはタップ状態で出ることになります」

「うん、そうだね。盤面(ばんめん)的にみれば、ここで諦めるよね?普通なら……」

「普通なら……ですか。やはり、勝様は諦めないのですね」

「うん、諦めないよ。それに……さっきのシールドブレイクで、こっちの必要なパーツは揃った。だから、このターンで一気に決めさせてもらうよ!」

 

 

 そう言って、僕は山札に手を置く。

 

 置いた瞬間、僕は何かに引き寄せられるかのように、光に(つつ)まれた。

 

 

 

 

 

 光が晴れると、僕の目の前にボルシャック・カイザーやボルシャック・フォース・ドラゴンをはじめとするドラゴンとファイヤー・バード達の姿があった。

 

 

「ここが終極(しゅうきょく)だな……」

「そうかな?……いや、そうかもしれないね……」

「後悔はないか?」

「ない……と言えば、ウソになるかな」

「そうか……」

 

 

 僕の言葉に、ボルシャック・カイザーは悲しそうな顔をした。

 それを見た時、僕はボルシャック・カイザー、いや、ここにいる皆に問いかける。

 

 

「……最後まで付き合ってくれるか?」

「無論だ……さぁ、最後のフィナーレを飾るとしよう!」

「……ああ。いこう、皆──」

 

 

 

 

 

「──僕のターン!」

 

 

 ボルシャック達と最後の会話を終え、僕はカードを引く。

 引いたカードに、僕はニヤリ、と、笑い、目の前にいる秋乃さんに視点を向ける。

 

 

「いくよ、秋乃さん!これが僕の……僕達のラストターンだ!」

「っ!?そこまで言うのなら、この守りを崩してみせなさい!勝様!いいえ、勝!」

「ああ、崩してみせるよ、秋乃!」

 

 

 手札を1枚、マナに置き、その内の2枚をタップさせる。

 

 

「まずは《アシスター・コッピ》を召喚!そのコスト軽減で、《クック・(スクランブル)・ブルッチ》を3マナで召喚!」

 

 

 これで次に使うアーマードのコストを6軽減できる。

 

 

 ここで出すのは──コイツだ!

 

 

「2体の龍よ!今一度、僕と共に戦ってくれ!《覇炎竜 ボルシャック・ライダー》を召喚!」

 

 

 戦いの中、ボルシャック・フォース・ドラゴンがボルシャック・レイダーに進化し、その上にボルシャック・カイザーが乗ったボルシャック、《覇炎竜 ボルシャック・ライダー》。

 

 

 ──コイツが僕の切り札(ACE)で、このデッキの切り札だッ!

 

 

「いくよ、秋乃さん!スピードアタッカーの《ボルシャック・ライダー》でシールドを攻撃!この時、《ボルシャック・バラフィオル》の効果で、山札の上を捲り、それがコスト6以下の火のクリーチャーか、火のタマシードなら、バトルゾーンに出せる!」

 

 

 ボルシャック・ライダーの攻撃にボルシャック・バラフィオルは咆哮し、山札の上から1枚のカードが捲られた。

 捲られたのは《ボルシャック・ローレン・ドラゴン》。コスト5の火のクリーチャー。よって、このクリーチャーは場に出せる。

 

 

「コイツがこの状況を打開するカード!《ボルシャック・ローレン・ドラゴン》!場に出た時に、相手のコスト6以下のクリーチャーか、タマシードを破壊できる!──よって、《EVE-鬼MAX》を破壊!」

「!?《EVE-鬼MAX》の効果で、進化クリーチャー達の進化元のタマシードを3枚破壊して、《EVE-鬼MAX》を場に残します!そして、《ボルシャック・ライダー》の攻撃は通します!」

了解(オーケー)。それなら、各ブレイクの前にアーマード・メクレイド5を2回発動!」

 

 

 1回目のメクレイド。その中に《ボルシャック・アークゼオス》があったので、僕はそれを場に出す。

 

 2回目のメクレイド。その中にはこのデッキには欠かせないカードで、僕が僕であるためのカードがあった。

 

 

「来い!《ボルシャック・アークゼオス》!《ボルシャック・フォース・ドラゴン》!」

「!?そのカード達は……!?」

 

 

 ずっと、僕を支えてきたカード、僕を勝利に導いたカード、後一歩で勝利に近づけたカード、それらのカードが一堂(いちどう)(かい)して、集まってきた。

 

 

「《ボルシャック・アークゼオス》のアーマード・メクレイド5、発動!来い!《ボルシャック・(ストライク)・ルピア》!さらにファイヤー・バードが出たことで、《EVE-鬼MAX》とバトル!」

「《EVE-鬼MAX》の効果!《<レッゾ.Star>》と、その進化元の《<ソルフェニ.鬼>》……そして、《アルカディアス・モモキング》を破壊して、場に残します!」

 

 

 場に出た《ボルシャック・アークゼオス》のアーマード・メクレイド5で、ファイヤー・バードの《爆・ルピア》を場に出すことに成功。

 これによって、《ボルシャック・アークゼオス》は《EVE-鬼MAX》とバトル。ファイヤー・バード1体につき、パワーが+3000されるため、現在の《ボルシャック・アークゼオス》のパワーは140000。《アルカディアス・モモキング》で、パワーが上がっているとはいえ、《EVE-鬼MAX》のパワー11000。バトルには勝つが、《EVE-鬼MAX》は破壊できない。けど、他のクリーチャーを破壊することはできる。

 

 

 ──これが勝の狙いだ。

 

 

 このターン、秋乃に勝つには《EVE-鬼MAX》の敗北回避を突破しなければならない。そのためには、他の進化クリーチャーやタマシードを除去する必要がある。そのためには、ダイレクトアタックを追加で2回(おこな)わなければならない。

 

 だが、必ずしも、ダイレクトアタックを2回行わなければならないわけじゃない。《EVE-鬼MAX》を2回除去すれば、秋乃の場のカードを6枚破壊できる。

 これによって、わざわざ、ダイレクトアタックを2回行わなくても、確実に勝ちに繋がる。

 

 ただ、唯一の懸念点が秋乃の切り札、《<ライオネル.Star>》が残ったこと。シールド・トリガーでタマシードが出れば、《<ライオネル.Star>》の効果で追加で進化クリーチャーを呼べる。それが《スロットンの心絵》で、秋乃の手札に2枚目の《<ライオネル.Star>》があれば、《EVE-鬼MAX》の敗北回避能力がまた使える。

 

 1枚でもタマシードが出れば、それだけで勝利が遠のく。

 

 このギリギリの瞬間、彼らは瞬時に判断し、確実に勝つため、次に繋げるために、あるかもしれない可能性(イメージ)の中、戦っている。

 

 

「《ボルシャック・ライダー》で、シールドをW・ブレイク!」

「っ……シールドチェック……トリガーはありません!」

 

 

 勝の最初の攻撃。

 秋乃はシールド・トリガーに賭けるも、断念ながら、シールドの中にトリガーはあらず、それらを手札に加える。

 

 最初の攻撃が通ったことに、勝は静かに安堵(あんど)する。シールド・トリガーが出る可能性もあったが、()しくも、それはなかった。

 

 問題は次の攻撃。《轟・ブルッチ》のおかげで、勝のドラゴン・クリーチャーはすべてスピード・アタッカーを()ている。

 このターンに、秋乃のシールドをすべてブレイクするなら、パワーが6000ごとにブレイク数が1枚増える(パワード・ブレイカーを持った)《ボルシャック・アークゼオス》からだ。

 ただ、万が一、《轟・ブルッチ》が場から離れたら、勝の攻撃できるクリーチャーはスピードアタッカーを持った《爆・ルピア》と前のターンに出した《ボルシャック・バラフィオル》の2体のみ。

 より確実に勝利するなら、《ボルシャック・フォース・ドラゴン》から攻撃した方が良い。《ボルシャック・フォース・ドラゴン》には、自身を除く、味方全体にスピードアタッカーとパワーアタッカー+6000とパワード・ブレイカーを与える効果を持っている。

 その攻撃で《EVE-鬼MAX》と相打ちにし、適当なクリーチャーで《<ライオネル.Star>》をバトルで破壊。その後にシールドを攻撃すれば、勝の勝ちはほぼ確定する。

 ついでに《ボルシャック・バラフィオル》で呼び出したクリーチャーも、スピードアタッカーを与えられる。

 

 

 ──ここが勝負をわかつ、分水嶺(ぶんすいれい)

 

 

「……なんて考えるまでもないか!《ボルシャック・フォース・ドラゴン》で《EVE-鬼MAX》に攻撃!この時、《ボルシャック・バラフィオル》の効果で山札の上を捲って……よし!《ボルシャック・ローレン・ドラゴン》!」

「!?《ボルシャック・ローレン・ドラゴン》!?」

 

 

 ここに来て、2枚目の《ボルシャック・ローレン・ドラゴン》。

 2枚目が入っていたことに、秋乃は驚く。

 このカードは、場に出た時に、コスト6以下のクリーチャーを1体、または、コスト6以下のタマシード1つを破壊できる能力を持っている。

 

 つまり、まだ攻撃を受けていない《<ライオネル.Star>》も破壊できるのだ。

 

 

「登場効果で、《<ライオネル.Star>》を破壊!さらに《ボルシャック・フォース・ドラゴン》の効果で、自分の他のクリーチャーにスピードアタッカーとパワーアタッカー+6000とパワード・ブレイカーを与える!」

「ですが、パワーは《EVE-鬼MAX》と同じパワー9000!相打ちですわ!」

「《ボルシャック・ライダー》の効果で、自分のドラゴンが破壊される時、かわりにファイヤー・バードを破壊すれば、場に残る!よって、《爆・ルピア》を破壊して、《ボルシャック・フォース・ドラゴン》を場に残す!」

「……チッ」

 

 

 思わず、秋乃は舌打ちをする。

 本来であれば、まだ逆転の可能性があったのに、それらをすべて破壊された。

 

 

「さらに!破壊された《爆・ルピア》の効果で、アーマード・メクレイド8を発動!《ボルシャック・ドラゴン》を場に出して、《ボルシャック・バラフィオル》でシールドを攻撃!その攻撃に、山札を捲って……え?」

 

 

 捲られたのは《覇炎竜 ボルシャック・ライダー》。

 コストが7である。《ボルシャック・バラフィオル》で呼べるのはコスト6()()()のため、場に出せない。よって、このカードは墓地に置かれる。

 

 

「……まぁ、そういうこともあるよね。気を取り直して、《ボルシャック・バラフィオル》でシールドをT・ブレイク!」

 

 

 本来ならW・ブレイカーだが、《ボルシャック・フォース・ドラゴン》の効果で、《ボルシャック・バラフィオル》はパワード・ブレイカーとパワーアタッカー+6000が付与されている。

 よって、今の《ボルシャック・バラフィオル》はパワー15000のT・ブレイカーである。

 

 秋乃のシールドは3枚。

 シールド・トリガーが出なければ、次の勝の攻撃で、勝の勝ちである。

 

 

「……シールドチェック」

 

 

 恐る恐る、秋乃は残された3枚のシールドの中見を覗く。

 ここでシールド・トリガーが出なければ、秋乃は敗北する。

 だが、ここでシールド・トリガーが出れば、秋乃にも、まだチャンスがある。

 

 その可能性を信じて、彼女はシールドの中見を見る。

 

 

 ──だが、勝利の女神は秋乃に微笑まなかった。

 

 

「……トリガーはありません」

 

 

 静かに、シールド・トリガーがないことを秋乃は宣言する。

 

 それを聞いた勝は《ボルシャック・アークゼオス》に手を置く。

 

 

「……《ボルシャック・アークゼオス》で、ダイレクトアタック」

 

 

 

 

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