残された3枚のシールドがブレイクされ、その中にシールド・トリガーがないか、僕は確認する。
「……シールド・トリガー!呪文、《スーパー・スパーク》っ!呪文の効果で、秋乃さんのクリーチャーを全てタップさせる!」
「っ!?ここで《スーパー・スパーク》!?」
意外なカードに秋乃さんは驚く。《アルカディアス・モモキング》がいる中、僕は光以外の呪文しか唱えられない。
しかし、この《スーパー・スパーク》は光の呪文。よって、《アルカディアス・モモキング》がいる中で、僕が
「ターンエンド……ですが、わたくしの場には《EVE-鬼MAX》がいます。そして、《アルカディアス・モモキング》の効果で、勝様は最初に召喚するクリーチャーはタップ状態で出ることになります」
「うん、そうだね。
「普通なら……ですか。やはり、勝様は諦めないのですね」
「うん、諦めないよ。それに……さっきのシールドブレイクで、こっちの必要なパーツは揃った。だから、このターンで一気に決めさせてもらうよ!」
そう言って、僕は山札に手を置く。
置いた瞬間、僕は何かに引き寄せられるかのように、光に
光が晴れると、僕の目の前にボルシャック・カイザーやボルシャック・フォース・ドラゴンをはじめとするドラゴンとファイヤー・バード達の姿があった。
「ここが
「そうかな?……いや、そうかもしれないね……」
「後悔はないか?」
「ない……と言えば、ウソになるかな」
「そうか……」
僕の言葉に、ボルシャック・カイザーは悲しそうな顔をした。
それを見た時、僕はボルシャック・カイザー、いや、ここにいる皆に問いかける。
「……最後まで付き合ってくれるか?」
「無論だ……さぁ、最後のフィナーレを飾るとしよう!」
「……ああ。いこう、皆──」
「──僕のターン!」
ボルシャック達と最後の会話を終え、僕はカードを引く。
引いたカードに、僕はニヤリ、と、笑い、目の前にいる秋乃さんに視点を向ける。
「いくよ、秋乃さん!これが僕の……僕達のラストターンだ!」
「っ!?そこまで言うのなら、この守りを崩してみせなさい!勝様!いいえ、勝!」
「ああ、崩してみせるよ、秋乃!」
手札を1枚、マナに置き、その内の2枚をタップさせる。
「まずは《アシスター・コッピ》を召喚!そのコスト軽減で、《クック・
これで次に使うアーマードのコストを6軽減できる。
ここで出すのは──コイツだ!
「2体の龍よ!今一度、僕と共に戦ってくれ!《覇炎竜 ボルシャック・ライダー》を召喚!」
戦いの中、ボルシャック・フォース・ドラゴンがボルシャック・レイダーに進化し、その上にボルシャック・カイザーが乗ったボルシャック、《覇炎竜 ボルシャック・ライダー》。
──コイツが僕の
「いくよ、秋乃さん!スピードアタッカーの《ボルシャック・ライダー》でシールドを攻撃!この時、《ボルシャック・バラフィオル》の効果で、山札の上を捲り、それがコスト6以下の火のクリーチャーか、火のタマシードなら、バトルゾーンに出せる!」
ボルシャック・ライダーの攻撃にボルシャック・バラフィオルは咆哮し、山札の上から1枚のカードが捲られた。
捲られたのは《ボルシャック・ローレン・ドラゴン》。コスト5の火のクリーチャー。よって、このクリーチャーは場に出せる。
「コイツがこの状況を打開するカード!《ボルシャック・ローレン・ドラゴン》!場に出た時に、相手のコスト6以下のクリーチャーか、タマシードを破壊できる!──よって、《EVE-鬼MAX》を破壊!」
「!?《EVE-鬼MAX》の効果で、進化クリーチャー達の進化元のタマシードを3枚破壊して、《EVE-鬼MAX》を場に残します!そして、《ボルシャック・ライダー》の攻撃は通します!」
「
1回目のメクレイド。その中に《ボルシャック・アークゼオス》があったので、僕はそれを場に出す。
2回目のメクレイド。その中にはこのデッキには欠かせないカードで、僕が僕であるためのカードがあった。
「来い!《ボルシャック・アークゼオス》!《ボルシャック・フォース・ドラゴン》!」
「!?そのカード達は……!?」
ずっと、僕を支えてきたカード、僕を勝利に導いたカード、後一歩で勝利に近づけたカード、それらのカードが
「《ボルシャック・アークゼオス》のアーマード・メクレイド5、発動!来い!《ボルシャック・
「《EVE-鬼MAX》の効果!《<レッゾ.Star>》と、その進化元の《<ソルフェニ.鬼>》……そして、《アルカディアス・モモキング》を破壊して、場に残します!」
場に出た《ボルシャック・アークゼオス》のアーマード・メクレイド5で、ファイヤー・バードの《爆・ルピア》を場に出すことに成功。
これによって、《ボルシャック・アークゼオス》は《EVE-鬼MAX》とバトル。ファイヤー・バード1体につき、パワーが+3000されるため、現在の《ボルシャック・アークゼオス》のパワーは140000。《アルカディアス・モモキング》で、パワーが上がっているとはいえ、《EVE-鬼MAX》のパワー11000。バトルには勝つが、《EVE-鬼MAX》は破壊できない。けど、他のクリーチャーを破壊することはできる。
──これが勝の狙いだ。
このターン、秋乃に勝つには《EVE-鬼MAX》の敗北回避を突破しなければならない。そのためには、他の進化クリーチャーやタマシードを除去する必要がある。そのためには、ダイレクトアタックを追加で2回
だが、必ずしも、ダイレクトアタックを2回行わなければならないわけじゃない。《EVE-鬼MAX》を2回除去すれば、秋乃の場のカードを6枚破壊できる。
これによって、わざわざ、ダイレクトアタックを2回行わなくても、確実に勝ちに繋がる。
ただ、唯一の懸念点が秋乃の切り札、《<ライオネル.Star>》が残ったこと。シールド・トリガーでタマシードが出れば、《<ライオネル.Star>》の効果で追加で進化クリーチャーを呼べる。それが《スロットンの心絵》で、秋乃の手札に2枚目の《<ライオネル.Star>》があれば、《EVE-鬼MAX》の敗北回避能力がまた使える。
1枚でもタマシードが出れば、それだけで勝利が遠のく。
このギリギリの瞬間、彼らは瞬時に判断し、確実に勝つため、次に繋げるために、
「《ボルシャック・ライダー》で、シールドをW・ブレイク!」
「っ……シールドチェック……トリガーはありません!」
勝の最初の攻撃。
秋乃はシールド・トリガーに賭けるも、断念ながら、シールドの中にトリガーはあらず、それらを手札に加える。
最初の攻撃が通ったことに、勝は静かに
問題は次の攻撃。《轟・ブルッチ》のおかげで、勝のドラゴン・クリーチャーはすべてスピード・アタッカーを
このターンに、秋乃のシールドをすべてブレイクするなら、
ただ、万が一、《轟・ブルッチ》が場から離れたら、勝の攻撃できるクリーチャーはスピードアタッカーを持った《爆・ルピア》と前のターンに出した《ボルシャック・バラフィオル》の2体のみ。
より確実に勝利するなら、《ボルシャック・フォース・ドラゴン》から攻撃した方が良い。《ボルシャック・フォース・ドラゴン》には、自身を除く、味方全体にスピードアタッカーとパワーアタッカー+6000とパワード・ブレイカーを与える効果を持っている。
その攻撃で《EVE-鬼MAX》と相打ちにし、適当なクリーチャーで《<ライオネル.Star>》をバトルで破壊。その後にシールドを攻撃すれば、勝の勝ちはほぼ確定する。
ついでに《ボルシャック・バラフィオル》で呼び出したクリーチャーも、スピードアタッカーを与えられる。
──ここが勝負をわかつ、
「……なんて考えるまでもないか!《ボルシャック・フォース・ドラゴン》で《EVE-鬼MAX》に攻撃!この時、《ボルシャック・バラフィオル》の効果で山札の上を捲って……よし!《ボルシャック・ローレン・ドラゴン》!」
「!?《ボルシャック・ローレン・ドラゴン》!?」
ここに来て、2枚目の《ボルシャック・ローレン・ドラゴン》。
2枚目が入っていたことに、秋乃は驚く。
このカードは、場に出た時に、コスト6以下のクリーチャーを1体、または、コスト6以下のタマシード1つを破壊できる能力を持っている。
つまり、まだ攻撃を受けていない《<ライオネル.Star>》も破壊できるのだ。
「登場効果で、《<ライオネル.Star>》を破壊!さらに《ボルシャック・フォース・ドラゴン》の効果で、自分の他のクリーチャーにスピードアタッカーとパワーアタッカー+6000とパワード・ブレイカーを与える!」
「ですが、パワーは《EVE-鬼MAX》と同じパワー9000!相打ちですわ!」
「《ボルシャック・ライダー》の効果で、自分のドラゴンが破壊される時、かわりにファイヤー・バードを破壊すれば、場に残る!よって、《爆・ルピア》を破壊して、《ボルシャック・フォース・ドラゴン》を場に残す!」
「……チッ」
思わず、秋乃は舌打ちをする。
本来であれば、まだ逆転の可能性があったのに、それらをすべて破壊された。
「さらに!破壊された《爆・ルピア》の効果で、アーマード・メクレイド8を発動!《ボルシャック・ドラゴン》を場に出して、《ボルシャック・バラフィオル》でシールドを攻撃!その攻撃に、山札を捲って……え?」
捲られたのは《覇炎竜 ボルシャック・ライダー》。
コストが7である。《ボルシャック・バラフィオル》で呼べるのはコスト
「……まぁ、そういうこともあるよね。気を取り直して、《ボルシャック・バラフィオル》でシールドをT・ブレイク!」
本来ならW・ブレイカーだが、《ボルシャック・フォース・ドラゴン》の効果で、《ボルシャック・バラフィオル》はパワード・ブレイカーとパワーアタッカー+6000が付与されている。
よって、今の《ボルシャック・バラフィオル》はパワー15000のT・ブレイカーである。
秋乃のシールドは3枚。
シールド・トリガーが出なければ、次の勝の攻撃で、勝の勝ちである。
「……シールドチェック」
恐る恐る、秋乃は残された3枚のシールドの中見を覗く。
ここでシールド・トリガーが出なければ、秋乃は敗北する。
だが、ここでシールド・トリガーが出れば、秋乃にも、まだチャンスがある。
その可能性を信じて、彼女はシールドの中見を見る。
──だが、勝利の女神は秋乃に微笑まなかった。
「……トリガーはありません」
静かに、シールド・トリガーがないことを秋乃は宣言する。
それを聞いた勝は《ボルシャック・アークゼオス》に手を置く。
「……《ボルシャック・アークゼオス》で、ダイレクトアタック」