お店の中はわりと普通だった。
特別、猫の衣装や猫のカチューシャなどを着けている店員がいるわけでもなく、皆、営業用の私服にエプロンを着けていた。
強いて言えば、客人と来ている学生が多いことか。
「……なんと言いますか、普通ですね」
「てっきり、店員が猫の衣装を着てるとばかり、想像してたけど、拍子抜けね」
「ですね!」
「テメエら、それ、どう言う意味だ?」
「変態の先輩が好む店だから、そういうものかと……」
「ヨーシ、テメエら、表出ろ。いや、ここはデッキを構えろ。オレの新しいデッキでボコボコにしてやるぞ?」
「はいはい。そう慌てなくても、大会が始まれば、皆、デッキを構えるから、デッキをしまってください、早峰先輩。咲恋ちゃん達も、早峰先輩を煽らないの。仮に事実だとしても、そういう失礼なことは言わないの」
「テメエが一番、失礼なこと言ってんだよッ!火野!」
「火野?火野って、もしかして……」
想が大きな声で、勝の苗字を呼ぶと、突然、黒髪の長い女性の店員が勝達に近づいてきた。
「ねぇ、君」
「あ?なんだよ?」
「さっき、火野って言ってたけど……それって、彼のこと」
「あ?ああ、そうだけど……」
想がそう返事を返すと、女性は勝に近いた。
「……やっぱり、アンタ、勝ね」
「え?」
今度は名前を呼ばれて、勝は驚き、それ見て、女性は猫耳のカチューシャを取り出し、頭に着けた。
「!?君は、もしかして、キャルちゃん……?」
それを見て、勝は彼女の名を上げた。
彼女の名は『キャル』。本名は『
勝が以前通っていた山猫学園のクラスメイトである。
「久しぶりね、勝!」
「久しぶりだね、キャルちゃん。少し見ない間に、雰囲気が変わったね」
「まーね。こっちも色々あったし、アンタも色々あったみたいだし、お互い、少し変わったわね。そこにいるのは……部活仲間?」
「うん。そうだよ……」
勝の返事を聞いて、キャルは咲恋達の前に出た。
「自己紹介が遅れたわね。私は猫崎瑠璃。よろしく」
「私は斎条咲恋。生徒会長で、このメンバーの部長を務めてるよ。よろしく」
「私は明星ひよりです!勝先輩の弟子です!」
「月野マリです。勝様の身の回りのお世話をしてます」
「……早峰想。三年生だ」
「め、眼鏡翔、です!い、一年です!よろしくお願いします!」
「もう、アンタ、固いわよ。男の子なら、もう少ししっかりしなさい。ね?」
「は、はい!善処します!」
「うん。良い返事ね……」
一通りの自己紹介を終えると、ひよりはキャルに質問する。
「あの、さっき、キャルって呼ばれてましたけど、あれ、どういう意味ですか?」
「?あぁ、アレね。私のプレイヤーネームよ。プレイヤーネーム」
「プレイヤーネーム……猫崎さんは何かゲームをやってるの?」
「キャルで良いわよ。後、さん付けもなしよ。多分、同い年なんだし、部長なら、堂々としてなさい」
「え、ええ、そうね……」
コミュニケーション能力が高いのか、キャルの対応に、咲恋は後ずさる。
「えーと、何かゲームをやってるか、だったわね。見て分からない?この店で働いているってことは、そういうことよ……」
「え?えーと……」
「……テメエも
「ピンポーン。アタリね。特にこれといったものはないけど、ご褒美に飴ちゃんをあげるわ」
「お、おう、ありがと……」
想が答えると、キャルは服のポケットから飴を取り出し、想に渡す。
渡された想はそう小さく、返事を返した。
それを見て、勝は少し驚き、キャルに声をかける。
「……キャルちゃん、本当に変わったね。随分と明るくなったし、何か良いことでもあった?」
「……さぁね。強いて言えば、アンタが居なくなって、1人になって、どうしたものか、と、考えた時に……とりあえず、明るく、元気に、そして、心を強くして、私をいじめてた奴らを仕返してやったわ!そうしたら、もう心がスッキリしたの?あの時は嬉しかったわー」
「!?キャルちゃん、それって、もしかして……」
嫌な予感がした。勝はそう思ったが、キャルはすぐにそれを否定した。
「安心して。特別、手を出してないわ。ただ、今までやられたことをやり返しただけよ。そーしたら、先生に『お前のようなヤツは我が校には必要ない!この学園から去れー!』って、言われたわ。それを聞いて、私は言われた通り、学園から出ていってやったわ!いやー、あの時の先生の姿、アンタに見せたかったわー」
「え……?」
活気に溢れて、喋るキャルに、勝は呆気に取られて、驚いてしまった。
「ちょっと待って。それって……」
「──ええ、そうよ。私、退学させられたの」
もう1話書いたら、それからデュエルシーンを描きます。なので、もう少しお待ちを。