デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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2話目です。
勢いが落ちないうちに投稿です。
それではどうぞ。


ACE2:覇道を示すは、勝利の龍装者。

 

 

 

「タマシード・クリーチャー!?しかも、3マナ、パワー9000のW(ダブル)・ブレイカーだとぉッ……!」

 

 勝が出したタマシード・クリーチャー、《ボルシャック・フォース・ドラゴン》に想は驚く。

 それと同時に、周囲の生徒達も騒めき始めた。

 

「マジかよ、あいつ!」

「まだ先行3ターン目なのに、もう切り札を出してきた!?」

「スゲェな、アイツ!」

「この勝負、わからなくなってきたな!」

「ああ!ついに、想も見納めだな!」

「ガンバレー!転校生!」

「想をぶっ飛ばせー!」

 

 騒めく生徒達。しかし、中には勝を応援する者もいた。

 それは想に負けた翔も同じ気持ちだった。

 

「これはもう、あの人の勝ちですね!ですよね?生徒会長?」

「……」

 

 ただ一人、咲恋だけは違った。

 その表情はとても険しかった。

 理由はただ一つ。勝が召喚した《ボルシャック・フォース・ドラゴン》を出すタイミングだった。

 

(まだ出すのは速いわよ……しかも、パーツが一枚足りてないし、どうするつもりなの?)

 

 そう咲恋が思う中、それを知らない勝は《ボルシャック・フォース・ドラゴン》の効果を発動する。

 

「《ボルシャック・フォース・ドラゴン》の効果!このタマシードが出た時、パワー4000以下のクリーチャーを1体、破壊できる!《カメヲロォル》を破壊!」

「クソ、《カメヲロォル》が!」

「さらに!《アニー・ルピア》で、《鬼面城》が要塞化されてるシールドを攻撃!」

「ッ、トリガーはない……!」

 

 勝の怒涛の攻撃に、想はなすすべもなく、受ける。

 挙句、先程、《アニー・ルピア》でブレイクされたシールドはS(シールド)・トリガーの《終末の時計(ラグナロク) ザ・クロック》だった。にも関わらず、想は《カメヲロォル》と《鬼面城》の両方を失った反動で、まともな判断ができなかった。

 

「これで、ターンエンドっ!」

「調子に乗ってんじゃねぇッ!」

「っ!?」

 

 突然、叫び出す想。その叫び声に流石の勝も驚き、身構える。

 

「勝つのはオレだ!そして、負けるのは……お前だ、転校生!オレのターン、ドロー!マナチャージ!」

「っ、火文明のカード!?まさか!?」

「その、まさかだ!」

 

 想のマナゾーンに新たに置かれた火文明のカードに驚き、次に想が何をするのか、勝は察した。

 それを見た想は叫び、一枚のカードを宣言する。

 

「まずは、B(バッド)A(アクション)D(ダイナマイト)S(スペル)2を発動ッ!この呪文のコストを2少なくするかわりに、手札を1枚捨てる!3マナで呪文、《“必駆(ビッグ)蛮触礼亞(バンフレア)》ッ!」

「っ、その呪文は!?」

 

 想が見せた呪文に勝は驚く。

 無理もない。《“必駆” 蛮触礼亞》は手札のビートジョッキーを1体、ただで出せる呪文なのだ。代わりに、ターンの終わりに破壊されるが、ビートジョッキーの殆どがスピードアタッカーを持っており、出したターンにすぐに攻撃できるのだ。

 つまり、想は今からスピードアタッカーを持ったビートジョッキーを出し、このターンで一気に、勝を追い詰めるのだ。

 

「出番だ、《“麗片禅(レペゼン)戦車(せんしゃ) バッドラマー》ッ!《“必駆” 蛮触礼亞》の効果で、オレの《バッドラマー》と、テメエの《アニー・ルピア》を強制バトル!破壊だ!」

「《アニー・ルピア》が……!」

 

 無惨に破壊される《アニー・ルピア》。

 対して、想は手を緩めず、《バッドラマー》の効果を発動する。

 

「さらに、バトルに勝利した《バッドラマー》の効果を発動!コイツがバトルに勝った時、カードを1枚引き、B(バッド)A(アクション)D(ダイナマイト)を持つ、ビートジョッキーを1体、手札から場に出せる!ただし、ターンの終わりに、そいつは破壊される!だが、そんなことは関係ねぇ!」

「っ、まさか!?」

 

 勝は想が《バッドラマー》から出そうとしているビートジョッキーが何なのか、予想した。

 そして、その予想は、見事に的中した。

 

「覇道を示せ、勝利の龍装者!《勝利龍装(しょうりりゅうそう) クラッシュ“覇道(ヘッド)”》ッ!」

 

「あ、アレは……!」

「!?ちょっと、どうしたの、君?」

 

 想が場に出した《クラッシュ“覇道”》に、翔は震えた声を出し、突然、地面に膝をつき、それを見た咲恋は翔に声を掛ける。

 

「まずい……このままじゃ、あの人は俺と同じ目に遭います。こうなったら、もう、誰も、早峰先輩を止めることはできません……」

「……そんなことはないわ」

「え?」

「アイツは絶対に勝つ。何故なら、ボルシャックを使ったアイツが負けたところを、私は一度も見てない……だから……」

 

(だから、私はアンタを最後まで信じているわよ、勝……)

 

 戦意を失ったかのような目になる翔に対して、咲恋は最後まで勝が勝つことを信じ、真っ直ぐ、勝と想の二人のデュエマを見届ける。

 

「コイツで、テメエは地獄行きだぁ!スピードアタッカーの《クラッシュ“覇道”》でW・ブレイクッ!」

「……トリガーはない」

「続いて、スピードアタッカーの《バッドラマー》で攻撃!この時、自分のクリーチャーの2回目の攻撃時に、手札の《龍装者 バルチュリス》を見せて、効果を発動!」

「ッ……!」

 

 突然、想は《バッドラマー》の攻撃時に、手札にある《バルチュリス》を見せる。

 その効果は2回目のクリーチャーのアタック後、自身を場に出せる。しかも、《バルチュリス》はスピードアタッカーを持っている。

 つまり、《バッドラマー》のアタックの後、想はスピードアタッカーの《バルチュリス》で、勝のシールドを0枚にするのだ。

 

「トリガーは……ないです」

「《バッドラマー》のアタック後、《バルチュリス》を場に出す!これで、テメエのシールドをゼロにしてやるぜ!」

「……」

 

 勝利を確信した想は、勢いのまま、勝の最後のシールドをブレイクしようと、《バルチュリス》に手を置く。しかし、そこで想は手を止めて、黙り込んでいる勝を見る。

 

(戦意喪失か?いや、それにしては静かすぎるな……待てよ。まさか、コイツ……!?)

 

 慌てる様子もない。絶望する様子もなければ、その素振りもない。見えるのは、この場を静かに、冷静に、眺めている。

 

(さっきの攻撃で、必要なパーツは揃った。後は……この状況をひっくり返すカードを引ければ、まだ勝機はある……!)

 

 否、眺めているのではない。分析しているのだ。

 この状況を逆転できる術を、ひたすらに考えているのだ。

 

「オイ、先に言っておくぞ、転校生。タップされた《クラッシュ“覇道”》が破壊された時、俺は追加ターンを得る。つまり、どうあがいても、テメエに勝ち目はねぇ、諦めろ!」

 

 それに気づいた想はイライラを感じずにはいられず、勝にそう強く言い放す。

 

「……だとしても、諦める理由にはなりませんよ」

「何?」

「デュエマはその時、その瞬間、その一瞬で、あらやる状況をひっくり返します。どんなに絶望的な盤面であろうと、諦めなければ、必ず、道は開けます……ループデッキ以外は、ですがね……」

 

 当たり前だ。そんな当たり前のことを、勝は平然と言ってのける。

 

「……諦めなければ……道は……開ける……」

 

 いつも間にか、そう静かに、翔は言い、それを聞いた咲恋は呆れ半分に溜め息を漏らした。

 

「はぁ、アイツはいつもそう。ああいう恥ずかしいことをサラッと言ってしまうんだから……」

「……でも、なんとなく、わかる気がします。生徒会長が言った言葉の意味も」

「え……?」

 

 いつも間にか、立ち上がった翔に咲恋は驚き、どういうことか、問いかけようとする前に、想の大きな叫び声で、遮られた。

 

「だったら、この状況をひっくり返してみろよ!《バルチュリス》で、最後のシールドをブレイクッ!」

「シールド・トリガー、発動っ!」

「ハッ!今更、《スーパー・スパーク》が出たところで、何の意味もねぇ!さっさと、諦め────」

「反撃だ、《ボルシャック・テイル・ドラゴン》っ!《バルチュリス》と強制バトルっ!」

「ハァッ!?」

 

 突如、勝のシールドから現れたクリーチャー、《ボルシャック・テイル・ドラゴン》に面喰らい、想は驚く。

 

「なんでそんなものが入っていやがる!?普通は入らないだろ!?」

「僕、普通じゃないんで、こういうの、入れる人なので、諦めてください、先輩」

「答えになってない!」

 

 正に、その通りである。

 

「クソ、ターンエンド!ターンの終わりに《バッドラマー》と《クラッシュ“覇道”》を破壊!タップ状態で破壊された《クラッシュ“覇道”》の効果で、俺は追加ターンを得る!」

 

 そう言って、カードを引き、マナを増やして、2枚のマナをタップした。

 

「《熱湯グレンニャー》を召喚!効果で一枚ドロー!残りの2マナで《異端流しオニカマス》を召喚!ターンエンド!まだだ!次のターンが来れば、オレの勝ちは確定する!」

「……先輩、それ、負けフラグです。そして、それを今から回収します。ドロー。マナをチャージせず、3マナで《単騎連射(ショートショット) マグナム》を召喚します」

「ッ!?《単騎マグナム》だとぉッ!?」

 

 勝が出したクリーチャー、《単騎連射 マグナム》に想は絶叫した。

 何故なら、《単騎マグナム》は想が出した《鬼面城》と同じ、デッキに1枚しか入れられない、殿堂カードだからだ。

 その効果は勝のターン中、想のクリーチャーが場に出るかわりに、破壊されるのだ。この《単騎マグナム》の恐ろしいところは、場に出たクリーチャーの効果が発動されないのだ。

 つまり、勝のターン中、想はシールド・トリガーを持ったクリーチャーを場に出しても、《単騎マグナム》で破壊され、《クロック》のような、場に出た時に発動する効果が発動されないのだ。

 

「さらに、自分の場にドラゴンがいるので、G(グラビティ)・0で、《レクタ・アイニー》を召喚!これで僕の場に、火のクリーチャーか、火のタマシードが合計4枚以上なので、《ボルシャック・フォース・ドラゴン》はクリーチャーになる!《ボルシャック・フォース・ドラゴン》で攻撃!攻撃時に、自分の他のクリーチャーに『スピードアタッカー』と『パワーアタッカー+6000』と『パワード・ブレイカー』を与える!」

「な、なんだとぉッ!?」

 

 これにより、先程出した《単騎マグナム》と《レクタ・アイニー》の2体は攻撃に参加できる。

 因みに、パワード・ブレイカーを得たクリーチャーはパワーが6000毎に、ブレイク数を一つ追加する。そして、パワーアタッカーは攻撃時に強制的に発動する能力。つまり、勝のクリーチャーは今、殆どがW・ブレイカー以上を持っているのだ。

 

「《ボルシャック・フォース・ドラゴン》で、W・ブレイクっ!」

「クソッ!《単騎マグナム》がいなければ、《クロック》が出せたのに……!」

 

 ブレイクされたシールドの中に3枚目の《クロック》があったが、《単騎マグナム》の存在により、悪態をつけるしかない、想。

 

「さらに、《単騎マグナム》で、W・ブレイクッ!」

「ッ、シールド・トリガー!呪文、《スパイラル・ゲート》!効果で、《レクタ・アイニー》をバウンスだ!」

 

 最後の最後で、トリガーで返す、想。しかし、勝の場にはまだ、攻撃可能な《ボルシャック・テイル・ドラゴン》がいる。

 

「これで、最後です!《ボルシャック・テイル・ドラゴン》でダイレクトアタックっ!」

 

 勝者、勝。見事、翔の仇を討ち、想に勝ったのだ。

 

 

 




次回は後日談。その後は未定です。
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