勢いが落ちないうちに投稿です。
それではどうぞ。
「タマシード・クリーチャー!?しかも、3マナ、パワー9000の
勝が出したタマシード・クリーチャー、《ボルシャック・フォース・ドラゴン》に想は驚く。
それと同時に、周囲の生徒達も騒めき始めた。
「マジかよ、あいつ!」
「まだ先行3ターン目なのに、もう切り札を出してきた!?」
「スゲェな、アイツ!」
「この勝負、わからなくなってきたな!」
「ああ!ついに、想も見納めだな!」
「ガンバレー!転校生!」
「想をぶっ飛ばせー!」
騒めく生徒達。しかし、中には勝を応援する者もいた。
それは想に負けた翔も同じ気持ちだった。
「これはもう、あの人の勝ちですね!ですよね?生徒会長?」
「……」
ただ一人、咲恋だけは違った。
その表情はとても険しかった。
理由はただ一つ。勝が召喚した《ボルシャック・フォース・ドラゴン》を出すタイミングだった。
(まだ出すのは速いわよ……しかも、パーツが一枚足りてないし、どうするつもりなの?)
そう咲恋が思う中、それを知らない勝は《ボルシャック・フォース・ドラゴン》の効果を発動する。
「《ボルシャック・フォース・ドラゴン》の効果!このタマシードが出た時、パワー4000以下のクリーチャーを1体、破壊できる!《カメヲロォル》を破壊!」
「クソ、《カメヲロォル》が!」
「さらに!《アニー・ルピア》で、《鬼面城》が要塞化されてるシールドを攻撃!」
「ッ、トリガーはない……!」
勝の怒涛の攻撃に、想はなすすべもなく、受ける。
挙句、先程、《アニー・ルピア》でブレイクされたシールドは
「これで、ターンエンドっ!」
「調子に乗ってんじゃねぇッ!」
「っ!?」
突然、叫び出す想。その叫び声に流石の勝も驚き、身構える。
「勝つのはオレだ!そして、負けるのは……お前だ、転校生!オレのターン、ドロー!マナチャージ!」
「っ、火文明のカード!?まさか!?」
「その、まさかだ!」
想のマナゾーンに新たに置かれた火文明のカードに驚き、次に想が何をするのか、勝は察した。
それを見た想は叫び、一枚のカードを宣言する。
「まずは、
「っ、その呪文は!?」
想が見せた呪文に勝は驚く。
無理もない。《“必駆” 蛮触礼亞》は手札のビートジョッキーを1体、ただで出せる呪文なのだ。代わりに、ターンの終わりに破壊されるが、ビートジョッキーの殆どがスピードアタッカーを持っており、出したターンにすぐに攻撃できるのだ。
つまり、想は今からスピードアタッカーを持ったビートジョッキーを出し、このターンで一気に、勝を追い詰めるのだ。
「出番だ、《“
「《アニー・ルピア》が……!」
無惨に破壊される《アニー・ルピア》。
対して、想は手を緩めず、《バッドラマー》の効果を発動する。
「さらに、バトルに勝利した《バッドラマー》の効果を発動!コイツがバトルに勝った時、カードを1枚引き、
「っ、まさか!?」
勝は想が《バッドラマー》から出そうとしているビートジョッキーが何なのか、予想した。
そして、その予想は、見事に的中した。
「覇道を示せ、勝利の龍装者!《
「あ、アレは……!」
「!?ちょっと、どうしたの、君?」
想が場に出した《クラッシュ“覇道”》に、翔は震えた声を出し、突然、地面に膝をつき、それを見た咲恋は翔に声を掛ける。
「まずい……このままじゃ、あの人は俺と同じ目に遭います。こうなったら、もう、誰も、早峰先輩を止めることはできません……」
「……そんなことはないわ」
「え?」
「アイツは絶対に勝つ。何故なら、ボルシャックを使ったアイツが負けたところを、私は一度も見てない……だから……」
(だから、私はアンタを最後まで信じているわよ、勝……)
戦意を失ったかのような目になる翔に対して、咲恋は最後まで勝が勝つことを信じ、真っ直ぐ、勝と想の二人のデュエマを見届ける。
「コイツで、テメエは地獄行きだぁ!スピードアタッカーの《クラッシュ“覇道”》でW・ブレイクッ!」
「……トリガーはない」
「続いて、スピードアタッカーの《バッドラマー》で攻撃!この時、自分のクリーチャーの2回目の攻撃時に、手札の《龍装者 バルチュリス》を見せて、効果を発動!」
「ッ……!」
突然、想は《バッドラマー》の攻撃時に、手札にある《バルチュリス》を見せる。
その効果は2回目のクリーチャーのアタック後、自身を場に出せる。しかも、《バルチュリス》はスピードアタッカーを持っている。
つまり、《バッドラマー》のアタックの後、想はスピードアタッカーの《バルチュリス》で、勝のシールドを0枚にするのだ。
「トリガーは……ないです」
「《バッドラマー》のアタック後、《バルチュリス》を場に出す!これで、テメエのシールドをゼロにしてやるぜ!」
「……」
勝利を確信した想は、勢いのまま、勝の最後のシールドをブレイクしようと、《バルチュリス》に手を置く。しかし、そこで想は手を止めて、黙り込んでいる勝を見る。
(戦意喪失か?いや、それにしては静かすぎるな……待てよ。まさか、コイツ……!?)
慌てる様子もない。絶望する様子もなければ、その素振りもない。見えるのは、この場を静かに、冷静に、眺めている。
(さっきの攻撃で、必要なパーツは揃った。後は……この状況をひっくり返すカードを引ければ、まだ勝機はある……!)
否、眺めているのではない。分析しているのだ。
この状況を逆転できる術を、ひたすらに考えているのだ。
「オイ、先に言っておくぞ、転校生。タップされた《クラッシュ“覇道”》が破壊された時、俺は追加ターンを得る。つまり、どうあがいても、テメエに勝ち目はねぇ、諦めろ!」
それに気づいた想はイライラを感じずにはいられず、勝にそう強く言い放す。
「……だとしても、諦める理由にはなりませんよ」
「何?」
「デュエマはその時、その瞬間、その一瞬で、あらやる状況をひっくり返します。どんなに絶望的な盤面であろうと、諦めなければ、必ず、道は開けます……ループデッキ以外は、ですがね……」
当たり前だ。そんな当たり前のことを、勝は平然と言ってのける。
「……諦めなければ……道は……開ける……」
いつも間にか、そう静かに、翔は言い、それを聞いた咲恋は呆れ半分に溜め息を漏らした。
「はぁ、アイツはいつもそう。ああいう恥ずかしいことをサラッと言ってしまうんだから……」
「……でも、なんとなく、わかる気がします。生徒会長が言った言葉の意味も」
「え……?」
いつも間にか、立ち上がった翔に咲恋は驚き、どういうことか、問いかけようとする前に、想の大きな叫び声で、遮られた。
「だったら、この状況をひっくり返してみろよ!《バルチュリス》で、最後のシールドをブレイクッ!」
「シールド・トリガー、発動っ!」
「ハッ!今更、《スーパー・スパーク》が出たところで、何の意味もねぇ!さっさと、諦め────」
「反撃だ、《ボルシャック・テイル・ドラゴン》っ!《バルチュリス》と強制バトルっ!」
「ハァッ!?」
突如、勝のシールドから現れたクリーチャー、《ボルシャック・テイル・ドラゴン》に面喰らい、想は驚く。
「なんでそんなものが入っていやがる!?普通は入らないだろ!?」
「僕、普通じゃないんで、こういうの、入れる人なので、諦めてください、先輩」
「答えになってない!」
正に、その通りである。
「クソ、ターンエンド!ターンの終わりに《バッドラマー》と《クラッシュ“覇道”》を破壊!タップ状態で破壊された《クラッシュ“覇道”》の効果で、俺は追加ターンを得る!」
そう言って、カードを引き、マナを増やして、2枚のマナをタップした。
「《熱湯グレンニャー》を召喚!効果で一枚ドロー!残りの2マナで《異端流しオニカマス》を召喚!ターンエンド!まだだ!次のターンが来れば、オレの勝ちは確定する!」
「……先輩、それ、負けフラグです。そして、それを今から回収します。ドロー。マナをチャージせず、3マナで《
「ッ!?《単騎マグナム》だとぉッ!?」
勝が出したクリーチャー、《単騎連射 マグナム》に想は絶叫した。
何故なら、《単騎マグナム》は想が出した《鬼面城》と同じ、デッキに1枚しか入れられない、殿堂カードだからだ。
その効果は勝のターン中、想のクリーチャーが場に出るかわりに、破壊されるのだ。この《単騎マグナム》の恐ろしいところは、場に出たクリーチャーの効果が発動されないのだ。
つまり、勝のターン中、想はシールド・トリガーを持ったクリーチャーを場に出しても、《単騎マグナム》で破壊され、《クロック》のような、場に出た時に発動する効果が発動されないのだ。
「さらに、自分の場にドラゴンがいるので、
「な、なんだとぉッ!?」
これにより、先程出した《単騎マグナム》と《レクタ・アイニー》の2体は攻撃に参加できる。
因みに、パワード・ブレイカーを得たクリーチャーはパワーが6000毎に、ブレイク数を一つ追加する。そして、パワーアタッカーは攻撃時に強制的に発動する能力。つまり、勝のクリーチャーは今、殆どがW・ブレイカー以上を持っているのだ。
「《ボルシャック・フォース・ドラゴン》で、W・ブレイクっ!」
「クソッ!《単騎マグナム》がいなければ、《クロック》が出せたのに……!」
ブレイクされたシールドの中に3枚目の《クロック》があったが、《単騎マグナム》の存在により、悪態をつけるしかない、想。
「さらに、《単騎マグナム》で、W・ブレイクッ!」
「ッ、シールド・トリガー!呪文、《スパイラル・ゲート》!効果で、《レクタ・アイニー》をバウンスだ!」
最後の最後で、トリガーで返す、想。しかし、勝の場にはまだ、攻撃可能な《ボルシャック・テイル・ドラゴン》がいる。
「これで、最後です!《ボルシャック・テイル・ドラゴン》でダイレクトアタックっ!」
勝者、勝。見事、翔の仇を討ち、想に勝ったのだ。
次回は後日談。その後は未定です。