デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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ACE26:恐れていた出来事。

 

 

 

「キャアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァッー!」

 

 何事かと思った。

 突然、隣で、準決勝をしていたマリの叫び声が響いた。

 振り向くと、マリは椅子から倒れていた。

 不自然な倒れ方だったけど、僕は急いで、マリに近寄った。

 

「マリちゃん!?どうしたの!?マリちゃん!?」

「何事ですの!?」

 

 後から秋乃さんとエリカさん、咲恋ちゃん達がマリに近寄った。

 

「火野様、退いてください。私が見ます」

「わかった……」

 

 そう言って、エリカがマリに近寄り、マリの手を持って、手首に指を当てた。

 

「……脈拍は正常。ですが、呼吸が荒いですね。急いで、救急車を呼んだ方がよろしいですね」

「それなら、私が呼ぶわ」

「お願いします、咲恋様」

「……」

 

 マリは無事なのだろうか?

 そう不安が過ぎる中、早峰先輩が僕に近寄った。

 

「オイ、火野」

「早峰先輩……」

「……大丈夫か?」

「……え?」

 

 突然、早峰先輩が僕の顔を見て、そう問いかけた。

 何で?って思った時、早峰先輩が口を開いた。

 

「あー、クソ。調子狂うなァ、全く……テメエがそんな顔して、どうすんだよ?」

「……早峰先輩?」

「オレは……月野がキライだ。けど、アイツの拳やら、蹴りやら、結構悪い気がしなかった。いや、違うな。なんて言うかよ、テメエがそんな顔だと、月野が……その、可哀想だろ?」

「早峰先輩……」

 

 多分、早峰先輩は僕のこと、強いては、マリちゃんのことを気遣っているんだろう。

 早峰先輩なりの気遣いで。

 だとしたら、僕が言うことはただ一つ。

 

「……ありがとうございます、早峰先輩」

「べ、別に、お礼を言われる筋合いはない!ただ、オレはテメエやマリに負けて、悔しかったんだよ!だから……だからよ、そんな顔をするな。このオレが唯一認めた、ライバルよ……」

「……っ、はい!」

 

 そう返事を返した途端、マリと向かい合って、対戦していた女性が僕達に近寄った。

 

「──ねぇ、その子、大丈夫?」

 

 女性は不安そうな口調で、僕達に問いかけた。

 ほんの少し白々しかったけど、僕はその問いに答えた。

 

「……わかりません。ただ、専門家に見れば、具合がわかるかもしれません」

「そう……それなら良かったわ」

「何……?」

「私、一応、手加減したんだけど、その子が大袈裟に倒れるから、ビックリしちゃった……」

「……ッ、テメエ、それ、本気で言ってるのか!」

 

 流石に我慢の限界なのか、早峰先輩が大きな声をあげた。

 それを見た女性はニヤリと、不適な笑みをした。

 

「あら〜、君、彼女に負けた負け犬くんじゃない?」

「誰が負け犬だ!誰が!」

「そう一々叫ばなくても、聞こえているわよ。マ・ケ・イ・ヌ・くん♡」

「オイ、テメエ、喧嘩売ってるんなら、買うぜ?」

「喧嘩を売る?それは私の台詞よ──」

「あ?それはどういう──」

 

 突如、彼女は僕と早峰先輩の間に入って、早峰先輩の体がいつの間にか、倒れていた

 

「──ッ、が、ハ……!?」

「な、何が起こって……!?」

「──私に喧嘩を売るなんて、君、良い度胸ね?」

 

 倒れている早峰先輩の背を彼女は自身の足で踏み、力を入れて、早峰先輩の背中をグルグルと、捻って回した。

 

「グ……ゥ……ァ……アァ……!?」

「早峰先輩!」

「今度は君が相手よ、カツくん。いえ、勝くん……」

「……!?」

 

 どうして、僕の名前を?そう思った時、彼女の目が青く、水色の瞳になっていた。

 

「──ッ!?君は、まさか……」

「──勝様!」

「ッ!?」

 

 僕が彼女の名を言い出そうとした矢先、秋乃さんから声をかけられた。

 

「ちっ、邪魔が入ったわね……また後でね、カツさん」

「……」

 

 そう言って、女性は早峰先輩の背中から離れ、どこかに去っていた。

 

「いてて、ったく、酷い目にあったな……」

「……」

 

 ようやく自由になった早峰先輩はそう言い、僕は秋乃さんに振り向いた。

 

「秋乃さん、どうしたの?」

「もうすぐ、決勝戦です。準備をしてください」

「え?でも、マリちゃんは……?」

「彼女は今、職員の休憩室で休ませてもらってます。救急車が来るまで時間がかかるので、彼女はそこで休ませていただいてます」

「そう……なんだ……」

 

 エリカの説明に僕は納得した。

 すると、僕の顔を見て、秋乃さんは不安そうな顔で、僕に声をかけた。

 

「……さっきの女性についてですか?」

「……うん」

「気持ちはわかりますが、今は切り替えてください。月野さんのことを想うなら……」

「オレからも頼む……」

 

 珍しく、早峰先輩から、そんな言葉を聞いた。

 

「早峰先輩……」

「オレのこの痛みと、月野の怪我、まとめて、借りを返してこいッ!」

 

 そう言って、早峰先輩は右手を拳にして、僕に向けた。

 それを見た僕は左手を拳にして、早峰先輩の拳に当てた。

 

「……わかりました。先輩の分も、マリちゃんの分、そして……僕の、このモヤモヤ、全部まとめて、彼女に返してきます!」

「ああ、頼むぜ、ライバル……」

 

 そうして、僕は決勝戦に向けて、先に座っている彼女に向かい合った。

 

 

 

 一部始終を見ていたキャルは秋乃とエリカに近づき、2人に問いかける。

 

「ねぇ?本当に始めるの?」

「始めるしかありません。何故なら、デュエマで起きた問題は、デュエマで解決するしかありませんもの」

「……そう、わかったわ。んじゃ、気合を入れて……」

 

 一度、深呼吸をし、キャルは大きな声をあげた。

 

「さぁ、泣いても笑っても、これが、最後のデュエマ!11番、カツ選手対、2番、イズミ選手!このデュエマに勝利したモノが、このお店の商品を半額で購入できるわよ!さぁ、2人とも、準備は良い?」

「はい!」

「いつでも……」

 

「それじゃ、デュエマー!」

 

「「スタートッ!!」」

 

 

 




本名ではありませんが、今回、勝が対戦する女性の名前はイズミです。
先に言っておきますが、イズミは今後、重要なキャラなので、ここからこの作品は大きく動きます。乞うご期待。
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