「キャアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァッー!」
何事かと思った。
突然、隣で、準決勝をしていたマリの叫び声が響いた。
振り向くと、マリは椅子から倒れていた。
不自然な倒れ方だったけど、僕は急いで、マリに近寄った。
「マリちゃん!?どうしたの!?マリちゃん!?」
「何事ですの!?」
後から秋乃さんとエリカさん、咲恋ちゃん達がマリに近寄った。
「火野様、退いてください。私が見ます」
「わかった……」
そう言って、エリカがマリに近寄り、マリの手を持って、手首に指を当てた。
「……脈拍は正常。ですが、呼吸が荒いですね。急いで、救急車を呼んだ方がよろしいですね」
「それなら、私が呼ぶわ」
「お願いします、咲恋様」
「……」
マリは無事なのだろうか?
そう不安が過ぎる中、早峰先輩が僕に近寄った。
「オイ、火野」
「早峰先輩……」
「……大丈夫か?」
「……え?」
突然、早峰先輩が僕の顔を見て、そう問いかけた。
何で?って思った時、早峰先輩が口を開いた。
「あー、クソ。調子狂うなァ、全く……テメエがそんな顔して、どうすんだよ?」
「……早峰先輩?」
「オレは……月野がキライだ。けど、アイツの拳やら、蹴りやら、結構悪い気がしなかった。いや、違うな。なんて言うかよ、テメエがそんな顔だと、月野が……その、可哀想だろ?」
「早峰先輩……」
多分、早峰先輩は僕のこと、強いては、マリちゃんのことを気遣っているんだろう。
早峰先輩なりの気遣いで。
だとしたら、僕が言うことはただ一つ。
「……ありがとうございます、早峰先輩」
「べ、別に、お礼を言われる筋合いはない!ただ、オレはテメエやマリに負けて、悔しかったんだよ!だから……だからよ、そんな顔をするな。このオレが唯一認めた、ライバルよ……」
「……っ、はい!」
そう返事を返した途端、マリと向かい合って、対戦していた女性が僕達に近寄った。
「──ねぇ、その子、大丈夫?」
女性は不安そうな口調で、僕達に問いかけた。
ほんの少し白々しかったけど、僕はその問いに答えた。
「……わかりません。ただ、専門家に見れば、具合がわかるかもしれません」
「そう……それなら良かったわ」
「何……?」
「私、一応、手加減したんだけど、その子が大袈裟に倒れるから、ビックリしちゃった……」
「……ッ、テメエ、それ、本気で言ってるのか!」
流石に我慢の限界なのか、早峰先輩が大きな声をあげた。
それを見た女性はニヤリと、不適な笑みをした。
「あら〜、君、彼女に負けた負け犬くんじゃない?」
「誰が負け犬だ!誰が!」
「そう一々叫ばなくても、聞こえているわよ。マ・ケ・イ・ヌ・くん♡」
「オイ、テメエ、喧嘩売ってるんなら、買うぜ?」
「喧嘩を売る?それは私の台詞よ──」
「あ?それはどういう──」
突如、彼女は僕と早峰先輩の間に入って、早峰先輩の体がいつの間にか、倒れていた
「──ッ、が、ハ……!?」
「な、何が起こって……!?」
「──私に喧嘩を売るなんて、君、良い度胸ね?」
倒れている早峰先輩の背を彼女は自身の足で踏み、力を入れて、早峰先輩の背中をグルグルと、捻って回した。
「グ……ゥ……ァ……アァ……!?」
「早峰先輩!」
「今度は君が相手よ、カツくん。いえ、勝くん……」
「……!?」
どうして、僕の名前を?そう思った時、彼女の目が青く、水色の瞳になっていた。
「──ッ!?君は、まさか……」
「──勝様!」
「ッ!?」
僕が彼女の名を言い出そうとした矢先、秋乃さんから声をかけられた。
「ちっ、邪魔が入ったわね……また後でね、カツさん」
「……」
そう言って、女性は早峰先輩の背中から離れ、どこかに去っていた。
「いてて、ったく、酷い目にあったな……」
「……」
ようやく自由になった早峰先輩はそう言い、僕は秋乃さんに振り向いた。
「秋乃さん、どうしたの?」
「もうすぐ、決勝戦です。準備をしてください」
「え?でも、マリちゃんは……?」
「彼女は今、職員の休憩室で休ませてもらってます。救急車が来るまで時間がかかるので、彼女はそこで休ませていただいてます」
「そう……なんだ……」
エリカの説明に僕は納得した。
すると、僕の顔を見て、秋乃さんは不安そうな顔で、僕に声をかけた。
「……さっきの女性についてですか?」
「……うん」
「気持ちはわかりますが、今は切り替えてください。月野さんのことを想うなら……」
「オレからも頼む……」
珍しく、早峰先輩から、そんな言葉を聞いた。
「早峰先輩……」
「オレのこの痛みと、月野の怪我、まとめて、借りを返してこいッ!」
そう言って、早峰先輩は右手を拳にして、僕に向けた。
それを見た僕は左手を拳にして、早峰先輩の拳に当てた。
「……わかりました。先輩の分も、マリちゃんの分、そして……僕の、このモヤモヤ、全部まとめて、彼女に返してきます!」
「ああ、頼むぜ、ライバル……」
そうして、僕は決勝戦に向けて、先に座っている彼女に向かい合った。
一部始終を見ていたキャルは秋乃とエリカに近づき、2人に問いかける。
「ねぇ?本当に始めるの?」
「始めるしかありません。何故なら、デュエマで起きた問題は、デュエマで解決するしかありませんもの」
「……そう、わかったわ。んじゃ、気合を入れて……」
一度、深呼吸をし、キャルは大きな声をあげた。
「さぁ、泣いても笑っても、これが、最後のデュエマ!11番、カツ選手対、2番、イズミ選手!このデュエマに勝利したモノが、このお店の商品を半額で購入できるわよ!さぁ、2人とも、準備は良い?」
「はい!」
「いつでも……」
「それじゃ、デュエマー!」
「「スタートッ!!」」
本名ではありませんが、今回、勝が対戦する女性の名前はイズミです。
先に言っておきますが、イズミは今後、重要なキャラなので、ここからこの作品は大きく動きます。乞うご期待。