デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

33 / 104
遂に、あの種族が参戦します。


ACE33:深淵に眠る闇の戦士。

 

 

 

「私のターン。マナチャージ。2マナで、《ブルーム=プルーフ》を召喚します。効果で山札の上から1枚、墓地に置きます。ターンエンド」

「僕のターン。マナチャージして、2マナで、《賢樹(けんじゅ) エルフィ-1(ワン)》を召喚。ターンエンド」

 

 突然、始まった勝とエリカのデュエマ。

 エリカのデッキは昨今(さっこん)の主人公が扱う闇文明、アビスロイヤルを中心にしたデッキ。

 対して、勝はいつものボルシャックデッキ、ではなく、クリーチャー同士を無理矢理合成したディスペクターと、それに従う、心が欠けたディスタスを中心にした火と水と自然の三色デッキ。

 

「珍しいですね、貴方がボルシャック以外のデッキを使うなんて……」

「……眼鏡君にも言ったけど、僕だって、ボルシャック以外のデッキやカードを使うよ」

「……そうですか」

 

 あからさまに、つまらそうに返事を返すエリカに勝は少しむっと、頬を膨らませた。

 

「大体さ、なんで急にデュエマしようと思ったの?理由は……さっき説明してたね……」

「……ええ」

 

 対戦前に「貴方の根性を叩き直す」、「私に勝てなければ、結衣には勝てない」などと、エリカは勝に、そう強く言っていた。

 確かに、結衣に負けて以来、勝は学園内にいる生徒相手に負け続けていた。

 いつもの勝なら、油断なく、負けることはそうそうないが、結衣に負けて以来、生徒相手に負けることが増えていた。

 

「まさか、本当に、僕の根性を叩き直す気じゃないよね?」

「……さぁ、どうでしょう?」

 

 しらを切るかのように、意地悪深く、エリカはそう言い、カードを引く。

 

「マナチャージ……ここはやはり、これですね」

 

 そう言って、エリカは3枚の闇のカードをタップし、それと同時に、エリカの手札から1枚、紫色のオーラが纏っていた。

 

「深淵に眠るは闇の邪龍(じゃりゅう)、《邪龍 ジャブラッド》を召喚っ!」

 

 現れたのはアビスロイヤル屈指(くっし)の最強のクリーチャーの一体、《邪龍 ジャブラット》がタマシード状態で顕現(けんげん)した。

 

「《ジャブラッド》の登場時効果で、山札の上から2枚を墓地へ!さらに、《ブルーム=プルーフ》で攻撃!この時、《ジャブラッド》の効果で、さらに2枚を墓地へ!」

 

 これにより、エリカの墓地の枚数は5枚。しかも、2枚目の《ジャブラッド》とアビスロイヤルの切り札が置かれた。

 

「《ブルーム=プルーフ》で、シールドをブレイクっ!」

「……トリガーはないよ」

「私はこれでターンエンドです」

「僕のターン……」

 

 カードを引き、勝はエリカの墓地を確認した。

 

(次のターン、手札にアレがあれば、アビスロイヤルの切り札が墓地から復活する。それなら……!)

 

 手札から一枚のカードをマナに置き、3枚のマナをタップした。

 

「呪文、《お清めシャラップ》!山札から1枚、マナに置いて、暁月さんの墓地のカードをすべて、山札に戻して、シャッフル!」

「っ、そんな!?」

 

 エリカの墓地にある2枚目の《ジャブラッド》と切り札は墓地から消え、山札に返った。

 オマケに、今さっき、《お清めシャラップ》で置かれたカードが自然単色のカードだったため、勝は迷わず、そのカードをタップした。

 

「《エルフィ-1》の効果で、ディスタスのコストを1軽減!2体目の《エルフィ-1》を召喚!ターンエンド!」

 

 これで、勝は次のターン、ディスタスのコストを2軽減できる。

 しかし、手札を一気に2枚使ったため、勝の手札は今3枚。多くもなく、少なくもないが、次のターンに出せるディスタスが1枚しかなく、残りの2枚は呪文カードとディスタスではない《クロック》だった。

 

(正直、手札はかなり心許(こころもと)ないけど、これで次のターン、暁月さんは大きなアクションができない筈だ……)

 

「……これで私の動きを止めた。そう思っているなら、大きな間違いですよ、火野様」

「……ッ、それはどういう意味だ?」

 

 勝が脳裏で安心する中、突然、エリカは口を開き、小さく、そう言い、勝は彼女に問いかけた。

 

「……私のターン」

 

 問いかけられたエリカは返事を返さず、カードを引き、手札から1枚、マナに置いた。

 

 そして、エリカの右の目の瞳が紫色に変わった。

 

「それは……こういうことです……」

 

 4枚のマナをタップし、エリカは一枚のカードに手を(かざ)す。

 

「現れなさい。深淵の闇を()べる帝王、《アビスベル=ジャシン帝》を召喚っ!」

 

 瞬間、部屋一面が闇に包まれ、その闇は3人を呑み込み、見知らぬ場所に移動していた。

 そこはまるで、人々がイメージする地獄のような場所だった。

 しかし、そこには相応しくない生物──クリーチャーが実体化していた。

 そして、この異様な空間に平然としていられる3人もまた、異常だった。

 

「……まさか、またここに来られるなんて思わなかったな。それに──君が《ジャシン帝》を持っていたのは驚いたよ、エリカ」

「……なんのことでしょうか?」

「惚けるのか?まぁ、良い。それならこっちも、全力でいかせてもらうよ……!」

 

 あからさまに、しらを切るかのように言うエリカの言葉に、勝は瞳の色を、赤い、紅色の炎に変えた。

 瞬間、勝とエリカの周りに、炎が現れ、まるで、結界のように2人を囲んだ。

 

「瞳の色を変えたところで、私に勝てると思わないことだっ!」

「思ってないよ!けど、本気を出さないわけにはいかないよッ!」

 

(勝様。負けないでください。これはあなた様がさらに強くなるための試練ですわ。それに……ここで(つまず)くようでは、この先、結衣(彼女)に勝てることはできませんわ……)

 

 激しいデュエマが始まる中、秋乃は勝が勝つことを信じつつも、先のこと、そして、赤羽結衣に勝てないと、脳裏に悟るのだった。

 




まさかの主人公、ボルシャック以外のデッキを使用。
まぁ、元々予定していたので、ようやくって感じです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。