デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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ACE35:報酬と新たな目標と新たな決意。

 

 

 

 エリカにデュエマに勝利した後、勝達は元の場所に戻っていた。

 

「……暁月さん、怪我はない?」

「これぐらい、何ともありません……」

 

 以前、マリは結衣とのデュエマでクリーチャーによる攻撃を受け、怪我をした。

 幸い、勝は慣れているのか、ある程度、禁断竜王の力を使いこなしているため、エリカに怪我をさせないように、手加減をしたが、一応、怪我はないか、エリカに確認をとるも、この通り、エリカは無事である。

 

「……そう?それなら本題に入るけど、何で君がジャシン帝を持っているの?」

「これは貴方が知るジャシン帝ではありません」

「え?」

 

 勝の質問に、あっさり否定して答えるエリカに勝は驚き、再度、問いかけるよりも前に、エリカは《アビスベル=ジャシン帝》のカードと《邪龍 ジャブラッド》のカードの2枚を勝に見せる。

 

「瞳を使えば、このカードから発せられるオーラを感じられるはずです。貴方なら、それができますよね?それで確認してください」

「……わかった」

 

 いまいち、納得できていないが、勝は渋々、瞳を赤い、紅色の炎に変え、2枚のカードから発せられるオーラを探った。

 

「え?嘘……?ない?なんで?」

 

 だが、どういうわけか、2枚のカードからオーラのようなものが感じられなかった。

 

「やっぱり、貴方でも感じられなかったみたいですね……」

「どういうこと?」

「私にもわかりませんが、このカード達はデュエル中にしか、力を発動せず、それ以外はただのカードにすぎないんです」

「なるほど。それなら、僕の瞳の力でも感じられないわけだ……」

「あの、それって、大丈夫なんですか?」

 

 突然、勝とエリカの会話を近くで聞いていた秋乃は口を開き、二人に問いかけた。

 

「今のところは大丈夫だよ。ただ、もしものことがあったら大変だから、一度、特務課(とくむか)の人たちにお願いした方が良いんじゃないかな?」

「それなら、最初に手にした時に、一度お願いしましたが、『それは君に相応しいカードかもしれない。時が来るまで、君が持っておくと良い』と、言われました」

「相変わらず、いい加減な人だな、あの人は……」

 

 勝達が言う特務課とは『デュエマ災害特別対策部隊』、通称『特務課』。

 彼らはデュエマに関する犯罪を防ぐために活動している部隊であり、中には、実体化するクリーチャーを止める者もいる。

 また、彼らは特殊な力があり、その力は勝と結衣と同じ、瞳の色が変化する者が大半である。

 そして、その瞳の力にはクリーチャーを使役したり、カードの力を魔法のように扱って、クリーチャーと戦うことができる。

 と言っても、最近はクリーチャーが出ることは全くないので、主に犯罪者をあぶり出したり、同じ力を持つ者を探すために使われている。

 

「そうなると、当分の間、君が持っておくのが得策か……」

「良いのですか?」

「良くはないよ。ただ、あの人が暁月さんに預けたなら、僕からは何も言うことはないよ」

「……そうですか。それなら、代わりの物を貴方に渡しましょう」

 

 そう言って、エリカは一人、部屋を出て、少ししてから、小さい封筒を持って、部屋に入ってきた。

 

「こちらをどうぞ。火野様」

「……開けて良い?」

「構いませんわ。きっと、勝様なら、喜びますわ」

「?」

 

 秋乃は小さい微笑み、それを見た勝は疑問を抱きながらも、封筒の中を開けた。

 その中にはデュエマのカードが数枚入っていた。

 

 しかも、そのカードの中には──

 

「──《ボルシャック・アークゼオス》!?しかも、4枚!?」

「ブラックキャットで、欲しがっていたので、わたくしの方で買い取っておきましたわ」

 

 あっさり、そう言うが、今、《ボルシャック・アークゼオス》の値段は1枚1000円を越える。

 しかし、この少女、焔秋乃は焔財閥の一人娘である。

 つまり、彼女なら、《ボルシャック・アークゼオス》を4枚買うことなど、動作(どうさ)もない。

 

「マジか……いや、秋乃さんなら、有り得るな……」

「それはどういう意味ですの?勝様?」

「いえ、ナンデモナイデス」

 

『ナーンデ、カタゴトナンデスカ?』

 

「「「え?」」」

 

 突然、勝のデッキから聞き慣れた機械的な女性の声が響き、勝はまさかと思い、デッキから1枚のカード、《禁断竜王 Vol-Val-8》を取り出した。

 しかも、その《Vol-Val-8》のカードはなんと、人型の女性の姿になっていた。

 

「「「なんで!?」」」

 

 突然、女性の姿になったカードに3人は揃って驚く。

 

「いや、待て待て!?どういう経緯で、そうなった!?Vol-Val-8よ、説明してくれるか!?」

『ム、ソノ、言イ方ハ、良クナイ、デス。ワタシハ、禁断竜王、デス。ボル-バル-エイトハ、合体、前ノ、名前ガ、無理矢理、合ワセタ、名前、デス。正式名ハ、禁断竜王、デス』

「めんどくさ!けど、そういうことなら、仕方がない。改めて、禁断竜王、どういう経緯で、そうなったか、説明してくれるか?」

『了解。解析、開始……解析、完了』

「仕事が速いですわね……」

「ええ。ですが、こういう時の解析の速さは大抵、ロクな結果ではない──」

 

『──先程ノデュエマデ、主ノ不思議ナ力ガ、上昇シ、マタ、ソチラノ女性ノ、ジャシン帝ノ、マナガ、増幅シタコトデ、対抗策、モトイ、打開策トシテ、ワタシガ顕現シマシタ』

 

「「「……え?」」」

 

 まさかまさかの禁断竜王からとんでもない真実を3人は告げられる。

 

「ちょっと待ってぇー!?それってつまり、復活するってことか!?ジャシン帝が!?」

『イエ、違イマス』

「?何がどう違うのですの?」

『皆サンハ、タンポポガ、ドウヤッテ、繁殖、シテイルカ、ゴ存知、デスカ?』

「「「?」」」

 

 急に花のたんぽぽの繁殖方法を問いかける禁断竜王の言葉に、3人は頭を傾げる。

 

「……確か、白い綿毛(わたげ)が咲いたら、その綿毛が散って、風に乗って飛散(ひさん)する……だって?」

『ソノ通リ。ツマリ、理屈ハ、ソレト、オナジ、デス』

「?」

 

 またしても、勝は頭を傾げる。

 たんぽぽの繁殖方法はわかっているが、それとジャシン帝の復活と何が関係あるのだろうか、と、勝は脳裏に疑問を抱く。

 

「……もしかして、このジャシン帝は本体ではなく、コピー、あるいは、模造品ですの?」

『イエス。モット、イウト、ソレハ、本体ニ、違イ、モノ。故ニ、ワタシ、ガ、顕現シタ、理由、デス。タダシ、今ハ、マダ、眠ッテ、イル……タメ……問、題、ハ……a……マ……ン……』

「禁断竜王!?」

 

 突然、壊れた機械のように、禁断竜王の言葉が停止した。

 それと同時に、勝のスマホが鳴り響き、勝は急いで、スマホを取り出すと、非通知のメールがきていた。

 恐る恐る、中を開けると、件名に『禁断竜王』と、書かれていた。

 

『スミマセン。マナガ、不足、シタタメ、一時的ニ、睡眠モード、モトイ、充電、サセテ、モライマス』

 

「……どうやら、マナが枯渇して、寝ているみたいだ」

「そうですか。それなら、良かったです」

「うん。代わりに、問題事が山ほど出たけど……」

 

 赤羽結衣との再戦。

 新しいボルシャックの構築。

 そして、ジャシン帝、復活のために、力をつけないといけないこと。

 

 一つずつ、順番に、解決しなければならない。脳裏でそう思う中、秋乃が勝に声をかけた。

 

「もう一つ、やるべきことがありますわよ」

「……デュエマ甲子園。わかってる。そのために、僕はACE学園に来たのだから……出るからには全力で勝ちにいくよ!」

「貴方だけのデュエマ甲子園ではありません」

「わたくしやエリカ、咲恋さん達も参加するのです。常々、忘れないでくださいまし」

 

 秋乃は笑顔で、そう強く言い、その言葉に勝は満遍の笑顔を見せる。

 

「わかってるよ!チーム全員参加と、チームの誰かが優勝すること!そして……その中で、否、デュエマ甲子園で、一番強いことを、僕が証明するよッ!」

 

 新たな目標と、新たな決意に、勝はそう強く、二人に宣言した。

 

 

 




やっと、デュエマ甲子園の話が書けます。
と言っても、後数話ほど……予定では5話ほど、遠回りします。

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