デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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ACE37:部室に来訪する天災(ディザスター)

 

 

 

 ──ピンポーン!

 

「ん?」

 

 突然、玄関のチャイムが鳴った。

 

(こんな夜遅くに誰だろう?お父さんとお母さんは仕事だし……ネットで何か頼んだのかな?)

 

 そんな軽い気持ちで、私、明星ひよりは玄関に向かい、扉を開けた。

 

「え?」

 

 開けると、そこには警察の人が立っていた。

 しかも、相手は女性で、髪の毛がかなり長くて、見た目が20代ぐらいの美人さんだ。

 私はその容姿に目を奪われ、一瞬、我を忘れていた。

 

「……失礼。私はこういうものだ」

 

 そう言って、警察の人、『颯井(さつい)剣子(けんこ)』さんは私に名刺を渡した。

 

「?デュエマ犯罪特別対策部隊?えっと、確か、デュエマで罪を犯した人を捕まえる警察の人……ですよね?」

「ああ、そうだ。そして、私はその司令官だ。我々のことを知っていて、大変嬉しく思う」

「えっと、ありがとうございます?それで、その司令官さんが私に何のよう……まさか!?」

 

(まさか私、知らないうちに犯罪に手を染めていた!?それとも、知らず知らずのうちに、犯罪者に協力してたとか!?もし、そうだとしたら、私の人生……終わりじゃん!)

 

 そう脳裏で思う中、次に剣子さんから発せられる言葉に、私は面食らった。

 

「何、君が思うものじゃない。ただ、ほんの少し、目を見せてもらえればいいだけの話だ」

「あ……」

 

 終わった。

 

 

 

 ──翌日の放課後。

 

 現在、ACE学園のこの時間帯は運動部、文化部問わず、全部活動が活発に活動している時間帯だ。

 そして、それは『ACE・デュエマ部』こと、チーム『ACE STRIKER』も例外ではない。

 

「《コスモ・セブΛ》で、ダイレクトアタック!」

「クソ!また負けた!もう一度だ、月野!」

「何度やっても、結果は同じですよ?」

「ナンだとぉ!?」

 

「初動も大事だけど、やっぱり、強力な7コスト帯を多く積みたいわね」

「やっぱり、そうなりますか。そうなると、《ホーリーエンド》が4枚、必要になりますね」

「だね……」

 

「……」

 

 マリと想はデュエマをし続け、咲恋は翔に7軸ガチロボについて相談をしている中、ひよりは一人、ぼーっと、4人を見ていた。

 

「ん?どうしたの、ひよりちゃん?」

「ふぇ!?な、何でもないですよ!ただ、皆さんを見ていただけですよ!」

 

 何でもない、と言うが、何でもなくない。口ではそう言うが、顔はそうではない。

 

「ひよりちゃん、何か悩み事があったら言ってね。相談に乗るよ」

「ほ、本当に何でもないですよ。ただ……」

 

 咲恋はひよりに何か悩みがあるのだと、そう思い、ひよりにそう言うが、ひよりは慌てて、そう否定する。

 

(まさか、私にクリーチャーを使役する力がある、なんて言っても、誰も信じてくれないだろうなぁ……)

 

 昨晩、剣子がひよりの家に訪れ、強引にひよりの目を確認したところ、どうやら、ひよりにはクリーチャーを使役する力があることが判明した。

 ただ、剣子曰く、「まだ()が生えたばかりだから、本格的に使役するには資格や覚悟、クリーチャーとの契約などが必要だが、今の君には気にしなくて良い」とのこと。

 否、気にはする。もし、それが本当なら、アニメや漫画みたいに、ヤバい人達に襲われたり、拉致されたり、記憶を書き換えられたりしたら、たまったもんじゃない。

 

「そう言えば……勝先輩、まだ部室に来ませんね。何かあったのでしょうか?」

「ああ、勝ね……実は──」

 

「──邪魔するよ」

 

 ガタンッ!と、勢いよく部室の扉が開き、金髪ツインテール、花宮黒江が突然、入ってきた。

 突然の来客に、咲恋達は黒江に視線を向け、想は真っ先に、黒江に近づき、問いかける。

 

「何だぁ?テメエは?」

「ウチ?ウチは……天災(ディダスター)学園、二年生の花宮黒江。よろ。何、ほんの少し、挨拶に来ただけよ」

「……挨拶?」

「うん。そう、挨拶。主に結衣の同中(おなちゅう)の、勝ってヤツに……」

『!?』

 

 そう、あっさり言い切る黒江の言葉に咲恋達は驚く。

 

「結衣って、もしかして、結衣は貴方と同じ、天災(ディダスター)学園に通っているの!?」

「ん?そうだけど、それがどうかしたの?」

「……」

 

(成る程ね。結衣の性格が変わったのは天災(ディダスター)学園に通っていたからなのね。元々、あそこは不良の溜まり場だし、結衣の性格が変わったのも頷けるわ)

 

 中学時代、咲恋は生徒会の仕事で、結衣の様子を見てきた。

 品行方正(ひんこうほうせい)で、礼儀正しく、誰よりも優しかった結衣があんな風に変わるとは思わなかった。

 

「とりま、勝ってヤツ、誰?ウチ、ソイツに用があるんだけど……」

「……勝なら今日は来ないわよ」

「は?なんで?」

 

 咲恋の言葉に、頭にきたのか、黒江は不機嫌になり、また、圧をかけるかのように、咲恋に問いかける。

 

「アイツは今、風邪を引いた秋乃さんのところに向かってるわ!だから、今日は来ないわよ!」

「ふーん……んじゃ、ソイツの住所、教えて」

「!?教えるわけないでしょ!」

「だと思った……面倒だけど、これで決めよっか……」

 

 一歩も引かない咲恋の様子を見て、黒江はめんどくさそうに、デッキを取り出した。

 

「ウチが勝ったら、秋乃とかいうヤツの住所、教えてもらう。良いよね?」

「……ええ、望むところよ!」

「ワリいが、その喧嘩、オレ達も混ぜてもらうぜ」

「?早峰?それに、マリちゃん?」

「さっきから聞いてると、妙に腹が立つな、テメエ?ほんの少し、わからせてやるか?」

「先輩と同じ意見なのは癪ですが、私も貴女を勝様の所に行かせるわけにはいきません」

「お、俺も会長と同じ気持ちです!」

「私もです!」

「皆……」

 

 最初は咲恋一人で戦うはずだったが、いつも間にか、想とマリ、翔、ひよりが協力し、チーム一丸(いちがん)となって、黒江と対峙する話になっていた。

 それを見た黒江は深い溜め息を吐いた。

 

「……はぁー、めんどくさ。良いよ、順番に相手してあげる」

「その言葉、後悔するんじゃねぇぞ!」

「うっさいし。さっさと、始めるよ」

 

「「デュエマ・スタートッ!!」」

 

 

 




黒江さん、場を乱しすぎでは?(苦笑)
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