デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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今回の話はとても長いので、時間がある時に読むことをオススメします。
という訳で、ACE39、どうぞ。


ACE39:天災(ディザスター)の正体!?吠えろ、英雄達!!

 

 

 

「ウチのターン。まずは2マナ、双極(ツインパクト)呪文、《記録的剛球(ロングラン・ヒット)》。効果で、山札の上から1枚、マナに。ターンエンド」

「僕のターン!こっちも、ツインパクトだ!呪文、《決闘者(デュエリスト)・チャージャー》!効果で、山札の上から3枚見て、《ボルシャック・フォース・ドラゴン》と《ボルシャック・バラフィオル》を手札に!《ザークピッチ》は山札の下に置いて、《決闘者・チャージャー》をマナゾーンに!ターンエンド!」

「序盤から飛ばすね。ま、良いけど。ウチのターン。マナチャージして、《雲の超人(クラウド・ジャイアント)》を召喚。効果で、山札の上から3枚見て、3枚とも、ジャイアントだから、すべてタップしてマナに。ターンエンド」

 

 互いに、動きは順調に進んでいるが、黒江のマナは今、7マナ。

 対して、勝のマナは4マナ。マナチャージしても5マナしか使えないため、強力なドラゴンを出すにはまだ時間がかかる。

 そう、いつもなら、だ。

 

「僕のターン!マナチャージ!4マナをタップ……《クック・(スクランブル)・ブルッチ》を召喚!」

「ッ、ソイツは確か……!?」

「流石に知ってるか。だけど、僕にとっては今回が初陣(初めて)だ!そして、コイツも、だ……!」

「ッ!?」

 

 突如、勝の後ろにボルシャック・カイザーとボルシャック・フォース・ドラゴン、2体のドラゴンが実体化し、ボルシャック・フォース・ドラゴンは前脚を浮かせて、細い腕に変化し、背中に着いていた2本の砲撃が小さなガトリングと、その上に長い(ブレード)に変化し、腰辺りに移動し、砲撃が着いていた背中から翼が生えた。

 その姿はまるで、恐竜の姿に近い姿だった。

 この瞬間、ボルシャック・フォース・ドラゴンは今、新たな姿、新たな名前()、新たなボルシャック、《強襲竜(きょうしゅうりゅう) ボルシャック・レイダー》に生まれ変わった。

 

「僕のすべきこと、為すべきことを果たす為なら、覇道の道も惜しまない!《轟・ブルッチ》の効果で、次に使うアーマードのコストを6軽減!1マナで、《覇炎竜(はえんりゅう) ボルシャック・ライダー》を召喚ッ!」

 

 勝の召喚向上に合わせて、生まれ変わったボルシャック・レイダーの背中に、ボルシャック・カイザーは乗った。

 これが、勝の新たな切り札にして、新たなボルシャック、《覇炎竜 ボルシャック・ライダー》だ。

 

「マジか。4ターン目で、切り札とか、ヤバイな……」

「それだけじゃないよ!《ボルシャック・ライダー》はスピードアタッカー!出たターンに攻撃できる!《ボルシャック・ライダー》でシールドを攻撃!この時、アーマード・メクレイド5を2回発動ッ!」

 

 その瞬間、勝の山札の上から3枚が浮き、その内の一枚、《ボルシャック・フォース・ドラゴン》を選択し、それを場に出し、残り2枚は山札の下に置き、新たなに3枚が浮き上がり、その中から一枚、《ボルシャック・アークゼオス》を選択し、それを場に出し、残り2枚を山札の下に置いた。

 これが《ボルシャック・ライダー》の能力。各ブレイクの前に、アーマード・メクレイド5を発動できるのだ。

 そして、《ボルシャック・ライダー》はW・ブレイカーを持っているため、必然的に、アーマード・メクレイド5が2回使えるのだ。

 そして、今回、『双竜戦記』から追加された新能力、メクレイド。

 自身の山札の上から3枚を見て、指定された種族とコスト以下のカードをただで使えるのだ。

 

「場に出た《ボルシャック・アークゼオス》のアーマード・メクレイド5、発動ッ!山札から3枚見て……《ボルシャック・(ストライク)・ルピア》を召喚ッ!そして、《ボルシャック・フォース・ドラゴン》の効果で、《雲の超人》を破壊ッ!そして、《ボルシャック・ライダー》で、W・ブレイクッ!」

「ッ、テメエ!調子に乗ってんじゃねぇ!」

 

 刹那。ボルシャック・ライダーがブレイクしたシールドの中に、シールド・トリガーがあり、黒江はそれを発動した。

 それはまるで、黒江の叫びに応えるかのように、顕現した。

 

「──双極(ツインパクト)!呪文、《輝跡の大地(アース・ウインド・アンド・パット)》っ!呪文の効果で、マナゾーンからコスト8以下のジャイアントを一体、場に出す!出すのはコイツだ!」

 

 突如、その巨人は顕現した。否、巨人と言うのは生やさしい存在である。それは巨人であり、竜の姿をしたジャイアント・ドラゴン。

 

「すべてを踏み潰せ!そして、反撃を許すな!これがウチの切り札、《首領竜(キャプテン) ゴルファンタジスタ》だッ!」

 

 花宮黒江の切り札、《首領竜 ゴルファンタジスタ》が実体化し、姿を現した。

 

「呪文の効果で、《ゴルファンタジスタ》と《ボルシャック・ライダー》をバトル!」

「《ボルシャック・ライダー》の効果で、セイバー能力を得た《ボルシャック・爆・ルピア》を破壊して、《ボルシャック・ライダー》を守る!」

 

 実体化したゴルファンタジスタはボルシャック・ライダーに拳をぶつけるが、突然、幻影として現れたボルシャック・爆・ルピアが盾になり、「ピィ!」と叫び声を上げながら殴られ、爆破し、破壊された。

 しかし、破壊されたボルシャック・爆・ルピアの炎は消えず、勝の山札に近づき、吸収され、赤く光った。

 

「破壊された《ボルシャック・爆・ルピア》の効果!アーマード・メクレイド8を発動ッ!」

 

 すると、勝の周りに紫色の炎が現れ、それが徐々に、(まこと)(ほのお)に変わり、そこから巨大な龍が現れた。

 

「闇の龍神よ、炎を纏え!そして、仲間を守れ!出番だ、《ボルシャック・モルナルク》ッ!」

 

 闇のファイブ・オリジン・ドラゴン、《黒龍神モルナルク》がボルシャックの名を持った姿、《ボルシャック・モルナルク》が姿を現し、ボルシャック・ライダーの横に並び立つ。

 

「《ボルシャック・モルナルク》の効果!墓地にある《ボルシャック・爆・ルピア》を手札に戻す!」

「それがどうした?こっちは《ゴルファンタジスタ》の効果を、すでに発動してる。次のウチのターンのはじめまで、コイツよりパワーが小さいクリーチャーはウチを攻撃できない!」

「……ッ!?」

 

 それはつまり、《ゴルファンタジスタ》が出た今、このターン、勝のクリーチャーはもう攻撃できない。

 

(否、待てよ?マナから《ゴルファンタジスタ》が出たってことは、彼女が次に使えるマナは7マナ?それでいて、さっき攻撃したことで、手札は今、4枚。ドローで5枚、マナチャージして、4枚だから……)

 

 冷静に黒江の場とマナ、手札を分析する勝。

 そして、黒江が使ってるデッキは自然単色のジャイアントデッキ。

 勝が知ってるジャイアントデッキと『双竜戦記』で追加されたジャイアントを思い出し、そこから考えられるカードを見出す。

 

(……もしも、アレが彼女のデッキに入っているなら、僕は次のターン、確実に負ける。けど、《ゴルファンタジスタ》の効果で、僕はこのターン、攻撃できない)

 

 これは賭けだ、と、勝はそう結論づける。

 どの道、《ゴルファンタジスタ》の効果で、勝はこのターン、攻撃できない。

 自身が最も危険なカードが入っていないことを祈り、勝は黒江にターンを渡すしか、他にない。

 

「……ターンエンド」

「やっと、ウチのターンか。考えるのが長かったな?考える時は考えますって、一言言った方が良いよ?」

「……そうだね。次からは気をつけるよ」

「うん、よろしい。ま、いくら考えたところで、結果は変わらないんだけどね」

「どういう意味ですか?」

「どういう意味も何も、アンタはこのターンで、ウチに負ける」

「ッ、まさか……!?」

 

 勝がそう口にした次の瞬間、黒江の場に、《環嵐(かんらん)!ホールインワン・ヘラクレス》、《とこしえの超人(プライマル・ジャイアント)》、《キャディ・ビートル》の3体が一瞬で場に出た。それらはすべて、種族にジャイアントを持つクリーチャーだ。

 そして、黒江の場は今、4体のジャイアントが揃ってしまった。

 つまり、ここで最上級にして、勝にとっては最悪のジャイアントが場に出るのだ。

 

「自分の場にジャイアントが4体以上いれば、コイツはG・ゼロで場に出せる!」

 

 それは忍者(シノビ)のジャイアント。背景ストーリーで、《剛撃戦攻(ごうげきせんこう)ドルゲーザ》がシノビの力を得て、世界崩壊を防いだ姿──

 

「光の中に闇あり。そして、闇が光に反転し、表舞台に顔を出す、《キャディ・ビートル》を進化!《終の怒流牙(ラスト・ニンジャ) ドルゲユキムラ》を召喚!」

 

 ──《終の怒流牙 ドルゲユキムラ》。

 これこそが、勝が一番、恐れていた進化ジャイアント・クリーチャーだ。

 そして、そのドルゲユキムラは実体化し、黒江のゴルファンタジスタの横に並び立った。

 

「《ユキムラ》の効果。マナから《ハヤブサマル》を手札に戻す」

 

 このターンに決められなかった時の保険と言わんばかり、ニンジャ・ストライクを持つ光の殿堂カード、《光牙忍(こうがにん)ハヤブサマル》を手札に戻し、勝に見せつける。

 対して、勝は恐れいていた出来事、即攻撃に参加できる《ドルゲユキムラ》が出たことと、ワールド・ブレイカーを持った《ゴルファンタジスタ》、メクレイドや《ボルシャック・ドギラゴン》の革命0トリガーを封じる《とこしえの超人》が揃ったことに、絶望していた。

 

(また……僕は負けるのか?)

 

 この時、結衣に敗北した光景が脳裏に過った(フラッシュバックした)

 あの時と状況が少し違う、部分的に、近いものを感じた。少なくとも、勝はそう感じた。

 

『──諦めるのか、人間?』

 

「え?」

 

 突如、どこからか、声が響いた。

 聞きなれない声の筈が、ずっと、近くに感じる。

 

『我を汝に託した美し少女の想いを無下にするのか?』

 

『あの時の屈辱を晴らしたいんだろ?』

 

『だったら、こんな所で、諦めるんじゃねぇ!』

 

「……!」

 

 ボルシャック・フォース・ドラゴンの声が聞こえた途端、勝は実体化しているボルシャック・モルナルクと、バトルゾーンのボルシャック・アークゼオス、そして、手札のボルシャック・バラフィオルの声に気づいた。

 

(そうだ、僕は一人で戦っているんじゃない!仲間と一緒に、ここまで強くなれたんだ!それに何より……)

 

 勝は実体化しているボルシャック・ライダー、否、ボルシャック・レイダーに進化したボルシャック・フォース・ドラゴンに振り向く。

 

「……忘れていたよ。僕はずっと、君と一緒に戦っていたのに、何でだろうね?けど、気づかせてくれて、ありがとう、ボルシャック・フォース・ドラゴン……否、ボルシャック・レイダー……」

 

 勝がお礼を言うと、ボルシャック・レイダーはそっぽを向いた。

 

「もう、大丈夫だよ、皆……僕はもう、最後まで諦めない!絶望なんて、しないよ!」

 

 そう強く、決意すると、勝は黒江に向かい直った。

 

「ブツブツブツブツと、独り言を言っているようだけど、サレンダーするなら、今のうちだけど?」

「サレンダーはしないよ。ここで逃げたら、また、前に進めなくなる。そんな気がする……」

「あっそ。んじゃ、遠慮なく、《ゴルファンタジスタ》で、ワールド・ブレイク!」

 

 黒江の指示に、ゴルファンタジスタは勢いよく駆け出し、巨大な二つの手で5枚のシールドを挟み、粉砕した。

 これにより、勝のシールドはすべてブレイクされた。

 

「シールド・トリガー!《ザーク・(カノン)・ピッチ》を召喚!効果で、《とこしえの超人》を破壊!」

「ウケる。さっさのトリガーがそれだけとか、悪足掻きもならないじゃん」

「確かに。これじゃあ、君の《ドルゲユキムラ》は止められない」

「だったら、何の意味があるの?」

「意味ならあるよ。それに……君は一つ、大きなミスを犯した」

 

 指を指しながら、勝はそう強く、宣言した。

 

「は?ミス?ウチが?何それ?意味わからんし。わかるように説明してくれる?」

「良いよ。わかるように説明してあげる。まず、各ターンに一度、ファイアー・バードが出たことで、《ボルシャック・アークゼオス》の効果が発動。《ドルゲユキムラ》と強制バトル!」

 

 ボルシャック・アークゼオスの影が一瞬現れ、そのままドルゲユキムラに突撃した。

 しかし、ドルゲユキムラのパワーは17000。

 対して、ボルシャック・アークゼオスのパワーは5000。

 場にいるファイアー・バードは《轟・ブルッチ》と《砲・ピッチ》、そして、何故か、アーマード・ファイアー・バードが付いている《ボルシャック・モルナルク》の3体がいるため、パワーが+9000されるが、それでも、パワーは14000。

 ギリギリパワーが足りず、ボルシャック・アークゼオスが破壊される。

 

「は?何やってるの?自分のクリーチャーを破壊するとか、バカじゃん。ウケる」

「笑っていられるのも、今のうちだよ。各ターンに一度、アーマード・ドラゴンが破壊される時、《ボルシャック・モルナルク》の第二の効果が発動!」

 

 しかし、ボルシャック・モルナルクの体が燃え上がり、そこから一体のファイアー・バードが現れた。

 

「破壊されるかわりに、ファイアー・バードを一体、場に出せる!出すのは当然、《ワルキューレ・ルピア》だ!」

「……!?」

 

 それは勝がボルシャックデッキで採用しているファイアーバードであり、アーマード・ドラゴンである、火と光の多色クリーチャー、《凰翔竜機ワルキューレ・ルピア》だ。

 

「な、何でこのタイミングで、《ワルキューレ》が出てくるんだ!?ってか、アンタそれ、赤単だろ?何で赤白で多色の《ワルキューレ》が入ってるんだよ!?」

「《ボルシャック・アークゼオス》や《ボルシャック・バラフィオル》……後、今回、たまたまだったけど、《ボルシャック・モルナルク》から出て、革命チェンジで《ザークピッチ》を使い回せるから採用してるだけだよ!」

「それだけの理由で採用してるのか!?クソ、ターンエンド!」

 

 激しく突っ込みを入れつつ、黒江は悔しながら、ターンを終えた。

 

「僕のターン!《ボルシャック・爆・ルピア》を召喚!《ボルシャック・アークゼオス》の効果で、《ドルゲユキムラ》とバトル!今度はこっちの《ボルシャック・アークゼオス》が勝つから、《ドルゲユキムラ》を破壊だ!」

「クソ、ウチの切り札が……!」

 

 再び、ボルシャック・アークゼオスの幻影が現れ、ドルゲユキムラに突撃し、今度はドルゲユキムラを、ボルシャック・アークゼオスの細い爪で切り裂き、破壊した。

 そのまま、ボルシャック・アークゼオスの幻影は消えた。

 

「そして、《ボルシャック・モルナルク》で、シールドを攻撃!」

「そうはさせるかよ!ニンジャ・ストライクで、《ハヤブサマル》を出して、自身をブロッカーにして、ブロック!」

「まだだよ!《ボルシャック・アークゼオス》で攻撃!《ボルシャック・アークゼオス》はパワード・ブレイカー!よって、君のシールドをすべてブレイクだ!」

「……ッ!」

 

 炎が黒江のシールドに襲い掛かり、焼かれて溶けていき、3枚あるシールドがすべて、ブレイクされた。

 

「トリガーは……ないか」

 

 その中にシールド・トリガーはなかったことに、黒江は目を伏せる。

 

(あーあ、負けちゃったか……ま、でも、やるべきことは果たせたし、いっか……)

 

「ねぇ、君の名前、教えてくれる?」

「……は?」

 

 敗北が見える中、突然、勝はそんなことを聞いてきた。

 

「まだ僕、聞いてなかったからさ……」

「……はぁー」

 

 照れ臭そうに名前を聞いてくる勝の仕草に、黒江は深い溜め息を吐いた。

 

「花宮黒江……それがウチの名前……」

「!そうか……それじゃ、花宮さん……また、デュエマしようね」

「!?」

 

 それは告白に近い言葉だった。少なくとも、黒江から見て、そう勘違いしても、おかしくない。

 

「──《ボルシャック・フォース・ドラゴン》で、ダイレクトアタックッ!」

 

 

 




文字数が普段より多くなってしまったが、後悔はない。
というか、今後、こういう形で描かないと、話数が増える一方……(汗)
後日談は近いうちに投稿します。
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