「?果たし状?」
火野勝がACE学園に転校し、早峰想とのデュエマに勝利してから1週間が経過したある日の朝。勝の下駄箱の中に、『果たし状』と書かれた紙が置かれていた。
「……こう言うのって、
そう言って、勝は『果たし状』と書かれた紙を広げた。紙の幅はそこまで広くはなかったので、周りの生徒達の邪魔にはならず、内容を確認できた。
果たし状の内容は『今日の放課後、デュエマしましょう!屋上で待っています!』、と、書かれていた。
内容を確認した勝は「やっぱり」、と、小さく呟き、紙を
「何でうちの部が廃部になるのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっー!」
場所は変わり、理事長室。
そこでは、生徒会長である斎条咲恋が朝から怒涛の叫び声を上げていた。
「しかも、理由が経費削減のためって、ふざけるんじゃないわよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっー!」
本日二度目の叫び声を上げる咲恋。そして今は、この学園の理事長である、焔秋乃に抗議しているのだ。
「仕方がありませんわ。お父様が決めたことですので……」
「こればかりは、諦めるのが妥当かと思いますよ、咲恋様」
秋乃と秋乃のメイドであり、この学園の生徒の一人、暁月エリカの二人は感情任せに抗議する咲恋を
しかし、それが返って、咲恋の怒りをヒートアップさせる。
「納得できるわけないでしょう!どうするのよ、これぇっ!」
「お、落ち着いてください、咲恋様!」
「落ち着いていられないわよっ!」
悲痛な叫びを上げる咲恋。
流石に叫びすぎて、三度目は控えめだが、それでも、自分の部が廃部になる、という悲しい想いは変わらない。
咲恋が落ち着くまで、数分かかったが、ようやく落ち着いたところ、秋乃は問題解決の糸口を彼女に提示する。
「お父様の話によりますと、ゴールデンウィークの前に部員を5人集めれば、廃部を取り消すと言っていますの……」
「5人集めろって、もう1週間しかないじゃない!?しかも、今年の新入生の殆どは部活動を決めてるし、空いてる人材、結構限られてくるわよ!?」
「それに関しては問題ありませんわ。エリカ」
「はい、お嬢様」
パンパン、と、両手を軽く叩くエリカ。すると、理事長室の入り口が開き、咲恋は振り向いた。
そこには口をガムテープで貼られ、体を縄に縛られた、三年の問題児、早峰想と想を無理矢理連れてきた、体格が小柄で、青紫髪のツインテールの女子生徒の姿があった。
「……秋乃さん、これは?」
「今日から『ACE・デュエマ部』に入部する、三年の早峰想さんです。想さん、咲恋さんと仲良くしてくださいね」
「うぅーん、うぅー!(誰が入部すると言ったー!)」
秋乃の言葉に想は訴えるも、秋乃は聞く耳を持たず、
「これからどうなるの、うちの部活……」
「なるようになるしかないですね……」
「ですね!」
秋乃の笑顔に絶望した咲恋は心底落ち込み、そんな咲恋に、エリカは投げやりに言い放し、ツインテールの女子生徒は元気な返事を返した。
「というわけで、勝、『ACE・デュエマ部』に入ってほしいの!お願いっ!」
「お断りします」
「何でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
時間は経過し、昼休みに入ってすぐ、咲恋は勝に『ACE・デュエマ部』に誘うも、即答で断れた。
まさか、断れるとは思わず、咲恋は再び、叫び声を上げた。
因みに、勝と咲恋とエリカは二年生であり、同じクラスである。
「どうしてなの!?理由を教えて、勝!」
「……理由か」
咲恋の問いに、勝は廊下側の席で読書をしているエリカに視線を向ける。
勝の視線を感じたエリカは深い溜め息を吐き、本を閉じて、椅子から立ち上がり、二人のもとに歩み寄った。
「どうかしましたか、火野?」
「いや、アレを言うべきかどうか、悩んでいるんだけど……」
「アレ、ですか……」
「アレ?」
二人が言う、アレとは何か、咲恋が疑問に思う中、先にエリカが口を開いた。
「正直に申しますと、無理に言う必要はありません。ですが、それを理由に断る理由はないと思います。まぁ、私個人の考えですが……」
「……わかった。相談に乗ってくれて、ありがとう、暁月さん」
「いえ、これぐらいは相談に乗ったには入りません。では……」
そう言って、エリカは自分の席に戻り、読書を再開した。
それを見た勝は咲恋に向き直り、ある提案をする。
「咲恋ちゃん、明日、僕とデュエマをしよう。咲恋ちゃんが勝ったら、僕は『ACE・デュエマ部』に入る。僕が勝ったら、咲恋ちゃんは諦める。それで良いかな?」
「?別に良いけど、今はダメなの?」
「ダメです」
そう強く拒否し、咲恋は渋々な表情で勝に時間と場所を知らせる。
「……わかったわ。明日の放課後、学園の体育館でデュエマをしましょう」
そう言うと、勝は頷き、それを見た咲恋は勝から離れ、教室を出て、その場を後にした。
それから時間が経過し、放課後。
勝は『果たし状』に指定された場所、ACE学園の屋上の扉の前に来ていた。
「ふぅー、はー……ヨシっ!」
深呼吸をし、気合を入れて、扉のハンドルを軽く捻り、扉を勢いよく開けた。
「頼もう!」
「!?」
扉を開けると同時に、大声を出す勝。
屋上で待っていたのは、オレンジ色の髪に、花型のアクセサリーを着けた、一人の女子生徒『
「急に大声を出すから、ビックリしました……」
「そりゃあ、悪かったね。なんて、こんなものが置かれていたから、気合を入れなちゃって思って、つい、大声を出しちゃった」
そう言いながら、勝は『果たし状』をひよりに見てる。
それを見たひよりは一瞬、眉を
「なるほど。そう言うことですか……私の挑戦、受けて貰いますか?火野先輩」
「どうして僕の名前を?」
「あのデュエマを見れば、誰だって、知っていますよ」
「あのデュエマ……1週間前の早峰先輩とのデュエマか?」
「はい」
勝の問いに、ひよりは、はっきりと、返事を返した。
それを聞いて、勝は「なるほど」と、小さく呟いた後、前に出る。
「改めて、僕の名前は火野勝。1週間前に転校した、二年生だ」
「一年の明星ひよりです!火野先輩、私はアナタのカッコいいデュエマに惚れました!アナタが早峰先輩とデュエマをした、あのカッコいいデュエマを……今度は私に見せてくださいッ!」
「カッコいいかはわからないけど、君の想いに答えられるよう、努力するよ。それから……僕のことは勝で良いよ、明星さん」
「っ、わかりました!それなら、私もひよりで構いません!さん付けもいりません、勝先輩!」
「オッケー、それなら始めようか、ひよりちゃん!」
お互いにデッキを取り出し、そのデッキに、想いを乗せた後、二人は魔法の言葉を叫ぶ。
「「デュエマ・スタートっ!!」」
今、少年と少女の激しく、アツかりし、デュエマが始まろうとしている。
対戦パートは次回に続きます。