デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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ACE43:もうひとりの、紫色の目を持つ者の呪い。

 

 

 

 ──数時間前。

 

 エリカの右目が紫色に変化した同じ頃、デュエマ甲子園に向けて特訓しようと、結衣と黒江よりも先に天災(ディザスター)学園の体育館に来ていたキャルは(もが)き苦しんでいた。

 

「ぐぅ……あ、ァァァァァッー!」

 

 ジタバタと暴れるキャル。

 見ると、彼女の左目が紫色に変化していた。

 しかし、エリカと違うのは、キャルの左目から血が出血していなかった。

 

「オイ、どうした!?」

 

 後から来た黒江と結衣の二人は、苦しんでいるキャルの元に駆けつけ、暴れる彼女を抑えるため、左目に置いている両手を掴み、離した。

 離すと、そこで二人はキャルの左目が紫色に変化していることに気づく。

 

「っ、これは……!?」

「オイ結衣、これ、どうなってるんだ?」

「……」

 

(まさか、ジャシン帝の復活がこんなに早いなんて……)

 

 結衣は事の発端がジャシン帝、復活と気づき、脳裏でそう思った。

 

「……ん……る」

「……え?」

 

 突然、キャルは何かを呟き、黒江はキャルがまた同じことを言うかもしれないと思い、耳を()ました。

 

「呼ん……でる……」

「呼んでる?誰が?」

「わか、らない……けど、私を、呼んでる声が聞こえる……うっ!?」

「キャル?うわっ!?」

 

 突然、キャルは立ち上がり、黒江は驚きのあまり、滑って、腰を抜かした。

 

「オイ、キャル!急に立ち上がるなよ!」

「……」

「キャル?」

 

 急に立ち上がったキャルに注意する黒江だが、キャルは無言のまま、顔を黒江に振り向いた。

 それを見た結衣は何か、殺意のような、禍々(まがまが)しいオーラがキャルの体から(あふ)れているのに気づき、キャルから離れるよう、黒江に叫んだ。

 

「離れて、黒江!」

「え?」

「邪魔だ」

「うわっ!?」

 

 しかし、結衣が叫ぶよりも早く、キャルは黒江の体を横に投げ飛ばした。

 投げ飛ばされた黒江は、咄嗟の機転で受け身をとって、体勢を立て直した。

 

「オイ、キャル!いきなり何するんだ?」

「……五月蝿い」

「んだと!?」

 

 突然、人を投げ飛ばしたキャルに問いかけるも、キャルの返答は黒江を怒らせるのに、十分(じゅうぶん)な一言だった。

 しかし、キャルの様子がさっきまでと違うことに結衣は気づいていた。

 

「キャル、貴女、もしかして……」

「うっ!?」

 

 またキャルは苦しみだし、今度は胸を掴んで苦しみを抑えるも、痛みが治まる訳もなく、今度はキャルの後ろから犬のような、狼のような顔が三つ繋がっており、それはギリシャ神話に出てくる怪物、ケルベロスのような姿をした影が顕現した。

 

『ウゥ、ワオオオオオォォォォォン!』

「く、耳が……!?」

「鼓膜が、破れる……!」

 

 その怪物は吠え、その叫び声は二人の耳に激しい痛みが走り、両手で耳を塞いだ。

 その間に、キャルは怪物の背中に乗り、キャルを乗せたまま怪物は飛び、勢いをつけて体育館の天井に体当たりした。

 

「な!?」

「っ!?

 

 その光景に二人は驚き、キャルを乗せた怪物はどこかに言ってしまった。

 

 

 

 数分後。耳の痛みが(おさ)まった二人はこれからどうするか、話し合っていた。

 

「どうするよ、結衣……」

「……追いかけるよ」

「追いかけるって、どうやって?あっちは空を飛べるし、対してこっちは自転車や車は使えないし、歩いて追いかけるにしても、普通に考えて無理があるだろ?」

「……何のために、その目があると思っているの?」

「え?」

 

 そう言うと、結衣は自身の目を指に当て、そのまま青い、水色の瞳に変化した。

 

「私達の目には同じ力を持つ人を探す力があるのよ」

「それってつまり……」

「これでキャルを追いかける。ただ、向こうは空を飛べるし、完全に追いつくには少し難しいかもね……」

「……ウチ、バイクの免許あるよ。原付だけど」

「そうなの?それなら黒江は先に行って。私も後から追いつくから」

「一緒に乗らないのか?」

「法律的にアウトよ。それに、何より、私達の身の安全を考えた方が良いわ」

「え?」

 

 結衣の口から発しられた言葉に、黒江は驚いてしまった。

 意外すぎる。いつもの彼女なら、他人に対して、然程(さほど)気にしないはずの彼女が珍しく、キャルのことを気にしていた。

 流石の彼女でも、仲間に対しては気にかけるのだろう、と、黒江は内心、そう思った。

 

「何よ?」

「いや、意外だな、って、思ってよ……」

「は?殴られたいの?」

「怖いこと言うなよ。とりま、ウチはバイクで先に行くけど、本当に良いんだな?」

「ええ、構わないわ」

「……わかった」

 

 そう言って、黒江は体育館を後にして、先にキャルを追いかけた。

 

 黒江が居なくなった後、一人になった結衣はスマホを取り出し、ある人物に連絡を取り合うため、電話をかける。

 

「もしもし。ええ、私よ。予定よりも早く、ジャシン帝が復活するみたい。今すぐ、私も現場に向かうわ」

 

 そう言って、結衣は電話を切り、デュエマのカードを一枚、取り出した。

 

「……久しぶりにいくよ、オーパーツ」

 

 そう言うと、結衣の目が青い、水色の瞳に変化し、左目の内側だけ、『氷』、という文字が浮かび上がった。

 更に、それと同時に彼女の足元に、水色の魔法陣のようなものが現れた。

 

「……転移。場所はもう一つの紫色の目を持つ者……その近くに転移」

 

 そう言うと、結衣は姿を消した。水色の魔法陣もいつも間にか、消えており、体育館の中は完全に無人となった。

 

 

 

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