「デュエル・ゾーンッ、強制展開ッ!」
「!?」
突如、勝とスパトー:ド:スパトゥーの間に謎の光が現れ、彼らを巻き込み、別の空間に転移された。
──ここはデュエマによって勝敗が決まる決闘場、『デュエル・ゾーン』。
ここでの戦いは命はとらず、代わりに、激しい痛みを与えるようになっている。
また、現実とは違い、クリーチャーが完全に実体化するのだ。
「どうやら、うまくいったみたいだね」
『エエ、ソノヨウデスネ。デスガ……』
「わかってる。こうなる事は最初から覚悟していたよ」
そう言って、勝は以前、エリカとの対戦で使っていた《Vol-Val-8》を軸にした
「キ、キ、イィ、アアアー!」
「……何言ってるか、わからないけど、悔しがっているのはわかる」
『デスネ……』
禁断竜王がそう言うと、スパトー:ド:スパトゥーの前に薄いデュエマの台が現れた。
「……ここから出たいなら、僕をデュエマで倒すんだね!」
「キィィッー!」
歯を噛み締めながら、スパトー:ド:スパトゥーは手札から1枚、マナに置いた。
どうやら、デュエマの知識があるみたいで、対戦はできるみたいだ。
「僕のターン、マナチャージして、ターンエンド」
それを見た勝はいつも通りにプレイするも、会話が成立しない相手に、不思議と不安を感じた。
「キ、キ、《ド:ノラテップ》!」
プテラに似た怪物、《ド:ノラテップ》が、スパトー:ド:スパトゥーの前に現れた。
「普通に名前は言えるんだ……」
『器用デ、草、デスネ』
と言っても、アビスのコスト軽減を持つ《ド:ノラテップ》が出たことに、勝は内心、頭を抱えた。
「僕のターン。マナチャージして……そっちがコスト軽減なら、こっちもコスト軽減だ!《エルフィ-1》を召喚ッ!」
張り合うかのように、勝もディスタスのコストを下げる、《賢樹 エルフィ-1》を場に出す。
「キキ、《ボーンおどり》……キ、キィ、《ベル=ゲルエール》……!」
「一気に墓地を肥やしてきたな……」
『主。気ヲ、ツケテ!切リ、札、来ル!次ノ、ターン!』
主人を心配してか、不安な声で、禁断竜王はそう言い、それを聞いた勝はスパトー:ド:スパトゥーの墓地を確認した。
(《ジャシン帝》や《ジャブラッド》はないけど、ヤバイのがそこそこ落ちたな。しかも、プレイに無駄がない!)
先程、《ボーンおどり・チャージャー》で、墓地とマナを増やし、《ド:ノラテップ》のコスト軽減で、《ベル=ゲルエール》を1マナで召喚し、墓地をさらに増やした。
どうやら頭はそれなりに良いみたいで、油断は禁物だ、と、脳裏でそう思い、勝はカードを引く。
「《シャラップ》は今回、
「キィィ!?」
勝の場には、パワー13000の《エルフィ-1》がいる。よって、《闘争と成長の決断》の条件は満たされ、3マナで唱えられるのだ。
「そして、この呪文は3つの効果の中から2回選んで唱えられるけど……今回はマナ加速を2回使う!ターンエンド!」
本来であれば、コスト軽減を持つ《ド:ノラテップ》を退かしたい所だが、墓地を見る限り、自分の動きを優先した方が良いと思い、勝はマナ加速を選んだ。
勝がターンエンドを宣言すると、スパトー:ド:スパトゥーは墓地から1枚のカードを取り出した。
「キィィ、キキ、アビス、ラッシュ!キィィッ!《スパトー:ド:スパトゥー》!」
言いづらそうに、スパトー:ド:スパトゥーはアビスラッシュで自身を場に出し、そのままタップした。
「キィィィー!」
「うわっ!?」
『主!?』
叫び声を上げながら、スパトー:ド:スパトゥーは自身の触手を一つ、勝に向けて伸ばした。
しかし、それは勝に当たることはなく、薄い二つの壁が防ぎ、かわりに、その壁が砕かれ、その欠片の一部が勝の体に傷をつけた。
「イテテ、大丈夫だよ。禁断竜王」
『シッカリ、シテ、下サイ!死ナナクテモ、死ヨリ痛イ、痛ミ、ヲ、感ジマス!下手ヲ、スルト、大怪我、シマス!』
「そうだったね。完全に失念してたよ……」
気を引き締めて、勝はブレイクされた2枚のシールドの中を確認した。
「……トリガーはない」
「キィ、《ベル=ゲルエール》!」
トリガーがないことを知らせると、今度はベル=ゲルエールが襲い掛かるも、またしても、薄い壁が阻み、ベル=ゲルエールは迷わず、それを砕いた。
「キィ!?」
「ッ、これは……まさか!?」
しかし、その壁から雷のマークが出現し、勝はブレイクされたシールドの中を確認すると、それはシールド・トリガーを持ったカードだった。
「これ以上は攻撃させない!シールド・トリガー!《ミランダ-
「キィィ!?」
現れたのは《エルフィ-1》と同じ自然のディスタス、《
そのままスパトー:ド:スパトゥーにぶつかる、かと思ったが、その前に、ド:ノラテップが粒子となって消え、いつも間にか、カードの《ド:ノラテップ》はマナゾーンに置かれていた。
「……なんか、色々とシュールだな」
『言ッテル、場合、デスカ!』
「ごめん!けど、なんか面白くて、つい口が滑った!」
「キィィィィィッー!」
言い合ってる中、突然、スパトー:ド:スパトゥーは叫び声を上げ、アビスラッシュで出した自分自信を山札の下に置いた。
その後、スパトー:ド:スパトゥーの山札は紫色に光り、スパトー:ド:スパトゥーはこう宣言した。
「ア……アビ、ス……メク、レイド、8……発、動……!」
「!?」
すると、山札の上から3枚がスパトー:ド:スパトゥーの前に浮かび上がり、その内の1枚を場に出した。
「ラ、《ラゼル=ズバイラル》、召ッ、喚ッ!」
それは螺旋階段を依代にしたアビスロイヤル、《
「このタイミングで、《ラゼル=ズバイラル》!?いや、それよりも、あのタコ、普通に召喚って言ったな!?」
『ドウヤラ、我々カラ、言語ヲ、理解、シタ、ヨウ、デス!』
勝の疑問に素早く答える禁断竜王。その説明に、納得する勝だが、この場面で現れた《ラゼル=ズバイラル》に頭を抱える。
「《ラゼル=ズバイラル》、ノ、効果、発、動ッ!手札、カ、マナ、ドチラカ、選ベ!」
「な!?」
すると、勝の手札とマナが紫色に光った。これが《ラゼル=ズバイラル》の能力。4つの中から2つ、相手に提示し、その内の一つを相手に選ばせ、絶望に叩き込む、恐ろしい能力だ。
そして、今、《ラゼル=ズバイラル》の効果で、スパトー:ド:スパトゥーが提示したのは、相手の手札をすべて捨てるか、相手のターンのはじめに、相手は自身のマナゾーンのカードを3枚までしかアンタップできないかの二択だ。
どちらを選んでも、どちらか片方が奪われるため、勝は次の自分のターンに反撃できる可能性を考えた。
(今の手札だと、選ぶとしたら、マナ……問題は次のドローと山札次第、か……どの道、手札を捨てるのは論外だ!それなら……!)
「僕は……マナを選ぶ!マナを3枚までしかアンタップしないを選ぶ!」
「キィ、キキ、キィー!ソノ、選択、後悔、スル、ナヨ……!」
目が一つしかない、スパトー:ド:スパトゥーは薄ら笑みを溢し、勝をからかうかのように、そう叫んだ。
『……主』
「大丈夫だよ、禁断竜王……」
心配する相棒に勝は自信を持って、カードを引いた。
そして、引いたのだ。この絶望的な状況をひっくり返す、逆転のカードを。
「ねぇ、タコさん」
「キィ?ナンダァ?」
もう殆ど、会話ができるスパトー:ド:スパトゥーの反応を見て、勝は安心し、笑った。
そして──
「──反撃、させてもらうよ」
「!?」
──笑顔で、そう宣言した。
それを見たスパトー:ド:スパトゥーは驚き、同時に初めて、恐怖を覚えた。
「まずはマナチャージ。そして、ササゲール、発動ッ!」
実体化しているエルフィ-1とミランダ-2は爆発し、二つの魂が勝の手札に集まり、吸収し、1枚のカードを取り出した。
「大地に眠る者よ、科学の力で叩き起こせ!4マナで、《
ブゥーン、という、エンジン音。地面をえぐるタイヤの音が鳴り響き、勝の頭上を飛び越えて、姿を現した。
デッキに1枚しか入れられない殿堂カード、《ボルバルザーク・エクス》と、《ボルバルザーク・エクス》と相性の良い《サイバー・N・ワールド》が合体したディスペクター、《竜界電融N・EXT》が姿を現した。
「《N・EXT》の効果!マナゾーンにあるディスタスとディスペクターをすべて、アンタップ!」
「ナ、ナニィ!?」
偶然にも、勝のマナゾーンはすべて、ディスタスとディスペクターのため、6枚のマナをすべて、アンタップした。
「これでこっちのマナが回復した!1マナで呪文、《フェアリー・ギフト》!次に召喚するクリーチャーのコストを3軽減!5マナで、《
今度は電融の王、《勝災電融王 ギュカウツ・マグル》が駆けつけ、勝の前に現れた。
「《ギュカウツ・マグル》の効果!山札の上から4枚見て、その中から、コストの合計が9以下になるように、多色クリーチャーを場に出せる!」
すると、勝の山札の上から4枚のカードが浮かび上がり、その中には《Vol-Val-8》のカードがあり、勝は迷わず、《Vol-Val-8》のカードを掴んだ。
「待たせたね、《禁断竜王 Vol-Val-8》!」
そう言って、勢いよく、《Vol-Val-8》を場に出した。
そして、Vol-Val-8として、禁断竜王は実体化した。
「やっと、大暴れの時が、キマシタッ!」
そう禁断竜王は叫び、ギュカウツ・マグルとN・EXTの間に入った。
今ここに、最強の電融のディスペクターが3体、並び立った。
「ア、アリエナイッ!?1ターンで大型クリーチャーを3体!?こっちは《ラゼル=ズバイラル》で、マナを封じたのに……!」
「ゴチャゴチャ、五月蝿い!さっさと、我に切られて、シネ!」
「ヒィィン!?」
禁断竜王の圧に、スパトー:ド:スパトゥーは怯え、涙を流した。
「……可愛いけど、涙を流してもダメだからね!《N・EXT》で、攻撃!攻撃する時に、そっちの墓地と手札を山札に
「己!アビィの墓地が!」
(あ、一人称、アビィなんだ……)
まぁ、どうでもいいけど、と、そう脳裏で片付け、勝は攻撃の手を
「《N・EXT》で、W・ブレイクッ!」
「シ、シールド・トリガー!ト、《トーチ=トートロット》を、召喚!シ、シビルカウント、3で、オマエのクリーチャー、2体、破壊ッ!」
「EXライフで、《N・EXT》と禁断竜王は場に残る!」
トーチ=トートロットの炎で、2体のクリーチャーが燃え尽きて、破壊されるも、事前に、勝のシールドに追加された2枚のシールドを墓地に置き、破壊を防ぐ。
「己ぇ!」
「……禁断竜王で攻撃!する時に、山札の上から5枚を見て、2枚を手札に加える!その後、互いにパワー6000以下のクリーチャーを、全て破壊!」
「シネシネシネェ!我の力の
突然、バイオレンス状態になり、禁断竜王は巨大な剣で、勝のN・EXTとスパトー:ド:スパトゥーのトーチ=トートロットとベル=ゲルエールを切り裂き、破壊した。
その勢いで、スパトー:ド:スパトゥーにも切り裂こうと、剣を振り下ろすと、薄い、三つの巨大な壁が阻み、スパトー:ド:スパトゥーの真横に逸れた。
「ム、座標がずれた。けど、次は外さない……」
「キィ、キキ!オマエ、達に、次は、ない!アビィのターンで、オマエ達は、負け、る……!」
「ン?何を寝ぼけたことを言っているのですか?」
「キ?」
首を傾げるスパトー:ド:スパトゥー。それを見た勝は
「このターン、クリーチャーが4体以上、破壊されたので、僕は追加ターンを得る」
「……エ?」
訳がわからない。理解ができない。スパトー:ド:スパトゥーの思考はそれしか浮かばなかった。
「……僕のターン。《禁断竜王 Vol-Val-8》で、ダイレクトアタック!」
「これが本当の、エターナルプレミアムズ!」
「キィィィィィー!?」
禁断竜王の斬撃に、スパトー:ド:スパトゥーは断末魔の叫びをあげ、真っ二つに切られ、爆発した。
爆発の中から、スパトー:ド:スパトゥーのカードが現れ、勝の手元に落下した。