デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

45 / 104
ACE45:危険な場所で、二人は再び邂逅する。

 

 

 

 デュエル・ゾーンで、なんとかスパトー:ド:スパトゥーを倒した勝は秋乃の元に戻っていた。

 

「お待たせ、秋乃さん……」

「勝様?あの、先程のタコの怪物は?」

「デュエマに勝って、カードになったよ」

 

 そう言って、カードになったスパトー:ド:スパトゥーを秋乃に見せた。

 それを見て、秋乃は安堵(あんど)した。

 

「安心しているところ、悪いんだけど。秋乃さん、エリカのデッキを探そう」

「……わかりましたわ。と、言いたいのですが、実は勝様がいないうちに、エリカのデッキを取り出しておきましたわ」

「そうなんだ。ありがとう、秋乃さん」

 

 そうお礼を言うと、秋乃は照れ臭そうにしながらも、エリカのデッキを取り出し、勝に見せた。

 

「デッキの中を少し確認するね」

「……はい」

 

 エリカのデッキを勝に渡し、中を覗くと、デッキの数枚が足りないことに勝は気づいた。

 また、《ジャシン帝》と《ジャブラッド》のカードが1枚もなかった。

 

「……これはまずいかもしれない」

「と、言いますと?」

「……あまり言いたくないけど、良いかな?」

「構いませんわ。覚悟は……できていますわ!」

 

 覚悟を決めた秋乃の瞳を見て、勝は現状の危険性と、今後の可能性を説明した。

 

「まず一つ、エリカのデッキの枚数が少ないこと。二つ、《ジャシン帝》と《ジャブラッド》のカードがないこと。三つ、これらから察するに、さっきのスパトー:ド:スパトゥーみたいに実体化しているクリーチャーが多いこと。四つ……これが一番重要で、最も危険性の高いことなんだけど……良いかな?」

「先程も言いましたが、覚悟はできていますわ。どんとこい、ですわ!」

「……わかった。四つ、カードの減りとエリカの出血から察するに、実体化しているクリーチャー達は、エリカの生命力を吸っているんだ」

「エリカの、生命力?一体何故?」

「クリーチャーの実体化に必要なのは、マナとなる養分が必要なんだけど、こっちの世界には、その養分が存在しない。かわりに、僕達、人間のもつ生命力は、それなりにマナがあるんだ。個人差はあるけど」

「っ、それってつまり……!?」

 

 そう、実体化に必要なマナがなければ、クリーチャーは実体化できず、そのマナのかわりに、エリカの生命力を使って、実体化しようとしたところ、実体化するクリーチャーの数が多く、先にエリカの生命力が持たず、目から大量の出血が出たのは、それが原因だろう、と、勝はそう推測する。

 

(おまけに、“目に力を持つ人間”は狙われやすいんだけど……そこは黙っておこう……)

 

「そんな……そんなことのために、エリカがあんな目にあうなんて、許せませんわ!」

「……」

 

 珍しく、怒りに任せた秋乃の表情を見て、勝は静かに、彼女の肩に手を置いた。

 

「大丈夫。僕が必ず、エリカを助けるよ。だから、安心して、秋乃さん……」

「……勝様」

 

「──悪いけど、貴方達にはそこで引っ込んでてもらうわ」

 

「「!?」」

 

 突如、女性の声が響き、それと同時に扉が閉まり、その扉が氷に包まれ、固まってしまった。

 

「な、なんですの!?」

「この氷は、まさか……!?」

 

 動揺する二人。急いで氷を溶かそうと、手に炎を出そうとする勝だが、いつも間にか、両手、両足が氷に包まれており、手元にあったはずのエリカのデッキも無くなっていた。

 

「っ!?手が凍ってる!?それに、エリカのデッキがない!?」

「デッキは私が預かったわ。それに、さっきも言ったけど、貴方達にはそこで大人しくしてもらうわ」

「その声は、結衣ちゃん!?どうしてこんなことをするんだ?」

 

 突然、扉の向こうから聞き慣れた女性の声、赤羽結衣の声が響き、突然、結衣が来たことに、勝は驚きつつ、彼女に問いかけた。

 

「……私の目的はジャシン帝の復活。それを邪魔する者は誰であろうと容赦はしない!勝、例え、貴方でもね」

「……!?」

 

 結衣の目的に、勝は驚き、黙り込む。

 どうやら、相当、ショックのようだ。無理もない。かつての想い人が、そんな目的を持っていたとは考えられず、精神が(こた)えないはずがない。

 

「わかったなら、ジャシン帝が復活するまで、そこで大人しくしてなさい」

「待ちなさい!エリカは?エリカはどうなるのですか!?答えなさい!」

「エリカ?ああ、ベッドで横になって、目から血が出てるあの子ね。悪いけど、彼女はジャシン帝復活のために、その糧になるの。断念だけど、諦めなさい」

「「!?」」

 

 人の心がないのか、それとも、人としての思考が欠落しているのか、結衣は冷たく、そう告げ、足を動かした。

 やがて、結衣の足音が聞こえなくなり、部屋に飛び込められた勝と秋乃は絶望のあまり、その場で固まってしまった。

 

「……るな」

「?勝様?」

「ふざけるな!」

「!?」

 

 そう強く叫ぶと、勝の右側の瞳に『火』、左側の瞳に『炎』、二つの文字が浮かび上がり、それと同時に、凍っているはずの手足が徐々に溶かされ、ある程度、動けるようになった足を、前に出し、炎を纏った右手で、氷で包まれた扉を勢いよく、ぶん殴り、扉を壊して、道を開けた。

 

「……」

 

 その光景に、秋乃は驚き、言葉を失った。

 

「いくよ、秋乃さん!エリカさんを助けに!」

「っ、はい!」

 

 勝の掛け声で、秋乃は我に返り、二人はエリカの元に向かった。

 

 

 

「全く、手間をかけさせるわね……」

 

 気絶しているマリとキリオを見て、結衣は吐き捨てるかのように、そう言った。

 エリカの部屋に勝と秋乃を閉じ込めた後、結衣はエリカのもとに向かうため、移動していた。

 その途中、実体化したアビスロイヤルの《テブル=ザザーム》と、ノワールアビスの《ノラディ:ド:スルーザ》に襲われていた二人を助け、助けた後、二人を気絶させていた。

 

(これ以上、怖い想いをさせないためとはいえ、少しやりすぎたかな?)

 

 脳裏でそう思った、その直後、スマホの着信音が鳴った。

 スマホを取り出し、画面を開くと、黒江からだ。

 どうやら、彼女も着いたのだろう、と、軽い気持ちで、電話に出た。

 

「もしもし、黒──」

『大変だ!結衣!キャルのやつ、焔財閥の屋敷の中に入っていた!』

「!?」

 

 着くのが早すぎる。真っ先にそう思った結衣は、急ぎ、黒江の電話を切り、デッキを取り出した。

 

 ──その時だ。

 

「ワオォォォォォォォォォォン!」

 

 犬、否、狼の叫び声が結衣の頭上に響き、天井が崩れ、崩壊した。

 そこから、ケルベロスの影、否、影から完全に実体化した《深淵(しんえん)三咆哮(さんほうこう) バウワウジャ》の背中に乗ったキャルが現れた。

 

「キャル……」

「……邪魔しないで、結衣」

 

 一瞬、結衣を見つめたキャルは、一言、そう言った。

 

「邪魔はしないわ。けど……」

「けど、何?」

「……貴方を邪魔する者が来るみたいだから、私がそいつらを阻止するわ」

「……いいの?」

「良いよ。貴方には早く強くなってほしいし、何より、“アレ”は貴方の手にあった方が、こっちにも都合の良いの」

「……わかった」

 

 いまいち納得できないが、一旦、結衣の言葉を呑み込んだキャルはバウワウジャに乗ったまま、エリカの元に向かった。

 

「……さてと、私も準備しないと」

 

 そう言って、結衣はスマホを取り出し、メールで、黒江に『私が来るまで、その場で待機』という一文を打ち、送信した。

 送信後、こちらに向かう足音が二つ、響いた。

 一つは勝の足音。もう一つはわからないが、恐らく、この屋敷の関係者だろうと、結衣はそう思い、スマホをズボンのポケットに入れ、デッキを前に掲げた。

 

「──ターゲット、ロックオンッ!」

 

 結衣はそう宣言し、結衣のデッキから水色の細長い線が伸び、誰かを()らえた。

 恐らく、勝だろう、と、そう思い、結衣は宣言した。

 

「デュエル・ゾーン、強制展開!」

 

 

 




次回、勝対結衣、二度目の対戦。
はたして、勝は結衣に勝ち、ジャシン帝の復活を止めて、エリカを救えるのか?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。