デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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お待たせしました。


ACE50:ジャシン帝、復活。

 

 

 

「──が、はッ……!?」

「!?主!?」

 

 ボロボロの状態で、勝はデュエル・ゾーンから現れ、その場で倒れた。

 それを見た禁断竜王は主である勝の安否を確認するため、駆けつける。

 

「全く、大したことないわ。それに、目を使うまでもなかったわ……」

 

 後から現れたキャルはそう毒舌(どくぜつ)()き、現れたキャルに禁断竜王は勝の前に立ち、彼女を警戒した。

 

「……」

「何よ、そんなに睨んで?」

「これ以上、主達を傷つけるなら、我が許さない……!」

「またなの?ほんと、めんどくさいわね、アンタ達……」

 

 そう悪態を()きながらも、キャルはあることを思い出した。

 

「ああ、そうだ。それ、私がもらうね……」

「!?」

 

 そう言って、キャルは両目を紫色に変化させ、それを見た禁断竜王は剣を構えるも、すぐさま、自身の後ろから異様な気配を感じ、振り向いた。

 見ると、勝の上にエリカのデッキの残骸が浮いており、それはキャルの元に飛び、キャルは片手で掴み、自身の手元に収めた。

 

「さて、次は……」

 

 キャルの足元に突如、紫色の魔法陣が現れた。

 

「今こそ、常闇(とこやみ)に寝る邪神を蘇らせる時!触媒(しょくばい)は手元にあるカード達……そして、バウワウジャ以外の、実体化しているアビス達……!」

 

 キャルの叫び声に、エリカのデッキが浮き上がり、屋敷に潜んでいるアビスロイヤル、ノワールアビスの魂がデッキに吸収され、そのデッキが紫色のオーラを纏った。

 

「召喚ッ!アビスベル=ジャシン帝ッ!」

 

 刹那。デッキは光り輝き、その光の中から、アビスベル=ジャシン帝が実体化し、キャルの前に現れた。

 

「……貴様が余の眠りを覚ましたのか?」

「ええ、そうよ。そして、私は、アンタの主よ」

「……何?貴様のような弱き者が、余の主だと?フフ、笑わせるな!」

「……この瞳を見ても、同じことが言えるのかしら?」

 

 嘲笑うジャシン帝に、キャルは紫色の目を見てる。

 

「……紫色の瞳。なるほど。余の主と言うだけのものがあるか。だが、それがどうした?いくら、紫色の瞳があるとは言え、貴様が弱き者なのは変わりようがない」

「……確かに。私は弱き者かもしれない……けど、この瞳の使い手に選ばれたのは()で、アンタを蘇らせたのも()。それは事実よ」

「だから、なんだ?それだけで、余が貴様に従うとでも、本気で思っているのか?」

「ええ、本気で思っているわ」

 

 ジャシン帝の問いに、キャルはあっさり答える。

 それを聞いたジャシン帝は高らかに笑った。

 

「フフ、アッーハハハハハッ!面白い!実に面白いぞ!そこまでの愚か者は生まれて初めてみたぞ!良かろう!貴様が如何(いか)に、愚かで、弱き者か、この目で確かめてやろう!」

 

 そう言って、ジャシン帝はカードになり、キャルの手に収まった。

 

(……上等よ!絶対、認めさせてやる!私の実力を!)

 

 そう脳裏で、キャルは決意し、バウワウジャの背中に乗って、どこかに行ってしまった。

 

 

 

 ──それからというもの、勝達は病院に運ばれた。

 ただ、マリとキリオは軽傷で済み、すぐに退院した。

 対して、大怪我をした勝と秋乃は1週間、入院することになり、出血の多いエリカは意識を失い、昏睡状態に(おちい)るも、3日後に意識を取り戻し、数日、リハビリも兼ねて、病院に入院することになった。

 

 ──そして、病院に入院して、5日目。

 突然、なんの前触れもなく、特務課の颯井剣子が勝の元に訪れてきた。

 

「久しぶりだな、火野……」

「……剣子さん?どうして、ここに?」

 

 突然、訪れた剣子に勝は問いかける。

 

「君の家に向かったら、お世話係の子に、君が病院に入院していると聞いて、ここに訪れてきた」

「……なるほど。それでしたら、ちょうど良かったです。色々と、聞きたいことがありましたので、行く手間が省けました」

「結衣のことか?それとも、ジャシン帝のことか?」

 

 勝が気になっているであろう事柄に、剣子は幾つか言い、勝に問いかける。

 

「両方です。特に、結衣ちゃんがなんで、ジャシン帝を復活させようとしたのか、そこが一番、気になります」

「なるほど……まず、結論から言えば我々にもわからない。わからないが、彼女に、『ジャシン帝の復活の阻止』を命じたのは私だ」

「……そうですか」

 

 それを聞いて、勝は顔を伏せながらも、小さくそう言った。

 それを見た剣子は不思議に思い、勝に問いかける。

 

「?何だ?怒らないのか?」

「怒りませんよ。それに……結衣ちゃんがああなったのは、半分、僕のせいなんで……」

「……そうか。ああ、そうだ。ブラックキャットの件をまだ言っていなかった」

「ああ。そう言えば、お願いしてましたね……」

 

 ブラックキャットに行く前日、勝は夜遅くに、剣子に電話をかけ、ブラックキャットについて調べてほしいと、特務課である剣子に依頼していた。

 だが、勝はそのことをすっかり忘れており、剣子は今更ながら、その結果を報告する。

 

「結論から言えば、白だ。何も問題もない、少し変わったカードショップだったよ」

「そうですか。ありがとうございます」

「……ふむ」

 

 また剣子は不思議そうな目で、勝を見る。

 それを見た勝は剣子に問いかける。

 

「あの、どうかしましたか?」

「いや、意外と冷静だな。もう少し、動揺したり、感情的になったりすると思っていたが、どうやら、私の思い過ごしみたいだな……」

「……」

 

 思いがけない出来事に、勝は耐性がなく、大抵、動揺したり、感情的になって、暴れたり、挙げ句の果てには、泣き始めるが、今の勝は不思議と冷静でいることに、剣子はほんの少し驚いていた。

 

「……もう高校生です。いつまでも、子供のままではいられませんよ」

「それもそうだな。さて、概ねの話は済んだし、私はこれで失礼するよ」

 

 そう言って、剣子は病室から出ようとするが、扉を開ける直前、彼女は勝にこう言った。

 

「……あまり、自分を責めるなよ」

 

 そう言って、剣子は扉を開けて、病室を出た。

 

 一人になった勝はカーテンが開いてる窓ガラスの向こう側の空を眺めた。

 

(……自分を責めるな、か。正直に言うと、それは無理な話だよ。僕は守れなかった。秋乃さんと暁月さんを……そして、ジャシン帝の復活を止められなかった。自分を責めないわけにはいかない!)

 

 勝は自分の無力さに腹が立ち、拳を強く握るも、去り際に言った剣子の言葉を思い出す。

 

(だけど……そうだね。あまり、自分を責めちゃいけないよね。けど、この胸の痛みは消えない!)

 

 握った拳を胸に当て、勝は(いきどお)りを感じた。

 その想いは重く、強く、勝の心を(むしば)む。

 だが、同時に、自身の無力さを知る。

 

「──随分と情けねぇツラだな、親友」

 

 突然、勝のことを“親友”と呼ぶ少年の声が響き、勝はその声の方に振り向いた。

 

「!?拓真(たくま)!?」

 

 振り向くと、ツンツン頭の少年が立っており、その少年を見て、勝は驚いた。

 何故なら、彼は勝の親友、『神原(かんばら) 拓真』だからだ。

 

 

 




Twitterでも呟きましたが、今月から土日に投稿します。
話を途切れないため、1日に2話、2日で4話の投稿を目指して頑張りますが、慣れるまでは土日のどちらかに1話だけ投稿させていただきます。
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