突然、病室に訪れた勝の親友、神原拓真に、勝は驚いていた。
「拓真、どうしてここに?」
「オレも剣子さんと同じだよ。それと、オレだけじゃないぜ」
「?」
拓真の言葉に、勝は疑問を抱くも、すぐに、その疑問は解決された。
拓真の後に、右目に包帯を巻かれ、車椅子に乗ったエリカと、そのエリカを押す秋乃と、勝の見舞いに来たマリの3人が現れた。
「マリちゃん、秋乃さん、暁月さん、3人とも、どうして……?」
「どうしてもなにも、みんな、お前が心配で、見舞いに来たんだよ」
「……そうなの?」
「はい。わたくし達、そのつもりで来たのですが……」
「何やら、浮かない顔ですね、勝様……」
「!?そ、そんなことないよ!元気!元気!超元気だよ!」
マリの指摘に、勝は慌てて、そう言うが、全く元気ではないと、4人はすぐに気づいた。
「……何か悩みがあるなら、親友として、聞いてやるぜ!」
「本当に、何もないよ……」
「何かあるだろ?話せよ、親友?」
「だから、何もないって……」
「はぁー、めんどくせぇなぁ……」
痺れを切らして、拓真は深い溜め息を吐きながら、そう言い、勝の胸ぐらを掴み、顔を近づかさせる。
「何か困ってるんだろ!そんなに
「……拓真」
それを聞いて、勝は涙を流し、泣き始め、泣きながら、数日前に起こったことをすべて話した。
「ジャシン帝の復活を阻止できず、そこの3人を守れず、結衣の気持ちも気づけなかった自分に腹が立って、嫌気がさした、か……」
「……うん」
「勝様……」
「「……」」
事情を聞いて、拓真は簡単にまとめて、言葉にし、それを聞いた秋乃達は深刻な顔をした。
「はぁー、お前なぁ、ほんと、昔から変わらねえな……」
「?」
「そういう、何でも一人で解決しようとするところ、出会った頃から変わらねえし、ほんと、バカだなぁ……」
「……頭が悪い拓真には言われたくないよ」
「んだと?お前にだけは言われたくねえよ、このデュエマバカが……」
売り言葉に買い言葉、とは、
親友故に、こう言う会話ができるのだろうと、秋乃達はそう思った。
「……オレはもう引退した身……デュエマから降りた身だけどよ。お前の悩みぐらい、相談に乗るし、愚痴を聞くぐらいはできる。だからよ、一人で抱え込もうとするな」
「拓真……ありがとう……」
「礼なら、良いってことよ。寧ろ、もっと頼ってくれていいぜ」
「ありがとう、拓真。けど、これは……」
「僕一人の問題だ、なんて、言わないよな?」
「……」
図星なのか、勝は黙り込む。それを見た拓真はまた深い溜め息を吐き、勝にこう言った。
「勝、さっきも言ったが、お前はもう一人じゃない。お前には頼もしい仲間がいる。頼れる仲間がいる。だからよ、そいつらに頼れ。オレだけじゃなくて、他のヤツらに。お前らも、そう思うだろ?」
「勿論、ですわ……」
「はい、私も同じ気持ちです……」
「……」
突然、拓真に話を振られた秋乃とマリはそう答え、エリカは無言で頷いた。
「みんな……ありがとう……」
それを聞いた勝は3人にお礼を言い、また、涙を流した。
「全く、涙
「うっ、さい……」
その返事を聞いて、拓真は病室を出ようと、足を運び、扉の前に止まり、勝に向いた。
「……勝、まだ踏ん切りができないなら、一度、“あそこ”に向かうと良い。あそこなら、多分、お前の悩みを解決してくれる」
「……わかった。考えておくよ」
「ああ、そうしろ。後、それから、次にジャシン帝……結衣と戦うことになるとしたら、デュエマ甲子園かもしれない。ついでに、そこで、鍛えてもらえ。仲間と一緒にな……」
そう言って、拓真は勝の返事を聞かず、病院を出た。
「──あの、待ってください!」
「?」
勝の病室を出た後、拓真は少女の声に止められ、振り向くと、そこにはマリの姿があった。
「ん?どうした?」
「あの……ありがとうございます。勝様を励ましていただいて……」
「ああ、そのことか。別に大したことはしていない。親友として、当たり前のことをしただけだ……」
「それも、そうですが……」
「?」
何やら、歯切れが悪いマリの様子に、拓真は疑問を抱いたが、すぐに、彼女は口を開いた。
「あの時……勝様が浮かない顔をした時、吐き出せるように、言ってくれたこと、私はとても感謝してます。私なら、あそこまで踏み込めませんでした……」
「……あんなの誰だって、できるよ」
「え?そうなのですか?」
あっさり言い切ってしまう拓真の言葉に、マリは意外な返答に驚く。
「大事なのは、相手の悩みや気持ちを聞き出す、コミュニケーション能力と、それを受け入れる度量と、相手を傷ついてでも、自分が嫌われても良いという度胸の3つ……いや、それらを踏まえての覚悟を含めると4つか。君はコミュニケーション能力はあるが、それを受け入れる度量と度胸と覚悟がなかっただけだよ……」
「……」
それを聞いて、マリは黙り込む。同時に、拓真がどれだけ、心が広く、勝のすべてを受け入れる覚悟があることを知った。
「……ま、そう気に
「……ありがとうございます。貴重なご意見、心より感謝します」
そう言って、頭を下げて、お礼を言い、マリは勝の病室に戻った。
(……律儀な子だったな。それにしても、結衣のヤツ、ジャシン帝を復活させて、何を考えてるんだ?)
マリが過ぎ去った後は拓真はそう脳裏で疑問し、思考を巡らせ、考え込み、あることを思いついた。
(……オレもデュエマ甲子園に参加するか。勝が心配なのもあるが、何より、結衣が何を考えているのか、知りたいしな)
そう思った後、拓真は急ぎ、デュエマ甲子園に向けて、準備に取り掛かった。