デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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今回から天災組の話を描いていきます。


ACE53:本当の気持ち、少女は真の友になる。

 

 

 

 ──一方、その頃、天災(ディザスター)学園では、デュエマ甲子園に向けて、特訓をしていた。

 

 ジャシン帝の復活後、キャルはアビスデッキの練度を上げるため、結衣と黒江を相手に、日々、デュエマに(はげ)んでいた。

 

 しかし、緑単ジャイアントしか所持していない黒江には、そこそこ勝てているが、5色コントロールやアナカラーなど、多種多様のデッキを扱う結衣にはあまり勝てていなかった。

 

「コイツで、トドメッ!《XXDDZ》で、ダイレクトアタックッ!」

「ッ、また負けた!」

 

 そして、何度目かわからないが、キャルは結衣に敗北した。

 

『やはり貴様は弱き者だな。我らが居て負けるとは、恥を知れ!』

「うっさいわねえ!カードの姿で、説教されても、ただの嫌味にしか聞こえないわよッ!」

 

 カードの姿で、ジャシン帝は悪態を吐き、キャルは怒りながらも、そう言った。

 

「大体、アンタ、場に出てもロクな仕事しないでしょ?」

『それは、貴様が墓地を貯めずに我を出すからだろ!ロクに下準備もしないで、我を出せば良いわけではないのだ!』

「何よ!ペラペラジャシンのクセに!」

『ペラペラ……だと!?貴様、我が気にしていることを口にしたな!』

「事実でしょうが!」

『何だとー!』

 

 突然、口喧嘩を始めるキャルとジャシン帝。

 その光景に黒江は「あーあ、また始まったよ」と、吐き捨てるかのように、そう言った。

 どうやら、キャルが負け続けたり、プレイをミスすると、二人(?)はいつも口喧嘩をしているようだ。

 

「これは長く続くみたいだな、どうする?結衣?」

「……どうもしない。喧嘩するなら、私はもう帰る」

「止めなくて良いのか?」

「どうもしないって、さっきも言ったでしょ?だから、帰る」

 

 そう言って、結衣は体育館を出た。

 

「……勝手な奴だな、全く」

 

 それを見た黒江はそう毒舌を吐き、喧嘩している二人を放棄して、結衣の後を追った。

 

 

 

 いつも間にか、結衣は商店街に来ており、当てもなく、ぶらぶらと歩いていた。

 

(……何やってるんだろう、私)

 

 ふっと、結衣は足を止めて、脳裏でそう思った。

 

(本当はこんなこと、したくないのに……意地を張って、勝と敵対して……ほんと、何やってるんだろうな)

 

 顔を上げて、脳裏にそう思い、結衣は空を眺めた。

 青い空に、白い雲が飛び、眩しい陽射しが目に入り、右手で、目を隠した。

 

(私の本当の気持ち、それは……)

 

「──ゆーいー!」

 

「!?」

 

 突然、結衣の名を呼ぶ、聞き慣れた少女の声が響き、結衣はその声の方に振り向いた。振り向くと、そこには結衣の後を追いかけて、早足で走っていた黒江の姿があった。

 

「ハー、ハー……やっと追いついた……」

「黒江!?どうして?」

 

 切らした息を、黒江は整え、結衣は何故、黒江が来たのか、問いかける。

 

「どうしてって、結衣が心配だからだよ」

「……私は別に心配されるような子じゃないよ」

「だとしても、ウチは友達として、結衣が心配なんだよ。わかるか?」

「……」

 

 友達。その言葉を聞いて、結衣は顔を伏せた。

 それと同時に結衣は脳裏にこう思った。

 

(黒江は私のこと、友達っていうけど、私はあなたのこと、友達なんて、一度も思ってない。寧ろ、私の目的のために、黒江を利用しているだけ……それだけなのに……)

 

 ふっと、結衣は胸を痛んだ。その痛みは身体的に、ではなく、精神的な痛みだった。

 結衣は自身の胸を掴み、叫んだ。

 

「……私はあなたのこと、これぽっちも、友達なんて思っていない!」

「!?結衣……?」

「私はただ……利用していただけよ。あなたの友達を想う気持ち、あなたの持つ瞳の力、あなたの……デュエマの腕を……私はただ、自分の目的のために、利用している最低の女よ……!」

「……」

 

 ああ、ついに言ってしまった。

 そう脳裏で思いつつも、結衣は後悔なんて感じなかった。いや、感じないはずだった。その瞳に涙が出るまでは。

 それを見た黒江は結衣を抱きしめた。

 

「っ、黒江……?」

「……いいよ」

「え?」

「ウチはそれでもいいよ。アンタがウチを利用したいなら、利用すれば良いし、ウチの瞳やデュエマの腕を買ってるなら、ウチはそれに応えたい。けど、よ。これだけは言わせてもらうよ……」

 

 そう言って、黒江を息を吸って、思いっきり、叫んだ。

 

「ウチはアンタの友達だ!そして、アンタも心の中で、ウチのことを友達と認めてる!だから……だからよ……自分の気持ちにウソをつくんじゃねぇよ……」

「……う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 その言葉に結衣は号泣した。

 周りの目を気にせず、ただひたすらに、号泣し、泣いた。

 

 

 

 ──数分後。

 

 泣き止んだ結衣を連れて、二人は近くのベンチに座り、結衣は黒江の肩に(もた)れていた。

 

「ねぇ、黒江」

「ん?何?結衣」

「……私、あなたと、本当の意味で、友達になりたい」

「……何言ってんだよ。ウチら、もう友達だろ?」

「!?」

 

 その言葉に、結衣は驚くも、すぐに満面の笑みで、黒江にこう言った。

 

「うん、そうだね……」

 

 

 




今回は結衣の本当の気持ちを描きました。
また、前書きにも言いましたが、今回から天災組の話を描いていきます。
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