──一方、その頃、
ジャシン帝の復活後、キャルはアビスデッキの練度を上げるため、結衣と黒江を相手に、日々、デュエマに
しかし、緑単ジャイアントしか所持していない黒江には、そこそこ勝てているが、5色コントロールやアナカラーなど、多種多様のデッキを扱う結衣にはあまり勝てていなかった。
「コイツで、トドメッ!《XXDDZ》で、ダイレクトアタックッ!」
「ッ、また負けた!」
そして、何度目かわからないが、キャルは結衣に敗北した。
『やはり貴様は弱き者だな。我らが居て負けるとは、恥を知れ!』
「うっさいわねえ!カードの姿で、説教されても、ただの嫌味にしか聞こえないわよッ!」
カードの姿で、ジャシン帝は悪態を吐き、キャルは怒りながらも、そう言った。
「大体、アンタ、場に出てもロクな仕事しないでしょ?」
『それは、貴様が墓地を貯めずに我を出すからだろ!ロクに下準備もしないで、我を出せば良いわけではないのだ!』
「何よ!ペラペラジャシンのクセに!」
『ペラペラ……だと!?貴様、我が気にしていることを口にしたな!』
「事実でしょうが!」
『何だとー!』
突然、口喧嘩を始めるキャルとジャシン帝。
その光景に黒江は「あーあ、また始まったよ」と、吐き捨てるかのように、そう言った。
どうやら、キャルが負け続けたり、プレイをミスすると、二人(?)はいつも口喧嘩をしているようだ。
「これは長く続くみたいだな、どうする?結衣?」
「……どうもしない。喧嘩するなら、私はもう帰る」
「止めなくて良いのか?」
「どうもしないって、さっきも言ったでしょ?だから、帰る」
そう言って、結衣は体育館を出た。
「……勝手な奴だな、全く」
それを見た黒江はそう毒舌を吐き、喧嘩している二人を放棄して、結衣の後を追った。
いつも間にか、結衣は商店街に来ており、当てもなく、ぶらぶらと歩いていた。
(……何やってるんだろう、私)
ふっと、結衣は足を止めて、脳裏でそう思った。
(本当はこんなこと、したくないのに……意地を張って、勝と敵対して……ほんと、何やってるんだろうな)
顔を上げて、脳裏にそう思い、結衣は空を眺めた。
青い空に、白い雲が飛び、眩しい陽射しが目に入り、右手で、目を隠した。
(私の本当の気持ち、それは……)
「──ゆーいー!」
「!?」
突然、結衣の名を呼ぶ、聞き慣れた少女の声が響き、結衣はその声の方に振り向いた。振り向くと、そこには結衣の後を追いかけて、早足で走っていた黒江の姿があった。
「ハー、ハー……やっと追いついた……」
「黒江!?どうして?」
切らした息を、黒江は整え、結衣は何故、黒江が来たのか、問いかける。
「どうしてって、結衣が心配だからだよ」
「……私は別に心配されるような子じゃないよ」
「だとしても、ウチは友達として、結衣が心配なんだよ。わかるか?」
「……」
友達。その言葉を聞いて、結衣は顔を伏せた。
それと同時に結衣は脳裏にこう思った。
(黒江は私のこと、友達っていうけど、私はあなたのこと、友達なんて、一度も思ってない。寧ろ、私の目的のために、黒江を利用しているだけ……それだけなのに……)
ふっと、結衣は胸を痛んだ。その痛みは身体的に、ではなく、精神的な痛みだった。
結衣は自身の胸を掴み、叫んだ。
「……私はあなたのこと、これぽっちも、友達なんて思っていない!」
「!?結衣……?」
「私はただ……利用していただけよ。あなたの友達を想う気持ち、あなたの持つ瞳の力、あなたの……デュエマの腕を……私はただ、自分の目的のために、利用している最低の女よ……!」
「……」
ああ、ついに言ってしまった。
そう脳裏で思いつつも、結衣は後悔なんて感じなかった。いや、感じないはずだった。その瞳に涙が出るまでは。
それを見た黒江は結衣を抱きしめた。
「っ、黒江……?」
「……いいよ」
「え?」
「ウチはそれでもいいよ。アンタがウチを利用したいなら、利用すれば良いし、ウチの瞳やデュエマの腕を買ってるなら、ウチはそれに応えたい。けど、よ。これだけは言わせてもらうよ……」
そう言って、黒江を息を吸って、思いっきり、叫んだ。
「ウチはアンタの友達だ!そして、アンタも心の中で、ウチのことを友達と認めてる!だから……だからよ……自分の気持ちにウソをつくんじゃねぇよ……」
「……う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
その言葉に結衣は号泣した。
周りの目を気にせず、ただひたすらに、号泣し、泣いた。
──数分後。
泣き止んだ結衣を連れて、二人は近くのベンチに座り、結衣は黒江の肩に
「ねぇ、黒江」
「ん?何?結衣」
「……私、あなたと、本当の意味で、友達になりたい」
「……何言ってんだよ。ウチら、もう友達だろ?」
「!?」
その言葉に、結衣は驚くも、すぐに満面の笑みで、黒江にこう言った。
「うん、そうだね……」
今回は結衣の本当の気持ちを描きました。
また、前書きにも言いましたが、今回から天災組の話を描いていきます。