「──話にならんな」
黒江とリオンの対戦を終えると、レオンは真っ先にそう言い出した。
それを聞いて、結衣は面食らい、顔を下に向いたキャルはさらに落ち込み、黒江はそれを聞いて、ブチギレた。
「んだと?ウチらが実力不足なのは仕方がないけど、もう少し言い方ってものがあるだろ?」
「そんなものは知らん!第一に、お前達、その程度の実力でよくデュエマ甲子園に参加しようと思ったな?」
睨み合う二人。
しかし、レオンはすぐさま、黒江から視線を外し、結衣に視線を向けた。
「特に赤羽結衣。貴様、目が曇ったか?」
「え?」
「聞こえなかったのか?貴様の目は曇ったのか?貴様には人を見る目がないのか?そう聞いているのだ!答えろ!」
「……」
レオンの叫びに、結衣は黙り込む。
その様子を見て、リオンはこう思った。
「……結衣先輩。ショウ兄となんかあった?」
「ッ!?」
「「え?」」
その言葉に結衣は動揺した。それと同時に黒江とキャルは揃って、驚きの声を上げた。
どうやら、図星のようだ、レオンはそう思った。
そして、黒江とキャルはこのレオンとリオンが勝の兄と妹と知り、苗字が違うことに、疑問を抱いた。
「やはりか……」
「お義兄ちゃんも気づいてたんだ」
「制服を見ればわかる。何より、アイツは今、ACE学園に通っている。対してこの女は問題のある
「……」
その問いかけに、結衣は答えず、無言で入り口の前まで移動し、足を止めた。
「……悪いけど、私からは何も言わないわ」
そう言って、結衣は部屋を出た。それを見た黒江は慌てて、自分と結衣の鞄を持って、「結衣、ちょっと待てよ!」と言って、結衣の後を追いかけた。
それを見たレオンは頭を掻いた。
「……全く、答えてくれないから君に聞いたんだがな」
「まぁ、今のはタイミングが悪いよ。お義兄ちゃん……」
「わかってる。だが、兄ってのは、いくつになっても、弟や
「そんなんだから、彼女ができないんだよ」
「……お前もいい加減、ブラコンを卒業しろ」
「……あのさ」
まだこの部屋に残っていたキャルは二人の話の間に入って、声をかけた。
「……アンタ、勝の兄なの?」
「?あぁ、そうだが……」
それを聞いて、キャルはあることを問いかける。
それは──
「──2年前の結衣と勝の関係、教えてくれる?」
──中学時代の勝と結衣の関係であった。
「はぁ、全く、いきなり二人の関係を知りたいとか、頭がおかしいだろ、あのJK……」
「その割には、ちゃっかり教えてあげてるよね?お義兄ちゃん」
その日の夜。お店の中で、レオンはもうお店には居ない、キャルについて愚痴を漏らしていた。しかも、営業中にも関わらず。
因みに、リオンはレオンの手伝いでお店に残っている。
「仕方がないだろ?まさかあのJKが勝が前通っていた山猫学園の生徒だったからな?オマケに、勝が気にかけていたし……教えない訳にもいかないだろ?」
「はいはい。ブラコン乙ー」
そう言って、リオンはレオンから離れ、客席の上にある皿やコップを取りに行った。
──カランカラン。
と、音が鳴り、扉が開き、一人の客が入ってきた。
その客に「いらっしゃいませー」と、言った後、レオンはその場に固まった。
それを見たリオンは「どうしたの?」と、問いかけると、レオンは入ってきた客に指を指した。
それを見て、リオンはその客に振り向いた。
「ッ!?貴方は……!?」
その客を見て、リオンは驚きの声を上げた。
その客はどこか少年のような顔立ちを残しつつ、大人のようで、青年のような体格だった。
しかも、イケメン。服装は洋服だが、顔の頬にアメリカのマークの着いたシールが貼られており、髪は金髪に染まっていた。
その姿に、レオンとリオンは見覚えがあった。
何故なら、その人物は──
「久しぶりだな、レオン。リオンちゃんも、少し見ないうちに色々と成長したな」
「
──赤羽結衣の兄、『赤羽光太』だったからだ。
その頃、赤羽結衣は自室で、デッキを調整していた。
と言っても、彼女は普段、5色コントロールしか使っておらず、調整と言うより、カードを並べていただけだった。
オマケに、結衣自身はスマホの画面に目を向けている始末。
完全に、カードを散らかしたまま、スマホに集中している状態だった。
「……ん?」
ふっと、結衣は公式サイトから新弾のカードの情報が流れているのに気づき、それに目を向けた。
すると、結衣はその新弾のカードに目を疑った。
「え?これ、《アクア・ハルカス》?しかも、2マナ?多色の《グレンニャー》が単色になってる?こっちは《エナジー・ライト》に墓地リセがついてる?ナニコレ?」
と、一部のカードを見て、結衣は頭を抱えた。
それと同時に、新弾のカードが出るのが楽しみになっていた。
「……あ、そうだ」
そこまで考えた後、結衣は机の上のデッキを片付け、引き出しを開けて、黒い紙箱、ストレージボックスを取り出した。
「確か、この中にあのカードが……あ、あった!」
そう言って、結衣は《
その後、結衣は種族にマジックをもったカードを取り出していった。
その中には昔、結衣のお気に入りのカードの1枚、《プラチナ・ワルスラ
「《シャッフ》や《アダムスキー》はわかってたけど、《ワルスラ》がマジック・コマンドを持ってたの意外だったなー。あ、昔、《アダムスキー》や《ガチダイオー》、《ギャブル》の侵略元に使ってたわ」
ハハハ、と、一人小さく笑い、結衣は種族にマジックを持ったカードを並べて、考えた。
(まぁ、こんなのを使うより、普通に5cザーディクリカやループデッキを使った方が良いんだけど……)
ふっと、結衣は勝との2度目の対戦を思い出した。
そして、その後にレオンとキャル、リオンと黒江、今日の対戦を思い出し、レオンの言葉を思い出した。
「私の目が曇ってる?人を見る目がない?馬鹿にしないでよ!私の目は曇ってもなければ、人を見る目はあるわよ!」
そう声を出した後、結衣は《Drache der'Zen》を1枚、手に取った。
「──ッ!?」
その時、結衣の目が青く、水色の瞳に変化し、左目に『氷』の文字を浮かばせ、《Drache der'Zen》が共鳴するかのように光り輝き、結衣の右目に“何か”が浮かび上がった。
『──汝は魔法を信じるか?』
結衣の脳裏に、その言葉が響き、結衣は迷わず、「信じる」と、返事を返した。
すると、右目の“何か"が杖のようなマークに変化し、《Drache der'Zen》の輝きが収まった。
それを見て、結衣は再度、マジックを持ったカード達を覗いた。
「……そっか、そういうことね。うん、わかったよ。君達を使ってあげる」
そう言って、結衣は《Drache der'Zen》を軸にした新しいデッキを組み始めた。