デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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ACE58:対戦を終えて。そして、意外な人物との再会。

 

 

 

「──話にならんな」

 

 黒江とリオンの対戦を終えると、レオンは真っ先にそう言い出した。

 それを聞いて、結衣は面食らい、顔を下に向いたキャルはさらに落ち込み、黒江はそれを聞いて、ブチギレた。

 

「んだと?ウチらが実力不足なのは仕方がないけど、もう少し言い方ってものがあるだろ?」

「そんなものは知らん!第一に、お前達、その程度の実力でよくデュエマ甲子園に参加しようと思ったな?」

 

 睨み合う二人。

 しかし、レオンはすぐさま、黒江から視線を外し、結衣に視線を向けた。

 

「特に赤羽結衣。貴様、目が曇ったか?」

「え?」

「聞こえなかったのか?貴様の目は曇ったのか?貴様には人を見る目がないのか?そう聞いているのだ!答えろ!」

「……」

 

 レオンの叫びに、結衣は黙り込む。

 その様子を見て、リオンはこう思った。

 

「……結衣先輩。ショウ兄となんかあった?」

「ッ!?」

「「え?」」

 

 その言葉に結衣は動揺した。それと同時に黒江とキャルは揃って、驚きの声を上げた。

 どうやら、図星のようだ、レオンはそう思った。

 そして、黒江とキャルはこのレオンとリオンが勝の兄と妹と知り、苗字が違うことに、疑問を抱いた。

 

「やはりか……」

「お義兄ちゃんも気づいてたんだ」

「制服を見ればわかる。何より、アイツは今、ACE学園に通っている。対してこの女は問題のある天災(ディザスター)学園に通っている。お前ら、2年前に何があった?」

「……」

 

 その問いかけに、結衣は答えず、無言で入り口の前まで移動し、足を止めた。

 

「……悪いけど、私からは何も言わないわ」

 

 そう言って、結衣は部屋を出た。それを見た黒江は慌てて、自分と結衣の鞄を持って、「結衣、ちょっと待てよ!」と言って、結衣の後を追いかけた。

 それを見たレオンは頭を掻いた。

 

「……全く、答えてくれないから君に聞いたんだがな」

「まぁ、今のはタイミングが悪いよ。お義兄ちゃん……」

「わかってる。だが、兄ってのは、いくつになっても、弟や義妹(いもうと)が心配なんだよ……」

「そんなんだから、彼女ができないんだよ」

「……お前もいい加減、ブラコンを卒業しろ」

「……あのさ」

 

 まだこの部屋に残っていたキャルは二人の話の間に入って、声をかけた。

 

「……アンタ、勝の兄なの?」

「?あぁ、そうだが……」

 

 それを聞いて、キャルはあることを問いかける。

 

 それは──

 

「──2年前の結衣と勝の関係、教えてくれる?」

 

 ──中学時代の勝と結衣の関係であった。

 

 

 

「はぁ、全く、いきなり二人の関係を知りたいとか、頭がおかしいだろ、あのJK……」

「その割には、ちゃっかり教えてあげてるよね?お義兄ちゃん」

 

 その日の夜。お店の中で、レオンはもうお店には居ない、キャルについて愚痴を漏らしていた。しかも、営業中にも関わらず。

 因みに、リオンはレオンの手伝いでお店に残っている。

 

「仕方がないだろ?まさかあのJKが勝が前通っていた山猫学園の生徒だったからな?オマケに、勝が気にかけていたし……教えない訳にもいかないだろ?」

「はいはい。ブラコン乙ー」

 

 そう言って、リオンはレオンから離れ、客席の上にある皿やコップを取りに行った。

 

 ──カランカラン。

 

 と、音が鳴り、扉が開き、一人の客が入ってきた。

 その客に「いらっしゃいませー」と、言った後、レオンはその場に固まった。

 それを見たリオンは「どうしたの?」と、問いかけると、レオンは入ってきた客に指を指した。

 それを見て、リオンはその客に振り向いた。

 

「ッ!?貴方は……!?」

 

 その客を見て、リオンは驚きの声を上げた。

 その客はどこか少年のような顔立ちを残しつつ、大人のようで、青年のような体格だった。

 しかも、イケメン。服装は洋服だが、顔の頬にアメリカのマークの着いたシールが貼られており、髪は金髪に染まっていた。

 その姿に、レオンとリオンは見覚えがあった。

 

 何故なら、その人物は──

 

「久しぶりだな、レオン。リオンちゃんも、少し見ないうちに色々と成長したな」

光太(こうた)!?お前が何故、ここに!?」

 

 ──赤羽結衣の兄、『赤羽光太』だったからだ。

 

 

 

 その頃、赤羽結衣は自室で、デッキを調整していた。

 と言っても、彼女は普段、5色コントロールしか使っておらず、調整と言うより、カードを並べていただけだった。

 オマケに、結衣自身はスマホの画面に目を向けている始末。

 完全に、カードを散らかしたまま、スマホに集中している状態だった。

 

「……ん?」

 

 ふっと、結衣は公式サイトから新弾のカードの情報が流れているのに気づき、それに目を向けた。

 すると、結衣はその新弾のカードに目を疑った。

 

「え?これ、《アクア・ハルカス》?しかも、2マナ?多色の《グレンニャー》が単色になってる?こっちは《エナジー・ライト》に墓地リセがついてる?ナニコレ?」

 

 と、一部のカードを見て、結衣は頭を抱えた。

 それと同時に、新弾のカードが出るのが楽しみになっていた。

 

「……あ、そうだ」

 

 そこまで考えた後、結衣は机の上のデッキを片付け、引き出しを開けて、黒い紙箱、ストレージボックスを取り出した。

 

「確か、この中にあのカードが……あ、あった!」

 

 そう言って、結衣は《Drache(ドラッヘ) der'Zen(ダーゼン)》を4枚取り出し、机の上に置いた。

 その後、結衣は種族にマジックをもったカードを取り出していった。

 その中には昔、結衣のお気に入りのカードの1枚、《プラチナ・ワルスラS(エス)》もあった。

 

「《シャッフ》や《アダムスキー》はわかってたけど、《ワルスラ》がマジック・コマンドを持ってたの意外だったなー。あ、昔、《アダムスキー》や《ガチダイオー》、《ギャブル》の侵略元に使ってたわ」

 

 ハハハ、と、一人小さく笑い、結衣は種族にマジックを持ったカードを並べて、考えた。

 

(まぁ、こんなのを使うより、普通に5cザーディクリカやループデッキを使った方が良いんだけど……)

 

 ふっと、結衣は勝との2度目の対戦を思い出した。

 そして、その後にレオンとキャル、リオンと黒江、今日の対戦を思い出し、レオンの言葉を思い出した。

 

「私の目が曇ってる?人を見る目がない?馬鹿にしないでよ!私の目は曇ってもなければ、人を見る目はあるわよ!」

 

 そう声を出した後、結衣は《Drache der'Zen》を1枚、手に取った。

 

「──ッ!?」

 

 その時、結衣の目が青く、水色の瞳に変化し、左目に『氷』の文字を浮かばせ、《Drache der'Zen》が共鳴するかのように光り輝き、結衣の右目に“何か”が浮かび上がった。

 

『──汝は魔法を信じるか?』

 

 結衣の脳裏に、その言葉が響き、結衣は迷わず、「信じる」と、返事を返した。

 すると、右目の“何か"が杖のようなマークに変化し、《Drache der'Zen》の輝きが収まった。

 それを見て、結衣は再度、マジックを持ったカード達を覗いた。

 

「……そっか、そういうことね。うん、わかったよ。君達を使ってあげる」

 

 そう言って、結衣は《Drache der'Zen》を軸にした新しいデッキを組み始めた。

 

 

 

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