──あれから2週間が経過した。
結衣達は喫茶・クロ咲店で、レオンとリオンを相手にデュエマ甲子園に向けて、特訓していた。
その特訓は地獄のようなものだった。
退化ギミックを使って、3ターン目に《ゲンムエンペラー》を出されるわ、盾殴ったら、《ホーリー》と《ガイアッシュ・カイザー》をセットで出され、返しのターンには、《ギガンディダノス》が出るわ、もう地獄絵図に等しかった。
そして、今日も特訓の日に結衣達は来るが、生憎、今日は新弾発売日。
流石に、特訓よりも新弾を買いに行くだろうと、レオンはたかを括っていた。
──しかし、三人は今日も、喫茶・クロ咲店に来ていた。しかも、お店の前に。
「……二人とも、今日は何が何でも勝つわよ!」
「わかってるよ、結衣」
「やられっぱなしの私達じゃない所、見せてあげるわ!」
そう気合を入れて、三人は店の中に入った。
店に入ると、レオンは意外そうな顔をして驚いていた。
「……まさか、今日も来るとはな。しかも、こんな朝早くに」
「時間が押してるのは百も承知よ。けど、新弾を買う前に、貴方達に勝ってから、新弾を買いたいの」
「なるほどな。リオンよ、対戦の準備に入るぞ」
「はいはい。面倒だけど、サクッと終わらせるよ!」
そう言って、リオンは学校の鞄を置いて、奥の部屋に入った。
それを見たレオンは思い出したかのように、結衣にこう言った。
「そう言えば、貴様に客が来ているぞ」
「客?私に?」
「ああ。しかも、特訓の相手をしてくれると申し出ている。どうする?」
「……わかった。話し相手のついでに、新しいデッキの練習台になってもらうわ」
少し考えた後、結衣はそれを承諾し、それを聞いてレオンは「そうか、それなら良かった」と言って、先に、奥の部屋に入ろうと足を運んだが、出入り口の前に足を停止した。
「……ああ、そうだ。今回は特別仕様で、一人ずつ入ってこい。30秒ぐらい待ってから部屋に入れよ」
それだけ言って、レオンは奥の部屋に入った。それを聞いて、結衣達は一人ずつ、順番に奥の部屋に入った。
「まさか、最後の最後まで、貴様が相手か……」
「……」
奥の部屋に入ると、キャルの前にレオンが立ち塞がるかのように仁王立ちしていた。
「……さて、何から話すか」
「前振りはいらないわ。私はもう迷わない。結衣のためにも、
その言葉に、レオンはニヤリと、薄ら笑みを浮かべ、叫んだ。
「良かろう!ならば、貴様の強き覚悟、この俺に見せてみよッ!」
「行くわよ!」
「「デュエマ・スタートッ!!」」
──先行、キャルの3ターン目。
「呪文、《
キャルは2ターン目に出した《ベル=ゲルエール》に続いて、《邪侵入》と《バウワウジャ》で、一気に墓地を肥やしていた。
対してレオンは前と同じように、《ゲンムエンペラー》を軸にした退化デッキだが、今回は自然を加えたアナカラーで、2ターン目に《
そして、レオンの3ターン目が今、始まるところだ。
「俺のターン。マナチャージして、《デドダム》を召喚。マナと墓地と手札を増やし、余ったマナで、《エマージェンシー・タイフーン》を唱える。山札からカードを2枚引いて、手札を1枚、墓地に置く。墓地に置くのは──当然、《ゲンムエンペラー》だ」
「ッ!?」
突然、墓地に置かれた《ゲンムエンペラー》に、キャルは驚き、手が一瞬、震えた。
「そう怯えるな。まだデュエマは始まったばかりだ。俺はこれでターンエンドだ」
「……私のターン。マナチャージして、《フォーク=フォック》を召喚。山札の上から3枚を墓地に置いて、アビスを持つ《ジャシン帝》を手札に加えるわ。ターンエンド」
「先程から墓地を増やしているな、貴様。何を狙っているかは知らんが、ここで封じさせてもらうぞ!」
(来る……!)
身構えるキャル。対してレオンは勢いよく、カードを引き、マナをチャージして、闇のカードを1枚、タップした。
「墓地進化!《デスマーチ》を召喚!そして呪文、《落城の計》!《デスマーチ》を剥がし、我が
レオンの《ゲンムエンペラー》が現れたことにより、キャルはコスト5以下のクリーチャーと呪文が使えなくなった。
初めてレオンと戦った時と同じ状況である。
(あの時と同じ状況だけど、大丈夫!結衣のアドバイスで、墓地にクリーチャーを10枚貯めた!)
しかし、キャルには秘策があった。《ゲンムエンペラー》がいる状況で、足掻ける秘策が──
──時は1週間前に遡る。
『まず、《ゲンムエンペラー》が出た段階で、アビスデッキは軒並み機能不全になるから、アビスラッシュで速攻したいけど……』
『わかってる。けど、私は《ゲンムエンペラー》がいる状態で勝ちたい!じゃないと、あの男の闇の
『……わかった。それならこれとこれ、後、これを試しに入れてみて。アビスじゃないけど、少なくとも、《ゲンムエンペラー》がいる状態で足掻けるから、入れるに越したことはないと思う』
『!?結衣!ありがとう!』
「──私のターン!」
勢いよくカードを引き、キャルは火文明のカードをマナに置いた。
それを見たレオンは驚く。
「火文明のカード?まさか!?」
「そのまさかよ!」
マナに置いた火文明のカードを含めた2枚のカードをタップした。
「あの時のリベンジ、果たせてもらうわよ!墓地にあるクリーチャーの数だけ、このクリーチャーのコストを下げられる!10コスト軽減!《
現れたのは無法の暴走龍、《暴走龍 5000GT》。火文明のアウトレイジであり、キャルの秘策の一つだ。
「《5000GT》が場に出た時、パワー5000以下のクリーチャーをすべて破壊!」
キャルの《ベル=ゲルエール》と《フォーク=フォック》、レオンの《デドダム》が《5000GT》の効果により破壊され、墓地に置かれた。
「さらに墓地のクリーチャー11枚を進化元にして、11コスト軽減!超無限墓地進化!《
今度は闇のフェニックスにして、デーモン・コマンドとドラゴン・ゾンビの3つを持つ闇の進化クリーチャー、《超神星DOOM・ドラゲリオン》が現れた。
「残ったマナで、《ジャブラッド》を召喚!そして、《DOOM・ドラゲリオン》で攻撃する時、メテオバーン、発動ッ!」
進化クリーチャーの《DOOM・ドラゲリオン》の下のカードを1枚選び、墓地に置いた。
そして、キャルは《DOOM・ドラゲリオン》の真の能力、メテオバーン能力を発動させる。
「アンタの《ゲンムエンペラー》のパワーを−9000!その後、墓地から《ラゼル=ズバイラル》を復活させる!」
「《ラゼル=ズバイラル》!?このタイミングでか!?」
ここにして、アビスロイヤルの《ラゼル=ズバイラル》を場に出すキャル。
そして、レオンは気づく。
ここまで、キャルが出してきたクリーチャーはすべて《ゲンムエンペラー》の効果の範囲外であること。
(まさか、ここまで《ゲンムエンペラー》の弱点をついてくるとはな……)
「《ラゼル=ズバイラル》の効果!シールドを2枚ブレイクされるか、手札をすべて捨てるか、選びなさい!」
「《バイケン》はないが、シールドを減らすわけにはいかん!手札をすべて捨てる!」
手札をすべて捨てることを選んだレオンはキャルの《DOOM・ドラゲリオン》の攻撃に備える。
「《DOOM・ドラゲリオン》で攻撃!T・ブレイク!」
「っ!?」
ブレイクされる3枚のシールド。その中には
しかし、《ゲンムエンペラー》の効果はレオンにも及ぶため、それらの効果は打ち消しされている。
「《5000GT》で、W・ブレイク!」
「っ、トリガーは……ないか」
残り2枚のシールドの中にも、G・ストライクがあったが、《ゲンムエンペラー》の効果により、レオンは何もできない。
「──これで終わり!《バウワウジャ》で、ダイレクトアタック!」