そんな中、ボルシャック・アークゼオスが高くて、驚いています。
「……やっぱり、勝先輩はカッコいいです」
「……そんなことはないよ」
「え?」
デュエルを終えて、ひよりは真っ先に、褒めるも、勝はそれを否定した。
その顔はどこか痛まれない表情で、哀しい目をしていた。
「僕は、そんな良い人じゃないよ。ただ、全力で、デュエマをしているだけだよ……」
「先輩……」
勝の言葉にひよりは心底、ガッカリしただろう。失望させてしまっただろう。そう思う勝だが、ひよりはどこか怒っている様子だった。
「勝先輩、そんなに悲観的にならなくて良いと思います。先輩は私にとって、カッコいい人です!だから……だから、そんなことを言わないでください……」
「ひよりちゃん……」
怒ったかと思ったら、今度は涙を流して、悲しむひより。
(あぁ、そうか。彼女は昔の僕と同じなのか……)
それを見た勝はどこか、懐かしさを感じ、ひよりは昔の自分に似ていることに気づき、近づいて、彼女の頭を静かに撫でる。
「ちょっ、何をして……!?」
「ゴメン。僕、こういうことしか思いつかなくて……許してほしいわけではないけど……ダメかな?」
突然、頭を撫でられて、驚き、顔を赤くするひより。それに対して、勝は許しを
「ず、ずるいです!先輩はずるい人です!」
頭を撫でる勝の手を払いながら、ひよりは涙ながらも、叫ぶ。
数秒、沈黙が続くが、先に破ったのはひよりだった。
「……許してあげます」
「良いの?」
「ただし、私を弟子にしてくれれば、です!」
「で、弟子ぃ!?」
突然の提案に勝は驚き、困惑する。
それを見たひよりは提案した理由を説明する。
「はい!元々私、弟子入りするために、勝先輩にデュエマを挑みました!」
「僕、それ知らないんだけど……」
「言っていないので、知らなくて当然です!」
「……わかった。降参だよ、ひよりちゃん」
「やったぁー!」
それを聞いて、勝は諦めたかのような顔で、両手をあげて、降参の合図をすると、ひよりは満面の笑みで喜んだ。
「(これは一本、取られたな)ただし、学園にいる間は普通に先輩と後輩の関係で頼むよ」
「まっかせてくださいッ!私、こう見えて、口は固い方なので!」
「そう言う人は、大体、口は軽い!」
突っ込みを入れつつも、勝はひよりを弟子として、迎えるのだった。それと同時に、また変な噂が立つな、と、勝は内心思い、近いうちに、咲恋と秋乃には話そうと思った。
「ただいまー」
「お帰りなさいませ、勝様」
「ただいま、マリちゃん」
ひよりと別れた後、勝は真っ直ぐ、家に帰り、玄関を開けると、メイド服を着た、青紫髪のツインテールに、カチューシャを着けた小柄な少女、『
月野家は代々、火野家に仕えていて、マリは勝の使いであり、住み込みで、勝の身の回りの世話をしている。
元々は一人暮らしをするつもりだった勝だが、勝の父親が反対し、マリの母親の提案で、マリを使いとして、一緒に住むことになったのだ。
「今日はお帰りが遅かったみたいですが、何かあったのですか?」
「いつものデュエマだよ。全く、人気者は辛いなぁ……」
「そういう顔には見えませんが、何かありましたか?」
「何にもないよ。本当に、ただデュエマをしていただけだよ」
「そう、ですか。それなら宜しいんですが、あまり長いようでしたら、秋乃様に一度、ご相談されます?」
「いや、それには及ばないよ。寧ろ、今、楽しいぐらいだよ」
嘘である。本当はひよりとデュエマをした後、昔の自分を思い出していたのだ。昔と言っても、そこまで長くはなく、中学二年生頃の話である。
中学時代の勝には好きな女性がいた。中二の夏前に、思い切って告白をし、その女性から了承を得た後、すぐに彼氏彼女の関係になった。
しかし、その関係は長くは続かず、中学三年の秋に彼女から別れてほしいと言われた。当時、勝はとても頭が悪く、地頭の良かった彼女は偏差値の高い高校に進学できたので、それが理由で別れてほしいと言われたのだ。
幸い、第三志望の高校には進学できたものの、人とのコミュニケーションがあまり得意じゃない勝は、クラスに馴染めず、すぐに不登校になった。
そんな
これが焔秋乃との最初の出会い。それから彼女と関係を
当然、地頭の悪い勝にとっては過酷
(ほんと、秋乃さんには感謝してもしきれないなぁ)
などと、そう思う勝だが、未だに彼女に感謝の言葉を伝えられていない。
「そう言えば、明日、咲恋先輩と『ACE・デュエマ部』の入部をかけて、デュエマをするんですよね?」
「え?ああ、そうだけど……」
突然、マリはそんなことを言い出した。
何故、彼女が知っているのか、少し考え、勝はある可能性に賭け、マリに問いかける。
「また秋乃さんから聞き出したの?」
「聞き出したなんて、人聞きが悪いですね、勝様。エリカ先輩から聞きました。『ACE・デュエマ部』の入部をかけて、咲恋先輩とデュエマをすると……」
「結局、聞き出してることには変わりないじゃないか!」
そう突っ込みを入れつつ、勝は明日に備えて、新しいデッキを組むのであった。
次回は入部を賭けて、咲恋と勝がデュエマをします。