デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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1日に3話投稿、ヤバいね。
そんな中、ボルシャック・アークゼオスが高くて、驚いています。


ACE6:新しい関係と苦い過去。

 

 

 

「……やっぱり、勝先輩はカッコいいです」

「……そんなことはないよ」

「え?」

 

 デュエルを終えて、ひよりは真っ先に、褒めるも、勝はそれを否定した。

 その顔はどこか痛まれない表情で、哀しい目をしていた。

 

「僕は、そんな良い人じゃないよ。ただ、全力で、デュエマをしているだけだよ……」

「先輩……」

 

 勝の言葉にひよりは心底、ガッカリしただろう。失望させてしまっただろう。そう思う勝だが、ひよりはどこか怒っている様子だった。

 

「勝先輩、そんなに悲観的にならなくて良いと思います。先輩は私にとって、カッコいい人です!だから……だから、そんなことを言わないでください……」

「ひよりちゃん……」

 

 怒ったかと思ったら、今度は涙を流して、悲しむひより。

 

(あぁ、そうか。彼女は昔の僕と同じなのか……)

 

 それを見た勝はどこか、懐かしさを感じ、ひよりは昔の自分に似ていることに気づき、近づいて、彼女の頭を静かに撫でる。

 

「ちょっ、何をして……!?」

「ゴメン。僕、こういうことしか思いつかなくて……許してほしいわけではないけど……ダメかな?」

 

 突然、頭を撫でられて、驚き、顔を赤くするひより。それに対して、勝は許しを()うかのように頭を撫でながら言う。

 

「ず、ずるいです!先輩はずるい人です!」

 

 頭を撫でる勝の手を払いながら、ひよりは涙ながらも、叫ぶ。

 数秒、沈黙が続くが、先に破ったのはひよりだった。

 

「……許してあげます」

「良いの?」

「ただし、私を弟子にしてくれれば、です!」

「で、弟子ぃ!?」

 

 突然の提案に勝は驚き、困惑する。

 それを見たひよりは提案した理由を説明する。

 

「はい!元々私、弟子入りするために、勝先輩にデュエマを挑みました!」

「僕、それ知らないんだけど……」

「言っていないので、知らなくて当然です!」

「……わかった。降参だよ、ひよりちゃん」

「やったぁー!」

 

 それを聞いて、勝は諦めたかのような顔で、両手をあげて、降参の合図をすると、ひよりは満面の笑みで喜んだ。

 

「(これは一本、取られたな)ただし、学園にいる間は普通に先輩と後輩の関係で頼むよ」

「まっかせてくださいッ!私、こう見えて、口は固い方なので!」

「そう言う人は、大体、口は軽い!」

 

 突っ込みを入れつつも、勝はひよりを弟子として、迎えるのだった。それと同時に、また変な噂が立つな、と、勝は内心思い、近いうちに、咲恋と秋乃には話そうと思った。

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「お帰りなさいませ、勝様」

「ただいま、マリちゃん」

 

 ひよりと別れた後、勝は真っ直ぐ、家に帰り、玄関を開けると、メイド服を着た、青紫髪のツインテールに、カチューシャを着けた小柄な少女、『月野(つきの)マリ』が迎え入れていた。

 月野家は代々、火野家に仕えていて、マリは勝の使いであり、住み込みで、勝の身の回りの世話をしている。

 元々は一人暮らしをするつもりだった勝だが、勝の父親が反対し、マリの母親の提案で、マリを使いとして、一緒に住むことになったのだ。

 

「今日はお帰りが遅かったみたいですが、何かあったのですか?」

「いつものデュエマだよ。全く、人気者は辛いなぁ……」

「そういう顔には見えませんが、何かありましたか?」

「何にもないよ。本当に、ただデュエマをしていただけだよ」

「そう、ですか。それなら宜しいんですが、あまり長いようでしたら、秋乃様に一度、ご相談されます?」

「いや、それには及ばないよ。寧ろ、今、楽しいぐらいだよ」

 

 嘘である。本当はひよりとデュエマをした後、昔の自分を思い出していたのだ。昔と言っても、そこまで長くはなく、中学二年生頃の話である。

 

 中学時代の勝には好きな女性がいた。中二の夏前に、思い切って告白をし、その女性から了承を得た後、すぐに彼氏彼女の関係になった。

 しかし、その関係は長くは続かず、中学三年の秋に彼女から別れてほしいと言われた。当時、勝はとても頭が悪く、地頭の良かった彼女は偏差値の高い高校に進学できたので、それが理由で別れてほしいと言われたのだ。

 幸い、第三志望の高校には進学できたものの、人とのコミュニケーションがあまり得意じゃない勝は、クラスに馴染めず、すぐに不登校になった。

 そんな(おり)に、たまたま出掛ける用事があった勝は、不良に絡まれていた秋乃を見かけ、彼女を助けたのだ。

 これが焔秋乃との最初の出会い。それから彼女と関係を(きず)き、協力して、元カノが進学した学校と同じぐらいの偏差値であった、ACE学園に転校できたのだ。

 当然、地頭の悪い勝にとっては過酷()つ、地獄だった。ただ一点、自分を振った元カノに見返したくて、勝は必死に勉強した。

 

(ほんと、秋乃さんには感謝してもしきれないなぁ)

 

 などと、そう思う勝だが、未だに彼女に感謝の言葉を伝えられていない。

 

「そう言えば、明日、咲恋先輩と『ACE・デュエマ部』の入部をかけて、デュエマをするんですよね?」

「え?ああ、そうだけど……」

 

 突然、マリはそんなことを言い出した。

 何故、彼女が知っているのか、少し考え、勝はある可能性に賭け、マリに問いかける。

 

「また秋乃さんから聞き出したの?」

「聞き出したなんて、人聞きが悪いですね、勝様。エリカ先輩から聞きました。『ACE・デュエマ部』の入部をかけて、咲恋先輩とデュエマをすると……」

「結局、聞き出してることには変わりないじゃないか!」

 

 そう突っ込みを入れつつ、勝は明日に備えて、新しいデッキを組むのであった。

 

 

 




次回は入部を賭けて、咲恋と勝がデュエマをします。
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