同じ頃、黒江はリオンと相対していた。
お互いに、お得意のマナ加速でマナを伸ばしつつ、黒江は手札を、リオンは墓地を増やしていた。
──そして、先に仕掛けたのはリオンだった。
「フシギバース!《オブザ08号》をマナに置いて、《ギガンディダノス》を墓地から召喚っ!場に出た時の効果で、黒江さんの手札をすべてマナに置いてもらいます!」
「ッ、クソ!折角貯めた手札が……!」
リオンの《ギガンディダノス》の効果により、黒江は大量の手札をマナに置かれた。
幸い、タマシード状態の《ホールインワン・ヘラクレス》がいるため、マナにいるクリーチャーを場に出せる。
しかし、いかに《ホールインワン・ヘラクレス》で、クリーチャーをマナに出せるといっても、パワー50000もある《ギガンディダノス》を越えるクリーチャーなど、早々にいない。
(まぁ、いつものウチなら早々に諦めてたけど、今回ばかりは諦めるわけにはいかないんでね!)
──1週間前の夜。
『正直に言うと、どんなにパワーが高いジャイアントでも、《ギガンディダノス》のパワーの前では歯が立たない。だから、パワー以外の方法で、対処するしかない』
『《ナチュラル・トラップ》じゃ、焼石に水だろ?《
『そこでよ。パワーで勝てない相手には頭を使うのよ。わかりやすく言うと、魔法ね』
『?いや、そうだけど、それじゃあ何も解決しないんじゃ……あ』
『どうやら、気づいたみたいね。まぁ、そう言うことだから、後は黒江次第よ』
『……はぁー。ウチ、アレ、あんま好きじゃないんだよな』
『そこは頑張って』
『へいへーい』
「──ウチのターン!ドロー!」
勢いよくカードを引く黒江だが、手札1枚で、この状況を逆転できるわけでもなく、引いたカードをマナに置いた。
「《ホールインワン・ヘラクレス》の効果で、マナからクリーチャーを1体、場に出せる!」
しかし、黒江はターンを終えず、《ホールインワン・ヘラクレス》の効果で、マナからクリーチャーを場に出す。
「何を出しても、《ギガンディダノス》の前じゃ、すべてが無意味だよ!」
「確かに、普通にクリーチャーを召喚してもダメだ。だから……」
静かに告げる黒江の言葉に、リオンは今までにない、
(何?この感覚?)
訳の分からないプレッシャーを感じながら、リオンは身構える。
「──さぁ、すべてを無に帰ろうぜ、《「
それは無に帰す者。文明を持たない第6の文明、ゼロ文明のキング・コマンド・ドラゴン、《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》だった。
(《VAN・ベートーベン》!?ジャイアントデッキになんであのカードが入ってるの!?)
まさかの《VAN・ベートーベン》にリオンは面食らい、動揺を隠せず、驚いてしまった。
「召喚によって、場に出た《VAN・ベートーベン》の効果を発動!相手のクリーチャーをすべて、手札に戻す!」
「っ、しまった!《ギガンディダノス》が……!」
12マナも必要な《ギガンディダノス》を再召喚するには時間がかかる。オマケに、ドラゴンとコマンドを封じる《VAN・ベートーベン》がいるため、その難易度は格段に上がる。
「ウチはこれで、ターンエンド」
「っ、ワタシのターン!」
勢いよくカードを引くも、手札が高コストのクリーチャー且つ、《VAN・ベートーベン》がいるせいで、迂闊にドラゴンを場に出せない。
「……ターンエンド」
「ウチのターン……さぁて、反撃させてもらうぜ!」
そう言って、黒江は5枚のマナをタップした。
「《
3体目の《ホールインワン・ヘラクレス》の効果で、黒江はマナから切り札を場に出す。
「──G・ゼロ!2体目の《ホールインワン・ヘラクレス》を《ドルゲユキムラ》に進化!場に出た時に、マナからもう一枚、《ドルゲユキムラ》を手札に加えて、3体目の《ホールインワン・ヘラクレス》の上に進化!」
これで、黒江の攻撃可能なクリーチャーは4体。しかも、いずれも、T・ブレイカーを持っている。
(ああ、これは終わった……)
その盤面に、リオンは自分が負けることを悟った。
元々、守りがあまり堅くないデッキなため、数による物量と質量には
「《ドルゲユキムラ》2体で、シールドをすべてブレイク!」
「トリガーは……まぁ、ないよね……」
トリガーがないことを確認した黒江は《VAN・ベートーベン》に手を置く。
「──《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》で、ダイレクトアタック!」
キャルと黒江が対戦を終えてる中、最後に残った結衣は今、苦戦していた。
なぜなら──
「さぁ、結衣、この状況をどうやって巻き返すんだ?」
「……」
──相手は結衣の兄、赤羽光太だからだ。