デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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ACE62:光を刈り取れ、宇宙による魔法。

 

 

 

「《ヘブンズロージア》!?このタイミングで……!?」

 

 実体化したクリーチャーを見て、結衣は驚く。

 それはかつて、クリーチャー世界(ワールド)を救った英雄、グレンモルトの友にして、宿敵(ライバル)、《真・龍覇 ヘブンズロージア》だった。

 

「《ヘブンズロージア》が出た時、超次元ゾーンから、コスト5以下の光のドラグハートを場に出せる!出すのは当然、コイツだ!」

 

 そう言って、光太は超次元ゾーンから横向きのカード──ドラグハート・フォートレスを手にし、バトルゾーンに置いた。

 

「ドラグハート・フォートレス!《天獄(てんごく)の正義 ヘブンズ・ヘブン》を場に出すぜ!」

 

 それは光のドラグハート・フォートレス、《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》だった。

 

「さらに、オレの場にエンジェル・コマンドが5体以上いるので、G・ゼロ、発動ッ!光を(しめ)せ、聖霊(せいれい)(おう)!《カイザルバーラ》を《聖霊王(せいれいおう)アルファリオン》に進化ッ!」

 

 それは《聖霊王アルカディアス》が新たな力を手にした姿、《聖霊王アルファリオン》だった。

 そして、ヴァルハラ・パラディンとイエス・ザナドゥの間に、アルファリオンが実体化した。

 今、光太の場には5体のエンジェル・コマンド(とエンジェル・コマンド・ドラゴン)と1枚のドラグハート・フォートレスがあり、そのうち、4体のクリーチャーと1つのドラグハート・フォートレスが実体化している状況である。

 また、今、光太が攻撃できるクリーチャーは進化クリーチャーで、T・ブレイカーを持つ《アルファリオン》と、W・ブレイカーを持つ《ウェルキウス》と《ヴァルハラ・パラディン》の3体。

 つまり、結衣はシールド・トリガーを引かなければ負ける。

 おまけに、《アルファリオン》がいる限り、結衣は呪文が使えず、仮にこのターンを凌いだとしても、《アルファリオン》の効果で結衣のクリーチャーは召喚するのに、コストが5多くなっている。

 

「いくぜ、結衣!《アルファリオン》で、T・ブレイクッ!」

「ッ、トリガーは……ないわ!」

 

 アルファリオンの斬撃に結衣は一瞬、怯むも、すぐに持ち直し、シールドの中を確認し、トリガーがないことを光太に知らせる。

 

「そうか?それなら、《ヴァルハラ・パラディン》で、W・ブレイクッ!」

 

 今度はヴァルハラ・パラディンの槍が結衣の残り2枚のシールドを突き刺し、砕いた。

 シールド・トリガーがなければ、《ウェルキウス》のダイレクトアタックで光太の勝利になる。

 

 ──しかし、そうはならなかった。何故なら、ブレイクされたシールドの中に、シールド・トリガーがあったからだ。

 

「シールド・トリガー、発動ッ!《マジック・A(アコギ)・セミプーロ》を召喚ッ!」

「ッ、ブロッカーか!」

 

(しかも、《セミプーロ》か。厄介なヤツが出たな……!)

 

 破壊された時、《セミプーロ》は相手のクリーチャーを1体、手札に戻せる。

 

 ここで下手に《ウェルキウス》で攻撃すれば、《アルファリオン》が手札に戻り、次の結衣のターン、結衣は呪文が使え、《コーボー・マジカルショッカー》のマジック・メクレイド5が発動する。

 また、《Drache der'Zen》の攻撃時に、墓地から再び、《水筒の術》で、GR召喚を行い、水のGRクリーチャーが4体以上になると、《アアルカイト》はW・ブレイカーになる。

 

 逆に攻撃しなければ、結衣は先に《セミプーロ》で、光太の《アルファリオン》か、《ヴァルハラ・パラディン》に攻撃し、自爆させて、《アルファリオン》を手札に戻すことができる。

 

 そこまで考えた後、光太は自身の手札を見る。破壊以外で、《セミプーロ》を退かすか、あるいは攻撃事態を封じるか、を。光太は必死に考えた。

 

(攻撃事態を封じる……?)

 

 脳裏を必死に働かせる中、光太はあることに気づき、再び考えた。

 

 ──そして、ある結論に至った。

 

(あるじゃねえか!攻撃を封じる手が……!)

 

 脳裏でそう(ひらめ)いた後に、光太は《ヘブンズ・ヘブン》の効果を宣言する。

 

「──ターン終了時、《ヘブンズ・ヘブン》の効果で、手札から光のブロッカーを1体、場に出せる!オレは2体目の《イエス・ザナドゥ》を場に出し、墓地から《ヘブンズ・ゲート》を唱える!《星門(せいもん)精霊(せいれい)アケルナル》を2体、場に出すぜ!そして、《イエス・ザナドゥ》で唱えた《ヘブンズ・ゲート》をシールドゾーンに置く!」

 

 何をするかと思えば、ブロッカーが3体に増え、シールドが8枚に増えただけだった。

 そう思った時、結衣は、はっとなって気づく。光太のお気に入り(マイフェイバリット)にして、切り札(ACE)、《ヴァルハラ・パラディン》の効果に。

 

「──この時、《ヴァルハラ・パラディン》の効果を発動ッ!自分のシールドゾーンにカードが置かれた時、相手のクリーチャーを1体選んで“フリーズ”させる!《セミプーロ》をフリーズだッ!」

「ッ、そんな……!?」

 

 ──フリーズとは、タップされたクリーチャーは次のターン、アンタップできない、という効果の略称である。

 

 これにより、結衣の《セミプーロ》は、次のターン、アンタップできなくなった。

 

 これでは、光太の《アルファリオン》を退かすことができず、呪文も唱えられず、クリーチャーもコストが5、重いままである。

 

 完全に解答札を潰された、と、そう思った。

 

 

 

 ──相手が光太の妹、赤羽結衣でなければ、の話だが。

 

「──まさか、ここまで上手くいくなんて、思わなかったわ」

「ッ!?」

 

 その言葉に、光太は寒気を感じた。

 そして、光太は知る。彼女が、否、結衣が今から何をするのか、を。

 

 そんな光太を他所に、結衣は気にせず、カードを引き、4枚のマナをタップさせた。

 

「タマシード!《コーライルの海幻(ビジョン)》!《アルファリオン》を山札の一番下に!」

「タマシード!?」

 

 まさかの水のタマシード、《コーライルの海幻》が使われたことに、光太は驚き、面食らった。

 今までの結衣なら考えられないことである。

 今までの結衣は呪文カードで、厄介なクリーチャーをどうにかしてきたが、《アルファリオン》の存在により、呪文を封じた今、どうにもできない筈が、タマシードの存在によって、それができてしまった。

 

 実体が保てなくなったアルファリオンは粒子となって消え、呆気なく、本体であるカードは山札の下に置かれた。

 

「これで呪文が使える!《Drache der'Zen》で攻撃──する時に、《Drache der'Zen》の攻撃時(アタックトリガー)とS級侵略[宇宙(スペース)]を発動ッ!」

「ッ、S級侵略!?しかも、[宇宙]ってことは……!?」

 

 その言葉に光太は絶望する。

 そして、結衣は《Drache der'Zen》で墓地に置いた“自然の呪文のカード”を手にし、宣言する。

 

「呪文、《ビックリ・イリュージョン》!種族はマジック・コマンド・ドラゴン!これで私のクリーチャーはすべて、“水のコマンド”を得た!」

「ッ、しまった……!」

 

 結衣のクリーチャーがすべて、マジック・コマンド・ドラゴンであり、水のコマンドを得たことで、結衣は手札から宇宙の侵略者を《Drache der'Zen》に重ねた。

 

「あらゆる法則をぶち破り、宇宙の力で、相手のすべてを刈り取れ!《Drache der'Zen》を、《S級(エスきゅう)宇宙(スペース) アダムスキー》に侵略進化ッ!」

 

 刹那。結衣の《Drache der'Zen》は《S級宇宙 アダムスキー》に進化し、光太のシールドではなく、山札を4枚、墓地に置いた。

 

「《アダムスキー》はシールドを攻撃するかわりに、相手の山札を攻撃できる!その攻撃枚数はブレイク枚数につき、2枚!」

 

 おまけに、《アダムスキー》はブロッカーにブロックされず、W・ブレイカーを持っているため、確実に光太の山札を4枚、墓地に置けるのだ。

 また、《ビックリ・イリュージョン》の効果で、水のコマンドを得た結衣のクリーチャーは《Drache der'Zen》を除いて、4体いる。

 

 このデュエル中、光太は《エナジー・Re():ライト》と《サイバー・ブレイン》の2回と《ウェルキウス》と《カイザルバーラ》、そして、《ヴァルハラ・パラディン》の効果で、山札が11枚、減られており、デュエル開始の手札5枚とシールド5枚、そして、ターンのはじめのドローの5枚、合計26枚の山札が減られている。

 また、《コーライルの海幻》で、《アルファリオン》と《カイザルバーラ》の2枚が山札に戻り、その後、1枚ドローし、1回目の《アダムスキー》で、4枚減っている。

 よって、光太の残り山札は11枚である。

 

 後、3回。《アダムスキー》の攻撃で、光太の山札は1枚残り、結衣がターンエンドを宣言した後、その1枚を引いて、光太は敗北するのだ。

 

「……結衣。オマエ、いつから、そんなデュエマをするようになったんだ?」

「私がどんなデュエマをしようと私の勝手だよ、兄さん」

 

 そう言って、結衣はマジック・コマンド・ドラゴンを得た水のクリーチャー達で攻撃し、《アダムスキー》に侵略させて、光太の山札を1枚に残し、《イエス・ザナドゥ》で追加した、表向きの《サイバー・ブレイン》をブレイクした。

 

「──ターンエンド。さぁ、兄さん、最後の1枚を引いて……」

「……オレのターン。最後の1枚を引いて、山札が0枚になったから、オレの負けだ」

 

 ──光太の山札切れ(ライブラリアウト)により、結衣は光太に勝利した。

 

 

 




初、《Drache der'Zen》の活躍が《アダムスキー》による侵略元になってしまった……。

おまけに、この作品、初のライブラリアウト……けど、後悔はしていない。
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