「《ヘブンズロージア》!?このタイミングで……!?」
実体化したクリーチャーを見て、結衣は驚く。
それはかつて、クリーチャー
「《ヘブンズロージア》が出た時、超次元ゾーンから、コスト5以下の光のドラグハートを場に出せる!出すのは当然、コイツだ!」
そう言って、光太は超次元ゾーンから横向きのカード──ドラグハート・フォートレスを手にし、バトルゾーンに置いた。
「ドラグハート・フォートレス!《
それは光のドラグハート・フォートレス、《天獄の正義 ヘブンズ・ヘブン》だった。
「さらに、オレの場にエンジェル・コマンドが5体以上いるので、G・ゼロ、発動ッ!光を
それは《聖霊王アルカディアス》が新たな力を手にした姿、《聖霊王アルファリオン》だった。
そして、ヴァルハラ・パラディンとイエス・ザナドゥの間に、アルファリオンが実体化した。
今、光太の場には5体のエンジェル・コマンド(とエンジェル・コマンド・ドラゴン)と1枚のドラグハート・フォートレスがあり、そのうち、4体のクリーチャーと1つのドラグハート・フォートレスが実体化している状況である。
また、今、光太が攻撃できるクリーチャーは進化クリーチャーで、T・ブレイカーを持つ《アルファリオン》と、W・ブレイカーを持つ《ウェルキウス》と《ヴァルハラ・パラディン》の3体。
つまり、結衣はシールド・トリガーを引かなければ負ける。
おまけに、《アルファリオン》がいる限り、結衣は呪文が使えず、仮にこのターンを凌いだとしても、《アルファリオン》の効果で結衣のクリーチャーは召喚するのに、コストが5多くなっている。
「いくぜ、結衣!《アルファリオン》で、T・ブレイクッ!」
「ッ、トリガーは……ないわ!」
アルファリオンの斬撃に結衣は一瞬、怯むも、すぐに持ち直し、シールドの中を確認し、トリガーがないことを光太に知らせる。
「そうか?それなら、《ヴァルハラ・パラディン》で、W・ブレイクッ!」
今度はヴァルハラ・パラディンの槍が結衣の残り2枚のシールドを突き刺し、砕いた。
シールド・トリガーがなければ、《ウェルキウス》のダイレクトアタックで光太の勝利になる。
──しかし、そうはならなかった。何故なら、ブレイクされたシールドの中に、シールド・トリガーがあったからだ。
「シールド・トリガー、発動ッ!《マジック・
「ッ、ブロッカーか!」
(しかも、《セミプーロ》か。厄介なヤツが出たな……!)
破壊された時、《セミプーロ》は相手のクリーチャーを1体、手札に戻せる。
ここで下手に《ウェルキウス》で攻撃すれば、《アルファリオン》が手札に戻り、次の結衣のターン、結衣は呪文が使え、《コーボー・マジカルショッカー》のマジック・メクレイド5が発動する。
また、《Drache der'Zen》の攻撃時に、墓地から再び、《水筒の術》で、GR召喚を行い、水のGRクリーチャーが4体以上になると、《アアルカイト》はW・ブレイカーになる。
逆に攻撃しなければ、結衣は先に《セミプーロ》で、光太の《アルファリオン》か、《ヴァルハラ・パラディン》に攻撃し、自爆させて、《アルファリオン》を手札に戻すことができる。
そこまで考えた後、光太は自身の手札を見る。破壊以外で、《セミプーロ》を退かすか、あるいは攻撃事態を封じるか、を。光太は必死に考えた。
(攻撃事態を封じる……?)
脳裏を必死に働かせる中、光太はあることに気づき、再び考えた。
──そして、ある結論に至った。
(あるじゃねえか!攻撃を封じる手が……!)
脳裏でそう
「──ターン終了時、《ヘブンズ・ヘブン》の効果で、手札から光のブロッカーを1体、場に出せる!オレは2体目の《イエス・ザナドゥ》を場に出し、墓地から《ヘブンズ・ゲート》を唱える!《
何をするかと思えば、ブロッカーが3体に増え、シールドが8枚に増えただけだった。
そう思った時、結衣は、はっとなって気づく。光太の
「──この時、《ヴァルハラ・パラディン》の効果を発動ッ!自分のシールドゾーンにカードが置かれた時、相手のクリーチャーを1体選んで“フリーズ”させる!《セミプーロ》をフリーズだッ!」
「ッ、そんな……!?」
──フリーズとは、タップされたクリーチャーは次のターン、アンタップできない、という効果の略称である。
これにより、結衣の《セミプーロ》は、次のターン、アンタップできなくなった。
これでは、光太の《アルファリオン》を退かすことができず、呪文も唱えられず、クリーチャーもコストが5、重いままである。
完全に解答札を潰された、と、そう思った。
──相手が光太の妹、赤羽結衣でなければ、の話だが。
「──まさか、ここまで上手くいくなんて、思わなかったわ」
「ッ!?」
その言葉に、光太は寒気を感じた。
そして、光太は知る。彼女が、否、結衣が今から何をするのか、を。
そんな光太を他所に、結衣は気にせず、カードを引き、4枚のマナをタップさせた。
「タマシード!《コーライルの
「タマシード!?」
まさかの水のタマシード、《コーライルの海幻》が使われたことに、光太は驚き、面食らった。
今までの結衣なら考えられないことである。
今までの結衣は呪文カードで、厄介なクリーチャーをどうにかしてきたが、《アルファリオン》の存在により、呪文を封じた今、どうにもできない筈が、タマシードの存在によって、それができてしまった。
実体が保てなくなったアルファリオンは粒子となって消え、呆気なく、本体であるカードは山札の下に置かれた。
「これで呪文が使える!《Drache der'Zen》で攻撃──する時に、《Drache der'Zen》の
「ッ、S級侵略!?しかも、[宇宙]ってことは……!?」
その言葉に光太は絶望する。
そして、結衣は《Drache der'Zen》で墓地に置いた“自然の呪文のカード”を手にし、宣言する。
「呪文、《ビックリ・イリュージョン》!種族はマジック・コマンド・ドラゴン!これで私のクリーチャーはすべて、“水のコマンド”を得た!」
「ッ、しまった……!」
結衣のクリーチャーがすべて、マジック・コマンド・ドラゴンであり、水のコマンドを得たことで、結衣は手札から宇宙の侵略者を《Drache der'Zen》に重ねた。
「あらゆる法則をぶち破り、宇宙の力で、相手のすべてを刈り取れ!《Drache der'Zen》を、《
刹那。結衣の《Drache der'Zen》は《S級宇宙 アダムスキー》に進化し、光太のシールドではなく、山札を4枚、墓地に置いた。
「《アダムスキー》はシールドを攻撃するかわりに、相手の山札を攻撃できる!その攻撃枚数はブレイク枚数につき、2枚!」
おまけに、《アダムスキー》はブロッカーにブロックされず、W・ブレイカーを持っているため、確実に光太の山札を4枚、墓地に置けるのだ。
また、《ビックリ・イリュージョン》の効果で、水のコマンドを得た結衣のクリーチャーは《Drache der'Zen》を除いて、4体いる。
このデュエル中、光太は《エナジー・
また、《コーライルの海幻》で、《アルファリオン》と《カイザルバーラ》の2枚が山札に戻り、その後、1枚ドローし、1回目の《アダムスキー》で、4枚減っている。
よって、光太の残り山札は11枚である。
後、3回。《アダムスキー》の攻撃で、光太の山札は1枚残り、結衣がターンエンドを宣言した後、その1枚を引いて、光太は敗北するのだ。
「……結衣。オマエ、いつから、そんなデュエマをするようになったんだ?」
「私がどんなデュエマをしようと私の勝手だよ、兄さん」
そう言って、結衣はマジック・コマンド・ドラゴンを得た水のクリーチャー達で攻撃し、《アダムスキー》に侵略させて、光太の山札を1枚に残し、《イエス・ザナドゥ》で追加した、表向きの《サイバー・ブレイン》をブレイクした。
「──ターンエンド。さぁ、兄さん、最後の1枚を引いて……」
「……オレのターン。最後の1枚を引いて、山札が0枚になったから、オレの負けだ」
──光太の
初、《Drache der'Zen》の活躍が《アダムスキー》による侵略元になってしまった……。
おまけに、この作品、初のライブラリアウト……けど、後悔はしていない。