それぞれの部屋で対戦を終えた結衣達は一度、部屋から出て、レオン以外のメンバーは適当に椅子に座っていた。
「どうやら俺達全員、負けたみたいだな……」
「お義兄ちゃん、そこは結衣先輩達が勝ったことを褒めるべきでは?」
「……それもそうか」
リオンの指摘に、レオンは渋々、自分達に勝利した結衣達を褒めようと声をかけようとするも、先に結衣が口を開いた。
「悪いけど、お世辞はいらないわ」
「嫌々で褒められても、嬉しくないっす」
『勝ったのは我らだ。故に、敗者は黙って我らに従え』
「アンタは今回、何もしてないでしょうが!」
「……泣いて良いか?リオン?」
「えっと……ドンマイ」
「ピエン……」
完全に涙目になってしまったレオンを見て、妹のリオンは彼を誠心誠意、全力で宥める。
「……なぁ、結衣」
「?何?お兄ちゃん?」
そんな中、先程まで黙っていた光太が突然、口を開き、結衣に声をかける。
「……オマエと勝に何があったんだ?」
「……兄さんには関係ない話よ」
「……そうか」
それを聞いて、光太は一度、目を瞑り、少し考えた。
(これ以上の自問自答は無意味か……だとしたら、兄貴として、オレができることは……二人を信じるしかないな……)
脳裏でそう結論づけた光太は目を開き、腰から白い小さな箱を取り出し、結衣に見てる。
「?兄さん?それは?」
「見上げ物……と、オレに勝った報酬、かな?」
「何で疑問形?まぁ、貰える物は貰っとくけど……」
そう言って、結衣は光太から白い小さな箱を受け取り、中身を見て良いか、光太に問いかける。
「……中身を見ても良い?」
「いいぜ」
光太から了承を得た結衣は小さな箱の中身を開けようと、開け口を探し、端っこに開け口があることに気づき、そこから開け、中身を取り出す。
「──え?」
取り出した中身を見て、結衣は驚く。
──それはデュエマのカードだった。
「アレを渡して大丈夫なのか?」
「?何が?」
結衣達が店を出たレオンは結衣に渡したカードについて、光太に問いかけた。
問いかけられた光太は
因みに、この場にいないリオンは今、学校に行っている。
本来は休日で学校は休みだが、高校受験に向けているリオンにとってはそんなものは関係ないのだ。
「何が?じゃない。あのカードは貴様にとっては
「だからだよ。結衣があのカードを使うかどうか、見極めるのに最適だろ?」
「それで自分を首を絞めても俺は知らないぞ」
「何だよ?久しぶりに会って、機嫌悪りぃじゃねぇかよ?」
「当たり前だ!連絡もしないで、いきなり帰ってくるのだ!少しはこっちの身を考えろ!このデュエマバカが!」
「シスコンのオマエにだけは言われたくねぇよ!」
「誰がシスコンだ!俺はただ、
「それをシスコンって言うんだよッ!」
ギャー、ギャーと、言い争っている二人の声が外まで響き、リオンが帰ってくるまで、二人はまだ言い争い、リオンが帰ってきた後、説教されたのは言うまでもない。
──その日の夜。
赤羽結衣は自室で、光太から貰ったカードを見て、新しいデッキを組んでいた。
勿論、新弾で強化されたマジックと、彼女が気に入っている5色コントロールと一緒にデッキを改造し、製作していた。
「……全く、兄さんは本当にデュエマバカね」
などと、彼女は小さく、そう言って、手を止めずに動かす。
──その時、結衣はふっと、思った。
光太が何故、自身にカードを渡したのか、疑問を抱き、兄から渡されたカードをもう一度見る。
──そのカードの名は《
コスト7。光と水の多色カードで、ツインパクトカードである。
種族はエンジェル・コマンド・ドラゴンとドレミ団と革命軍の3つを持つ。
効果は3つ。
一つ目は光、または水のドラゴンに革命チェンジできる。
二つ目はW・ブレイカーを持っている。
そして、三つ目は、次の相手のターンの終わりまで、相手の呪文を唱えられなくする能力を持っている。
下の呪文面は《「
コストは6で、効果はカードを3枚引き、手札からコスト5以下の呪文をただで唱えられる。
どちらの面も強力且つ、結衣が使っているマジックデッキや5色コントロールと相性が良い。
そして、結衣の兄、光太の扱うヘブンズ・ゲートデッキ。通称、天門デッキにも相性が良いのだ。
故に、彼が何故、妹である自分に渡し、彼自身のアイデンティティの首を絞める真似をするのか、結衣にはわからなかった。
「……まぁ、なんでもいいわ。高くて手が出せなかったし、1枚買うか、少し悩んでたところだから、ちょうどいいわ」
そう言って、結衣は再び、新しいデッキの製作の手を進めるのだった。
次回から勝くん達の話に戻ります。