デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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ACE65:合宿といえば、山と道場だよね?

 

 

 

 ──数日後。

 

 デュエマの新弾、『忍邪乱武(りんじゃらんぶ)』が発売され、期末テストも無事に終わり、誰一人赤点を取らなかった勝達。

 そして、待ちに待った合宿の日。その日、勝達は合宿のため、ある場所に来ていた。

 

 そこは勝達が通うACE学園から少し離れた場所にあり、その場所は山であり、その山の中央に道場があるのだ。

 

 その道場の名前は──『ACE武神(ぶじん)道場』である。

 そこはACE学園の運動部、空手部と剣道部が理由している道場であり、勝達はそこで2泊3日の合宿することになっているのだ。

 

「よくまぁ、こんな山ん中にある道場で、合宿の利用許可がおりたな……」

「秋乃さんのお陰ですよ。この山、焔財閥が買い取った山で、そこに道場を立てたのが、財閥の偉い人だよ」

「ケッ!結局は権力と金の力かよ……!」

「そんなことを言っていると、後でバチが当たりますよ、早峰先輩」

「うるせぇ!あの財閥の女に媚び売ったヤツが口を開くなッ!」

 

 道場の前に着くなり、合宿の利用許可がおりた理由を説明するなり、突然、悪態をつける想を宥める勝だが、彼の機嫌は治ることはなく、寧ろ、悪化する一方だった。

 ふっと、勝の後ろからついていた咲恋が口を開いた。

 

「その本人が来ていないのはどうかと思うけど……」

「仕方がないよ。財閥の仕事が被ったんだから……」

「そりゃあ、わかってるわよ。ただ……」

「会長は連帯責任を気にする感じですか?」

「そう言うんじゃなくて、財閥の娘である秋乃さんが居ないと、道場の人に説明できないでしょ?」

「その心配なら大丈夫だよ。僕とマリちゃんが面識あるから、道場の人も知っている筈だよ。多分だけど……」

「不安しかないわ」

 

 最後に咲恋がそう小さく言うと、勝は「何が?」と問いかけるも、咲恋はすぐさま「何でもないわ」と、返事を返した。

 

「……」

「マリちゃん、大丈夫?」

「え?ええ、大丈夫よ、ひよりちゃん!」

 

 ふっと、今日一日、ずっと黙っているマリの様子を見て、心配したひよりはマリに声をかけるも、当の本人は慌てて、大丈夫だと、そう言い切った。

 その様子を見た勝はマリに声をかける。

 

「大丈夫?マリちゃん?先に休憩する?」

「い、いえ!私なら大丈夫です!さぁ、さっさと中に入りましょう!」

 

 そう言って、マリは勝から逃げるかのように、先に道場の中へと入っていった。

 

「……マリちゃん、大丈夫でしょうか?」

「本人が大丈夫なら、大丈夫じゃねぇのか?知らねーけど」

「……」

 

 その様子をひよりはまた心配するも、想はどうでもいいのか、冷たくそう言い、勝はマリの様子を見て、静かに彼女の背中を目で追った。

 それを見た咲恋は勝に声をかける。

 

マリちゃん(あの子)と何かあったの?」

「……うん。少し前に……ね」

「そう。それなら早めに謝りなさいよ。あまり長く引きずると、収拾(しゅうしゅう)がつかなくなるわよ」

「……わかってるよ」

 

 勝がそう返事を返すと、咲恋は深い溜め息を吐いた。

 それを見た勝は「何?」と、咲恋に問いかける。

 

「ううん、何も。ただ少し面倒だな、って思っただけよ」

「何?不満なの?」

「不満……じゃないけど、なんか、言い切れない、というより、言葉が出てこないのよね?」

「それって、不満があるからじゃないの?何かしらの」

「だとしたら、その原因はアンタ達かもね?」

「……」

 

 その言葉を聞いて、勝はほんの少し、咲恋を睨んだ。

 

「ちょっと、睨まないでくれる?」

「別に、睨んでないよ」

「睨んでたわよ?まぁ、その様子から見て、色々と察しはついてるけど……」

「あっそ……」

 

 そっぽを向いて、勝はそう言う。

 それを見た咲恋は慌てて、「悪かったわよ」と、謝った。

 

「一先ず、マリちゃん(あの子)のことは私が見とくから、アンタは自分のことに集中しなさい」

「……ありがとう、咲恋ちゃん」

「お礼を言われほどじゃないわ」

 

 そう言って、咲恋は道場の中に入り、その後に、翔、想、ひよりの順に、三人は道場の中へと入った。

 

「──き──は──なん、で──んだ?」

 

「……?」

 

 最後の一人になった勝は、道場の中に入ろうとするも、突然、後ろから声が響き、勝はすぐさま振り返った。

 

「?誰もいない?」

 

 けれど、そこには誰も居なかった。

 

「気のせい……かな?」

 

 そう思った勝は少ししてから道場の中へと入った。

 

 

 

 ──しかし、勝はこの時、気づくべきだった。

 

「……」

 

 自分達を影から覗いている存在に──勝はこの時、気づくべきだった。

 

 

 

 ──一方、その頃。焔財閥の仕事で遅れることになった秋乃とエリカの二人は今、とある商店街に来ていた。

 というより、本当はこの日のために、財閥の仕事は休みを取っている。

 にも関わらず、二人は何故、勝達と一緒に合宿に行かず、こんな所で、油を売っているのか、というと──

 

「お嬢様、そろそろ我々も行かなくてはなりませんよ?」

「わかっているわ、エリカ。けど……」

 

 ──気まずかったからだ。

 

 あの日。エリカがキャルに紫の目を奪われて以来、秋乃は勝と顔を合わせづらくなっているのだ。

 一応、その件に関しては「秋乃さんが気にすることじゃないよ。力不足だった僕に責任があるよ」と、勝から言われており、秋乃はなるべく気にしないようにしていた。

 だが、やはり、というか、あの時、自分が負けていなければ、()が傷つくことはなかった。

 エリカだって、自分で守れた筈だ。助けられた筈だ。

 そう言った、後ろ向きなことばかり考えていた。

 

「……わたくしは焔財閥の人間として失格ですわ」

「お嬢様……」

 

 その言葉に、エリカは励ます言葉を考えるも、すぐには浮かばず、咄嗟に、エリカは秋乃を抱きついた。

 

「……?エリカ?」

「……申し訳ありません、お嬢様。私が不甲斐ないばかりに……」

「エリカ……」

 

 その言葉に、秋乃は泣きそうになった。

 しかし、財閥の人間たる者、涙は流してはいけない。

 流して良いのは、大切な人がいなくなった時、親族がいなくなった時、そう決められている。

 故に、秋乃は涙を流すのを、堪えた。

 

 けれど、それの代わりになる感情、想いが浮かばなかった。

 あるのは虚しさと哀しみのみ。そして、後悔。

 そう思った時、また涙を流しそうになった。

 

 

 

 ──その時だ。

 

「──お前達、何をしている?」

 

 二人に声をかける勝に似た青年──黒崎レオンが二人の前に現れた。

 

 

 

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