デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

68 / 104
ACE68:デュエマは時の運、故に残酷な時がある。

 

 

 

(この状況、返せるのか?)

 

 絶対絶命のピンチの中、レオンはこの状況を打破できないか、思考を(めぐ)らせていた。

 

「っ!?」

 

 その時、レオンの思考にある人物が浮かび上がった。

 それを見たレオンは「フッ……」と、静かに笑みを溢した。

 

(そうだったな。お前なら……最後まで諦めないよな!だったら、俺も“兄”として、諦める訳にはいかないな!)

 

「「ッ!?」」

 

(あの瞳……彼と同じ、何事にも諦めない瞳をしている!?)

 

(この感じ……勝様と同じ!?)

 

((まさか、この状況を返すと言うの(です)か!?))

 

 突然、レオンの雰囲気が変わったことにエリカは驚き、秋乃はレオンの雰囲気が勝に近いと感じ、二人は揃って、レオンがまだ諦めていないことに気づき、そして、この絶望的な状況を返すと、ほんの僅か、否、二人は確信した。

 

「どうした?まだ貴様のターンだぞ?」

 

「ッ、まずは《シデン・レジェンド》の効果でシールドをブレイクっ!」

 

「シールド・トリガー!呪文、《偉大(いだい)なる(めぐ)み》!その効果で、墓地からクリーチャーを3体、俺のマナゾーンに変換する!」

 

「「なっ!?」」

 

 その行動に一切の曇りがなく、レオンはシールドの中にあるカードを確認せず、シールド・トリガーを迷うことなく、宣言した。

 

 その行動に二人は驚く。

 普通はシールドの中を確認してから、シールド・トリガーを宣言するが、レオンはその予備動作を一切せず、堂々と迷うことなく、シールド・トリガーを宣言した。

 

「で、ですが、それがどうしたと言うのですか!次に《ワルキューレ・ルピア》の革命チェンジを解決!《紫電・ドラゴンP'S(プレイス)》を手札に戻し、《ワルキューレ・ルピア》で、最後のシールドをブレイクッ!」

 

「……甘いな」

 

「なっ!?」

 

 またしても、シールド・トリガーが発動された。

 それは相手のクリーチャーを1体破壊する闇の呪文カード、《スーパー・デーモン・ハンド》が発動され、その凶々(まがまが)しい悪魔の手が《ワルキューレ・ルピア》を掴み、握り潰し、破壊した。

 おまけに、破壊した《ワルキューレ・ルピア》のコスト分、レオンの墓地が5枚増えた。

 これにより、エリカの《クック・轟・ブルッチ》は攻撃できず、レオンにダイレクトアタックを決められないため、エリカはターンエンドを宣言するしかない。

 

「……ターンエンド」

 

「俺のターン……中々、楽しかったぞ?貴様とのデュエマ。実に久しぶりにひりつくような感覚だった。これは──そのお礼だ」

 

「ッ!?」

 

 刹那。次の瞬間。レオンが繰り出すカードと切り札により、エリカの場とマナゾーンが吹き飛び、手札とシールドも破壊された。

 

「そんな!?こんな一瞬で!?“さっさの2ターンで返される”なんて……!?」

 

「これが現実だ、受け入れよ。そして、これで最後だ」

 

 そう言って、レオンは自身の切り札に手を置く。

 

「──ダイレクトアタック」

 

 静かに、ダイレクトアタックを宣言し、切り札を横に倒した。

 

 

 

 デュエマに敗北したエリカはその場で膝をついていた。

 

「そんな……私には負けられない理由があるのに……こんなところで負けるわけにはいかないのに……」

「デュエマは時の運だ。故に、残酷な時がある。肝に銘じておけ……」

「エリカ!」

 

 秋乃がエリカに駆け寄ると、レオンは暫く黙り込んだ。

 

「っ、お嬢様、申し訳ありません……」

「そんなことはいいですわ!それよりもエリカ!あなた、大丈夫ですの!?」

「……すみません。(まこと)に言い(にく)いのですが、大丈夫ではありません」

「……そう。それなら、次はわたくしが相手になりますわ!」

「ッ!?お嬢様!?」

 

 突然、デッキを取り出し、対戦を申し込む秋乃の行動にエリカは驚き、止めようとするも、その前にレオンが口を開いた。

 

「いや、その必要はない」

「……え?」

「先ほどのデュエマでわかったことがある。お前達は俺が“探しているヤツ”ではない。故に対戦する必要はない」

「そ、そうなのですか……?」

「対戦する必要はないが、警告する」

「警告?」

「あまり商店街をウロウロするな。痛い目に遭いたくなければな……」

 

 それだけ言うと、レオンは二人の前から去り、その場を後にした。

 

「……彼は何だったんでしょうか?」

「わかりません。ただ……彼は強い。そして……“似ている”」

「その様子だと、エリカも感じたのね」

「はい……嫌というほどに……」

 

 先程のデュエマでわかったこと。

 文明やプレイスタイルは違えど、レオンの姿はどこか、勝に似ていると、二人は感じた。

 

 

 

 そして──

 

「……エリカ、行きますわよ」

「?お嬢様、どちらに?」

「決まっています。勝様達がいるところにです」

「!?わかりました。至急、車の手配をします」

 

 ──二人は勝達がいるACE武神道場に向かった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。