デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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ACE76:完全敗北。

 

 

 

「──二天一流、お借りします!《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弍天(にてん)」》ッ!」

 

 

 ──それは《戦極竜ヴァルキリアス・ムサシ》が武者の名称を得た新たな姿、《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弍天」》だ。

 

「《「弍天」》の出た時の効果!自分の火のエレメントの数以下の相手のエレメントを一つ破壊できる!」

 

 今、ショウの場には《タキオンアーマー》と《「武偉」》。そして、多色カードであり、火文明を持つ《「弍天」》、《ドスファング》の2枚。合計5枚の火のエレメントがある。

 

 よって、勝の場にいるコスト4の《ボルシャック・バラフィオル》は破壊されるのだ。

 

「君の場の《ボルシャック・バラフィオル》を破壊!」

「っ、そんな《ボルシャック・バラフィオル》が……!?」

 

 無惨にも破壊された《ボルシャック・バラフィオル》に勝は絶望する。

 無理もない。今の《ボルシャック・バラフィオル》はタマシード状態である。

 タマシード状態である間は、クリーチャー破壊には一切効かない。だが、最近のデュエマはクリーチャー以外のカードを破壊する“カード指定除去”や表向きのカードを破壊する“エレメント破壊”の二つがある。

 故に、タマシード・クリーチャーである《ボルシャック・バラフィオル》や《ボルシャック・フォース・ドラゴン》にとっては天敵である。

 

 

「その後、光のエレメントの数だけドロー!」

 

 

 多色カードである《ドスファング》と《「弍天」》は光文明である。よって、《ピュアイカズキ》を含めると、4枚ドローができる。

 

「そして、これがメインの攻撃!《ホワイトグレンオー》でシールドをブレイクッ!」

「っ、トリガーは……ない」

「それなら《「弍天」》で攻撃!攻撃する時に、《ミラダンテⅫ》に革命チェンジッ!」

「み、《ミラダンテⅫ》!?そんなカードまで入ってるの!?」

 

 ここに来て、まさかの《ミラダンテⅫ》が入っていることに勝は驚く。

 

「《ミラダンテⅫ》のファイナル革命ッ!次の相手のターンの終わりまで、相手はコスト7以下のクリーチャーを召喚できない!さらに、コスト5以下の光の呪文を唱えられる!けど、今回はないから、かわりにカードを1枚ドロー!最後に《「弍天」》の効果で、自分の手札の枚数以下のアーマードか、サムライのカードをただ使える!使うのは《「弍天」》!クリーチャーの場合はノーコストで召喚だよー!」

「っ、そんな!?こんなの……──」

 

 

 ──返せるわけがない。

 

 

 そう思った時、僕はブラックキャットで再会した結衣ちゃんとのデュエマを思い出した。

 

 

 ──ああ、そうか……僕はまた負けるのか……。

 

 

「《ミラダンテⅫ》で、シールドをT・ブレイクッ!」

「……トリガーはないよ」

 

 敗北を確信した僕はブレイクされたシールドを手札に加えた。

 

「もう一度、《「弍天」》で攻撃!攻撃する時に《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》に革命チェンジ!今度は呪文を止めるよ!」

「……ないよ」

 

 再度、《「弍天」》の攻撃時に、ショウはまた革命チェンジを宣言し、今度は呪文を止める《ラフルル・ラブ》を場に出す。そのまま勝の最後のシールドをブレイクした。

 ブレイクされたシールドの中に、G・ストライクの《クック・轟・ブルッチ》があったが、あまりの物量の多さに、勝は大人しく、そのカードを手札に加えた。

 

 

 

「──コイツでトドメだよッ!《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》でダイレクトアタックッ!」

 

 

 

 

 

 対戦を終えた勝はその場に膝をつき、両手を支えに。地面についた。

 

「また負けた……」

「負けたなら、もう一度、立ち上がれば良い。僕に勝つまで、何度でも何度でも、立ち上がって、足掻いて、そして……」

「そんな簡単なことを言うなよっ!」

 

 突然、勝は叫び声を上げ、それを見た真は勝を強引に立ち上がらせ、そのまま勝の顔を殴った。

 

「主!?」

 

 それを見た禁断竜王は叫び、勝に駆け寄った。

 

「良い加減にしろ!火野勝!俺の知ってるお前はそんなやつではないだろ!」

「真さんに僕の何がわかるって言うんですか!?もう嫌なんだよっ!負けることも!戦うことも!何もかも嫌なんだよっ!」

「!?」

 

 その言葉に、真は驚く。何故なら勝の瞳には光がないからだ。

 恐らく、先程の戦いで、心に深い傷を負ったのだろう。

 同時に戦うことへの拒絶反応を起こしていた。

 

「それでも、誰かがやらなきゃ……誰かがやらなきゃ、ここから抜け出せない。だったら、戦って戦って戦い抜いてやる!」

「火野……お前……」

 

 しかし、当の本人は気づいていない。

 気づかず、ただ使命感のまま抗い、戦おうとしている。

 

 

 ──しかし、もう1人の火野勝は違った。

 

 

「──いや、良いよ。なんか冷めたわ……」

「え?」

 

 突然、そんなことを言い出すショウに、勝は驚き、カレの目を見た。

 

 

 ──その瞳はまるで冷めた目をしていた。自分自身を哀れみ、同情していた。

 

 

 それを無意識に気づいた勝は怒りで声を荒げた。

 

「なん……だよ……何なんだよっ!その目は!?僕を哀れんでいるのか!?同情しているのか!?だとしたら、人を馬鹿にするのも大概にしろ!」

「……君は馬鹿だ」

「……は?」

 

 また意味不明なことをショウは自分自身に言い出した。

 

「馬鹿で愚かで醜い人だ……そんな人にデッキが……カードが答えるわけないだろ?」

「何を言っているんだ……?」

「わからない?わからないなら良いよ。そのかわり、もう二度とボクの前に現れないでくれ……」

 

 そう言って、ショウは3人に背を向け、森の中に入っていた。

 

「おい、待て!」

 

 それを見た真はショウを追いかけようと、足を前に踏み込むと、周囲の景色が変わった。

 

「!?何!?」

「これは一体……?」

 

 突然、周囲の景色が変わったことに真と禁断竜王は驚き、勝は「ふ、ふざけるな……」と言って、その場に倒れた。

 

「主!?」

「おい、火野!返事をしろ!火野ぉぉぉぉぉッ!」

 

 二人の掛け声に勝は反応を返せず、そのまま意識を手放した。

 

 

 

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