「──僕が勝ったら、僕は
「何……!?」
突然、勝様はデュエマをやめることを宣言した。
それを聞いた
「……貴様、本気か?」
「本気です」
「そうか……それなら仕方がない。だったら俺からも条件を出す。俺が勝ったら、俺から出す課題を必ず成功させろ!」
「……わかりました」
勝様が返事を返すと、真様は「先に行って待っている」と言って、その場を後にしました。
残されたわたくし達は勝様に視点を向けるも、勝様はわたくし達の顔を見ず、静かに立ち上がり、デッキを持って、扉の前まで歩き、その場で止まりました。
「……それじゃあ、行ってくるよ」
「ッ!?待ってください!勝様!」
思わず、声を荒げてしまった。
けど、今はそんなことを気にしていられない。
「……本気でやめるつもりですの?」
「……デュエマのこと?」
「ええ……嘘、ですよね?勝様?」
「ううん。嘘じゃないよ。僕は……本気だよ、秋乃さん……」
「──ッ!?」
その言葉に、わたくしの胸は何かに縛られるかのように強く、痛く、感じました。
同時に、勝様の言葉に寂しさを感じました。何故かはわかりませんが、直感的にそう思いました。
けど、勝様は冷たく、静かにそう言い切り、そのまま扉を開けて、真様の元に向かいました。
──勝様、何故ですの?
あんなにデュエマが好きで、誰よりも強くなろうとしていたのに、どうして……?
「……お嬢様。私達も向かいましょう」
「……」
わたくしの気持ちを察して、エリカがわたくしに声をかけました。
「勝様にも何か考えがあって、ああ言っているだけですし、私達も向かって確かめましょう」
「そうですよ!きっと、勢いで言い間違えただけかもしれませんよ!」
「……そうですわね」
マリちゃんとひよりちゃんの励ましで、わたくしは勝様の後を追うことを決意し、咲恋さん達に連絡を入れて、急ぎ、勝様の後を追いかけました。
──場所は変わり、ACE
そこで火野勝と暗闇真の二人は向かい合っていた。
「来たか……それでは早速始めるぞ?」
「……ええ」
真の問いかけに、勝は一言返事を返し、デッキを取り出した。
それを見た真は自身もデッキを取り出し、構える。
「いくぞ──」
「「──デュエマ、スタートッ!!」」
「──俺のターン!《カンゴク
「《カンゴク》……それに《禁断》か……」
おまけに、マナゾーンには《
十中八九、《邪王門》入り赤黒バイクか?
だとしたら、次のターン辺りに火のコマンドか、追加で《カンゴク入道》辺りを出すかの二択か……。
僕は真さんのバトルゾーンとマナゾーンを見て、真さんが扱うデッキが《邪王門》入り赤黒バイクと予想した。
今回、僕が使うデッキは以前、《モモキングNEX》と《ボルシャック・バラフィオル》を軸にした赤緑ボルシャック。
久しぶりに使うけど、初手は
ただ、バイクデッキの特性上、赤緑ボルシャックとの相性はあまり良くない……。
──まぁ、考えても仕方がないか!
「できることをやるだけだッ!呪文、《メンデルス・ゾーン》!2枚見て……よしよし、2枚ともドラゴンだから、そのままマナを2枚増やす!ターンエンド!」
「俺のターン!《
「っ、《ブラックゾーン》……!!」
よりによって、《ブラックゾーン》が墓地に置かれた……!!
真さんの《禁断〜封印されしX〜》の封印から墓地に置かれたカードを見て、僕は悪態をついた。
──《禁断の
強力な能力が豊富で、恐らく、今回の真さんの切り札だ。
何より、さっき出した《ザ・トリッパー》はコマンドを持っている。故に、真さんはこのターンで、僕のシールドを4枚ブレイクできる。
「《ザ・トリッパー》で攻撃!侵略はせず、そのままシールドをブレイクだ!」
「……え?」
しかし、真さんの考えは違った。
真さんは《ザ・トリッパー》を《ブラックゾーン》に侵略させず、《ザ・トリッパー》のまま、僕のシールドをブレイクした。
「……トリガーはありません」
「そうか。それなら《カンゴク入道》もシールドをブレイクだ!」
「……これもありません」
「ターン終了時、《カンゴク入道》の効果でシールドを1枚、手札に加える。ターンエンド」
「……僕のターン。マナチャージ……あ」
そうか。そういうことか。
さっき、《ザ・トリッパー》を《ブラックゾーン》に侵略しなかったのは、《ザ・トリッパー》が持つ能力──相手はカードをマナゾーンに置く時、タップして置く──を活かすためか。
そうだとしたら、さっき《ブラックゾーン》に侵略しなかったのも納得ができる。
おまけに、《カンゴク》の鬼タイム──自分と相手のシールドの合計が6以下の時に発動する能力──で、パワーが5000に上がっている。
「やりますね、真さん……」
「いつまでも速さに拘る訳にはいかないからな。これぐらいは誰でもできる」
「だとしても、それを瞬時にやれるのは流石ですね……」
正直に言うと、こっちの戦術がかなり崩された。
──けど、何もできない訳ではない!
「久しぶりにいくよ!《ボルシャック・フォース・ドラゴン》!場に出た時に、相手のパワー4000以下のクリーチャーを1体破壊できる!《ザ・トリッパー》を破壊っ!」
「ッ、やるな……!」
「こっちだって、やられっぱなしじゃいられない!ターンエンド!」
「……そうか。だが、その前にやらなければならないことがあるぞ?」
ふっと、真さんは僕から視点を外し、顔を右に向けた。それを見た僕は真さんが向いた方に振り向いた。
「……っ」
そこにはデュエマ部の皆がいた。