デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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ACE80:宣言──勝、デュエマをやめる。

 

 

 

「──僕が勝ったら、僕は金輪際(こんりんざい)、デュエマをやめます」

「何……!?」

 

 

 突然、勝様はデュエマをやめることを宣言した。

 それを聞いた秋乃(わたくし)達は驚き、わたくしは思わず、「……え?」と、声を漏らしてしまった。

 

「……貴様、本気か?」

「本気です」

「そうか……それなら仕方がない。だったら俺からも条件を出す。俺が勝ったら、俺から出す課題を必ず成功させろ!」

「……わかりました」

 

 勝様が返事を返すと、真様は「先に行って待っている」と言って、その場を後にしました。

 残されたわたくし達は勝様に視点を向けるも、勝様はわたくし達の顔を見ず、静かに立ち上がり、デッキを持って、扉の前まで歩き、その場で止まりました。

 

「……それじゃあ、行ってくるよ」

「ッ!?待ってください!勝様!」

 

 思わず、声を荒げてしまった。

 けど、今はそんなことを気にしていられない。

 

「……本気でやめるつもりですの?」

「……デュエマのこと?」

「ええ……嘘、ですよね?勝様?」

「ううん。嘘じゃないよ。僕は……本気だよ、秋乃さん……」

「──ッ!?」

 

 その言葉に、わたくしの胸は何かに縛られるかのように強く、痛く、感じました。

 同時に、勝様の言葉に寂しさを感じました。何故かはわかりませんが、直感的にそう思いました。

 けど、勝様は冷たく、静かにそう言い切り、そのまま扉を開けて、真様の元に向かいました。

 

 

 ──勝様、何故ですの?

 あんなにデュエマが好きで、誰よりも強くなろうとしていたのに、どうして……?

 

 

「……お嬢様。私達も向かいましょう」

「……」

 

 わたくしの気持ちを察して、エリカがわたくしに声をかけました。

 

「勝様にも何か考えがあって、ああ言っているだけですし、私達も向かって確かめましょう」

「そうですよ!きっと、勢いで言い間違えただけかもしれませんよ!」

「……そうですわね」

 

 マリちゃんとひよりちゃんの励ましで、わたくしは勝様の後を追うことを決意し、咲恋さん達に連絡を入れて、急ぎ、勝様の後を追いかけました。

 

 

 

 

 

 ──場所は変わり、ACE武神(ぶじん)道場の広場。

 そこで火野勝と暗闇真の二人は向かい合っていた。

 

「来たか……それでは早速始めるぞ?」

「……ええ」

 

 真の問いかけに、勝は一言返事を返し、デッキを取り出した。

 それを見た真は自身もデッキを取り出し、構える。

 

「いくぞ──」

 

 

「「──デュエマ、スタートッ!!」」

 

 

 

 

 

「──俺のターン!《カンゴク入道(にゅうどう)》を召喚!ターン終了時に、《カンゴク入道》の効果で俺のシールドを1枚手札に加える!ターンエンド!」

「《カンゴク》……それに《禁断》か……」

 

 おまけに、マナゾーンには《百鬼(ひゃっき)邪王門(じゃおうもん)》が置かれている。

 十中八九、《邪王門》入り赤黒バイクか?

 だとしたら、次のターン辺りに火のコマンドか、追加で《カンゴク入道》辺りを出すかの二択か……。

 

 僕は真さんのバトルゾーンとマナゾーンを見て、真さんが扱うデッキが《邪王門》入り赤黒バイクと予想した。

 今回、僕が使うデッキは以前、《モモキングNEX》と《ボルシャック・バラフィオル》を軸にした赤緑ボルシャック。

 

 久しぶりに使うけど、初手は上々(うえうえ)と言った感じだ。

 ただ、バイクデッキの特性上、赤緑ボルシャックとの相性はあまり良くない……。

 

 ──まぁ、考えても仕方がないか!

 

「できることをやるだけだッ!呪文、《メンデルス・ゾーン》!2枚見て……よしよし、2枚ともドラゴンだから、そのままマナを2枚増やす!ターンエンド!」

「俺のターン!《影速(えいそく) ザ・トリッパー》を召喚!火のコマンドが出たため、《禁断》の封印を1枚墓地に置く……」

「っ、《ブラックゾーン》……!!」

 

 よりによって、《ブラックゾーン》が墓地に置かれた……!!

 

 真さんの《禁断〜封印されしX〜》の封印から墓地に置かれたカードを見て、僕は悪態をついた。

 

 

 ──《禁断の轟速(ごうそく) ブラックゾーン》

 T(トリプル)・ブレイカーとS級侵略[轟速]──自分の手札か墓地、またはバトルゾーンの火または闇のコマンドが攻撃する時、進化できる能力──を持ち、場に出た時に、こっちのパワーが一番小さいクリーチャーに封印する能力を持つ。

 

 

 強力な能力が豊富で、恐らく、今回の真さんの切り札だ。

 何より、さっき出した《ザ・トリッパー》はコマンドを持っている。故に、真さんはこのターンで、僕のシールドを4枚ブレイクできる。

 

「《ザ・トリッパー》で攻撃!侵略はせず、そのままシールドをブレイクだ!」

「……え?」

 

 しかし、真さんの考えは違った。

 真さんは《ザ・トリッパー》を《ブラックゾーン》に侵略させず、《ザ・トリッパー》のまま、僕のシールドをブレイクした。

 

「……トリガーはありません」

「そうか。それなら《カンゴク入道》もシールドをブレイクだ!」

「……これもありません」

「ターン終了時、《カンゴク入道》の効果でシールドを1枚、手札に加える。ターンエンド」

「……僕のターン。マナチャージ……あ」

 

 そうか。そういうことか。

 さっき、《ザ・トリッパー》を《ブラックゾーン》に侵略しなかったのは、《ザ・トリッパー》が持つ能力──相手はカードをマナゾーンに置く時、タップして置く──を活かすためか。

 そうだとしたら、さっき《ブラックゾーン》に侵略しなかったのも納得ができる。

 おまけに、《カンゴク》の鬼タイム──自分と相手のシールドの合計が6以下の時に発動する能力──で、パワーが5000に上がっている。

 

「やりますね、真さん……」

「いつまでも速さに拘る訳にはいかないからな。これぐらいは誰でもできる」

「だとしても、それを瞬時にやれるのは流石ですね……」

 

 正直に言うと、こっちの戦術がかなり崩された。

 

 ──けど、何もできない訳ではない!

 

「久しぶりにいくよ!《ボルシャック・フォース・ドラゴン》!場に出た時に、相手のパワー4000以下のクリーチャーを1体破壊できる!《ザ・トリッパー》を破壊っ!」

「ッ、やるな……!」

「こっちだって、やられっぱなしじゃいられない!ターンエンド!」

「……そうか。だが、その前にやらなければならないことがあるぞ?」

 

 ふっと、真さんは僕から視点を外し、顔を右に向けた。それを見た僕は真さんが向いた方に振り向いた。

 

「……っ」

 

 そこにはデュエマ部の皆がいた。

 

 

 

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