デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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ACE93:夏祭り──それは楽しい思い出の1ページ。

 

 

 

 ──あれから数日が経過した。

 

 合宿を終えて、すぐに夏休みに入り、デュエマ部の皆はそれぞれ夏休みを過ごしていた。

 

 

 

 ──そんなある日。

 

 明星ひよりから、デュエマ部の皆に夏祭りに行かないか、と、お誘いの連絡が来た。

 

 

『皆さん!祭りに行きませんか?』

『いいね。行こう!』

『右に同じく』

『異議なし!』

『お、俺も会長に賛成です!』

『わたくしも賛成ですわ!』

『私もお嬢様と賛成です』

『……』

『悪いが、オレはパス』

『ダメです。早峰先輩も来てください。というか、来なければ、私が連れていきます。よろしいですか?』

『えー……』

『わかった。家に訪問されたくないから行くわ』

『決まりですね!あ、皆さん、デッキも忘れずに持ってきてください!』

『?何かあるの?』

『小規模ですが、デュエマの大会があるので、持ってきてください!』

『……わかった。レギュレーションとルール、後、個人戦か、団体戦か、教えてほしい』

『えーと……』

『レギュレーションはオリジナルで、個人戦です。トーナメントではなく、連勝チャレンジです。優勝商品は双龍戦記と忍邪乱武、後、最新弾のビクトリーベストがそれぞれ6パックずつ貰えます!』

『結構、豪華な優勝商品だ……(困惑)』

『その分、連勝チャレンジはキツそうね……どれくらいやるか、わからないけど……』

『なんと!7連勝です!しかも、デッキの入れ替えアリです!継続して、同じデッキを使っても問題ありません!』

『なるほど。それは面白そうだ!』

『……帰り道、荷物が重くなるから、私は遠慮しておくわ』

『自分も会長と同じく……』

『わたくしとエリカもやめておきますわ』

『マリちゃんも遠慮しておくって』

『早峰先輩は?』

『……テメエが出るなら、オレも参加する』

『決まりですね!』

『それじゃあ、時間は……大会のこともありますし、夕方の5時にお祭の入り口の前で、集合で!』

『わかったー』

『了解です』

『りょ』

『わかりましたー』

『わかりましたわ』

『了解です』

『……り』

 

 

 

 部活の皆と夏祭りに行くことが決まったひより(わたし)は、いつも間にか、鼻歌を歌っており、再度、スマホで皆とのやりとりを覗いた。

 

 

「フンフーン♪思った通り、勝先輩と早峰先輩は参加しますね!ただ……」

 

 

 断念なことに他の先輩達、強いては同い年であるマリちゃんとメガネ君が大会に参加しないことに、少し寂しかった。

 

 

 ──まぁ、でも、マリちゃんは仕方がないかな?

 

 

 自己紹介の時に、イベントごとや大勢で活動するのは苦手だ、と、本人は言っていたから仕方がない。

 

 

 ──けど。

 

 

「マリちゃんにも、参加してほしかったなぁ……」

 

 

 そうぼやきつつ、私は大会……じゃなかった夏祭りに向けて、新しいデッキを制作するのであった。

 

 

 

 

 

 ──夏祭り当日。

 

 

 予定時間よりも早く着いてしまった()とマリちゃんは、お祭りの入り口前で、皆が来るのを待っていた。

 

 

「……早く来すぎしたかな?」

「いえ、そんなことはありません。皆さんが遅いだけです。というか、提案したひよりちゃんがいないのはどうかと思うんですが……」

「まぁまぁ、それ以上は言わないであげてよ。そのひよりちゃんから、もう少しで着くって連絡が来たんだし、許してあげてよ?」

「……仕方がありません。勝様に(めん)じて許してあげます。それにしても……」

「「アツい……」」

 

 

 そう、何より暑いのだ。

 早く来すぎたのか、夏だからなのか、はたまた、お祭りで人が集まって、体温が上がっているのか、兎に角、暑いのだ。

 

 

 というか、夕方であるにも、かかわらず、暑いのは何故だ?

 

 これも地球温暖化による影響なのか?

 

 

 幸い、こうなることを予想して、水を1本ずつ持ってきて良かった。

 

 けど、それでも暑いことには変わりない。

 

 

「すみませーん!着替えに時間かかって、遅れましたー!」

 

 

 と、思っていたら、ようやく、一人の少女──明星ひよりちゃんがこちらに来た。

 

 

 流石に待たせすぎだ、と、一言、文句を言ってやろうと思った僕だが、ひよりちゃんの姿を見て、一瞬で、言葉を失った。

 

 

「ハァ……ハァ……すみません。着替えに時間がかかったのと、思ってたより人が多くて、あまり前に進めなかったです……」

「……」

「?先輩?」

「!?い、いや、なんでもない!なんでもないけど、その……」

 

 

 一瞬、目を逸らすも、すぐに、彼女の姿を見る。

 

 

浴衣(ゆかた)を着てきたんだ……」

「はい!折角なので、着てみました!どうですか?可愛いですか?」

「……っ」

 

 

 ACE学園に転校してから、何故か、一緒にいる時間が多い、明星ひより。

 その理由は、無邪気な性格と明るい笑顔。そして、彼女の持つコミュ力の高さだ。

 

 そんな中、何度か、プライベートで彼女の私服姿を見てきた僕だが、今までのひよりちゃんは子供みたいな服装が多かった。

 けど、今のひよりちゃんは、どこか、ほんの少しだけ、大人っぽい感じがした。

 

 

 ──恐らく、彼女が着ている浴衣のせいだ。

 

 

 縞模様(しまもよう)の明るいオレンジ。だけど、濃いオレンジと薄いオレンジが絶妙な色バランスで、明るい性格の彼女をさらに象徴(しょうちょう)するかのように、その明るさが増し、さらに、彼女のコミュ力の高さが相まって、僕の脳に刺激をあたえた。

 

 

 ……これはアリだな。

 

 

「勝様。ひよりちゃんの浴衣姿を見て、如何(いかが)わしいことを考えましたね?」

「え……?」

「!?考えてない!考えてないから!」

「……まぁ、先輩も男の子ですし、仕方がないですね」

「違うから!(だん)じて違うから!」

『主も、オサカン、ですね……』

 

 

 ──禁断竜王まで!?

 

 

 違う!僕は断じて、違う!

 

 

 僕は……僕は……!

 

 

「僕は健全な男の子だあああああぁぁぁぁぁッ!」

 

 

 そう強く叫ぶ勝だが、それは虚しくも……否、現実は非情にも、不健全な男の証となるのだった。

 

 

 

 

 

「全く、人様の迷惑を考えなさいよね……」

「……ごめんなさい」

 

 

 数分後。無事に皆と合流した後、さっきの騒動を見ていた咲恋ちゃんに、僕はお説教を喰らっていた。何故に?

 

 

「まぁまぁ、月野さんも悪気がなかったわけですし、それぐらいで良いじゃないですか、咲恋さん」

「その月野がどこにも居ねえが……」

「後で彼女にもお説教をしましょう」

「え、こわ……」

 

(それはそうと、アイツ、どこに行ったんだ?)

 

 

 急に態度を変える秋乃さんの姿に、早峰先輩は少し引いていた。が、すぐに周囲を見渡した。

 その奇妙な態度に眼鏡君は気になり、早峰先輩に問いかけた。

 

 

「早峰先輩、どうかしたんですか?」

「いや、月野と暁月の二人が見当たらないんだが……」

「……早峰先輩は女心が分からないんですね」

「……は?何っつった?喧嘩売ってんのか?その眼鏡、わってやろうか?」

「聞こえなかったんですか?早峰先輩は女心が分からない人ですね」

「よーし、その喧嘩買った。表に出ろ、メガネ。お前のそのダサい眼鏡、わってやるよ……!」

「ふ、二人とも!こんな時にケンカはダメですよ……!」

 

「「明星(さん)は黙ってろ(黙っててください)!!」」

 

「っ、は、はい……!」

 

 

 仲裁(ちゅうさい)に入ろうとするひよりちゃんだが、早峰先輩と眼鏡君の二人の叫び声に後ずさった。

 

 

 ……これは流石に不味いな。

 

 

 僕達以外にも、この夏祭り(イベント)を楽しみに来ている人がたくさんいる。

 この二人が喧嘩を始める分はまだ良いけど、他の人に被害が出たら、折角の夏祭りが台無しだ。

 

 最悪、二次災害が起きても、おかしくない。

 

 いや、下手をすると……僕達の夏休みが終わる。

 

 

「それだけは避けたいな……」

「?勝様……?」

 

 

 小さく呟いた後、僕は前に出る。途中、秋乃さんに声をかけられた気がするけど、僕は気にせず、二人の喧嘩を止めに入った。

 

 

「二人とも、喧嘩はそれぐらいに──」

 

「──そんなに喧嘩したい(やる気がある)なら、デュエマで白黒つけたらどうですか?」

 

 

 僕が二人の喧嘩を止めに入ろうとする直前。いつも間にか、帰ってきたマリちゃんが二人にそう提案した。

 

 

 ──しかも、浴衣姿で、だ。

 

 

「マリちゃん!?浴衣に着替えに行ってたの!?」

「勝様、すみません。エリカさんと一緒に急遽、浴衣に着替えに行ってました。それで二人とも、どうします?」

 

 

 そう言って、マリちゃんは二人に提案した。

 

 

「……オレは構わねえが、メガネ、テメエはどうする?」

「……提案に乗りたいのは山々ですが、生憎(あいにく)、俺はデッキを持ってきていません」

「それでしたら、私のデッキを貸しましょう。ちょうど、貴方が使っている7軸ガチロボを組んできているので、どうでしょう?」

「……それだったら、乗ります。良いですよね?早峰先輩?」

「ハッ、好きにしろ!」

 

 

 早峰先輩から承諾を得た後、眼鏡君はマリちゃんからデッキを借りて、近くにある休憩所で、二人は移動し、「「デュエマ・スタートッ!!」」と、言って、対戦を始めた。

 

 

「さて、私達は会場に行きますか……」

「え?二人を待たないの?」

「待っていたら、大会に参加できないですよ、勝様」

「あ……」

 

 

 それもそうか。と、納得しかけたが、流石に二人を放棄するのは可哀想と思い、待ってあげようと声をかけるが、その前に、咲恋ちゃんが口を開いた。

 

 

「それなら私が二人を見ているから、アンタ達は先に行きなさい」

「咲恋ちゃん……良いの?」

「良いわよ。こういうのは生徒会長の務めよ」

 

 

 今、生徒会長は関係ないと思うよ、と、思ったけど、あえてそこは黙っておこう。

 

 

 そう思っていると、今度は暁月さんが口を開いた。

 

 

「……アナタ一人では不安なので、私も一緒に残りましょう」

「……良いの?秋乃さん?」

「構いませんわ。寧ろ、皆さんが一緒じゃないと、わたくしも楽しめませんわ」

「……ありがとう、秋乃さん、エリカ。という訳で、勝達は先に行って行って」

「……わかったよ。三人とも、行こうか」

「……はい、勝様」

「咲恋先輩!後で合流しましょうねー!」

「わかってるわよー!」

 

 

 そうして、僕達は一度、別行動を取り、僕と秋乃さんとマリちゃんとひよりちゃんの四人は先に祭りの中に入っていった。

 

 

 

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