デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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お待たせしました。
後編ほ15分後に投稿しますので、続けて読みたい人は少しお待ちを…。


ACE95:夏祭り──結衣の連勝チャレンジを阻止せよ!(前編)

 

 

 

 序盤、勝は《チャラ・ルピア》、《アシスター・コッピ》を場に出し、ドラゴン、またはアーマードのコスト軽減を持つクリーチャーを並べていた。

 

 対して結衣はマジック・カードを軽減する《アシスター・Mogi(モギ)林檎(リンゴ)》を2体場に出し、《♪なぜ(はな)れ どこへ()くのか (きみ)(いま)》を唱え、手札を整えていた。

 

 互いに、次のターンの準備を進める中、先に動き出したのは──先行の結衣からだ。

 

 

「私のターン!ドロー!……まずは《アシスター・Mogi林檎》のコスト軽減で、2マナで《Drache(ドラッヘ) der'Zen(ダーゼン)》を召喚!」

 

「っ、《Drache der'Zen》!?」

 

「結衣の新しい切り札か!?」

 

 

 現れたのは水のタマシード・クリーチャーにして、結衣の新たなACE(切り札)、《Drache der'Zen》。

 

 珍しく、水単色のマジックデッキを使っていることに、勝は驚いていたが、ここにして、《Drache der'Zen》の登場に、さらに驚く。

 

 一方、観客用のモニターで観ていた拓真は、結衣が《Drache der'Zen》を出した時、結衣の新しい切り札かと、疑った。

 

 

「《Drache der'Zen》が出た時、山札からカードを3枚ドロー!その後、手札を2枚、墓地へ置くわ!私が墓地に置くのは《ザ・ミュート》と《(ゴッド)試練(しれん)》の2枚よ!」

 

「っ、《神の試練》……」

 

 

 数日前。公式から《絶望神(ぜつぼうしん)サガ》と共に殿堂入りに任命されたカードの1枚。

 殿堂入りにされたカードはデッキに1枚までしか入れられない。

 

 そして、この連勝チャレンジでも、その殿堂レギュレーションが適応されており、《神の試練》はデッキに1枚しか入れられない。

 

 その殿堂カードを結衣は初期手札5枚から温存(キープ)していたのだ。

 

 

「《神の試練》に気を取られているところ悪いけど、少しは自分の場を気にした方が良いわよ?」

 

「……っ」

 

 

 結衣は残った2枚のマナをタップし、それを見た勝は何か来る、と、咄嗟に脳裏でそう思い、身構えた。

 

 

「残った2マナで《歌舞音愛(うたまいおとめ) ヒメカット》を召喚!《ヒメカット》が出た時、マジック・フレンド・バーストを発動!クリーチャーになった《Drache der'Zen》をタップして、《ヒメカット》の呪文側を唱える!」

 

 

 結衣は切り札である《Drache der'Zen》をタップさせ、《ヒメカット》の呪文側を唱えた。

 

 

「──呪文、《♪(かえる)() ()えるの何処(いずこ)()きと()ひて》!呪文の効果で、相手のエレメントを2つ、手札に戻す!勝!貴方の《アシスター・コッピ》と《チャラ・ルピア》を手札に戻しなさい!」

 

「っ……!」

 

 

 折角出した2体のファイアー・バードが勝の手札に戻り、その光景をモニターで観たひよりは勝の場にクリーチャーが居なくなったことに動揺する。

 

 

「先輩のバトルゾーンのクリーチャーが居なくなった!?」

「これで結衣は殴り返しを気にせず、勝のシールドを攻撃できる……」

 

(けど、今までの、結衣のプレイング的に、ここはターンエンドか?)

 

 

 

「──《アシスター・Mogi林檎》で、シールドを攻撃!」

 

 

 

「な!?攻撃するのか!?このタイミングで!?」

 

 

 まさか、結衣が仕掛けてくる(攻撃してくる)ことに、拓真は驚き、自身の予想が外れたことで、さらに驚きの声を上げた。

 

 

「っ、トリガーはない……」

 

「それなら、もう一体の《アシスター・Mogi林檎》で、シールドを攻撃!」

 

「これも……トリガーはない」

 

「……そう。私はこれでターンエンドよ」

 

「……」

 

 

 ようやく、自分のターンに回った勝。

 しかし、当の本人はカードを引かず、結衣を見ていた。

 

 一方で、勝が全然、山札に手を出さず、自分を見ていたことに気づいた結衣は、それが不愉快に感じ、勝に問いかけた。

 

 

「?何よ?言いたいことがあるなら、ハッキリ言いなさい!」

 

「……それなら遠慮なく言わせてもらうけど、どうして今、攻撃したの?」

 

「……はぁー」

 

 

 それは先程、《アシスター・Mogi林檎》2体で、勝のシールドを攻撃(ブレイク)したことへの問い。

 

 それを聞いた結衣はものすごく、深い溜め息を吐いた。

 

 何だ、そんなことか、と。口には出さないが、結衣は内心、そう思った。

 

 

「……あのねえ、勝?私がその問いに答えると思う?」

 

「別に答えなくても良いけど……ただ、こっちが言いたいことを言わないと、気がすまないでしょ?結衣ちゃん?」

 

「……まぁ、それはそうだけど」

 

 

 互いに他愛もない会話をする勝と結衣。

 

 一方で、モニター越しで観ている観客の皆は、二人の会話を聞いて、何を言っているのか、わからなかった。

 

 それを見た実況の人は恐る恐る、二人に対戦の再開をお願いする。

 

 

「あのー、お二人とも、対戦の再開を……」

 

「あ、すみません。えーと、僕のターン……でしたよね?」

 

「あ、はい。お願いします」

 

「わかりました」

 

 

 そう言って、勝は山札からカードを引き、手札を1枚、マナに置いた。

 

 

「……まずは《チャラ・ルピア》を召喚!その《チャラ・ルピア》のコスト軽減で、2マナをタップ!」

 

 

 残った2枚のマナをタップし、勝は手札から1枚のカードを引き抜き、一度、目を瞑った。

 

 

「あいつ、急に目を瞑って、どうしたんだ?」

「もしかして、諦めたのか?」

「おいおい、これから面白いところだろ?」

 

 

 それを観た観客達は、勝の不気味な行動に理解できず、勝が結衣との対戦を諦めたのか、と、思った。

 

 

 ──しかし、それは違う。勝をよく知る者は彼の、その行動に意味があることを知っている。

 

 

 それは──召喚口上をする前段階。

 

 

 そして──

 

 

「……この(つるぎ)は、すべてを切り裂く一閃──」

 

 

『……!?』

 

 

「──何者にも負けず、(くじ)けず、折れず……今こそ、その(つるぎ)を引き抜く時!《ボルメテウス・武者(むしゃ)・ドラゴン「武偉(ぶい)」》を召喚っ!」

 

 

 

 ──勝は目を開き、モニターで観ている観客達に聞こえるように、大きな声で、召喚口上を言い、新たな切り札(ACE)、《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》を召喚した。

 

 

『な、なんとぉぉッー!?ここにきて、ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」!?ビクトリーベストでリメイクされたボルメテウス・武者・ドラゴンの新たな姿だぁぁぁッー!!そして、私の大好きなドラゴンです!!』

 

「ちょっとー!?流石にマイクを持って叫ばないでください!」

 

『すみません!!』

 

 

 あまりの嬉しさに、実況者は実況をするの忘れ、マイクを持ったまま感動し、叫び声を上げた。

 

 その叫び声に、思わず耳を塞ぐ勝と結衣、そして、観客達。

 

 それを見て、スタッフ側も流石にマイクを持って叫ぶのはどうかと思い、実況者に注意をした。

 注意された実況者はマイクを持ったまま、スタッフに謝罪した。

 

 一瞬、何があったのか、わからず、困惑するも、勝はすぐに結衣との対戦に集中した。

 

 

「……えっと、《「武偉」》の効果で、僕のシールドを1枚ブレイク。この時、トリガーがあれば、すぐに使えるけど、今回はなし。その(あと)、相手のパワー6000以下のクリーチャーを1体破壊できる!(ここは……)《ヒメカット》を破壊するよ!」

 

「ッ、ここで《ヒメカット》?まさか……!?」

 

「そのまさかだ……!」

 

 

 勝のシールドは残り3枚。決して多くないシールドを1枚削り、結衣の《ヒメカット》を破壊した。

 だが、ここは本来、マジックのコストを下げる《アシスター・Mogi林檎》を破壊するのが得策(とくさく)だ。

 

 

 それをしない、ということは……?

 

 

 勝の手札に何かある、と、結衣は脳裏(のうり)でそう思った。

 

 

侍流(さむらいりゅう)ジェネレート!《竜牙(りゅうが) リュウジン・ドスファング》を、ノーコストで場に出す!その《リュウジン・ドスファング》の効果で、サムライ・メクレイド5を発動!2枚目の《リュウジン・ドスファング》を場に出して、もう一度、サムライ・メクレイド5を発動!来い!《爆炎(ばくえん)ホワイトグレンオー》っ!」

 

「ッ……!?」

 

 

 ここに来て、サムライ・クリーチャー全てにスピードアタッカーを与える《ホワイトグレンオー》が現れ、それを見た結衣は動揺をし、驚いていた。

 

 

「先輩、すごい……!!」

「あのデッキを組んで以来、ずっと練習してましたものね……」

「その練習が活かされているわけですね!」

 

(ですが……)

(今、このタイミングで動くのは不味いだろ?)

 

 

 以前、合宿で勝は別世界の自分と出会い、その時にカレが使っていたデッキ、赤白サムライを自分のものにしようと、必死になって、赤白サムライの戦略を練習していた。

 その必死さを間近で見ていたマリは遠い目をしつつ、内心、嬉しく思い、それを聞いたひよりは流石、勝先輩!と、言いたげな表情で、勝の勇姿を見て、感動していた。

 

 一方で、秋乃と拓真は今仕掛けるのは不味い、と、そう思った。

 

 それは結衣の仲間であり、勝の友人である黒江も同じ考えだった。

 

 

「……」

「?どうしたの黒江?」

「いや、あの程度の戦略で、結衣を追い詰めるとは到底思えないんだよな……」

「あー、確かに……」

『フン!くだらん!どんなに戦い方を変えようと、我ら、アビスの敵ではないわ!」

 

 

 黒江の言葉に、キャルは納得するも、キャルのデッキケースの中からジャシン帝は勝がどんなに戦術を変えようと、アビスの敵ではない、と、言い切り、それは聞いたキャルは深い溜め息を吐いて、二人の対戦を覗いた。

 

 

「マナゾーンや《チャラ・ルピア》を見て、何かあると思ったけど、まさか、そういうデッキを持ってくるとは思わなかったわ。しかも、こんなに早く新しいカードを使って対戦するなんて……」

 

「……意外かな?」

 

「いいえ、貴方らしいよ。ほんと、ビックリするぐらい、何も変わってない。あの時も、今も……そして、これからも、貴方は変わらないんでしょうね……」

 

「……」

 

 

 ──変わらない、か。

 

 

 そこまで言われて、勝は「確かに、そうかもしれないね……」と、小さく、そう呟き、《リュウジン・ドスファング》に手を置いた。

 

 

「《リュウジン・ドスファング》の効果で、サムライ・クリーチャーにタダでクロスできる!2枚の《リュウジン・ドスファング》を《武者・ドラゴン「武偉」》にクロス!」

 

 

 そう言って、2枚の《リュウジン・ドスファング》を《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》にクロスし、そのままタップさせ、攻撃を開始した。

 

 

「《武者・ドラゴン「武偉」》で攻撃!《リュウジン・ドスファング》の効果!攻撃時にサムライ・メクレイド5を発動!それが2回だっ!!」

 

 

 指をV字にして、結衣や観客達に知らせ、《リュウジン・ドスファング》のサムライ・メクレイド5を発動させる。

 

 

「借りるよ、二天一流!《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天(にてん)」》!そして──」

 

 

「ッ……!?」

 

 

 ──刹那。勝と結衣、二人の周りに炎が現れた。

 

 それは本物の炎ではなく、幻影(まぼろし)の炎。

 

 それに気づいた結衣は勿論、モニターで観ている黒江、キャル、そして──秋乃とひよりは、その光景に目を疑い、驚くも、観客達は何かの演出か?と、疑問を抱くが、特に慌てる様子はなかった。

 

 

 

 ──同時に、対戦者である結衣は勝の異変に気づいた。

 

 

 

 それは──眼だ。彼の眼が変わっている。

 

 

 

 以前のような紅色の赤い眼──だけではなく、眼の中に『刀』の文字が浮かび出した。

 

 

 

 ──そして、右目だけ、薄らと、(あお)い炎に変わっており、その炎が勝の目から漏れていた。

 

 

 

「──その(ひとみ)開眼(かいがん)せよ!そして……全てを断ち切れ!《ボルシャック・大和・ドラゴン「開眼」》っ!!」

 

 

 

 

 

「や、《大和・ドラゴン》!?しかも、新規の方!?」

「アイツ、何を考えてるんだ!?」

「あんなの普通に入る訳ないだろ!」

「バカじゃねぇのか……!」

 

 

 モニター越しに、勝が《ボルシャック・大和・ドラゴン「開眼」》を出したことに、観客達は驚く。が、その中には、勝を罵倒する者がいた。

 

 それを聞いてしまった黒江は、モニターに映る勝を観て、ほんの少し、(あわ)れみの目を向けた。

 

 

「酷い言われようだな……」

「仕方がありません。普通、環境で見る赤白サムライに《「開眼」》なんて、入りません」

「確かに。だとしたら、勝があのデッキに《「開眼」》を入れる理由って……」

「ボルシャックだから……っていうワケではなさそうだな」

「……」

 

 

 拓真の言葉に、マリは一瞬、黙り込むも、すぐさま、拓真の疑問に答えた。

 

 

「……《武者・ドラゴン》と一緒に使いたい、って、勝様は言っていました」

「……なるほどな。それなら、デッキに入れる理由にはなるな」

「先輩って、たまに子供っぽい所ありますよね?」

「……まぁ、実際のところ、勝はデュエマになると、頭が子供みたいになるな」

「……え?そうなんですか!?」

 

 

 親友の拓真から意外な発言に、ひよりは驚く。

 

 実際。これまでの火野勝はボルシャックや禁断竜王など、好きなカードや使いたいカードを中心にデッキを組んでいる。

 

 それは今使っている赤白サムライも、同じ理由である。

 

 

「まー、それはそうと……」

 

「──ここから、アイツがどんなデュエマをするか、見物(みもの)だな」

 

 

 突然、拓真の言葉を遮るかのように──早峰想がそう言った。

 

 

「あ、会長!エリカ先輩!それにメガネくんと早峰先輩!遅いですよー!」

「全くです。来るのが遅すぎると思います……」

「文句あるなら、テメエが組んだガチロボのせいだ!バカヤロー!」

「……え?あ……」

 

 

 想に言われて、マリは自分が組んだ7軸ガチロボの内容を思い出す。

 マリが組んだ7軸ガチロボはランデスやハンデスといった、相手を妨害するカードが多く入っているため、前のめりに攻める翔の7軸ガチロボとは正反対のデッキ構成になっている。

 

 

 ──故に、マリ達と合流するのに遅れるのは必然である。

 

 

「あ、じゃねえよ!どうしてくれるんだ!全く!」

「知りませんよ。私に言われても……」

「んだとぉー!」

「まぁまぁ、先輩。それぐらいにしましょう。まずは勝の応援をしましょう!」

「オレはアイツの後輩でも何でもねぇぇ!むしろ、宿敵(ライバル)だッ!」

 

(なんというか……)

(すごく騒がしい人達だ。けど……)

 

((──楽しそう))

 

 

 ギャーギャー騒ぐ想に、拓真は彼を宥め、それを見た黒江とキャルは脳裏で、勝の周りにいる友人達はすごく騒がしいと思い、同時に楽しそうに見えた。

 

 

 

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