後編ほ15分後に投稿しますので、続けて読みたい人は少しお待ちを…。
序盤、勝は《チャラ・ルピア》、《アシスター・コッピ》を場に出し、ドラゴン、またはアーマードのコスト軽減を持つクリーチャーを並べていた。
対して結衣はマジック・カードを軽減する《アシスター・
互いに、次のターンの準備を進める中、先に動き出したのは──先行の結衣からだ。
「私のターン!ドロー!……まずは《アシスター・Mogi林檎》のコスト軽減で、2マナで《
「っ、《Drache der'Zen》!?」
「結衣の新しい切り札か!?」
現れたのは水のタマシード・クリーチャーにして、結衣の新たな
珍しく、水単色のマジックデッキを使っていることに、勝は驚いていたが、ここにして、《Drache der'Zen》の登場に、さらに驚く。
一方、観客用のモニターで観ていた拓真は、結衣が《Drache der'Zen》を出した時、結衣の新しい切り札かと、疑った。
「《Drache der'Zen》が出た時、山札からカードを3枚ドロー!その後、手札を2枚、墓地へ置くわ!私が墓地に置くのは《ザ・ミュート》と《
「っ、《神の試練》……」
数日前。公式から《
殿堂入りにされたカードはデッキに1枚までしか入れられない。
そして、この連勝チャレンジでも、その殿堂レギュレーションが適応されており、《神の試練》はデッキに1枚しか入れられない。
その殿堂カードを結衣は初期手札5枚から
「《神の試練》に気を取られているところ悪いけど、少しは自分の場を気にした方が良いわよ?」
「……っ」
結衣は残った2枚のマナをタップし、それを見た勝は何か来る、と、咄嗟に脳裏でそう思い、身構えた。
「残った2マナで《
結衣は切り札である《Drache der'Zen》をタップさせ、《ヒメカット》の呪文側を唱えた。
「──呪文、《♪
「っ……!」
折角出した2体のファイアー・バードが勝の手札に戻り、その光景をモニターで観たひよりは勝の場にクリーチャーが居なくなったことに動揺する。
「先輩のバトルゾーンのクリーチャーが居なくなった!?」
「これで結衣は殴り返しを気にせず、勝のシールドを攻撃できる……」
(けど、今までの、結衣のプレイング的に、ここはターンエンドか?)
「──《アシスター・Mogi林檎》で、シールドを攻撃!」
「な!?攻撃するのか!?このタイミングで!?」
まさか、結衣が
「っ、トリガーはない……」
「それなら、もう一体の《アシスター・Mogi林檎》で、シールドを攻撃!」
「これも……トリガーはない」
「……そう。私はこれでターンエンドよ」
「……」
ようやく、自分のターンに回った勝。
しかし、当の本人はカードを引かず、結衣を見ていた。
一方で、勝が全然、山札に手を出さず、自分を見ていたことに気づいた結衣は、それが不愉快に感じ、勝に問いかけた。
「?何よ?言いたいことがあるなら、ハッキリ言いなさい!」
「……それなら遠慮なく言わせてもらうけど、どうして今、攻撃したの?」
「……はぁー」
それは先程、《アシスター・Mogi林檎》2体で、勝のシールドを
それを聞いた結衣はものすごく、深い溜め息を吐いた。
何だ、そんなことか、と。口には出さないが、結衣は内心、そう思った。
「……あのねえ、勝?私がその問いに答えると思う?」
「別に答えなくても良いけど……ただ、こっちが言いたいことを言わないと、気がすまないでしょ?結衣ちゃん?」
「……まぁ、それはそうだけど」
互いに他愛もない会話をする勝と結衣。
一方で、モニター越しで観ている観客の皆は、二人の会話を聞いて、何を言っているのか、わからなかった。
それを見た実況の人は恐る恐る、二人に対戦の再開をお願いする。
「あのー、お二人とも、対戦の再開を……」
「あ、すみません。えーと、僕のターン……でしたよね?」
「あ、はい。お願いします」
「わかりました」
そう言って、勝は山札からカードを引き、手札を1枚、マナに置いた。
「……まずは《チャラ・ルピア》を召喚!その《チャラ・ルピア》のコスト軽減で、2マナをタップ!」
残った2枚のマナをタップし、勝は手札から1枚のカードを引き抜き、一度、目を瞑った。
「あいつ、急に目を瞑って、どうしたんだ?」
「もしかして、諦めたのか?」
「おいおい、これから面白いところだろ?」
それを観た観客達は、勝の不気味な行動に理解できず、勝が結衣との対戦を諦めたのか、と、思った。
──しかし、それは違う。勝をよく知る者は彼の、その行動に意味があることを知っている。
それは──召喚口上をする前段階。
そして──
「……この
『……!?』
「──何者にも負けず、
──勝は目を開き、モニターで観ている観客達に聞こえるように、大きな声で、召喚口上を言い、新たな
『な、なんとぉぉッー!?ここにきて、ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」!?ビクトリーベストでリメイクされたボルメテウス・武者・ドラゴンの新たな姿だぁぁぁッー!!そして、私の大好きなドラゴンです!!』
「ちょっとー!?流石にマイクを持って叫ばないでください!」
『すみません!!』
あまりの嬉しさに、実況者は実況をするの忘れ、マイクを持ったまま感動し、叫び声を上げた。
その叫び声に、思わず耳を塞ぐ勝と結衣、そして、観客達。
それを見て、スタッフ側も流石にマイクを持って叫ぶのはどうかと思い、実況者に注意をした。
注意された実況者はマイクを持ったまま、スタッフに謝罪した。
一瞬、何があったのか、わからず、困惑するも、勝はすぐに結衣との対戦に集中した。
「……えっと、《「武偉」》の効果で、僕のシールドを1枚ブレイク。この時、トリガーがあれば、すぐに使えるけど、今回はなし。その
「ッ、ここで《ヒメカット》?まさか……!?」
「そのまさかだ……!」
勝のシールドは残り3枚。決して多くないシールドを1枚削り、結衣の《ヒメカット》を破壊した。
だが、ここは本来、マジックのコストを下げる《アシスター・Mogi林檎》を破壊するのが
それをしない、ということは……?
勝の手札に何かある、と、結衣は
「
「ッ……!?」
ここに来て、サムライ・クリーチャー全てにスピードアタッカーを与える《ホワイトグレンオー》が現れ、それを見た結衣は動揺をし、驚いていた。
「先輩、すごい……!!」
「あのデッキを組んで以来、ずっと練習してましたものね……」
「その練習が活かされているわけですね!」
(ですが……)
(今、このタイミングで動くのは不味いだろ?)
以前、合宿で勝は別世界の自分と出会い、その時にカレが使っていたデッキ、赤白サムライを自分のものにしようと、必死になって、赤白サムライの戦略を練習していた。
その必死さを間近で見ていたマリは遠い目をしつつ、内心、嬉しく思い、それを聞いたひよりは流石、勝先輩!と、言いたげな表情で、勝の勇姿を見て、感動していた。
一方で、秋乃と拓真は今仕掛けるのは不味い、と、そう思った。
それは結衣の仲間であり、勝の友人である黒江も同じ考えだった。
「……」
「?どうしたの黒江?」
「いや、あの程度の戦略で、結衣を追い詰めるとは到底思えないんだよな……」
「あー、確かに……」
『フン!くだらん!どんなに戦い方を変えようと、我ら、アビスの敵ではないわ!」
黒江の言葉に、キャルは納得するも、キャルのデッキケースの中からジャシン帝は勝がどんなに戦術を変えようと、アビスの敵ではない、と、言い切り、それは聞いたキャルは深い溜め息を吐いて、二人の対戦を覗いた。
「マナゾーンや《チャラ・ルピア》を見て、何かあると思ったけど、まさか、そういうデッキを持ってくるとは思わなかったわ。しかも、こんなに早く新しいカードを使って対戦するなんて……」
「……意外かな?」
「いいえ、貴方らしいよ。ほんと、ビックリするぐらい、何も変わってない。あの時も、今も……そして、これからも、貴方は変わらないんでしょうね……」
「……」
──変わらない、か。
そこまで言われて、勝は「確かに、そうかもしれないね……」と、小さく、そう呟き、《リュウジン・ドスファング》に手を置いた。
「《リュウジン・ドスファング》の効果で、サムライ・クリーチャーにタダでクロスできる!2枚の《リュウジン・ドスファング》を《武者・ドラゴン「武偉」》にクロス!」
そう言って、2枚の《リュウジン・ドスファング》を《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》にクロスし、そのままタップさせ、攻撃を開始した。
「《武者・ドラゴン「武偉」》で攻撃!《リュウジン・ドスファング》の効果!攻撃時にサムライ・メクレイド5を発動!それが2回だっ!!」
指をV字にして、結衣や観客達に知らせ、《リュウジン・ドスファング》のサムライ・メクレイド5を発動させる。
「借りるよ、二天一流!《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「
「ッ……!?」
──刹那。勝と結衣、二人の周りに炎が現れた。
それは本物の炎ではなく、
それに気づいた結衣は勿論、モニターで観ている黒江、キャル、そして──秋乃とひよりは、その光景に目を疑い、驚くも、観客達は何かの演出か?と、疑問を抱くが、特に慌てる様子はなかった。
──同時に、対戦者である結衣は勝の異変に気づいた。
それは──眼だ。彼の眼が変わっている。
以前のような紅色の赤い眼──だけではなく、眼の中に『刀』の文字が浮かび出した。
──そして、右目だけ、薄らと、
「──その
「や、《大和・ドラゴン》!?しかも、新規の方!?」
「アイツ、何を考えてるんだ!?」
「あんなの普通に入る訳ないだろ!」
「バカじゃねぇのか……!」
モニター越しに、勝が《ボルシャック・大和・ドラゴン「開眼」》を出したことに、観客達は驚く。が、その中には、勝を罵倒する者がいた。
それを聞いてしまった黒江は、モニターに映る勝を観て、ほんの少し、
「酷い言われようだな……」
「仕方がありません。普通、環境で見る赤白サムライに《「開眼」》なんて、入りません」
「確かに。だとしたら、勝があのデッキに《「開眼」》を入れる理由って……」
「ボルシャックだから……っていうワケではなさそうだな」
「……」
拓真の言葉に、マリは一瞬、黙り込むも、すぐさま、拓真の疑問に答えた。
「……《武者・ドラゴン》と一緒に使いたい、って、勝様は言っていました」
「……なるほどな。それなら、デッキに入れる理由にはなるな」
「先輩って、たまに子供っぽい所ありますよね?」
「……まぁ、実際のところ、勝はデュエマになると、頭が子供みたいになるな」
「……え?そうなんですか!?」
親友の拓真から意外な発言に、ひよりは驚く。
実際。これまでの火野勝はボルシャックや禁断竜王など、好きなカードや使いたいカードを中心にデッキを組んでいる。
それは今使っている赤白サムライも、同じ理由である。
「まー、それはそうと……」
「──ここから、アイツがどんなデュエマをするか、
突然、拓真の言葉を遮るかのように──早峰想がそう言った。
「あ、会長!エリカ先輩!それにメガネくんと早峰先輩!遅いですよー!」
「全くです。来るのが遅すぎると思います……」
「文句あるなら、テメエが組んだガチロボのせいだ!バカヤロー!」
「……え?あ……」
想に言われて、マリは自分が組んだ7軸ガチロボの内容を思い出す。
マリが組んだ7軸ガチロボはランデスやハンデスといった、相手を妨害するカードが多く入っているため、前のめりに攻める翔の7軸ガチロボとは正反対のデッキ構成になっている。
──故に、マリ達と合流するのに遅れるのは必然である。
「あ、じゃねえよ!どうしてくれるんだ!全く!」
「知りませんよ。私に言われても……」
「んだとぉー!」
「まぁまぁ、先輩。それぐらいにしましょう。まずは勝の応援をしましょう!」
「オレはアイツの後輩でも何でもねぇぇ!むしろ、
(なんというか……)
(すごく騒がしい人達だ。けど……)
((──楽しそう))
ギャーギャー騒ぐ想に、拓真は彼を宥め、それを見た黒江とキャルは脳裏で、勝の周りにいる友人達はすごく騒がしいと思い、同時に楽しそうに見えた。