デュエル・マスターズACE   作:リュウ・セイ

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ACE96:夏祭り──結衣の連勝チャレンジを阻止せよ!(後編)

 

 

 

「《大和・ドラゴン》!?それに──」

 

 

 ──瞳の色が蒼く燃えてる!?

 

 

 脳裏でそう思う結衣。だが、そんなことを知らず、勝は《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》の効果を解決させる。

 

 

「《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》の効果!自分の場の火のエレメントの数以下の相手のエレメントを1つ破壊できる!タマシード状態の《Drache der'Zen》を破壊!」

 

「ッ、《Drache der'Zen》が……!」

 

 

 エレメントはバトルゾーンに存在する表向きのカード、全てが該当(がいとう)される。

 

 よって、タマシード状態の《Drache der'Zen》は《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》の効果で破壊される。

 

 

「その後、光のエレメントの数だけドローできる!光のエレメントは4つ!よって、4枚ドローだ!さらに!《大和・ドラゴン「開眼」》の効果で、《アシスター・Mogi林檎》を破壊!そして──《武者・ドラゴン「武偉」》で、《アシスター・Mogi林檎》を攻撃して破壊!」

 

「ッ、やってくれるわね……!」

 

 

「あの子のバトルゾーンが全滅した!?」

「これはもしかして……もしかしなくとも……!」

「アイツが勝つのか!?」

「頑張れー!」

 

 

 たった1ターンで、結衣のクリーチャーを全滅させる勝。それに悪態をつく結衣。

 

 そして、その光景をモニターで観ていた観客達は勝のプレイングに感動し、同時に、勝が結衣に勝つのではないかと、そう思う者も現れ、勝を応援し始めた。

 

 

「結衣……!」

「負けるんじゃないわよ!」

『ここで負けたらジャシンタイムだッ!』

「アンタはもう少しまともな応援をしなさい!」

 

 

 それを見た黒江とキャル、ジャシン帝は結衣を応援するも、それが結衣の耳に届いたのか、結衣は一瞬、眉を上に上げた。

 

 

(全く……勝手に応援して、勝手に負けると思うなんて……バカらしい。けど……──

 

 

 

 

 

 ──悪くはないわね、こういうのも!)

 

 

「っ!?(……笑った?)」

 

 

 突然、笑みを溢した結衣を見て、勝は驚く。

 

 

「どうしたの?まさか、これで終わりなんて言わないわよね?」

 

「……」

 

 

 笑ったかと思ったら、今度は挑発する結衣。

 

 しかし、そんな安い挑発に勝が乗るわけでもなく、一度、考え始める。

 

 

(……打点は足りてる。けど、万が一のことを考えると、このターンは攻撃しない方が良い。ただ……)

 

 

 ふっと、勝は結衣のマナゾーンを覗いた。

 現在、結衣のマナは4マナ。次のターン、マナチャージすれば、結衣のマナは5マナに到達する。

 

 青単で強力なカードはそんなに多くない。が、5マナで厄介なカードを、勝は2つ知っている。

 

 その2つのどちらかを使われると、次のターン、勝は敗北する恐れがある。

 

 

 ──よって、このターンで畳み掛けた方が勝率が上がる。

 

 

 多少のリスクはあれば、勝は一つの賭けに出、《ムサシ「弐天」》に手を置いた。

 

 

「……決めた!このターンで一気に決める!《ムサシ「弐天」》で攻撃──する時に、《(あお)団長(だんちょう) ドギラゴン(バスター)》に革命チェンジ!」

 

 

 バトルゾーンの《ムサシ「弐天」》と、手札の《ドギラゴン剣》を入れ替える勝。

 その後、手札に戻した《ムサシ「弐天」》と、革命チェンジで場に出した《ドギラゴン剣》の効果を、それぞれ解決する。

 

 

「《ムサシ「弐天」》の効果!攻撃する時に、自分の手札の枚数以下の進化ではないサムライか、アーマードを持つカードをタダで使える!」

 

 

 今、勝の手札は9枚。よって、コスト9以下のサムライか、アーマードをタダで使えるのだ。

 

 

「僕は2体目の《ホワイトグレンオー》を場に出す!さらに《ドギラゴン剣》のファイナル革命で、手札に戻った《ムサシ「弐天」》を再度、出し直す!その《ムサシ「弐天」》の効果で、光のエレメントが4枚だから、カードを4枚ドロー!」

 

 

 さらに《ムサシ「弐天」》の効果で、手札を増やす勝。その中には、シノビの《ハヤブサマル》が手札に加わった。

 

 

(よし!《ハヤブサマル》を引けた!これで次のターンの攻撃に備えられる……!)

 

 

 万が一のカードを引けた勝はひっそりと安堵(あんど)し、《ドギラゴン剣》で、結衣のシールドを3枚ブレイクした。

 

 

 

 

 

「──フッ。ほんと、貴方って、単純ね!」

 

「……!?」

 

 

 突然、嘲笑(あざわら)うかのように、笑みを浮かべる結衣。

 

 それを見た勝は驚き、ほんの少し、恐怖を感じた。同時に、結衣の瞳が変わっていたことに気づく。

 

 

 以前までの水色の瞳に、魔法使いのような杖を浮かべていた。

 

 

 

 ──そして、結衣はシールド・トリガーを引き当てた。

 

 

 

「シールド・トリガー!《AQ(アクア) NETWORK(ネットワーク)》!!」

 

「!?《NETWORK》!?けど、この数を止められるタマシードはそんなにないはず……!」

 

 

 圧倒的なまでの物量に、勝はそう確信する。

 

 

 ──しかし、その考えは(あさ)はかで、勝の予想を結衣は裏切った。

 

 

「──誰がタマシードを出すって?」

 

「っ、まさか……!?」

 

 

 ──《生命と大地と轟破の決断(パーフェクト・ネイチャー)》!?

 

 

 この時、勝は自然文明最強呪文、《生命と大地と轟破の決断》が頭に(よぎ)った。

 

 この呪文は強力な効果を3つ持ち、その中から2つ選び、同じ効果を唱えることができるパーフェクト呪文共通効果を持つ。

 その中でも、特に強い効果なのが、「マナからコスト5以下のクリーチャーをバトルゾーンに出す」、である。

 

 そして、結衣のマナゾーンには《クロック》がある。コイツが場に出れば、勝はこのターンの残りを飛ばされる。

 

 

 

 ──しかし、それは3月の中頃までの話。

 

 現在、《生命と大地と轟破の決断》はプレミアム殿堂──デッキに1枚も入れられないのだ。

 

 よって、このデュエマで、もし、結衣が《生命と大地と轟破の決断》を使えば、結衣はルール違反で敗北する。

 

 

 で、あれば、ここで結衣が使える呪文は一体なんなのか?

 

 

 その答えは──

 

 

「私が使うのはこれ!呪文、《瞬閃と疾駆と双撃の決断(パーフェクト・ファイア)》!」

 

 

 ──全く別の、しかも、火文明の使い手である勝に対して、火のパーフェクト呪文、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を、結衣は唱えたのだ。

 

 

 

「ぱ、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》……!?」

 

 

 ──意外すぎる。

 

 結衣が《AQ NETWORK》で唱えたのは、火文明のパーフェクト呪文、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》だった。

 

 それを見た勝は驚きの声を上げる。

 

 

「《瞬閃と疾駆と双撃の決断》の効果で、『コスト3以下のクリーチャーを出す』効果を2回使うわ!私は《終止の時計(ドゥームズデイ) ザ・ミュート》と《歌舞音愛 ヒメカット》を場に出すわ!」

 

 

 そんな勝を他所に結衣は《瞬閃と疾駆と双撃の決断》の効果を解決し、2体のマジック・クリーチャーを場に出した。

 

 しかも、その内、1体はマジック・フレンド・バースを持つ《ヒメカット》。

 

 

 ──つまり、勝のクリーチャーが、また手札に戻される(バウンスされる)のだ。

 

 

「《ヒメカット》のマジック・フレンド・バース!今出した《ザ・ミュート》をタップして、《ヒメカット》の呪文側を唱える!──呪文、《♪(かえる)() ()えるの何処(いずこ)()きと()ひて》!2体の《ホワイトグレンオー》をバウンス!」

 

「っ、《ホワイトグレンオー》が……!!」

 

 

 これではサムライ・クリーチャーが攻撃できない。

 幸い、《ドギラゴン剣》がいるため、《ムサシ「弐天」》は攻撃できる。また、《大和・ドラゴン「開眼」》は元々、スピードアタッカーを持っているので、あまり関係はない。

 

 

 

 ──しかし、次の瞬間。結衣は《ザ・ミュート》の効果で、あるカードを捨てる。

 

 

 そのカードの名は──

 

 

「《ザ・ミュート》の効果!山札からカードを2枚引いて、手札を1枚捨てる──この時、どこからでも捨てられた《疾封怒闘(スパイラルアクセル) キューブリック》の効果で、貴方の《ドギラゴン剣》をバウンス!」

 

「な!?《キューブリック》!?そんなカードも入ってるの……!?」

 

 

 ──火と水のアウトレイジにして、殿堂カードの1枚、《疾封怒闘 キューブリック》。

 このカードは、自分のマナゾーンに水のカードが3枚以上ある時、相手のクリーチャーを手札に戻せる(バウンスできる)

 

 これで、勝の攻撃できるカードは《大和・ドラゴン「開眼」》のみ。

 

 

「……ターンエンド」

 

 

 ──完全に裏目を踏んだ。

 

 

 渋々、結衣にターンを渡し、自分が選択した行動が間違いだと、勝は後悔した。

 

 

 それと同時に、勝の瞳がいつもの瞳に戻り、それを見た結衣は一度、目を閉じ、いつも通りの瞳に戻す。

 

 

「……私のターン。マナチャージせず、《奇天烈 シャッフ》を召喚。宣言する数字は5。これで貴方はコスト5の呪文は唱えられず、コスト5のクリーチャーはアタックもブロックもできない」

 

「……」

 

 

 ──大丈夫。まだ僕には《ハヤブサマル》がいる。このターンを(しの)げば、次のターンで勝てる。

 

 

 必死に、脳裏でそう自分に言い聞かせ、勝は最後まで諦めなかった。

 

 

「……相変わらず、最後まで諦めないんだね」

 

「当たり前だ。まだ完全に詰みになってない。だから……僕は最後まで、諦めずにデュエマを続ける!」

 

 

 それを聞いて、結衣は呆れて、溜め息を吐く。

 

 

「ほんと、諦めが悪いんだから……」

 

「……え?」

 

 

 どういう意味だ?と、勝が問いかけるよりも早く、結衣は《ザ・ミュート》に手を置く。

 

 

「だけど!現実はそう甘くない!《ザ・ミュート》で攻撃──する時に革命チェンジッ!!」

 

「……っ!?」

 

 

 突然、革命チェンジを宣言する結衣に、勝は驚く。

 

 

 このタイミングで革命チェンジ!?一体、何を出すんだ!?

 

 

 そう脳裏で、勝は疑問に抱くも、その答えは意外なカードに、勝はまた驚くのだ。

 

 

「──《ミラクル1(ワン) ドレミ24(トゥエンティーフォー)》!」

 

 

「……!?」

 

 

 結衣が革命チェンジで出したのは光と水の多色のクリーチャー、《ミラクル1 ドレミ24》。

 

 

 それは()()()()()()()()()()()()()()種族、ドレミ団の1体だ。

 

 

 

 ──しかし、ここでは()()()()()()()()()()()()()()()()()クリーチャーだ。

 

 

 

「《ドレミ24》の効果!手札からコスト3以下の光か、水の呪文をタダで唱えられる!──呪文、《「本日(ほんじつ)のラッキーナンバー!」》!」

 

 

「あ、アレは……!」

「ら、《ラキナン》!?このタイミングで……!?」

「しかも、また殿堂カードを引いてやがる!」

「どれだけあのデッキに入ってるんだよッ!」

 

 

 結衣が唱えた水の呪文、《「本日のラッキーナンバー!」》は数字を1つ選び、選んだ数字をもつクリーチャーは召喚できず、呪文が唱えなくなるのだ。

 

 

 それはつまり──勝の手札にある《ハヤブサマル》を封じることができる。

 

 

「宣言する数字は3!これで手札にある《ハヤブサマル》は使えないよ!」

 

「っ、そんな……!」

 

 

 ニンジャ・ストライクはマナの枚数を条件にして、使うことができる。ただし、この行為は()()になるため、《「本日のラッキーナンバー!」》の効果で、手札にある《ハヤブサマル》は使えなくなるのだ。

 

 

 こうなれば、勝に残された手段は一つ。シールド・トリガーを引き当てることのみ。

 

 

 ──しかし、《シャッフ》の効果で、勝はコスト5の呪文が唱えなくなっている。

 

 

 つまり、それ以外の呪文を唱えなければならないのだ。

 

 

「《ドレミ24》でシールドをブレイク!」

 

「ッ、トリガーは……ダメか……」

 

 

 シールドに加わったのはシールド・トリガーを持った光の呪文、《極閃呪文(きょくせんじゅもん)「バリスパーク」》。

 

 

 ──ただし、そのコストは5。

 

 

 先程、結衣が出した《シャッフ》の効果で、この呪文は唱えられなくなっている。

 

 

「《ヒメカット》で最後のシールドをブレイク!」

 

「……トリガーはないよ」

 

 

 最後のシールドに、トリガーがなかったことを結衣に知らせると、結衣は《AQ NETWORK》に手を置いた。

 

 

「……《AQ NETWORK》でダイレクトアタック!!」

 

 

 そう宣言し、結衣は叫ぶ。

 

 

 それを聞いて、二人の対戦を見ていた実況者の男はマイクを持って、立ち上がり、観客達に聞こえるように、大きな声で叫んだ。

 

 

「き、決まったぁぁぁぁぁっー!!結衣選手!見事、7連勝を達成しましたぁぁっー!!」

 

 

 それを聞いて、観客達は感動し、喜ぶ。

 

 

 ──そして、歓声をあげた。

 

 

 

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