「《大和・ドラゴン》!?それに──」
──瞳の色が蒼く燃えてる!?
脳裏でそう思う結衣。だが、そんなことを知らず、勝は《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》の効果を解決させる。
「《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》の効果!自分の場の火のエレメントの数以下の相手のエレメントを1つ破壊できる!タマシード状態の《Drache der'Zen》を破壊!」
「ッ、《Drache der'Zen》が……!」
エレメントはバトルゾーンに存在する表向きのカード、全てが
よって、タマシード状態の《Drache der'Zen》は《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》の効果で破壊される。
「その後、光のエレメントの数だけドローできる!光のエレメントは4つ!よって、4枚ドローだ!さらに!《大和・ドラゴン「開眼」》の効果で、《アシスター・Mogi林檎》を破壊!そして──《武者・ドラゴン「武偉」》で、《アシスター・Mogi林檎》を攻撃して破壊!」
「ッ、やってくれるわね……!」
「あの子のバトルゾーンが全滅した!?」
「これはもしかして……もしかしなくとも……!」
「アイツが勝つのか!?」
「頑張れー!」
たった1ターンで、結衣のクリーチャーを全滅させる勝。それに悪態をつく結衣。
そして、その光景をモニターで観ていた観客達は勝のプレイングに感動し、同時に、勝が結衣に勝つのではないかと、そう思う者も現れ、勝を応援し始めた。
「結衣……!」
「負けるんじゃないわよ!」
『ここで負けたらジャシンタイムだッ!』
「アンタはもう少しまともな応援をしなさい!」
それを見た黒江とキャル、ジャシン帝は結衣を応援するも、それが結衣の耳に届いたのか、結衣は一瞬、眉を上に上げた。
(全く……勝手に応援して、勝手に負けると思うなんて……バカらしい。けど……──
──悪くはないわね、こういうのも!)
「っ!?(……笑った?)」
突然、笑みを溢した結衣を見て、勝は驚く。
「どうしたの?まさか、これで終わりなんて言わないわよね?」
「……」
笑ったかと思ったら、今度は挑発する結衣。
しかし、そんな安い挑発に勝が乗るわけでもなく、一度、考え始める。
(……打点は足りてる。けど、万が一のことを考えると、このターンは攻撃しない方が良い。ただ……)
ふっと、勝は結衣のマナゾーンを覗いた。
現在、結衣のマナは4マナ。次のターン、マナチャージすれば、結衣のマナは5マナに到達する。
青単で強力なカードはそんなに多くない。が、5マナで厄介なカードを、勝は2つ知っている。
その2つのどちらかを使われると、次のターン、勝は敗北する恐れがある。
──よって、このターンで畳み掛けた方が勝率が上がる。
多少のリスクはあれば、勝は一つの賭けに出、《ムサシ「弐天」》に手を置いた。
「……決めた!このターンで一気に決める!《ムサシ「弐天」》で攻撃──する時に、《
バトルゾーンの《ムサシ「弐天」》と、手札の《ドギラゴン剣》を入れ替える勝。
その後、手札に戻した《ムサシ「弐天」》と、革命チェンジで場に出した《ドギラゴン剣》の効果を、それぞれ解決する。
「《ムサシ「弐天」》の効果!攻撃する時に、自分の手札の枚数以下の進化ではないサムライか、アーマードを持つカードをタダで使える!」
今、勝の手札は9枚。よって、コスト9以下のサムライか、アーマードをタダで使えるのだ。
「僕は2体目の《ホワイトグレンオー》を場に出す!さらに《ドギラゴン剣》のファイナル革命で、手札に戻った《ムサシ「弐天」》を再度、出し直す!その《ムサシ「弐天」》の効果で、光のエレメントが4枚だから、カードを4枚ドロー!」
さらに《ムサシ「弐天」》の効果で、手札を増やす勝。その中には、シノビの《ハヤブサマル》が手札に加わった。
(よし!《ハヤブサマル》を引けた!これで次のターンの攻撃に備えられる……!)
万が一のカードを引けた勝はひっそりと
「──フッ。ほんと、貴方って、単純ね!」
「……!?」
突然、
それを見た勝は驚き、ほんの少し、恐怖を感じた。同時に、結衣の瞳が変わっていたことに気づく。
以前までの水色の瞳に、魔法使いのような杖を浮かべていた。
──そして、結衣はシールド・トリガーを引き当てた。
「シールド・トリガー!《
「!?《NETWORK》!?けど、この数を止められるタマシードはそんなにないはず……!」
圧倒的なまでの物量に、勝はそう確信する。
──しかし、その考えは
「──誰がタマシードを出すって?」
「っ、まさか……!?」
──《
この時、勝は自然文明最強呪文、《生命と大地と轟破の決断》が頭に
この呪文は強力な効果を3つ持ち、その中から2つ選び、同じ効果を唱えることができるパーフェクト呪文共通効果を持つ。
その中でも、特に強い効果なのが、「マナからコスト5以下のクリーチャーをバトルゾーンに出す」、である。
そして、結衣のマナゾーンには《クロック》がある。コイツが場に出れば、勝はこのターンの残りを飛ばされる。
──しかし、それは3月の中頃までの話。
現在、《生命と大地と轟破の決断》はプレミアム殿堂──デッキに1枚も入れられないのだ。
よって、このデュエマで、もし、結衣が《生命と大地と轟破の決断》を使えば、結衣はルール違反で敗北する。
で、あれば、ここで結衣が使える呪文は一体なんなのか?
その答えは──
「私が使うのはこれ!呪文、《
──全く別の、しかも、火文明の使い手である勝に対して、火のパーフェクト呪文、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》を、結衣は唱えたのだ。
「ぱ、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》……!?」
──意外すぎる。
結衣が《AQ NETWORK》で唱えたのは、火文明のパーフェクト呪文、《瞬閃と疾駆と双撃の決断》だった。
それを見た勝は驚きの声を上げる。
「《瞬閃と疾駆と双撃の決断》の効果で、『コスト3以下のクリーチャーを出す』効果を2回使うわ!私は《
そんな勝を他所に結衣は《瞬閃と疾駆と双撃の決断》の効果を解決し、2体のマジック・クリーチャーを場に出した。
しかも、その内、1体はマジック・フレンド・バースを持つ《ヒメカット》。
──つまり、勝のクリーチャーが、また
「《ヒメカット》のマジック・フレンド・バース!今出した《ザ・ミュート》をタップして、《ヒメカット》の呪文側を唱える!──呪文、《♪
「っ、《ホワイトグレンオー》が……!!」
これではサムライ・クリーチャーが攻撃できない。
幸い、《ドギラゴン剣》がいるため、《ムサシ「弐天」》は攻撃できる。また、《大和・ドラゴン「開眼」》は元々、スピードアタッカーを持っているので、あまり関係はない。
──しかし、次の瞬間。結衣は《ザ・ミュート》の効果で、あるカードを捨てる。
そのカードの名は──
「《ザ・ミュート》の効果!山札からカードを2枚引いて、手札を1枚捨てる──この時、どこからでも捨てられた《
「な!?《キューブリック》!?そんなカードも入ってるの……!?」
──火と水のアウトレイジにして、殿堂カードの1枚、《疾封怒闘 キューブリック》。
このカードは、自分のマナゾーンに水のカードが3枚以上ある時、相手のクリーチャーを
これで、勝の攻撃できるカードは《大和・ドラゴン「開眼」》のみ。
「……ターンエンド」
──完全に裏目を踏んだ。
渋々、結衣にターンを渡し、自分が選択した行動が間違いだと、勝は後悔した。
それと同時に、勝の瞳がいつもの瞳に戻り、それを見た結衣は一度、目を閉じ、いつも通りの瞳に戻す。
「……私のターン。マナチャージせず、《奇天烈 シャッフ》を召喚。宣言する数字は5。これで貴方はコスト5の呪文は唱えられず、コスト5のクリーチャーはアタックもブロックもできない」
「……」
──大丈夫。まだ僕には《ハヤブサマル》がいる。このターンを
必死に、脳裏でそう自分に言い聞かせ、勝は最後まで諦めなかった。
「……相変わらず、最後まで諦めないんだね」
「当たり前だ。まだ完全に詰みになってない。だから……僕は最後まで、諦めずにデュエマを続ける!」
それを聞いて、結衣は呆れて、溜め息を吐く。
「ほんと、諦めが悪いんだから……」
「……え?」
どういう意味だ?と、勝が問いかけるよりも早く、結衣は《ザ・ミュート》に手を置く。
「だけど!現実はそう甘くない!《ザ・ミュート》で攻撃──する時に革命チェンジッ!!」
「……っ!?」
突然、革命チェンジを宣言する結衣に、勝は驚く。
このタイミングで革命チェンジ!?一体、何を出すんだ!?
そう脳裏で、勝は疑問に抱くも、その答えは意外なカードに、勝はまた驚くのだ。
「──《ミラクル
「……!?」
結衣が革命チェンジで出したのは光と水の多色のクリーチャー、《ミラクル1 ドレミ24》。
それは
──しかし、ここでは
「《ドレミ24》の効果!手札からコスト3以下の光か、水の呪文をタダで唱えられる!──呪文、《「
「あ、アレは……!」
「ら、《ラキナン》!?このタイミングで……!?」
「しかも、また殿堂カードを引いてやがる!」
「どれだけあのデッキに入ってるんだよッ!」
結衣が唱えた水の呪文、《「本日のラッキーナンバー!」》は数字を1つ選び、選んだ数字をもつクリーチャーは召喚できず、呪文が唱えなくなるのだ。
それはつまり──勝の手札にある《ハヤブサマル》を封じることができる。
「宣言する数字は3!これで手札にある《ハヤブサマル》は使えないよ!」
「っ、そんな……!」
ニンジャ・ストライクはマナの枚数を条件にして、使うことができる。ただし、この行為は
こうなれば、勝に残された手段は一つ。シールド・トリガーを引き当てることのみ。
──しかし、《シャッフ》の効果で、勝はコスト5の呪文が唱えなくなっている。
つまり、それ以外の呪文を唱えなければならないのだ。
「《ドレミ24》でシールドをブレイク!」
「ッ、トリガーは……ダメか……」
シールドに加わったのはシールド・トリガーを持った光の呪文、《
──ただし、そのコストは5。
先程、結衣が出した《シャッフ》の効果で、この呪文は唱えられなくなっている。
「《ヒメカット》で最後のシールドをブレイク!」
「……トリガーはないよ」
最後のシールドに、トリガーがなかったことを結衣に知らせると、結衣は《AQ NETWORK》に手を置いた。
「……《AQ NETWORK》でダイレクトアタック!!」
そう宣言し、結衣は叫ぶ。
それを聞いて、二人の対戦を見ていた実況者の男はマイクを持って、立ち上がり、観客達に聞こえるように、大きな声で叫んだ。
「き、決まったぁぁぁぁぁっー!!結衣選手!見事、7連勝を達成しましたぁぁっー!!」
それを聞いて、観客達は感動し、喜ぶ。
──そして、歓声をあげた。