ぼっちアートオンライン(凍結)   作:凪沙双海

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気がついたらお気に入りが更に300件追加とな!?
嬉しすぎてどうにかなりそうです。ほんと、ありがとうございます。

皆さま、今後とも是非是非よろしくお願いします。


Episode2,part7

「やぁ、ハチマン君。先ほどぶりだね」

 

 

「軽口叩いてる場合かよ、ヒースクリフ。お前もアスナからメールが来たのか」

 

 

「……いや、これは私の失態だ」

 

 

一旦月夜の黒猫団と別れた俺とキリトはアスナに呼ばれたレストランに顔を出した。ヒースクリフとアスナ、そして聖龍連合のリーダー、リンド。

リンドはディアベルの取り巻きの一人だったが、キバオウと袂を別ち自分達でギルドを立ち上げた。数では軍には及ばないものの、こちらはプレイヤーの質が高い。トッププレイヤー集団であることを意識したいそうで、ユニフォームは青く、俺も青い服をよく着ているせいか定期的に勧誘される。

……ディアベルが死んでからしばらくは俺のこと親の仇を見るような目で見てたくせにな。もちろん、ギルド勧誘は断っている。

 

 

「どういうことだ、ヒースクリフ」

 

 

「ボス部屋を見つけたのは私だ。情報屋に届け、会議の開催を願おうと思ったら軍の者に会って、有用な情報だからと教えたんだ。人数が多く、情報屋にも早く行き渡るだろうと、な」

 

 

「したら自軍で特攻したと。アスナさん、壊滅的と聞いたが、具体的な被害は聞いているか?」

 

 

リンドの言葉にアスナが俯いた。……かなり、よろしくないようだ。

 

 

「数字まではわからないけど……軍の主力プレイヤーはほぼ全員死亡、迷宮攻略に出ていた中位層上がりの者も全て駆り出しての討伐だったみたいで、それもだいたいが……事実上、今の軍には攻略組はいないものと同義よ」

 

 

「……バカ野郎が」

 

 

「ハチマン……」

 

 

「さっき、軍に吸われたチームの元リーダーで、現軍のリーダーであるシンカーさんがいらっしゃって、この作戦を立てたキバオウはしばらく自粛、軍は旧MTDのようにプレイヤー間の相互補助やサポート、非攻略プレイヤーのサポートに徹するって」

 

 

「まぁ、妥当な所だな。これでキバオウが出てこようものなら、あいつを一人ボス部屋に置き去りにする自信がある」

 

 

「ハチマン君……すまない」

 

 

「お前は関係ないだろ、ヒースクリフ。で、どうするんだ?」

 

 

「二日後、会議を開きます。今回から聖龍連合主体で、ソロやその他プレイヤーを合わせて行くかたちになるわ。

……けれどリンドさん。今回のボスは最大規模を誇る軍を壊滅にやったくらい強力なボスです。メインアタッカーはここにいる四人が主となります、いいですね」

 

 

「……それに異論はない。そこまで自己主張する気はないし、和を乱すつもりもない」

 

 

「……話は以上か?」

 

 

話が終わったタイミングで、一番最初に立ち上がる。

会議の日取りも決まったならもう話すこともないだろう。

 

 

「先に出るぞ……会議にはちゃんと向かうから。じゃあな」

 

 

次は、今までにないレベルの強さのボスで、そこでも俺はメインアタッカー。

なら、今の装備じゃ不安がある。あと少し、装備できるようにするしかない。雷切丸を。

 

 

―――――

 

 

「……っは」

 

 

旋車の衝撃で三体のモンスターを一気に倒す。……くそ、効率悪いな。

あと二日で雷切丸を装備可能にするにはここでひたすら狩るしかねぇ。が、ソロだと沸きが少ないしパーティでの経験値アップもないから大きな経験値が入らない。

 

 

「っと、今回の沸きは早いな。助かる」

 

 

……あれ、なんか沸きの数多くね?

 

 

「ハチマンくん、こんな夜更けに一人で何をやってるの?」

 

 

「アスナ?」

 

 

ピコン。とアスナからパーティへの誘いが入る。え、なんで? なんでここにいんのこいつ。

 

 

「レストラン出てからずっとここで狩りしてたでしょ。こんな夜更けまで、ずっと」

 

 

「なんで知ってるんだよ」

 

 

「フレンドの位置、確認できるじゃない」

 

 

まさかこいつ、ずっと俺の位置確認してたってのか?

え、なにそれ八幡ドン引きなんだけど……

 

 

「……お前、将来ストーカーになるかもな」

 

 

「どうしてそうなるのよ! いいからほら、パーティ入って」

 

 

「いや、帰って寝ろよ」

 

 

「私もレベル上げたいの。……次のボス、絶対に油断できないから」

 

 

「……ある程度のタイミングで終わりにするからな。人がいたら気が散って疲れる」

 

 

「……はぁ、ほんっと、捻くれてるよね、ハチマンくんって」

 

 

「うっせ。……まぁ、助かる」

 

 

「え?」

 

 

「いいからやるぞ。雷切丸を装備するまでにあと4レベル上げなきゃなんだよ」

 

 

……くっそ、らしくないこと言っちまった。

とにかくやるぞ。終わらせる。

 

 

―――――

 

 

「……はぁ、はぁ……終わった……」

 

 

「……もう、日が昇ってるわよ……」

 

 

あれから狩り場を迷宮に変えて、沸いた瞬間即殺して全速力で移動。その先で沸いたら即殺を繰り返すいわゆるマルグル慣行して、俺達はなんとか半日くらいでレベルを4上げることに成功した。これ、パーティじゃなきゃ絶対無理だわ……

 

 

「……助かった、アスナ」

 

 

「私もレベル上がったから、お互い様よ。お疲れ様、会議には遅れないでね?」

 

 

「……ああ、じゃあな」

 

 

現状、俺が装備できる最強の装備である雷切丸。やっと届いた……

あとは、あれか。くっそ、寝る前に行っておかないとか。ほんと俺働きすぎじゃね?

リアルに戻ったらやっぱり専業主夫になろう、うん。


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