ぼっちアートオンライン(凍結)   作:凪沙双海

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明日休みだからと夜更かし敢行中。
ここからやっとアニメや本編のアインクラッド編っぽくなっていく感じです。
中身は原作と大きく離れておりますが。

では、始まります。


Episode3,part1

「ハッピーニューイヤー、か」

 

 

SAOに囚われてから約一年。今頃リアルでは新年を迎えた楽しい楽しい一日の始まりだろう。

結局、一年でまだ攻略階層は54層。けど、これならもう一年でクリアも夢じゃない……か?

 

 

「この日に関しては、あまりリアルもゲームも関係ないか」

 

 

25層のボス撃破以降、49層までのボスは急に弱くなった。いや、本来の強さになったって言うのか。

でも時おり意味のわからない勝負を追加で仕掛けてくるボスもいて、たまにとても面倒な戦闘を強いられて苛立つこともあった。

あの決闘を仕掛けてきた武者も含めて、そういうボスはユニークボスとまとめられることになっている。

だいたいなんだよ、クイズ仕掛けてくるボスとかおかしいだろ。無駄に遊び心いれんなよ。

と、そんなこんなでもこうして俺は変わらず生きている。そういや30層からは月夜の黒猫団も攻略ギルドの仲間入りで、キリトは自分のペースでのレベル上げを始めて、すぐに元の状態に戻った。

さすがと言うか、相変わらずの超火力に驚かされる。

ついでに驚かされるで思い出したが、月夜の黒猫団のサチとかいう雪ノ下みたいな声の女、あいつがヒースクリフほどではないにせよ、攻略組で前に出れるレベルの盾役になってて驚いた。俺のイメージだと、全然ダメそうだったんだが、今じゃわりと重要なポジションだ。時おり大きな声でハチマン! て呼ばれるとびくってなるくらいには雪ノ下に声が似てるので、できれば俺のことは大声で呼ばないで貰いたい。

 

 

「……そらよ」

 

 

斬撃は一度きり。太刀筋が自分でもよくわからない速さでモンスターを両断する。

俺は今、下位層の迷宮に来ていた。

――50層のボスは、これまでのどのボスよりも強かった。今や壊滅した軍の規模を引いても軍がいた頃よりも武装、人数、実力的に遥かに優れた攻略組ですら、五人の死者を出した。途中、ユニークスキルと呼ばれるプレイヤー固有のスキルを会得していたらしいヒースクリフがそのスキル"神聖剣"を発動させ鉄壁の防御でヘイトを集めてくれたおかげでどうにか倒せたが、かなりきつかった。続く51層のボスは大したこともなく。つまり、25層ごとに強いボスが現れるシステムらしい。クォーターポイント、とそれは名付けられた。

ユニークスキルという固有のスキルを得たヒースクリフは、名実共に現在最強プレイヤーと言っていい。

俺やキリト、アスナを含めて四強なんて呼ばれているが、ヒースクリフが一番強いだろう。ユニークスキルはそれほどまでに強い。

 

 

「……だからこそ問題なんだよなぁ」

 

 

俺は雷切丸ではなく、今手に持っている刀を鞘に納めた。

別に納刀したわけじゃない。むしろ、攻撃の構えである。目の前にいるのはリザード型のモンスター。レベル的に相手にならないのは当たり前である。

 

 

「"抜刀術"のソードスキル。木枯」

 

 

鞘に納まった状態で、かつその鞘の内側が光で発光して、俺は一気に刀を抜いた。

敏捷性により攻撃速度、威力がどちらも上がるこの"抜刀術"の初期ソードスキルは、抜いた瞬間にモンスターを両断するほどの速さを誇る。この"抜刀術"は、刀から派生した紛れもないユニークスキルだった。アルゴに聞いたところ、一切の情報がないそうだ。慌てて口止めして、現在新年にも関わらず熟練度上げの最中である。

 

 

「キリトはギルドで新年会、アスナは他の女プレイヤーとなんかやってて、ヒースクリフはギルド立ち上げに大忙し、か」

 

 

どいつもこいつもリア充ご苦労である。俺はこれが楽でいい。心地いい。

あれから、俺達四強(あまり言いたくないが)にも変化があった。

まずはヒースクリフ。あいつは55層の解放と共にギルドを作ると宣言した。聞いたところによるとかなりの応募が来てるようで、そこからあいつのお眼鏡に叶う奴が入団となるそうだ。

次いでアスナ。あいつは攻略に向ける意識がより顕著になった。たまに俺以上にシビアに、俺以上に冷静かつ冷徹な作戦を平気で立てる。ヒースクリフのギルドにも入るようで、副団長をやるらしい。最近のアスナはどこか鬼気迫るところもあってか、ソロプレイヤー代表だったはずが、やや敬遠されがちである。ギルド入りをしたら果たしてどうなるやら。どうでもいいが、それに比例して俺に話しかけてくるソロプレイヤーが増えて困る。話なんてないってのに。

 

 

「あー、ぶっ壊れたか」

 

 

何本目かの刀がポリゴンとなって消える。雷切丸は刀身や反りが合わないらしく適応外とのことで適当なコモンの刀を使ってはいるんだが、すぐ壊れる。

俺とキリトは相変わらずだった。35層でお互いバカみたいにレベル上げて、季節外れのクリスマスとかいう謎のイベントに参加して二人して死にそうになりながらそこのボスである背教者ニコラスとかいうボスを倒して、なおかつそのレアドロを欲しがる聖龍連合から逃げて、とかやってた。俺はレベル上げに行きたかっただけだからその時のレアドロはキリトに渡してある。

死者を10秒以内なら助けられるらしい。ぼっちの俺よりギルドにいるあいつのが持ってて損しないだろう。

あのときの無茶苦茶なレベル上げのせいか、刀のスキルは全て会得してしまったので、ひとまず抜刀術のスキル上げに来ているのだが……見つかったら面倒そうだなぁ。誰にって? 誰にでもだよ。

 

 

「……帰るか」

 

 

ストックも無くなったし。今日はもう帰ろう。

最近やっと手に入るようになった結晶を手に持って、俺は宿のある54層へ飛んだのだった。




いわゆる説明回です。
ハチマンのユニークスキルは一番最初から決まっておりました。
ニコラスのイベントは時間軸がどうも合わない為に無理矢理捩じ込ませていただきました。ご都合主義ですいません。
これからキャラの感情とか、大きく変わっていくのとやっと出せるキャラがいるのとで、書くのも楽しみです。
皆さま、どうかよろしくお願いします。

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