ぼっちアートオンライン(凍結)   作:凪沙双海

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あと2つほどなのに……ぐぬぬ。
実はシリカ、結構好きです。わりとお姉さんキャラが好きな中、数少ない好きな年下キャラです。

四巻かな? のラストでリズベットとご飯食べてる挿絵のシリカが可愛くて、あれで好きになりました。

ではでは、始まります。


Episode3,part6

「……で、別室にいきなり通されたんだが俺はどうなるんだ?」

 

 

「いや、ハチマンにお願いがあってさ」

 

 

翌日、シリカを連れて月夜の黒猫団のホームを訪れた俺はサチを含む女性プレイヤーに拉致されたシリカを横目に、キリトとケイタによって別室に連れてこられていた。

 

 

「実は、俺達はあるオレンジギルドを追ってる」

 

 

「……で?」

 

 

オレンジギルド……いわゆる犯罪者集団と思ってくれていい。奴らはPKとかも平気で行う。

ゲーム感覚が抜けないんだろうな。二回ほど遭遇して、どちらも牢獄に送ってやった。

で、それが出てくるとはなかなか穏やかじゃないな。

 

 

「そのギルドのリーダーはオレンジアイコンじゃないらしくてな、しかも女なんだ。で、それが昨日あの子と揉めていた」

 

 

「なるほどな。だからサチが迷いの森にいたのか」

 

 

「そういうこと。で、俺達はそのオレンジギルドは今回彼女を狙ってくると踏んでる。だから、そこを叩きたい」

 

 

「それで俺らに囮になれと?」

 

 

「悪く言えばそうなる。けど、ハチマン、あの子を守ってやってくれないか?」

 

 

……まぁ、そんなところだろうな。どうせ今回のは拒否ができない。せいぜい、仕事が少ない方を選ぶのが吉だろう。

 

 

「元々、シリカの戦闘の代行予定だからな。エンカウントした敵は俺が代わりにやる約束だ。問題ねぇよ」

 

 

「ありがとう、ハチマン」

 

 

軽く頭を下げて礼を言うケイタにいいから。ってそれをやめてもらって、元の廊下でシリカを待つ。

やがて出てきたシリカは、レベルのわりにいい装備になって、ずいぶんと見違えたようだった。

 

 

「あ、あの、ハチマンお兄さん。どうでしょうか」

 

 

「充分だ。それなら一撃でやられることもない」

 

 

「……そうではなくって……」

 

 

「あ? ……あ」

 

 

まったくゴミぃちゃんは、なんて小町の声が聞こえた気がする。

俺は鈍感系ではないから、一応言うことにする。

 

 

「……まぁ、似合ってると思うぞ。変ではないから安心しろ」

 

 

「はいっ!」

 

 

シリカはあれだな、小町から小悪魔的っていうか、意味のわからない思考を取り除いた感じか。

あまりにも真っ直ぐ過ぎて小町、戸塚に並ぶ三人目のマイエンジェルになりそうだ。

 

 

「サチ」

 

 

「どうしたの、ハチマン」

 

 

「キリトとケイタから聞いた。一応、請け負ったと伝えておく」

 

 

「! ありがとう、ハチマン」

 

 

ヒラヒラと手を振って、ギルドホームを後にする。

さて、いろいろな思惑がありそうな場所へ行くとするか。

 

 

―――――

 

 

「ここが……」

 

 

「ああ、リア充の巣窟だ」

 

 

「ハチマンお兄さん……?」

 

 

「……なんでもない。行くぞ」

 

 

ここはいわゆるデートスポットらしく、男女のプレイヤー達が多く歩いている。

つーか、キリトとサチも来てるわけだろ。なるほど、リア充爆発しろ。

……いやまぁ、女と二人で歩くとか怖いけど。シリカ? 俺は犯罪者にはならないぞ。

 

 

「と、早速お出ましか」

 

 

ここのモンスターはデートスポットだからか、あまり強くない。

一太刀で斬り捨てようとして、目の前に躍り出たシリカに目を奪われた。

 

 

「私、ハチマンお兄さんに守ってもらってばっかじゃダメだと思って!」

 

 

「……まぁ、やるってなら止めないが。俺の判断ですぐに中断させるからな」

 

 

「はい!」

 

 

俺とは違って目もキラッキラだ。あー、俺にもこんな頃ってあったのかな? いや、ないな。

 

 

「たぁぁぁぁぁっ!」

 

 

くだらないことを考えてる間に、シリカが一体目のモンスターを倒していた。

……え、こいつなんでこんな動けてるの? レベルのわりにダガーの熟練度高くね?

 

 

「ど、どうでしたか?」

 

 

「正直驚いた。ずいぶんと動けるんだな」

 

 

「それなんですけど……」

 

 

実はシリカは、それなりに攻略へ貢献したい願望を持ってて、レベル上げとかもしたいらしいんだがどうにも適性レベル帯だと誰かしらの男のプレイヤーが倒してくれてしまう。パーティを組んでないと入る経験値は僅かだし、シリカは可愛らしい容姿をしてる。あとは粘着されて、結局レベルは上がらないことが多いと。

なので、自分の適性レベルから大きく下の階層で、ここなら敵の強さとかで粘着されないからとひたすらに狩ってたらしい。

 

 

「……たまに、結婚とか申し込まれたりもして……」

 

 

……おい、この国大丈夫かよ。雪ノ下、俺よりヤバイやつが結構いるぞ。

 

 

「あれだ、月夜の黒猫団、入ってみたらどうだ? レベル的に、年齢的にもボスには連れて行けないだろうが、少なくとも攻略組へ向けてのレベル上げとかできるしな」

 

 

「ハチマンお兄さんも入ってるんですか?」

 

 

「いいや、俺は無所属だ。あそこにはフレンドが多いから付き合いがあるんだよ」

 

 

「……入ったら、また私ともパーティ組んでくれますか?」

 

 

「いや、パーティは……」

 

 

「……」

 

 

おい、なんだその上目遣いは。断ったら泣くぞって視線で訴えるんじゃねぇ。こっちが泣くぞ。

 

 

「……まぁ、組んでやらないこともない」

 

 

「やった! ありがとうございます!」

 

 

……小町じゃないぞこいつ。一色を素でやらせてる感じだ。

天然のあざといキャラとか、こいつ将来有望過ぎるだろおい……

 

 

「よーし、もっと頑張らないと!」

 

 

「……張り切り過ぎて空回るなよ?」

 

 

「はいっ!」

 

 

……なんか妙に疲れたが、とりあえず進むか。

将来、シリカが一色みたいな人工あざといキャラにならないことを祈るばかりである。

 




ハチマンお兄ちゃん。絶賛苦行中。
留美の時もだけど、結構面倒見がいいせいか、年下キャラと絡ませると捻デレがやりやすい不思議。
黒猫団ともそれなりに良好な関係で、まるで主人公のよう。

線引きしつつ、完全に内側には入れず、けど適当な扱いせず。という扱いを八幡にさせたいのですが、ほんと難しすぎ。なんなんだこの主人公は(笑)

上手く書けるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします。では。

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