ぼっちアートオンライン(凍結)   作:凪沙双海

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とりあえずエピソード5本当の意味でのプロローグです。
ここからオリジナル展開、一部オリキャラも加わります。とはいってもレギュラー化はしませんが。

ではでは、始まります。


Episode5,part3

「……おい、どういうことだこれ」

 

 

「えっと、サチに聞いてきちゃった」

 

 

あの迷宮攻略から一週間。俺のホームへと何故かアスナが来ていた。

あれだけ論争してたってのにどういうメンタルしてるんだか……そもそも、俺が一方的に押されてたってのは知らない。

つーか、なんでホームに来てるんだよ。と思ったらこれだ。

一度だけ、キリトと黒猫団の古株メンバーを招いたことがあったんだが、それが仇となったらしい。

 

 

「なにお前、ストーカー?」

 

 

「酷い! 違うのよ、今回も真面目な話」

 

 

「ここで言え。用件によってはこのドアを閉めるからな」

 

 

ドアを少し開いて、内側と外側で会話を続ける俺達。

この前の話を続ける気なら、本気で扉を閉めるつもりだった。

 

 

「軍のことよ」

 

 

「軍? 軍がどうしたよ」

 

 

「話したいから、開けてもらえない? それか出て来てもらえると助かるんだけど」

 

 

「……待ってろ」

 

 

軍の話題ってことは、攻略にも関わることだ。

あまりいい予感はしないが、俺はドアを開けたのだった。

 

 

―――――

 

 

「ほらよ」

 

 

「あ、ありがとう……」

 

 

「で、軍がどうしたんだよ。また壊滅した、とかじゃないだろうな?」

 

 

アスナを招き入れて、一応の体裁らしさを出すために紅茶を出してやって話を聞くことにする。

また壊滅なんてやらかしてたら本気で見限るけどな。

 

 

「違う違う。やっぱりね、不自然なのよ」

 

 

「不自然?」

 

 

「おかしいじゃない。軍の人達が最前線クラスの装備をしているって。あの人達、いないじゃない」

 

 

「だから、買ったんじゃねぇの?」

 

 

「どうやって? ねぇハチくん。ハチくんは今の装備、どうやって揃えたの?」

 

 

「あ? 焔雷はお前も知っての通りだろ? 防具的なのは最前線が上がる度にドロップ品を防具の鍛冶やってるところに持ち込んで作ってるぞ」

 

 

「うん、そうだよね。私もこのレイピアはリズの手作りで、防具はハチくんと同じ。血盟騎士団お抱えの人がいるからその人にお願いしてるの。じゃあ問題です。

最前線の武器や防具、それは市場でどれくらいの金額で取引されてると思う?」

 

 

「……見当もつかないな」

 

 

「答えは、これだけよ」

 

 

そう言ってアスナが提示した金額に、俺は少なからず驚いた。

いや、だってこの金額……おいおいマジかよ。これにもう少し色を付ければこのホーム買えちゃうぞ。

 

 

「これが武器や防具一式揃えるのに必要な値段。

命がけのゲームで、かつ最前線の一番新しい装備だもの。当然よね。では、彼らはこれをあんなにお手軽に買えると思う?」

 

 

「どうだろうな。腐っても軍は大規模ギルドだ。徴収すりゃできなくはないんじゃないか?」

 

 

「半分正解。……軍はね、下位層で税金の徴収をしてるみたいなの。ラフィンコフィンを始めとして、下位層では特にPKなんかも横行しやすくて、その治安維持代みたい」

 

 

ラフィンコフィン……俺みたいなぼっちプレイヤーでもよく聞く名前だ。

レッドギルドを自称する殺人集団。いつかのオレンジギルドと違って、殺人を認識した上でやってる狂った連中だ。

あれの真似事をする連中も出てきたのか。

 

 

「せっかくだから、下位層に行ってきたの。したらね、下位層では、軍に関わるな。って言われてるそうよ。どうも、かなりの悪政を敷いてるみたい」

 

 

「シンカーはどうしたんだよ。キバオウだって、今回のことは主導じゃないんだろ?」

 

 

「それが、二人とも全然表に出てこないみたい。ユリエールがなんとか、ってところで」

 

 

「確かに、いろいろ妙だな」

 

 

不自然と言うか、気持ち悪い。何かおかしな気すらするな。

 

 

「そんなわけで、団長の許可を得て下位層の調査をすることになりました」

 

 

「ヒースクリフが許可をしたのか?」

 

 

「団長は私の進言に今回は賛成していたし、軍のおかしさには首を傾げていたみたい。

ついでにキリトくん達も手伝ってやれって。次の階層からはまた攻略に参加しないとだからね」

 

 

こいつ、ホラーフロアが嫌だからって、わざわざそこまでしたってのかよ……

 

 

「……まぁ、頑張れよ」

 

 

「うん、頑張りましょ、ハチくん?」

 

 

「は? 何言ってんの?」

 

 

「お手伝いを頼みに来たの。団長もハチくんなら対人戦は問題ないだろうって言ってたし、何かあれば呼ぶからって」

 

 

「待て待て待て、おかしいだろ。俺はやらないぞ?」

 

 

「大丈夫! 餌を取るのは私だから。ハチくんにはもしもの手伝いと、下準備を手伝ってもらうだけ。ね?」

 

 

「……マジかよ……」

 

 

これはあれじゃないか? こいつを招き入れた時点で俺の負けが決まってた的な……

 

 

「そういう部活やってるって言ってたでしょ?

だから、その一環てことでお願い。ね?」

 

 

「……」

 

 

その言い方は汚い。奉仕部を出されてしまったら、俺は受けないわけにはいかない。

部長に何を言われるかわからないしな。これは仕方ない。うっかり話した俺の自業自得か。

 

 

「……俺からは能動的に動かないからな。余計なお世話になるかもしれないし」

 

 

「うん、ありがとう。じゃ、行こう? ハチくん」

 

 

恐ろしいまでの強引さと行動力にため息を隠しもせずに吐き出した。

ああ、なんだってこんな……こういうところは雪ノ下というよりは陽乃さんぽいな。お嬢様ってのはみんなこんななのか。怖すぎるだろ、いくらなんでも。




八幡攻略組の特攻役、アスナさん。
特攻どころか戦果をあげまくりな模様。これくらいグイグイ行かないと八幡は動かないのでかなり強引になってます。
リアルと違って逃げ道ないのもありますが。

このエピソードは忙しくなるなぁ……

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