紅き龍   作:テリーヌ

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プロローグ

 

 

気づけば掃き溜めのような暗き世界にいた。

人権など皆無、盗み、殺人は当たり前。

弱きものから死んでいく。そんな世界だった

 

何故私がここにいるのかわからない。親の顔すら見たことがない

一番古い記憶でさえ、ゴミ山の上で寝ている記憶しかない

わかることは一つ、生きたければ殺せ

 

自分を殺そうとするものがあれば殺し返せ

 

食糧である生ごみを手に入れたくば殺せ

 

何者にも負けるな、負ければ死だ

 

だから殺す。誰だろうと殺す。ここで生きていくには殺せ 

 

暴力からが全てだった

 

 

そんな生活をしているとふとある情報を手に入れた

世界が全てこのような世界ではないと言うのだ

ここは要らぬもの、邪魔者がかき集められて作られたところなのだと

 

外の世界は裕福でとても温かく眩しい世界なのだと

 

それを聞いた瞬間歓喜した。いきたい!

こんなところ一刻も早く立ち去りたい

 

気づけば走り出していた

どこにあるのかもわからなかったがとりあえず真っ直ぐに進んでいけば辿り着けるだろう

だから走った。どれほど走っただろうか。息が上がる、だが疲れはしなかった。それほどにまでワクワクが止まらなかったのだ

 

数日後ようやくたどり着いた

とても大きな建築物がそびえたっていた。私の知っている今にも崩れ落ちそうなボロボロの建物は違い立派でとても綺麗な建物だった

 

やっと着いた。これで………

期待と渇望さまざまな希望を持ちながら一歩その世界に踏み出した

 

瞬間

 

冷たい目が一斉に降り注いだ

 

人々は自分を避け、陰口のようなひそひそ声で自分を訝しんでいる

一歩踏み出すごとに冷たい目線はより強まっていく

終いには小石を投げつけ暴言を吐かれる始末

 

気づけば逃げ出していた

逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて

そして結局掃き溜めの世界に戻っていた

 

ああ、そうか。私はここでないと生きていけないのか

 

 

 

それからのことはあまり覚えていない

気づけば誰かを殴り飛ばしていた

暴力に明け暮れる日々が続いた

自分を消そうとする連中もいたが関係ない。全てを力づくで捻り伏せて行った

 

尸の山に返り血を浴び赤く染め上げられた髪を見た連中はいつしか私のことをこう呼ぶようになった

 

紅き獣と

 

 

 

 

 

そんな時だった

 

 

「………ほう、まさか対象がこのようなガキだったとは」

 

全身から何か嫌な気配を感じ思わず飛び跳ね振り返とそこには一人の老人が立っていた

顔はシワだらけで痩せ細った体

しかし、何故だろう本能が叫ぶ

勝てないと

 

「くくく、ただただ暴力を振り回すクソガキかと思ったが………よくわかっているでないか」

 

老人は愉快そうに笑っていたが濃密な死の殺気に全身から冷や汗が止まらない

 

「お主このまえここを支配する連中のお偉いさんを殺しただろう?

まえまえからお主を始末しようと行動していたらしいがもう始末できないと判断してわしに殺しの依頼をしたんじゃろうな。

 

ここの連中はあまり外に頼ろうとせんから珍したものだと思っておったが、……くく……」

 

何を言っているのか分からなかった。返り討ちにした奴らの中にそんな奴がいたのだろうか?

 

ひとまずひとつだけ理解できた。

こいつは私を殺そうとしている

だったら殺してやる

 

駆け出し老人の懐に入ると拳を振り抜く

だがその拳はいともたやすく弾かれ体勢を崩した私は足を払い除けられ地面に叩きつけられる

 

地べたから老人の顔を見ると嘲笑うように見下ろしていた

屈辱に歯を握り締め立ち上がり老人を殺そうと殴りつける

 

「かか、急所を的確に狙った良き拳であるがいささか直線的じゃのう」

 

届かない。今まで数々の命を屠ってきた拳をいともたらすくあしらわれていく

 

「本能をむき出しにした攻撃、まるで獣じゃのう。噂通りまるで獣のようじゃ

 

じゃが、これで終わりじゃ」

 

瞬間老人が消えた

否、あまりの速さに見失ったのだ

 

気づいた時には地面に倒れ伏していた

先ほどと違い、立ちあがろうにも力が入らず立ち上がらない

地面を見ると自分の体から血が噴き出し血溜まりができていた

老人を見ると老人の右手が真っ赤に染め上がっていた

自分は攻撃されたのだと理解すると同時に目がかすみ意識が微睡んでいった。

 

 

 

 

 

「…………………」

胸を手刀で貫き倒れ伏したのを確認すると老人は帰路に向けて歩きはじめた。

子供、それも少女を殺した罪悪感からか老人はサングラスをかけ少し重い足取りだった。

 

だがそんな考えは背後から感じる殺気によって掻き消される

何が起きたと振り返ると同時にサングラスごと顔面を殴り飛ばされる

体勢を立て直そうと後退するとそこに先ほど殺したはずの少女が立っていた

だがその瞳は虚で意識がないことがわかる

 

「まさか気絶しながら襲いかかってくるとは

 

だが、そもそも何故生きておる!?」

 

老人は貫いたであろう胸の箇所を見やると血は止まり塞がりつつあり傷も致命傷には至っていないのがわかる

 

「………確かに殺す気でで放ったはず………手心などなかった

………まさか、………お主、無意識に………

 

かか!!気に入ったぞ!!紅き獣よ!!」

 

 

少女は構直し再び襲い掛かる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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