お師さまとの決闘を終え新たな旅立ちへと日本に向け旅をはじめた紅美鈴は
「ガバ!! オボボボボボ!」
溺れていた
数刻前、海を渡るために港まで来た美鈴は日本に行く船はないかと近隣住民に聞いたところ貿易のための船はあるものの外交客船のような旅行するための船はないらしい
他の港を探せば見つかったかもしれないが初めての旅に気持ちが昂っていたのか一刻も早く日本に行きたかった美鈴は港の人からは一隻の小舟を買取自力で海を渡ることを決行した
しかし、航海術はおろか日本の方向すらわからない美鈴の航海がうまく行くはずもなく、遠洋特有の海流、荒れ狂う津波による巨大波、しまいには他の雷雲を巻き込みながら巨大化していくハリケーンによる嵐に直撃し現在に至るのであった
がぼぼぼほぼぼ!や、やばいです。海を舐めすぎていました。あ、走馬灯がーーーー。お師さまの背中が見え……………る……………
「おーい、ねーちゃん大丈夫かい?」
美鈴を呼びかける声に意識を覚醒させ跳ね起きる。
どうなったのかと混乱しながら辺りを見渡すと一面の砂浜と自分が乗っていた小舟の残骸が打ち上げられていた
う、うおお、あ、生きてる!あと少しでお師さまの背中を追うところでした。まさか偶然砂浜に漂着するとは………自分の強運に感謝です。
………ここ、どこでしょうか?
「大丈夫かいねーちゃん」
「………あ、これはこれはどうもありがとうございます!」
自分を心配してくれた方に感謝の念を言おうと振り返った瞬間驚き絶句してしまう
「……………ちょ、ちょんまげ」
「あん、何驚いてんだよ。ちょんまげくらい普通じゃねえか」
ちょ、ちょんまげが普通…………。格好も日本歴史で見るような和服を思わせる浴衣姿………なるほどなるほど
日本にたどり着いたみたいですが、私の知っている日本じゃない!!
…………中国にいた頃から文明が少し古いと思っていましたがまさかこんなにも大昔に来ていたとは………まさか戦国時代なんてことはないだろうか
「…………すみません、お聞きしたいのですが、……今って征夷大将軍っておられましたか?」
「あん?何当たり前なこと言ってんだ
徳川斉慶様がおられるじゃねーか」
徳川!!ということは江戸時代!!
まさか歴史の中で一番長く栄えた時代だったなんて
……………ん?斉慶さま?
あまり歴史には詳しくありませんが歴代将軍にそんな名前の方おられたでしょうか?…………まあ、どうでもいいですね
そんなことより、せっかく江戸にいるのです………
美鈴は勢いよくおやっさんの肩を掴み力強く質問する
「寿司屋ってどこですか!!!」
パク!パク!パク!ガツガツ!
何日も漂流していたせいか凄まじい空腹に襲われていた美鈴は次々に出されたお寿司を平らげていく
あまりに美味しそうに食べていく美鈴に気を良くしたのか寿司屋の親方が話しかけてくる
「よく食うなぇ。うまいか?」
「ゴクン。最ッ高です!
感動しちゃいました。まさか生きてるうちに江戸のお寿司が食べられるなんて」
「そんな褒めんなよ!
それにしてもおまえさんここいらじゃ見ねえ格好してんな?」
「あ、私、中国………唐………、え、えーと、なんて呼ばれていたのでしょうか。……南蛮人?唐人?……海の向こうから来ました!」
「ん、ああ、大陸の人か
珍しい客も来たもんだ」
親方との会話も弾み満腹になった美鈴はお会計とポケットを探り硬直する。すぐさま反対側のポケット、胸ポケット、全身を探り出す
……………そういえば漂流してから一度も持ち物チェックしていなかったですね
そんな能天気な考えとは裏腹に顔はみるみる青ざめ冷や汗がダラダラと流れひきずるような不器用な笑顔を親方に向ける
すると親方も何かを察したのかにっこりと美鈴に笑顔を向けてくる
「………………」
「………………」
「………………」
「お奉行ーーーーーー!!!!!!!」
「いやーーーーーー!!!!」
どのみち日本と中国の通貨が違うので捕まっていたという