もう一人のイナズマガール、予想よりもお気に入り登録と評価をしてくださった事もあり、この度正式に続きを投稿する事に決めました!
本当にありがとうございます!シンフォギアとの並行ではありますが、何卒よろしくお願いします!
そしてその続き一発目から新キャラ登場です!
帝国学園との練習試合を終えてから、愛衣はいつもより一時間早く起きるようになった。いつもは6時に起床するが、今はまだ朝の5時。喧しく鳴る目覚まし時計のアラームを止め、ジャージに着替えて家を出るとランニングを始めた。
サッカー部に晴れて入部した愛衣であるが、喜んでばかりではなかった。前回の練習試合で多くの欠点がある事を目の当たりにした愛衣は、その一つである体力作りから始めた。
(帝国学園の選手に勝つ為には、あのスピードに食らいついていける体力が必要……)
走り込みを終えて家に戻ると、シャワーを浴びる。それを済ませて制服に着替えると、母が作る朝ご飯を食べる。結構ガッツリと。
「め、愛衣?朝からよく食べるわね」
「お腹空いてるから……」
「ま、まあ良いことなんじゃないか?良く食べる子はよく育つと言うし」
サッカー部に入ってから愛衣はよく食べるようになった。娘の心境の変化に両親は戸惑いながらもその成長を暖かく見守っている。
朝食を済ませたら学校へ走る。時間に余裕を持って登校する為、慌てて行くことなくゆっくりと出来る。
「おはよう!」
「おはよう天ヶ原さん!」
「おはよう円堂君、木野さん」
途中、円堂と秋と合流。一緒に登校する。
「今日から天ヶ原もサッカー部だな!これからよろしくな!」
「うん、こちらこそ」
「良かったね二人とも。ようやく一緒にサッカーが出来るものね」
「ああ!また天ヶ原とサッカー出来ると思うと、スッゲーワクワクしてきた!」
サッカーに対する熱い情熱がさらに燃え上がる円堂を前に戸惑う愛衣。大袈裟と思われるかもしれないが、円堂は愛衣とサッカーが出来る日を心から待ち望んでいたのだ。それが一年越しにようやく叶うと思えば、大袈裟ではないと言いきれる。
「よし!そうと決まれば特訓だ!」
「その前に授業でしょ?」
まるで夫婦漫才のやり取りを見せられ、苦笑いする愛衣であった。
それから約7時間後。授業が終わり部活の時間が始まる。サッカー部の面々は部室に集まり、改めて愛衣の自己紹介から始まる。
「というわけで、今日から俺達の仲間になる天ヶ原愛衣だ!」
「よ、よろしく……おねがいします」
部員達の前で挨拶して一礼。男子しかいなかったこの部に初めての女子選手ということもあり、円堂を除いた男子達から拍手が贈られる。染岡ただ一人を除いて。
「シュ、シュートは得意です。あとドリブル……それで……」
「何だ何だ?いっちょ前にストライカー狙ってんのか?」
ここで染岡が口を挟む。フォワード志望であると分かると、同じフォワードとして対抗心を燃やしている。
「う、うん……ディフェンス全然出来ないし……」
「そんなんでストライカーが務まると思うのか?俺が本当のストライカーの姿を見せてやるよ!」
「染岡。天ヶ原と張り合ってもしょうがないだろ?」
染岡の態度に看過できない風丸が諌める。
「あの……キャプテン」
宍戸が徐に手を挙げる。
「こないだみたいに、豪炎寺さんを呼ぶ事は出来ないんですか?」
帝国学園との試合で唯一点を取った豪炎寺。彼がいてくれれば心強い事はない。宍戸は勿論、壁山、少林寺、栗松の一年生達はその強さを頼みの綱としている。
「結局あのシュートは、豪炎寺さんが決めたでヤンスから」
「今の俺達じゃ、あんなシュート出来ないっスよね」
だが染岡はそれが気に入らない。豪炎寺という名前が出ただけでも彼の心中は穏やかならぬものではないというのに、一年生達が豪炎寺に頼りきりになっている姿に、苛立ちが頂点に達する。
「お前らなぁ……豪炎寺が何だ?!アイツはやらねえんだろ?!だったら、点を取るのは俺だ!いつまでも豪炎寺に頼ってんじゃねえ!!」
染岡が一年生達に怒鳴り散らす。この空気を変える為に円堂が気を取り直す。
「ま、まあ今回の帝国戦で、俺達の問題点が出てきた。それを克服する為に、まずは特訓だ!」
おおぉーー!
「失礼するわよ」
部室の扉がガラガラと開くと、そこにいたのはウェーブがかかった茶髪の女子。その美貌の持ち主は雷門中に通う者であればご存知の人物、本来であればここに来るなど考えつかないくらいの人物だ。
「お前は……」
「……誰だっけ?」
ただ一人、愛衣は首を傾げていた。その態度に少女の眉がピクッと動くが、咳払いをして立て直す。
「あら、この雷門夏未をご存知なくて?」
「……うん」
今度は夏未の額に青筋が立つ。同い年の女子にここまでナメられたのは初めてなのだろう。
この人物は雷門中の理事長の一人娘《雷門夏未》その人だ。
「……まあ良いわ。それよりも、無事に廃部は免れたみたいね」
「ああ!これからバンバン試合していくぜ!」
「けど、何しにここに?あ、もしかして……マネージャーに?」
「そんなわけないでしょう?!」
遂に我慢の限界を迎えた夏未に怒鳴られた。愛衣はしょげてしまう。そんな彼女をよそに、夏未は構わず話を続ける。
「ここに来た理由は一つ。次の対戦相手を決めてあげたわ」
次の対戦相手。また練習試合が行われるという事だ。それを知り、円堂や夏未に怒られて落ち込んでいた愛衣だけでなく、その場にいたサッカー部員が目の色を変える。
「もう次の対戦相手が決まったのか!で、どこの学校だ?!」
「その前に、一つ伝えておくわ。もし次の練習試合で負けたら、このサッカー部は直ちに廃部よ」
「……デジャヴュ」
負けたら廃部。帝国学園との練習試合の時と同じ展開に、愛衣は小声で呟く。
「けれどもし勝利すれば、次のフットボールフロンティアの出場費を出してあげるわ」
つまりフットボールフロンティアに出場出来るという事だ。念願のフットボールフロンティアに出られる可能性が出てきては喜ばずにはいられない。
特に円堂と愛衣は小学校からの悲願を叶えるチャンスが巡って来たということもあり、一番に喜んでいる。
とはいえ、次の練習試合に勝たなければ廃部という大きなリスクを背負っている。
「で、何処の学校なんだ?次の対戦相手!」
「尾刈斗中よ」
夏未の口から次の対戦校が告げられた。
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その頃、帝国学園のサッカー部では屋内で激しい練習が繰り広げられていた。正確なパス回しと強烈なシュート、強固なディフェンス、どれをとっても帝国のサッカーは随一だ。
現在、ベンチには鬼道と辺見が水分補給の為に休憩を取っている。
「鬼道さん。雷門中の事ですが……」
「雷門中がどうした?」
「うちとやってら練習試合の申込みが後を絶たないようです。雷門中は実は凄いチームなんじゃないか?と、他校が噂しているようで、酷い所では帝国が一点に泣いた、なんて……」
「言わせておけ。俺達は任務を果たした。それだけの事だ」
最強校故の宿命。特に恐れられている帝国学園を良く思う学校などいない。そういった学校の妬みや僻みはよくある事のようで、鬼道はそんな噂など気にするつもりもない。
それよりも鬼道はグラウンドの方に向いている。
「いつにも増して、気合が入っているな」
「あぁ、アイツですか?」
鬼道が注目している帝国の12番のユニフォームを纏った女子選手。寺門からパスを受け取ると、紫色のセミロングの髪を靡かせながら咲山にパスをする。
「確か、マネージャー上がりでしたねアイツ。フットボールフロンティアの改定初日からレギュラー入りのセンス……何者なんです?」
「覚えていないか。アイツはな……」
「兄貴!」
再びボールが少女に渡り、そのまま佐久間とワンツーパスでディフェンダーの大野を抜いた。
「え?兄貴って……」
「ああ。佐久間の妹だ」
「えっ?アイツ妹いたんですか?」
知りもしなかった事実に辺見は驚く。
「行け!楓!」
「分かってるっての!でぇあぁっ!」
《佐久間 楓》と呼ばれた女子が源田が守るゴールにシュートをする。真っ直ぐに行くかと思われたボールは左回転しながら、弧を描くように源田の右へと抜こうとするが、キング・オブ・キーパーに死角はない。
「甘い!」
源田の素早い反応とパンチングでボールを弾いた。
「確かにやりますね、アイツ」
「ああ……」
鬼道はベンチから立ち上がると、そのままグラウンドから去っていった。
「鬼道さん……」
その背をグラウンドから見届けていた楓。その顔は先程の勝ち気なものとは異なり、まるで乙女のような表情だった。
オリキャラ紹介
佐久間 楓
帝国学園サッカー部に所属する女子中学2年生。
元々はマネージャーだったが、鬼道にその才能を見出された事もあり、フットボールフロンティアの改定初日から選手として入る。
オフェンス、ディフェンスともに優秀であり、シュートは高い回転によって軌道を変えてしまう。
誰に対しても一歩も引かない高飛車な性格だが、鬼道に対しては乙女のようにしおらしく、かつ礼儀正しい立ち振る舞いに変わる。