神秘を得た代わりに○ん○を失ってしまったゲマトリアのクソガキ構成員が『先生大好き勢』になる話 作:プラハ
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目標が達成できてとても嬉しい……。
家に帰宅する。結局あれから『最終下校時刻』になるまで俺たちはゲームを続けて、『約束』どおり、俺はモモイとミドリにアイスを奢った。そこでモモイと分け合って食べた棒が2本付いているアイスは『チープ』なはずなのにとても美味しかった。
でも、そんな感情をぶち壊すものが来た。
「何だよ」
「エルナさんが今日登校初日と聞きまして、どうだったのかと。ちゃんと過ごせましたか? 自己紹介は上手く出来ましたか? 『お友達』は出来ましたか?」
「うっせーな! おめぇは俺の『母親』か何かかよ!? 別に『普通』だよ! ふ・つ・う!」
『黒服』から矢継ぎ早に質問が投げつけられる。鬱陶しいことこの上ない。せっかくいい気分だったのにこれでは台無しだ。今にもこの電話を切ってやりたい衝動に駆られるが、電話を掛けてきたということは何か用があるということだ。
「どちらかと言えば『母親』ではなく『父親』かと。それにエルナさんを拾ったのは私ですからね。私がエルナさんの『保護者』と読んでも過言ではないでしょう」
「過言でしかねぇわ! ろくに面倒見てもしてねぇ癖に保護者面すんなっつーの!」
「ところで」
「あん?」
『黒服』はどうやらここから『本題』に入るらしい。
「『神秘』の放出について『何か』分かりましたか?」
俺の思考が一瞬停止する。ミレニアムサイエンススクールに通うことになった『原因』を今しがたまですっかり忘れていたからだ。俺はタブレットを開いて今日どのくらい『神秘』が放出されていたのか確認を行う。
「ば、馬鹿な……。こんなことがあっていいのか……?」
検出された『神秘』は計器を振り切ってしまうほどに『検出』されていた。それは俺の想定を遥かに超える量だ。それこそ今すぐにでも『装置』を改修してしまわなければならないほどの量が検出されていた。
この先もこの数値のまま放出せれる膨大な『神秘』を『神秘あつめるくん』で集める場合、概算だが2ヶ月程で目標値に達してしまうほどに。
「『原因』は未だ『不明』だ。でも、『神秘』自体は膨大な量が検出されてやがる。しかもある程度多めに見積って作ったはずの『計器』が振り切れてやがる……!」
「なるほど、どうやらそれなりに『学園生活』は楽しめたみたいですね。それこそ『本来の目的』を忘れてしまうくらいには」
「別にっ! 別に……、忘れてなんかねぇ! それに楽しくなんてなかったしな! まじで、とっととおさらばしたいくらいだぜ !」
『黒服』の言葉に思わず動揺する。俺の『本来の目的』は、『神秘』が空気中に放出される原因を『解明』し、それを元に『神秘』を産み出す『装置』を作成する。そして『神秘』を集め、俺自身が『崇高』へと至ること。
そして『崇高』に至ったあとはその力を振るい、『世界』そのものを『理解』する。それこそが俺の『人生』における『使命』であり『約束』であり『償い』でもある。
「エルナさん、自分に嘘をつくことはオススメしませんよ。でないと、いつか『取り返しのつかないこと』になりますよ?」
「……………………別に、お前に言われなくたって分かってるっての」
頭では理解出来ているつもりだ。でも、『
だけどそれは……、それだけは絶対にしたくない。自分だけ『楽』になってしまおうだなんて、絶対に許されない。坂を転がる石のように、途中で割れてしまうか、どこまでも落ちていくしかない。そんなことは分かっていた。分かっていた……はずなのに。俺は少し先の未来でそれを思い知らされることになる。
「で、お前はどうなんだよ?」
「ええ、近々アビドスへと赴くつもりです。欲しいものが、ありましてね」
「ふーん、アビドスねぇ……」
アビドスは数十年前突如として発生した大規模な頻発する砂嵐によって砂漠に埋もれつつある場所だ。そして俺がこの世界に来た時に1番最初にいた場所でもある。何故、あの場所に俺は来たのか? と気になる所は多い場所だが、それは優先度が低い。
そういえば確かあそこには在校生が僅か5名の学園があったはず。そしてその内の1人が……。
「小鳥遊ホシノ……だったか? 相変わらず趣味が悪いなお前は」
「えぇ、実に興味深い存在ですからね。彼女は」
「ふーん、ま、どうせ『失敗』するだろうがな。『誰か』を当てにするなんて『計画』はうまくいかねぇんもんなんだからな」
「それはエルナさんの『経験』から来る発言ですか?」
「分かってて聞いてるだろてめぇ……。相変わらず性格の悪いやつだな」
俺が産まれた経緯についてはある程度知っているはずだ。そうでなければ、俺の名前についてか「
まあだからといって困ることは何1つないので、別に構わないのだが。
「ま、俺様が言いてえのは引き際を誤るなってことだな。『強欲』が過ぎれば身を滅ぼす。藪をつついて蛇を出すだなんてことにならねえように精々気ぃ付けなってことだ」
「ええ、胸に刻んでおきましょう」
「話は終わりか? なら切るぞ」
「いえ、まだエルナさんに聞いていないことがあったので」
少し嫌な予感がするが、一応聞くことにした。聞いてやるからとっとと話せと促す。
「『お友だち』はできましたか?」
思わずスマホを叩きつけてやりたい衝動に駆られたが、グッと堪える。だが、ここで答えておかないとこのままずっと同じことを聞かれるのは面倒だ。
「できたぜ、そりゃあもう沢山できたぜ?」
モモイとミドリは間違いなく『友だち』と定義してもいい。だが、クラスメイトたちや、ユウカとノアはどうだろうか……? ユウカとノアは朝のわずかな時間に話しただけ、クラスメイトたちは少し話したのと、メッセージでやり取りしたくらいだ。
どこからが『友だち』なのかというのはまだ分からないが、少なくとも俺はそう思っている。
「ほう……、それはよかった。我々はエルナさんが寂しい学園生活を送っていないか心配していましたから」
「はっ! 心にもねぇことをよくもまあ言えたもんだなぁ?」
『黒服』の頭の中にあるのは「利用できるか、利用できないか」ということだけだ。そこに『悪意』はなく『善意』もない。ある意味で一番分かりやすい存在であり、それと逆に恐ろしい存在でもある。利用できないのであれば、簡単に切り捨て、利用できるのであれば、家族、友人、恋人であっても利用する。そんな人間だろう。
「ところで、『お友だち』のお名前を聞いても?」
温い心が急速に冷めていくのを感じる。そして自分の口から恐ろしいくらいに低い声が出る。
「俺様のものに手を出すっていうなら、俺はポリシーを曲げる。その意味が分からないお前じゃないよなぁ?」
「ええ、分かっていますとも。ただ少し『興味』があったので」
「…………」
「それでは、また」
電話が切れる。スマホをベッドに投げ捨てて、ベッドに倒れこんで、大きくため息をついた。
「碌な死に方しねえぞあの野郎……。まあ、それは俺様も『同じ』か……。ははは……」
乾いた笑いが口から漏れる。俺もあいつ等も、『善』か『悪』かと問われれば、間違いなく『悪』だ。そして『悪役』の末路というものは、あっけなくて、みじめで、救いようがない。
俺もきっといつかはそういう『末路』を辿るのだろう。俺という『悪』が『正義』によって打倒される日が来るのだろう。もしその時が来るのなら――
「ん?」
ベッドの上に投げ捨てられたスマホが振動する。スマホを拾い上げて、画面を確認する。どうやらモモイから着信が来ているようだ。俺は応答ボタンをタップする。
「もしもし! エルナちゃん?」
「お掛けになった電話番号は現在使われておりません」
機械的な音声を模してそう言うと、電話口から焦ったような声が聞こえてきた。
「え!? 嘘! ま、間違え、ってモモトークで通話してるんだからそんなアナウンスなるわけないじゃん! エ~ル~ナ~ちゃ~ん!」
「あははっ、ごめんごめん!」
どうやらビデオ通話で掛けていたらしく、スマホの画面には半眼でこちらを見るモモイの顔がとても大きく表示されていた。モモイの後ろではミドリがゲームをしているようだ。全く……、今日あれだけやったのに家に帰ってもまだゲームをしているらしい。どんだけ好きなんだ……。
「で? 何の用だよ?」
「え、えーと……、エルナちゃんの部屋ってどんな部屋なのかなーって」
「別に面白いものなんて何にもないぞ?」
モモイは目を逸らしながらそう言った。大方ミドリにゲームで負けたからその腹いせにでもかけてきたのだろう。ゲーム機に繋がっている2台のコントローラーがその証拠だ。俺はカメラを内カメラから外カメラに切り替えて部屋の様子をモモイに見せる。
「面白いものどころか、何にもないじゃん!」
「まあ、引っ越してきたばかりってのもあるが、俺様自身あまり部屋にものを置いておきたくないタイプだからな」
「いくら何でも限度があるよ! ベッドしかないじゃん!」
モモイは呆れたようにそう言う。機械類なんかは全部研究室に置いているし、本やニュースなどが見たいときはタブレットで済ませばいい。だからあまりこの部屋に物を置く必要性が感じられないのだ。俺にとっての部屋は寝るための場所でしかない。まあ、ベッドにはかなり拘ったが。
「ていうか、モモイの「お姉ちゃん」 は?」
「エルナちゃ~ん、まだ今日は終わってないよ?」
「くっ……! モモイお姉ちゃんたちの部屋が物を置きすぎなんだよ。そんなんでいざって時どうすんだよ?」
「いざって時って?」
「そ、それは……あれだよ……あれ……」
そう言うがモモイは首を傾げて分からないと言わんばかりの表情を浮かべていた。遠回しに伝わるように言ってみるが、どうやらモモイには伝わっていないらしい。
「す、好きな人とかできたときどうすんだよ……?」
俺から見てもモモイは魅力的な女性に見える。きっといつか幸せな未来を築くのだろうか? いや、築いてほしい。モモイはそんな未来を想像してしまったのか、顔を赤く染めながら「そ、その時は片づけるから!」と言った。
「はっ! そんなこと言って、どうせ片付け終わらないよー! 助けて~! って言うに決まってるぜ!」
モモイの後ろでミドリがうんうんと頷いている。
「別にいいもん! 私はゲームが恋人だし! ミドリもそうだよね!?」
「いやー、俺の見立てだとミドリって結構強かだからなぁ。10年後くらいには普通に結婚して、子どもとかいるんじゃねえの? んで、こう言うんだお姉ちゃんもそろそろいい人見つけなよ。いつまでもゲームが「わー! わー!」」
「聞こえーなーいー! 私は何も聞いてないー!」
モモイが耳を抑えながら、わーわーと叫ぶ。俺は別にモモイに一生恋人ができないだなんて思っていない。何だかんだ言って、一番早く結婚しそうなのはモモイではないかと俺は予想している。
「そう言うエルナちゃんはどうなの!?」
「ふっ、俺様は超天才だぞ? 一人でだって生きていけるさ」
「金、地位、名誉、権力、全てを手に入れた。でも、何故か心は満たされなかった」
「なんだそれは?」
「さっきのお返し!」
「なるほど……、全てを手に入れても満たされない……。なんて向上心の塊なんだ……。流石俺様……!」
俺がそう言うとモモイは困惑していた。モモイの言っている言葉の意味が分からないほど俺は鈍感じゃない。だが、俺が恋人ができないくらいで、虚無感を味わうわけがない。大体俺は『男』だ。俺に同性愛の気はないので、『男』なんて好きになるわけがない。俺が思い描く未来に誰かが隣にいることを願うなんて想像もできない。
「ま、俺様は愛だの恋だのに、時間を費やすほど暇じゃないってことだ」
「そんなこと言って~。愛だの恋だのに、時間を費やすほど暇じゃないって言ったけど、どうやらあんただけは特別みたいだ。みたいなこと言うんでしょ~!」
「言わねえよ! というか、全然似てねーんだよ! その物まね!」
「でも、エルナちゃんってちょろいからな~。案外簡単に恋に落ちたりして!」
「はぁ!? 俺様ちょろい? そんな訳ないだろ!」
何てことを言うんだモモイは、この俺がちょろい訳ないだろう。そう思っていると画面にミドリの顔が映る。
「いや、エルナちゃんはちょろいよ」
「だよね~」
ミドリがモモイに同意する。よろしいならば戦争だ。予め言っておくが、俺はディベートは得意なほうだ。完璧に論破して俺がちょろくないことを『証明』する! この後、モモイが寝落ちするまで、談義は白熱したが、結局俺がちょろくないことをモモイとミドリに認めさせることはできなかった。
~おまけ~
「いやちょろいわ。ちょろすぎんだろ! このころの俺様。ちょろすぎて寧ろ心配になってきたわ」
『何を見てるの?』
「ん? 『先生』! これは『振り返りテレビくん』と言ってだなっ! 過去の自分の映像を映し出せる小型テレビなんだっ!」
『それはすごいね!』
「えへへっ♪ そうだろ! そうだろ~! いや~作るのすっごい大変だったんだぞ~。っと、『先生』見てくれよ! この頃の俺すっごいちょろいよなぁ……。まあ、今は全然ちょろくないけどな!」
『エルナはちょろいよ』
「は、はぁ!? いやいや、全然ちょろくないけど!? あっ……いや違う……違うな。俺がちょろいのは多分『先生』の前だけ……。っていうかあんなことされたら誰だって……!」
『どうしたの!?』
「好きになっちゃうに決まってるだろ馬鹿~っ! 先生の馬鹿! 絶対に責任取ってもらうからな~っ!」
エルナはどこかに走り去ってしまった。
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