神秘を得た代わりに○ん○を失ってしまったゲマトリアのクソガキ構成員が『先生大好き勢』になる話   作:プラハ

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 ついにエルナちゃんの脳が焼かれます


Vol1 始まりの奇跡 その裏側
VS テイルズ・サガ・クロニクル


 俺は『ゲーム開発部』に訪れて、ゲームをしていた。今日やっているゲームは『ぽよぽよ』だ。5種類ある『ぽよ』を4つ繋げるだけというゲームだが、積み方を工夫して連続で消えるようにしたり、相手の積み上げを邪魔したりなど、ただ4つ組み合わせればいいというわけではない。非常に奥が深いゲームだ……。

 

「ちょっ! エルナちゃん強すぎ!」

 

「ふはは! 俺様サイキョーっ!」

 

「人力でTASさんみたいな動きする人初めて見た……」

 

 ミドリが感嘆の声をあげる。TASさんとは、ツール(T)アシスト(A)スーパープレイもしくはスピードラン(S)の略称で個人を指す名前ではないらしい。ミドリによると正体は正体不明の金髪幼女なんだとか……。そんなに強い人間いるならいつか対戦してみたいものだ……。

 

「落ちて来るぽよってのは乱数? で決まってるんだろ? 一度分かってしまえばどうと言うことはないな」

 

「そんなことできるのエルナちゃんだけだから!」

 

「ああ、でも俺は4個分見ないと分からないからまだまだだけどな……」

 

「落下ぽよを完全に把握したうえで最速で積んでくる相手に勝てるわけないじゃん! 当たり前のように全消しとか、10連鎖以上してくるし!」

 

 モモイがコントローラーを床に置いて、うがーっと悔しがる。モモイは拗ねてしまったのかソファーにばったりと倒れこんでしまった。

 

「うーん、エルナちゃんのプレイは綿密な計算をもとに成り立ってるから、それを崩してしまえば勝てると思うけど……」

 

「ミドリは分かってないなぁ。こういうのは真正面から倒すことに意味があるんじゃん!」

 

 モモイは決め顔でそう言うが、実際には勝負に負けているわけなので、あまり格好がついていなかった。ミドリは微妙そうな表情で笑っている。

 

「そういえばこの部活ってゲーム開発部なんだよな?」

 

「そうだけど、それがどうかしたの?」

 

「いつゲーム作ってんだろうって思ってさ」

 

 そう言うとモモイがピシリと固まった。もしかして何か聞いてはまずいことを聞いてしまったのだろうか……?

 

「あ、あー……あれはそのー」

 

「私はビジュアル系全般担当だから、今はお姉ちゃんのシナリオ作成待ち」

 

 モモイに視線を向けると、モモイはぷいっと視線を逸らす。どうやら進捗は著しくないらしい。と言うかモモイがシナリオ担当で大丈夫なんだろうか……? 俺は漠然とそう思ったが口には出さなかった。

 

「ところでゲーム開発部が作ったゲームってあるのか?」

 

「あ、あーあるにはあるんだけど……」

 

 モモイは微妙そうな表情を浮かべている。もしかしてまだ完成していないとかなのだろうか? それとも……。

 

「もしかして、あれか? 俺様は天才だからな〜。製作者的には簡単にクリアされちゃうのが嫌とかなのか?」

 

「別にそういう訳じゃないんだけど……」

 

「じゃあなんだよ? そんな歯切れ悪そうにしてさ」

 

 もしかして、俺から酷評されるのを怖がっているとかなのだろうか? だとしたら少しショックだ……。

 

「やってみる?」

 

「うん、やりたい!」

 

 ミドリがそう聞いてくるので俺が頷くと、ミドリはカバンから何かを取り出した。

 

「テイルズ・サガ・クロニクル……」

 

 ディスクにはそう印字されている。テイルズ・サガ・クロニクル……、和訳すると『おとぎ話・英雄譚・年代記』、まあ意訳してしまうと『物語・物語・物語』と訳すこともできるが……。

 

 なるほど、タイトルから想定するに童話をモチーフとしたファンタジー系のRPGなのだろうか?

 

「待っててちょっと準備するから」

 

「ああ! 楽しみに待ってるからな!」

 

「あはは……」

 

 ミドリはディスクをパソコンにセットして準備を進めている。モモイは微妙そうな表情で俺を見ている。

 

「モモイ、さっきからどうしたんだ?」

 

「い、いやーなんでもないよ!」

 

「その反応は何かある時のやつじゃねぇか」

 

「エルナちゃん、準備できたよ!」

 

 正直モモイのことが気になってしょうがないが、今はモモイたちが作ったゲームの方を優先しよう。ゲームを開始しようとするが俺はあることに気づく。

 

「なあ、ちょっと音大きくないか?」

 

 タイトル画面で壮大なBGMが流れているが音量が少し大きい気がする。こういう時はコンフィグ画面から音量を調節すればいいので、探すがコンフィグが見つからない。

 

「まあ本体の方を調節すればいいか……。よし! ゲームスタート!」

 

 本体の音量を少し下げて、タイトル画面の『NEW GAME』ボタンを押す。

 

 >コスモス世紀2354年 人類は劫火の炎に包まれた……

 

「…………?」

 

 コスモス世紀とは何だ? 一般的な言葉の使い方とは異なるがこのゲームの重要な用語なのだろうか……? 劫火とは世界を焼き尽くす炎という意味合いで使われている言葉だ。どうやら人類はかなり追い詰められているということなのだろうか? うーん、もしかして近未来が舞台なのだろうか……? わ、分からない……。だが、進めていけば分かるのだろうか……?

 

「ほら王道に拘り過ぎると目新しさがないでしょ? だから色んな要素やトレンドを取り入れてるんだ」

 

「な、なるほど……」

 

 確かにミドリの言う通りゲームは年に何万と言う数が発売されている。それとの『差別化』のためにしているのだろう。インパクトはある。何故だろうか、そこはかとなく嫌な予感がしてきたが、俺はゲームを進めていく。

 

 >チュートリアルを開始します。

 

 >まずはBボタンを押して、目の前の武器を装着してみてください。

 

 俺は画面の指示に従ってBボタンを押す。

 

 ドガーーーン!

 

 >GAME OVER

 

「え……?」

 

 爆発音とともに、画面には「GAME ORVER」と表示されている。俺はコントローラーを持ったまま少しの間固まっていた。もしかして、俺は何かを間違えてしまったのだろうか? 俺はそれを確かめるためにさっきの画面に戻る。しかし、そこには確かにBボタンと表示されている。俺は押し間違えないようにきちんと確認してBボタンを押した。

 

 ドガーーーン!

 

 >GAME OVER

 

 

 「は……?」

 

 さっきと同じ展開だ。どうやら押し間違いではないらしい。わ、分からない……。一体何が……? どこで間違えた? 画面には確かにBボタンと表示されている。俺は間違えずに押したことも確認している。爆発音が聞こえたということは、主人公は爆発して死んだということなのか? 爆発する要素が一体どこに……? そう言えば装備ではなく装着という表現だったのが気になる。つまり正しい方法でないと、爆発するということか……? だが、俺は指示通りに従ったはず……。

 

「実はそこは「ストップ!」……?」

 

 ミドリがネタバレをしそうになっていたので俺は慌てて止める。

 

「さっきモモイが言ってただろ? 真正面から攻略することに意味があるって。だから俺様もそうする。2人の助けなしでエンディングまで進んで見せる!」

 

 幸いなことに今日は金曜日だ。攻略にいくら時間がかかっても問題ない。まあ、流石に次の日になるよりは早く終わるだろう……。俺は再びさっきと同じ画面の所まで戻ってくる。Bボタンを押すとゲームオーバーになることは分かっているので、押さずに画面を観察する。色んな角度から観察してみるが、何もない。ということは、待つことが正解何だろうか……?

 

「86秒待つのが正解か?」

 

「いやいや! ハロ研みたいなことはしてないって!」

 

「モ、モモイ! ネタバレNG! あ、でも開発秘話みたいなのがあれば聞く!」

 

 モモイに向けてビシッと指をさす。どうやら待つことで次に進めるということではないらしい。だとするとどうすれば……? うーん、とりあえず他のボタンを押してみるか……? 俺は恐る恐るAボタンを押してみる。

 

 >武器を装備しました。

 

「おぉ……!」

 

 なるほど、ログに表示される文章が信用にならないタイプのゲームと言うことか。ふふふ、面白い……! だが、もう理解した。あとはこのままエンディングまで突き進ませてもらう!

 

 >エンカウントが発生しました!

 

 >野生のプニプニが現れた!

 

 「!?」

 

 「戦う時はコマンドからAボタンを押して選択して!」

 

 「分かった!」

 

 BGMが切り替わる。敵は雑魚モンスターの代表格とされている『プニプニ』だ。モモイから言われた通りに攻撃コマンドから技を選択する。いくつか技があるが、今後のことを考えると消費が少ない技を選ぶべきだ。つまりここは『一閃:敵に素早い攻撃を行う』が正解だ。それに相手は雑魚モンスター。負けるはずがない。

 

「行けーっ! いっせ――」

 

 >ッダーン!

 

 >攻撃が命中、即死しました

 

「!?」

 

 >GAME OVER

 

 >プニプニ:どれだけ剣術を鍛えたところで、我が銃の前では無力……ふっ。

 

「銃!? あのまんるいのが!? どこに持ってたんだ!? っていうかどうやって撃ったんだ!? 手なんてないのに!?」

 

 だが、プニプニの言っていることにも一理ある。剣の腕をどれだけ鍛えても銃に叶わないというのは道理だ。いや、道理なのか……? ファ、ファンタジーだよなコレ!? なんで、銃が出て来るんだ!? い、意味が分からない……! だが、プニプニが銃を持っているのは分かった。利き手と反対のほうに逃げれば……、こいつの利き手ってどっちだ!? いや、ここは遮蔽物なんかに身を隠すべきだ。そして、相手の弾薬が尽きると同時に急接近して倒す……!

 

 「見えた、見えたぞ! ふふふ!」

 

 >エンカウントが発生しました!

 

 >野生のプニプニが現れた!

 

「今度こそ、お前を倒す!」

 

 >遮蔽物に身を隠した

 

 >ッダーン!

 

 >遮蔽物が身を守った!

 

 ここまでは計算通りだ。あとは相手の弾薬が尽きるのを待つだけだ。最初の戦闘でまさかここまで苦戦させられるとは思わなかった……。でも、それもここで終わりだ。プニプニ……、お前は強かった。だが、俺の頭脳の前では敵ではな――。

 

 >ドガーーン!

 

 >爆弾が命中、即死しました

 

「!?」

 

 >GAME OVER

 

 >プニプニ:遮蔽物に身を隠せば安心だと思ったか? ……ふっ。

 

「!!!??? ば、馬鹿な……。俺様の完璧な計算が……!」

 

 か、勝てない……! 思わず、地面に膝をついてしまう。最初からこんなにハードだとは……! 心臓がドキドキと脈打っている。まだゲームは序盤だ。諦めるにはまだ早い。俺は再びコントローラーを握る。

 

「次は勝つ……!」

 

「エ、エルナちゃんが燃えてる……!」

 

 それから4回ほど挑戦して、俺はついにプニプニを打倒した。とても爽快な気分だ……。そして2時間後『事件』が起きる。

 

「あ、あれ……画面が動かない……」

 

 画面が固まっている。BGMはピガーという音が延々と流れている。ボタンを押しても一切反応がない。まさかフリーズ……? でも、画面を見る限りフリーズの要因になりそうなものはない。フリーズとは処理能力の限界を超えてしまったり、PCの故障、CPUの熱暴走によって引き起こされるものだ。どうやら一度リリセットしてやり直すしかないらしい。だが、セーブはこまめにしていたので、そんなに戻るということはなさそうなので、そこは良かったというべきところだろう。

 

「は!?」

 

 スタート画面で「LOAD GAME」を選択しようとするが、グレーアウトしている。押しても反応がない……。さ、最初からということになるのだろうか……?

 

「う、うわあああああああっ! セーブデータがっ!」

 

「このパターンは初めてだね」

 

「うーん、デバッグでは見つからなかったんだけどなぁ……」

 

「………………………………!」

 

 俺は鞄から工具と部品を取り出すと、モモイとミドリはギョッとした表情をする。俺の口からふふふと乾いた笑い声が漏れる。

 

「ちょっ! エルナちゃん何をするつもりなの!?」

 

「決まってるだろ! 改造だよおおおおっ!」

 

 PCの電源を落として、少し待ってから、主電源を落とす。そして端末を分解する。どうやらメモリやCPUはそこそこ古いものを使っていたみたいだ。恐らくフリーズしたのはこれが原因だ。マザーボードの型番を確認した後、俺は鞄をもって外へと向かう。

 

 「ど、どこに行くの!?」

 

 「CPUとメモリを買ってくる!」

 

 俺は外に出て、全速力で買い物を済ませ、ゲーム開発部の部室へと戻ると、CPUとメモリを付け替える。これでフリーズ問題は二度と起きないはずだ……。俺は得意げな表情でそう言うと、モモイとミドリは困惑した表情をしていた。ふふふ、CPUの処理能力は5倍、メモリは32MBから8GBまで増やした。ゲームを起動すると、さっきの5倍以上のスピードで起動する。

 

 「これでもうフリーズなんてしないはずだ!」

 

 「え、えぇ……」

 

 俺はコントローラーを握って再びゲームを始める。

 

 >ごめんなさい。私は植物人間ですので

 

 全く意味が理解できないテキストを読んで困惑し。

 

 >私はあなたの前世の妻なの!

 

「お母さん!?」

 

 ヒロインがお母さんで前世の妻だったという衝撃の事実を知ってしまったり。

 

 >実は俺、お前の腹違いの友人で未来からタイムリープしてきたんだ

 

 「まさか、クロニクル要素ってここなのか!? それに腹違いの友人ってなんだ!? 兄弟姉妹じゃなくて!? わ、分からない……」

 

 頭を抱える。なんだか頭がおかしくなりそうだ……。時刻はすでに深夜を迎えている。モモイとミドリはすやすやと寝息を立てている。

 

「ん? これは『妖怪MAX』……?」

 

 俺の隣に『妖怪MAX』が置かれていた。一体いつの間に……? モモイとミドリが買ってきてくれたのだろうか? 全然気が付かなかった……。プルタブを開けて飲む。少し温くなってしまっているが、いい眠気覚ましになった。俺は隣にいるモモイとミドリをソファーに運んで、ブランケットを掛けた。

 

「絶対クリアするぞーっ!」

 

 その後も理不尽な戦闘に苦しめられたり、一切ヒントがない謎解きに頭を悩ませ、理解不能なテキストに思考能力を奪われていく。だけど。

 

「あぁ……」

 

 感じる。

 

 モモイとミドリと、多分あともう一人。

 

 そんな3人の。

 

 ゲームが好きだっていう感情が。

 

 ゲームへの愛が。

 

 ゲーム開発にかけた情熱が。

 

 このゲームを楽しんで欲しいという思いが。

 

 このゲームを通して伝わってくる。

 

 夢と希望。

 

 キラキラとした純粋な感情が込められている。

 

 まるで、自分も夢の中にいるのではないかと錯覚してしまう。

 

「あはははっ!」

 

 俺はコントローラーを握って笑う。心の中がキラキラとしたもので満たされていく。次はどう来る? ワクワクドキドキが止まらない……! 必死に頭を悩ましながら、ゲームを進めていく。

 

 そして――。

 

「終わった……」

 

 外からは太陽の光が差し込んできている。モニターにはエンドロールが流れている。本当に長い戦いだった……。外の光を見たせいだろうか? 急に視界がぼやけていく。

 

「面白かった……」

 

 万感に震える。寂寥感で胸がいっぱいになる。画面に表示された『Fin.』という文字を見ると、余計に……。

 

「ありがとうテイルズ・サガ・クロニクル……! 最高の……ゲーム……だった……」

 

 普段であれば、1週間程度徹夜をしても疲れないはずの体が限界だった。もう睡魔が限界だ……。ソファーはミドリとモモイが使っているので、大き目なクッションに倒れこむようにして俺は眠りについた。眠りにつく直前「ありがとう」と言う声が聞こえた気がした。

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