神秘を得た代わりに○ん○を失ってしまったゲマトリアのクソガキ構成員が『先生大好き勢』になる話 作:プラハ
GWが終わってしまう……
ただおかげでかなり書き溜めが出来たので、4日間は毎日投稿できます……!
俺は『黒服』と一緒にとある場所を訪れていた。カイザーコーポレーション、アビドス高等学校に借金を背負わせている『悪徳金融業者』の元締めだ。
「珍しいですね。貴方がこの会社に興味を持ったから同行させて欲しいと頼んでくるとは予想外でした」
「はっ! 俺様の産まれについて知ってんだろ? だったら、俺様が興味を持つことなんて分かり切ってただろ?」
「本当にそれだけですか?」
「ああ? それ以外に何があるってんだよ?」
『黒服』がそう聞いてきたので、即座に否定する。まあ俺が言っていることもあながち嘘ではない。ただ真の目的は少し違う。直接アビドスに向かって計画を邪魔することはできない。それは組織に対する明確な裏切りになる。なら、間接的に邪魔をしてしまえばいい、つまり俺は今からこの会社の戦力を大幅に弱体化させる。鞄から仮面を取り出して装着する。
「行くぞ」
俺と『黒服』はカイザーコーポレーションへと足を踏み入れた。入ってからまず感じたのは、この場所には真っ黒い欲望が渦巻いている。弱者を喰らいどんな残酷な行動であっても厭わない獣のような人間たちの巣窟のように感じられる。本当に吐き気がする。
「計算ミスか……? いや、しかしあの力は明らかに……」
「……お困りのようですね」
部屋に入るとそこにはやたらと横幅が無駄にでかい機械の男がいた。なるほど、こいつが首領ってわけか。俺は黙って『黒服』の隣に立つ。
「いや、困ってはない。ただ計算にエラーが生じただけだ。アビドスの連中がデータよりもはるかに強かっただけのこと。ところでそこの少女は?」
「初めましてだなぁ? カイザーPMC理事さん。俺様の名前は『ミサンスロピスト』。こいつと同じ組織に属するものだ。あと、俺様から教えてやるよ。データに間違いはねえ。お前らがデータ以上に弱かった。それだけのことだろ?」
「なんだと?」
「アビドスの生徒がさらに強くなったと解釈するべきです」
カイザーPMC理事から怒気をぶつけられる。だが、その程度で俺がひるむわけもない。『黒服』が横から口をはさんでくる。
「『黒服』……、お前は契約相手だからって気を使いすぎだ。時には正直に言ってやるのも優しさってやつだぜ?」
「黙れ小娘が……!」
「やだね! 黙ってほしければ実力で黙らせてみればぁ? 俺様はさぁ、自分よりも弱い奴に従いたくないんでね!」
「いいだろうその挑発にのってやる。ここから離れた場所に演習場がある。そこで相手してやる。今すぐに演習場に集まれ!」
カイザーPMC理事は肩を震わせて、通信機にそう怒鳴りつけると部屋から出ていった。俺もそれに倣って出ていこうとする。
「……こういうのは感心しませんね」
「はっ! お前としてもカイザーPMCの戦力分析ができるんだから、十分だろ? それで見極めればいいさ、こいつらが本当に利用できるか利用できないか、見極めればいい」
「……………………」
『黒服』が何かぼそりと喋ったが聞き取れなかった。何か言ったかと聞いたが、何も答えなかった。俺と『黒服』はカイザーPMCが示した演習場へと向かうと、そこには100を優に超える数の兵士が集まっていた。他にも戦車が5台、戦闘ヘリが3台、巨大なガトリング砲を2つ搭載したロボットが奥に1機鎮座している。俺が姿を現すと、恐らくはカイザーPMC理事が何かを吹き込んでいたのだろう、俺に向かって激しい怒りの視線が向けらている。
「どうだ! われらカイザーPMCの軍事力は! 今ここで土下座するのであれば許してやるが?」
「こういうのを烏合の衆だとか、有象無象って言うんだよなぁ……この程度で俺様に勝てると思ってるなんてさぁ……。もっと呼んできなよ? じゃないと俺様がつまらないだろ?」
俺に向けて殺気が向けられる。中には命令を無視して今にでも飛び掛からんとしている奴もいる。
「言わせておけば……! ハッタリもここまでくれば道化というものだ! お前ら! あの小娘に身の程を教えてやれ!」
「ふーん、呼ばないんだね。ま、そっちがそれでいいならいいけど」
カイザーPMC理事の合図とともに兵士たちが突撃してくる。放たれた弾丸は俺の横をすり抜けていく。だが流石は兵士たちと呼ぶべきか、効かないと分かれば接近戦に切り替えてきた。でも、分かってる? 自分の体が機械だってこと。
「超電磁装甲!? まだ机上の空論でしかないはずだ!」
「俺様は天才だ。何で俺様が凡人どもの歩くスピードに合わせてやる必要がある?」
「待て! お前らあの小娘に近づくな!」
「もう遅いんだよ」
カイザーPMC理事は俺の防壁が何なのかすぐに気が付いたらしい。そう言っている間に、兵士たちが近づいて来る。そして一瞬で崩れ落ちた。ロボットの癖にうかつに超電磁装甲の間合いに入りこむなんて、馬鹿な奴らだ。大体10人弱が一斉にショートして、動かなくなった。
「もったいぶってないで、早く増援呼んできたほうがいいんじゃない?」
「黙れ黙れ! 遠距離攻撃を仕掛けろ! 奴の装甲も無限ではない! 撃ち続けて隙を与えるな!」
一斉に距離を取って、弾丸の雨が飛んでくる。俺は弾丸の嵐の中を悠々と歩いていく。人類ってのはどうして皆こうなんだろうか?
「何をしている! 奴は丸腰なんだぞ! 何を使ってもいい! 奴を殺せ!」
兵士たちは後退していく。俺は歩いてゆっくりと進みながら、兵士たちを気絶させていく。そして俺は兵士が落としたアサルトライフルを拾い上げた。銃を使うのはかなり久しぶりだが、どうだろうか? カイザーPMC理事の掛け声で手りゅう弾、ロケット弾、ミサイル、大口径の銃弾が次々に飛んでくる。しかし、それは1つも俺に届かない。届かない。何故なら届く前に俺が撃ち落しているからだ。うん、久しぶりに使ったが、案外当てられるものだ。まあ、体が覚えてるってやつだな。
「アサルトライフルでミサイルを迎撃するだと……!?」
「早く増援呼びなって~。このままじゃ全滅だぜ?」
「戦車で突撃しろ! それならいくら超電磁装甲でもどうにもできない!」
戦車が俺に向かって突っ込んでくる。俺はそれを片手で抑え込んだ。キャタピラが空転して、ものすごい音がエンジンから鳴る。運転席にいる兵士と目が合ったが、とても怯えているように見える。俺は戦車のフェンダーの部分に乗り上げると、思いきり踏み込むと、ドゴン! と言う音とともに、戦車のキャタピラが折れ曲がり、戦車は行動不能になった。俺は死にたくなかったら逃げたほうがいいと告げると、乗組員たちは戦車から我先にと逃げ出した。俺は主砲を戦車から引きちぎるとそれを勢いよくヘリコプターのテイルローター目掛けて投げた。
テイルローターを撃ち抜かれたヘリコプターは制御を失って墜落していく。
「ば、馬鹿な……」
「ほらほら、だから言ってるだろ? 早く呼ばないと全滅するぞってさぁ」
俺の真後ろにヘリコプターが墜落して爆発した。乗組員は墜落前に脱出していたので無事だ。次々と兵士を倒していく、あれだけいた兵士も今となっては半分以上いなくなっている。
「追加だ! 何としてもやつを! やつを殺せ!」
カイザーPMC理事の怒声と共に、更に兵力が追加される。でも、これでまだ全部じゃない。もっと炙り出してやろう。
「はぁ……がっかりだぜ……。キヴォトス1とも名高いカイザーPMCもこの程度とは……」
悠然と歩く。人も戦車も、戦闘ヘリも、巨大ロボットとも1匹の人間によって倒されていく。まるで子どもが無邪気に虫を潰すかのように。
「ほらもっと呼びなよ」
「ぐぐぐ……、増援だ! 何としても……!」
「理事! これ以上は……!」
「黙れ! 平社員の分際で私に指図をするな! 貴様らは私に黙って従えばいいのだ!」
さらに集まってくる。いい加減遊びは終わりにしよう。正直手応えというものが無さすぎていい加減飽きてきた。
「さて、この世で最も有名な公式を知っているか?」
「ま、まさか……!?」
「まあ知らなくてもいい。その身を以て体感するがいいさ」
その日、一筋の光が地表に落ちてきた。
――*――
そこには惨状が広がっていた。全ての兵士は山のように積み重なり、ありとあらゆる兵器はぐちゃぐちゃに破壊され、地面には巨大なクレーターが出来ていた。
「ば、馬鹿な……こんなことが……ぐはっ!」
俺はカイザーPMC理事を地面に這いつくばらせ、積み重ねた兵士達の上に座り込んで、カイザーPMC理事の頭を踏みつけて、俺は笑う。カイザーPMC理事は全力で抵抗するが、俺の足は一ミリも動かない。
「き……さ……ま! 貴様なぞ『宝物』があれば……!」
「『宝物』……? ああ! あれか! 何を求めているかと思えばそんなものを探していたのか! アッハハハ! 馬鹿だ! 本物の馬鹿がいるぞ! は、腹が痛い……!」
俺は大笑いする。本当に愚かなやつだ。こいつらの目的はアビドス砂漠に埋められている『宝物』、その程度のもののために、アビドスを手に入れようとしていたとは……。どんな時代も、どんな世界も『人間』という存在の愚かさに変わりはないらしい。
「どれだけ今より優れた武力があろうが、どれだけ今より優れた技術を持っていようが、結局は滅びた文明だ。つまり大したことがなかったって事だ。そんなものを求めるなんてバカ以外のなにものでもない。例えてめえが『宝物』を手に入れたとしても俺様という『兵器』には絶対勝てねえよ」
カイザーPMC理事の頭をグリグリと踏みつける。結局はただの小物だったわけだ。俺と対峙した時点で強さを見抜けず、怒りに任せて戦力を徒に浪費した。ただの小物だ。
「やりすぎですよ」
「おいおい、こいつらが弱すぎるのが悪いんだろ? お前もこいつらと組むのは止めた方がいいんじゃねえのか?」
「…………それにしても恐ろしいですねあなたは」
「この程度のことで怖がられてもなぁ? 俺様と戦うってんならそれこそ国1つ分の戦力じゃねえと戦いにすらならねえよ」
どうやらカイザーPMC理事はいつの間にか意識を失ってしまっていたらしい。俺はカイザーPMC理事の頭から足をどけると地面に降り立った。『黒服』は特に明言しなかった。ということはまだ手を組むつもりでいるらしい。まあ、何となくこうなる気はしていた。計画が少しでも止められればいいくらいには思っていたが、結局は何も変えられない。
「そう言えばあなたはもう『先生』にお会いしましたか? 」
「いや、話で聞いたくらいだな」
「そうですか……」
「それがどうかしたのかよ? まさかとは思うが勧誘でもするつもりか? やめとけやめとけ話を聞く限りじゃ俺たちと『先生』とやらは相容れねえよ。するだけ無駄だ」
やはり『黒服』は『先生』を勧誘するつもりらしい。だが俺の所感ではあいつはどこまで行っても『生徒』の味方であり続けるだろう。『崇高』のためならどんなことでもやる俺たちとは確実に敵対することになるだろう。いずれは俺とも戦うことになるだろう。
『そうだとしても私は絶対に諦めない。例えどんなに悪い子であってもね』
『先生』の言葉が頭の中で響く。俺が『ゲマトリア』の構成員だと知ったらどんな反応をするのだろうか?
信じていたのにと憤慨する?
大切な『生徒』を傷つけたからと憎悪する?
それとも……、はぁ俺らしくもない思考だ。こんなこと考えても無意味だというのに。どう足掻いてもいつかそれが分かる日が来るのだから。
「そうですか……。『先生』と我々は良い協力関係を結べると思ったのですが……」
「いや、無理だろ。根っからの善人らしいからな」
というかさっきから思っていたんだが、『黒服』は何でこんなに『先生』のことを気にしているのだろうか? 特異なところと言えば外の世界から来た位で、特に優れた力なんて持っていない。『黒服』から見てそんなに利用出来る存在には思えないが……。
「…………。私はアビドスにどのような変化要因があったのか確認してみますので……では」
そう言って『黒服』は去っていった。やれるだけのことはやったつもりだが、筋書きにほとんど影響はなかったみたいだ。
近くにあった公園のベンチに座って空を見上げる。ここから見える星は光に消されて見えなくなっていた。
「星、見えないな……」
それから3日後、俺のスマホにシロコからメッセージが届いていた。いつかは来ると思っていた。来て欲しくなかったメッセージが届いた。
『ホシノ先輩がカイザーPMCに拐われた。協力して欲しい』